第1回 ガイダンス
情報デザイン概論/2022|2022.09.26
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CONTENTS
ガイダンス
当科目の授業展開について
- はじめに、この授業の形態(対面 / オンライン)について、受講生の方の希望を伺って、今後の展開を調整します。
- 9月19日(台風休校)分の補講について
この講義を受講するにあたって
この講義の目的は、みなさんが「情報とデザイン」について「考える」きっかけを提供することです。講義で話したことを「覚える」必要はありません。ググればわかることを暗記する必要はありません。「その情報がどこにあるか」がわかっていればそれでOKです。
ノート(PC持参を推奨)をとるときは、「講義の内容をメモする」ということよりも、「講義を聴いて自分が考えたことをメモする」ということを心がけて下さい。あなた自身の考えを整理することが大切です。
問題の本質に気づくこと
- 日本語でいう「問題」には、Question と Problem があります。
Problem は人から与えられるものではなく、その答えも一つではありません。何が問題(Problem)で、それをデザインの力でどう解決するか…。現実の問題は試験問題と違って答えが一つではありません。TVのニュース・解説、専門家の言う事、学説、意見というものは実に多様ですし、何が「正しいのか」ということも、その人の価値観・モノサシによって変われります。もちろん、私の話も「ひとつの考え方」を紹介しているにすぎません。大人の話を鵜呑みにせず、様々な考え方に触れた上で「自分の考え」を築き上げて下さい。
講義の情報源について
この講義では、Web上の資源へのリンクを多く使用します。
Web検索は、物事の概要をいち早く掴むには非常に有効です。目的の情報にいかに早く辿りつけるか、積極的に活用して検索に関する経験値を上げて下さい。ただし、その情報の正確性については、書籍に劣るかも知れません。リンクを辿るだけでは、出現する意見の傾向にムラが生じることもあるので、他の観点から異なる考え方がないか、再検索することも必要です。
テレビ・ラジオは、今まで検索してみようとも思わなかった、未知の話題が飛び込んでくることがあります。知見を広めるという意味では非常に重要なメディアです。ただし、テレビにはスポンサーというものがついていて、情報にバイアスがかかっているので、それをふまえることも必要です。
書籍は、知の全体像を把握するのに重要です。例えば図書の分類を知ることで、世の中の知というものがどのように分類整理されるのかを知ることができます。時を経ても色あせない「名著」といわれるものがあります。是非、積極的に読むようにしてください。一方、変化の激しい領域では、記載内容が古く現在の状況に適用できない可能性もあります。書籍を選ぶ際は発行年月日などもチェックするようにしましょう。
理論について
この科目には「論」という文字がついています。「理論」のことです。
辞書によれば、以下のように記載されています(引用:goo辞書)。
- 1) 科学研究において、個々の現象や事実を統一的に説明し、予測する力をもつ体系的知識。狭義には、明確に定義された概念を用いて定式化された法則や仮 説を組み合わせることによって形作られた演繹的体系を指す。
- 2) 特定の研究領域や個々の学者の学説や見解を指すこともある。
- 3) 実際の経験から離れて純粋に思考の中で組み立てられた知識。「実践」に対立し、否定的意味で使われることが多い。
ちなみに、対義語は、「実験」です。
さて、簡単に(乱暴に)言えば、理論というものは、ほとんどの場合、「ああすればこうなる」とか「ああであればこうである」というかたちで、何らかの法則を述べたものになります。何かと何かの「関係」( 因果関係・相関関係)を説明する知識、あるいはその解釈のことを「理論」というわけです。
世の中には「○○理論」といわれる「理論」がたくさんあって、情報デザインに関連するものとしては、美学の世界の理論もあれば、心理学の世界の理論、また工学分野の理論も含まれます。そうした関連理論の集大成が「情報デザイン概論」だとお考え下さい。
この授業では「情報」のデザインについて、世の中にある様々な「ああすればこうなる」 という理論を様々な視点から紹介します。理論を知ると様々な「予測」や「制御」が可能になります。この講義で紹介する様々な知見が、みなさんの思考の糧になれば幸いです。
哲学について
受講生の方から「哲学」というものについての質問をよく受けます。「芸術」や「デザイン」という言葉自体に哲学的なものを感じるからでしょう。では、「哲学とは何か?」・・辞書やネットで調べるといろいろ書いてあって、「難解なもの」という印象を受けるかもしれません。> Google: 哲学とは
で、私はもっとふつうに考えるようにしています。
「人生哲学」という言葉を聞いたことがあると思います。それは要するに「いかに生きるか」ということについての個々人の「考え方」のことです。まずはそこからで十分だと思います。
「人は何のために生きているのか、幸福とは何か、人はどこからきて、どこへ向かおうとしているのか・・・」 哲学とは、そうした根本的な疑問に総合的に立ち向かう学問であり、あらゆる学問の根底に位置するものである・・私はそう考えています。
教科書に掲載された「哲学」がやたら難解なものに見えるせいもあって、「哲学」を縁のないものとして遠ざけてしまう方も多くいるようですが、実際には、人生について、あーだ、こーだと考えるのは、もう立派な哲学であって、その意味では、誰もが普通にやっていることなのです。
しかし、この国の教育制度の下では、まともに「哲学」する時間がありません*1。授業を素直に聞いて教科書を丸暗記しなければ受験戦争を突破できない。「人間とは何か?」などと自分で考える暇もなく、「考える時間がもったいないので、早く模範解答を教えて下さい・・」という感覚で「お勉強」だけをこなす。結果として、「考えない」こと(思考停止)が習慣化してしまう。
深く考えたことはありません。そういうものだと思っていました。 私にはわからないので、専門家におまかせします。
こういうのを「思考停止」といいます。この国にはそんな姿勢が蔓延しています。しかし、哲学抜きに知識や技術だけを身につけても、常に「何かしっくりこない」という違和感を抱いたまま一生を送ることになります。自分がやっていることに、自分の本当の気持ちが納得していないからです。
もっと楽しく、気持ちよく、充実した日々が送れないものか・・と悩むとき、山積する世界の問題に立ち向かおうとするとき、その答えの方向性を決めるのは、あなた自身の「哲学」です。人生について、幸福について、人類の未来について考えること・・大学生である今が、最もそれに適した時期です。
哲学するのにお金はいりません。お金で気持ちが満たされるわけではないことは、みなさんうすうす感じていると思いますが、人間の脳は、そんなものよりも「頭をつかって考える」ということに快感を覚えるようにできています。
本当の楽しみは「考える」ということにあるのです。だから学問は面白いし、学問に関わることができるというだけで、人生が豊かになるのです。学んだことは誰にも奪われません。学生のうちに、たくさん「哲学」して下さい。
APPENDIX
デジタルスキルについて
> ICT入門