第4回 情報デザインとは
情報デザイン概論/2020|地域共創学部|2020.10.05|遠隔
情報共有シート|特設サイト
AGENDA
- 以下名簿が表示されます。ご自身の「出席欄」にチェックをつけて下さい。
情報共有シート
情報共有シートは、遠隔授業時の質疑応答シートを兼ねています。 - 「情報 × デザイン」についての講義を視聴して下さい。
- 受講生情報共有のための特設サイトにコメントの記載をお願いします。
特設サイト(受講生一覧)
以下、動画をご覧下さい。記事に沿って解説しています。
配信記録動画の公開は水曜日(7日)までです。
本日のメニュー
はじめに
遠隔授業の回です。受講生のみなさんには、本日のテーマに関するコメントを求めます。講義の視聴する前に、以下の雛形をコピーして、今回のテーマ用の「節」を作って下さい。
- 授業用の特設サイトはこちら >特設サイト
- 書き方を忘れた方は、初回の講義のページでご確認下さい。
情報デザイン概論/2020/0914
今回分のコメント雛形 の準備
以下のグレーの部分を、そのままコピーして、特設サイトのあなたのページにペーストして下さい。
==情報デザインの事例|2020.10.05== ===GoodDeisign=== * https://www.example.com * https://www.example2.com <br> ===BadDesign=== * https://www.example.com * https://www.example2.com <br>
情報デザインとは
情報デザインとは何か。この問いには「デザインとは何か」と同様に様々な回答があります。もちろん、どれが正しいか否かではなく、自分がどう答えるかを常に考え続けるということが大切なのですが、とりあえず、Wikipediaの記述で、最大公約数的な定義を知ることからはじめましょう。
情報デザインの定義?
- Wikipedia
- 情報デザイン
情報デザイン(じょうほうデザイン、英: information design)は、 人間とモノや環境との関係性にかたちを与える方法論、 生活の中にあふれる無数の情報をわかりやすく提示する手法、 あるいは、それらの考え方。 2019.05.29時点
- Information Design
- Information Architecture
- 情報デザイン
- ロバート・ホーン「情報デザイン原論」
情報デザインとは、情報を、人が効率的かつ効果的に使えるような形で 準備する技と知識である。
- 渡辺保史「情報デザイン入門」
情報デザインとは、ものと人、人と人との新しい関係を作ることだ。 本棚の整理から手帳、地図、時計、そして地域社会の活性化、… あらゆるものが、「情報デザイン」の対象である。
- 情報デザインフォーラム編 「情報デザインの教室」
うれしい体験をつくることを「情報デザイン」と呼びます。・・・ 情報デザインは・・様々なプロセス・手法により社会のニーズを探り出し、 「人・モノ・環境の関係性」を人間中心的にデザインする行為なのである。
- ブレンダ・ダービン「情報デザイン原論」
「情報」は、無秩序でもあり、秩序でもある現実を明快に理解するために 人間が考案(デザイン)した道具である。
「情報」は、それ自体、人間がデザインした(ている)もの・・と考えることができます。
情報デザインのフィールド
- 視覚情報のデザイン
Graphic Design Infographics Movie Web Design Web Application - 聴覚情報のデザイン
Sound Design InfoSound Alert Wind Bell - モノにおける情報のデザイン
User Interface Design Device Interface - 空間に関わる情報のデザイン
Sign Design PublicDesign Map
情報×デザインの「てにをは」
- 情報でデザインする > ハードからソフトへ
- 情報にデザインする > 混沌(非情報)から秩序(情報)へ
いまだ情報として捉えられていない存在を発見し、それを情報化する
時計、温度計、BigDataが見出す隠れた意味・・ - 情報をデザインする > 一般に言う「情報デザイン」
- 情報とデザインする > 情報(ソフト)とともにモノ(ハード)をデザイン
情報デザインの 5W2H |企画
- What:何を(伝えたい?)
- Why:何のために / なぜ?
- When:いつ / いつまでに?
- Where:どこで(制作する?) / どこで(公開・販売する?)
- Who:誰に(伝えたい?) / 誰が(担当する?)
- How:どのような方法で?
- How much:費用(予算)は?
情報デザインの 5W2H |記事作成
- What : これは何? 例)イベント「〇〇」の開催案内等
- Why : なぜ? 例)イベント開催の目的・主旨等
- When : いつ? 例)開催期間等
- Where : どこで? 例)会場、会場までの交通案内等
- Who : 誰が? 例)出演者、出品者、主催者等
- How : どのように? 例)申込方法等
- How much : いくら? 例)入場料 参加費など
付記:「情報が無い」ことの明記も重要な情報
気象庁の台風情報のページでは、台風が発生していない場合に、現在台風は発生していません というメッセージが表示されます。「情報が無い」ことを明示することは、情報を探す手間を省く、情報を求めておこる様々な混乱を防ぐ・・などのメリットがあります。
- 例)無音の映像(実験映像等)をTVで放送する場合
無音のままだと、放送事故あるいはTVの故障か?・・と思われます。「この作品は無音です」と提示することで、視聴者の不安や混乱を払拭できます。 - 例)デジタル地図上に描かれる危険箇所(土砂災害の可能性:赤色)
エリア内に該当する場所が無い場合は、「ご覧のエリアには土砂災害の可能性のある場所は存在しません」と明示することが、利用者の不安を払拭します。 - 例)列車が急停車した
原因がわかるまで沈黙するのではなく、「現時点では原因がわかりません。ただいま調査中です」ということをアナウンスする
情報洪水対策
現代社会には情報が氾濫していて、送信者の意図どおりに受信者に情報が届かない、あるいは、非常に効率が悪いということが多々あります。ここでは、そうした情報洪水にどう対応するか、いくつかのキーワードを紹介します。
5つの帽子掛け
情報の整理には一般に以下の5つの視点があります。
by リチャード・ソール・ワーマン
- 1. カテゴリー Category ・・・共通の特徴をまとめた概念枠組で分類
*学部>学科>専攻・・などツリー状の階層構造になる
*全体を部分に区分けする方法は視点により様々 - 2. 時間 Time ・・・歴史年表、スケジュール、テレビ番組表など
- 3. 位置(空間)Location ・・・地図、サイトマップ
- 4. アルファベット順 Alphabet ・・・五十音順、番号順など機械的順序
*紙媒体で検索がしやすく。辞書や事典の多くはこの方法を採用 - 5. 連続量・階層 Hierarchy ・・・人気順、価格順など何らかの価値の順
*各種のグラフはこの基準によって視覚化されている
ストックとフロー
ストックとは、長期にわたって何度も閲覧される情報のことで、マニュアル、参考資料、文書フォームなどがこれに該当します。一方、フローとは、短期間で価値がなくなる情報で、お知らせ、募集告知などがこれにあたります。
蓄積すべき情報には専用のシステムを使い、個人間のフローはメール、組織レベルフローにはポータルを活用する・・といったツールの使い分けが必要です。
Push & Pull
プッシュとは、送信者が情報が強制的に送る(受信者は情報を受動的に受け取る)形態で、メール・FAX送信などがこれにあたります。一方、プルとは、受信者が必要なときに情報を能動的に受け取りにいく形態で、Webサイト、共有フォルダ、掲示板を見に行くなどの行為がこれにあたります。
一般に、受信者にとっては、プッシュされた方がいい情報と、プルで対応する方がいい情報は異なっているはずですが、送信者都合で何でもプッシュされることが多いのが実態で、業務効率を下げる原因となっています。プッシュとプルの整理が必要です。
フォルダとインデックス(カテゴリーとタグ)
フォルダ(カテゴリー)は一般に送信側の意向で整理されていることが多いのですが、例えばWebサイトのメニューも、閲覧者の視点で見直す必要があります。インデックス(タグ)構造は、受信者視点の情報分類体系で、各情報に「タグ」を付けていくイメージです。例えば「犬の写真」には、「犬」と「写真」の2つのタグを付けておけば、閲覧者は「犬」からでも「写真」からでも目的のデータにたどり着くことができます。
「実体渡し」から「アドレス渡し」へ
「実体渡し」とは、書類のポスティングやメール添付ファイルのように、データそのものを相手に渡すことを意味します。一方「アドレス渡し」とは、「データの所在」を相手に伝えることを意味します。例えば、以下のような方法が「アドレス渡し」です。
- Web上に掲載して、そのURLをメールで知らせる。
- ファイルサーバーに置いて、その場所をメールで知らせる。
- 荷物を直接相手に届けるのではなく「北浜305倉庫、B列45番、暗唱番号は2112」などと伝える。
書類等の情報は常にバージョンアップするので、過去に渡された「実体」は確実に古くなります。一方アドレス渡しの場合、リンク先の情報は常に最新を保つことができます。
サーバーにあるものがマスター、手元のファイルはクローン(予備)
データを自分の手元で管理するのをやめて、サーバーに置いて共有する・・というふうに、根本的な発想の転換が情報の共有をスムーズにします。
補足1:紙の文化から卒業する
印刷することを前提としてワープロで文書を作る発想は、作業効率を悪くします。1ページに収めようと文章を調整する作業などは、「タテ成り行き」で構わない Webページでは不要な作業であり、時間の無駄です。
例えば、PDFは電子媒体と言われますが、「A4タテ」などという、印刷を前提とした仕様になっている点で紙媒体と変わらず、作業効率の悪さから言えば、従来の紙ベースの仕事と変わりません。早めに卒業しましょう。
補足2:機種依存文字は使わない / 漢字は第2水準まで
正しく共有できない情報は、生産効率を著しく下げるだけでなく、場合によっては大きな事故につながります。
- 電子行政における外字問題の解決に向けて
http://www.fujitsu.com/jp/group/fri/report/research/2013/report-400.html - 代表的な機種依存文字
https://mect-japan.com/2017/login/guide/izon.html
情報デザインの可能性
情報デザインにできることは何か?
モノ(ハードウエア)のデザイン vs 情報(ソフトウエア)のデザイン
- 情報のデザイン(制作)には、資源・エネルギーはほとんど必要ない
- 情報はどこへでも自由に、また瞬時に移動できる
- 情報は劣化なしに、いくらでも複製できる
- 情報は時間とともに洗練され、安定する
- 情報は廃棄物を出さない
情報デザイナーの役割
世の中の様々な問題に気づき、その解決策を提案するのがデザイナーです。
問題解決の様々なステップに情報デザインの力が必要とされています。
- 現状をわかりやすく知らせる
- 問題に気づかせる
- 問題解決のための知識を共有する
- 問題の解決方法を提案する
特設サイトへの書き込み
情報デザインの事例
- GoodDeisgn
見やすい、わかりやすい、面白い・・と感じる事例を紹介して下さい。 - BadDesign
見にくい、わかりにくい・・と感じる事例を紹介して下さい。
参考
関連LINK
- リチャード・ソール・ワーマン 情報アーキテクト
http://www.wurman.com/ - ヤコブ・ニールセン ユーザビリティー
https://www.nngroup.com/articles/author/jakob-nielsen/ - ドナルド・A・ノーマン 認知科学
Don Norman's jnd website
https://www.nngroup.com/articles/author/don-norman/
TED|Don Norman on 3 ways good design makes you happy - マーシャル・マクルーハン メディア論
- 松岡正剛 編集工学
書籍紹介
- 情報デザインアソシエイツ編「情報デザイン」グラフィック社
- 情報デザインフォーラム編「情報デザインの教室」丸善出版
- 渡辺保史「情報デザイン入門」平凡社
- リチャード・ソール・ワーマン「理解の秘密」 NTT出版
- ヤコブ・ニールセン「マルチメディア&ハイパーテキスト原論」電機大出版局
- ロバート・ヤコブソン「情報デザイン原論」 篠原稔和 監訳 電機大出版局
- 松岡正剛「知の編集工学」朝日文庫
第4回目は、以上をもって終了とします。
第5回は、対面授業となります。教室の方へご出席下さい。
APPENDIX
情報の空間性・時間性
松岡正剛(「知の編集工学」)に、有名な言葉があります。
情報は、ひとりでいられない
- 我々が「情報」をどのように扱っているか、また遺伝「情報」はどのようにふるまっているかをみれば明らかですが、情報は複製・伝達・蓄積・共有されることで、はじめて意味をもつ存在です。 ・・情報の時間性
- 例えば、「赤」は単体では意味をもちませんが、「青」と組み合わされて「交差点」という文脈に位置付けられると「止まれ」という意味を担う情報になります。他との「関係」が重要なのです。・・情報の空間性
差異 / 言語 / 情報
最も基本的な「情報化」は、それに「名を与える」ということです。
言語化されてはじめてそれは情報になります。 > 言葉とは何か
物事を「差異化」して「関係づけ」すること・・
情報を生み出す思考
日々の暮らしの中にも、意識的に言語化することで「情報(記事)」にできることがたくさんあります。同一の視点で投稿された記事をコレクションすれば、それは立派な「Webサイト」あるいは「書籍」になります。
- 本日の一品:食卓の一品を写真で紹介
- 本日の一枚:写真にコメントをつけて投稿
- 定点観測:毎日同じ時刻に、同じ場所を同じ撮影パラメータで撮影
- テーマ写真:毎日、同一のテーマで見つけた被写体を撮影
- 私のお気に入り:日常的に使っている生活用品を紹介
- 私の好きな絵画:美術館で出会った「名画」を紹介
- 私の好きな言葉:読書で出会った「名言」を紹介
毎日の自分の行動を振り返ってみて下さい。無理なく続けられる「関心の対象」が何か見つかるはずです。