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視聴覚情報論/2020/0429

第2回 視覚と聴覚

視聴覚情報論/2020 2020.04.29

前回の講義:視聴覚情報論/2020/0422

第2回目の展開と要件


以下、目次を見て本日の講義の全体像を把握してから、順に読み進めて下さい。
お勉強ではなく「学問」です。あわてて詰め込む必要はありません。個々の事項について、わからない言葉があれば、それをWebで調べながら、また、あちこち寄り道しながら、ゆっくり読んで、今日のテーマについて考えてください。



本日のメニュー


はじめに

今回も、受講生のみなさんには、本日のテーマに関するコメントを求めます。
講義の文章を読む前に、以下の雛形をコピーして、第2回のテーマ用の「節」を作って下さい。
記事追加については、最新の(第2回)の記事が一番上になるように掲載して下さい。Webでは、最新の情報が、ページの先頭です。

第2回 コメント雛形 の準備

以下のグレーの部分を、そのままコピーして、特設サイトのあなたのページにペーストして下さい。

==第2回 比較する(わかる ≡ 分ける)|2020.04.29==
===映像と音楽===
◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯、
◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯。
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===光と音===
◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯、
◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯。
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===空間と時間===
◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯、
◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯。
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本講義の開始にあたって

前回はガイダンスと情報共有の基盤づくりでしたが、今回から本題に入ります。

この講義では、視覚と聴覚 / 画像と音響に関わる様々な知見を紹介します。
この半年間の講義を通して、みなさんに学んで欲しいことは以下です。

受講にあたっての心構え

インターネットでいくらでも情報が得られる現在、私がこの講義を通してみなさんに紹介できる情報はごくわずかです。講義の内容を「覚える」必要はありません。講義をきっかけに「考える」ことを大切にして下さい。

「わかる」とは「分けること」です。物事を区分ける「概念モデル」を知ると、世界は非常にクリアに見えるようになります。

自分に見えている世界を疑うこと。あらゆる現象に対して、なぜそうなるの?という疑問を持つこと。思考停止することなく、常にその先の「なぜ?」を追求して下さい。




1. 視覚と聴覚に関わる概念モデル

1.1. 視覚 (vision) と聴覚 (auditory sensation)

本講義では、視覚と聴覚を並記して、それらを比較する視点で議論を進めます。この2つの区分は、以下のような概念区分にも対応します。

1.2. 余談:視点を変える

対義語つまり「意味上の対をなす語」について、少し寄り道してお話しします。対となる言葉(概念)というものは、視点を変えると変化します。このことは、世界を多視点的に捉えるという意味で非常に重要です。この講義では、視覚と聴覚を並記する視点から、光と音を対義語のように並記していますが、それぞれの語を「対義語」で調べると、以下のような対比が一般的である・・ということがわかります。

つまり、「光」と「音」を対比する発想や、「画像」と「音響」を対比する発想は、あまり一般的ではないのかもしれません。しかし、普通は比較しないものをあえて比較してみる・・ここに何か新しい発見があると、私は考えます。



2. 映像と音楽

まずは、みなさんの関心が高い項目から・・私たちが普通に用いている「映像」と「音楽」という言葉について、また、それをメディアの問題として技術的に扱う場合の「画像」と「音響」という用語について、辞書的な理解をふまえつつ、その輪郭を明確にしておきたいと思います。

2.1. 映像 image / 画像 image

「映像」とは比較的新しい言葉で、辞書には「光線の屈折または反射によってうつしだされた物体の像」(広辞苑)と記されていますが、「イメージ」にまで幅を広げれば、写真・映画・テレビ・Web動画における物体の像のみならず、不可視情報を可視化したものや、「夢」その他、頭の中に思い浮かぶ「想像」にまで意味が広がってきます。本講義では、人間の認知の問題とメディアの技術的問題とをリンクさせながら考えるべく、映像というものを「視覚情報」の一形態として考えます。
 さて、「画像(英語では image)」という言葉ですが、これは「像」を工学的な対象として扱う場合の用語で、「2次元平面上に濃淡あるいは色が分布したもの」と説明することができます。
 メディアに関連して画像を考える場合には、音響の場合と同様、アナログとデジタルの2つの形式の区別が必要となります。
 アナログ情報としての画像は(現在では日常的に接することが少なくなりましたが)フィルムや印画紙で言えば銀粒子の分布として、またかつてのTVのブラウン管などで言えば画面をジグザグに走る電圧の強弱分布として表されます。
 一方、現在主流のデジタル情報としての画像は、画面を微小領域に区切った画素という単位を用いて、その画素ごとの輝度または色(RGB3値の組み合わせ)のデータを縦横に配列したものとして表現されます。一般にデジタル画像は、縦の画素数×横の画素数×3個の数値データの集合として表すことができて、例えばVGA(640×480)と呼ばれるサイズの画像を例にとると、640×480×3 = 921,600 個の数値データの集合となります(約1MB)。

2.2. 音楽 music / 音響 sound

「音楽」とは、文字通りに解釈すれば「音を楽しむ」ということですが、辞書には「音による芸術。拍子・節・音色・和声などに基づき種々の形式に組み立てられた曲を、人声や楽器で奏するもの、楽」(広辞苑)と記されています。
 「芸術」を「情報のありかたのひとつ」として位置づけると、「音による芸術」としての音楽は、聴覚に訴える「情報」すなわち「聴覚情報」の一形態であり、生成・処理・伝達・記録の対象として考えることができます。
 情報の発生源には、声や楽器の生音の他にも、FM音源・サンプリング音源・バーチャル音源など様々なものがあり、また情報の伝達に関しても、直接的な伝達(ライブ)以外に、ネット配信、テレビ、ラジオ、音楽CD等、多くのメディアがあって、今日、我々の周囲には「音楽」という言葉に関わるモノ・コトがあふれています。
 一方、「音響」という言葉は「音」と同義で、「聴覚をおこす空気中の粗密波、あるいは空気中の粗密波によって引き起こされる聴覚」というように二面的に定義されています。それは音というものが、物理的な現象としても、また、心理的・内的現象としても考察できることを意味しています。
 「音響」を我々の身近にあるメディアに関連づけて考える場合には、さらにその形式をアナログとデジタルとに大別する視点も必要になります。アナログ情報としての音は、空気の振動である縦波(粗密波)を機械的・電磁気的な手段で横波に置き換えたもので、文字どおりアナロジカルな(類似的な)連続波形として表現されます。一方、デジタル情報としての音は、アナログの波形を時間軸上で細かく区切って、各時点での波の高さを数値化して並べるという形で表現されます。私たちが普段聴いている音声情報も、音楽CDの音質を例にとれば、片チャンネルの1秒間を、4万4千箇所でサンプリンブした数値データの羅列になっており、およそ直感的には理解できない、気の遠くなるような存在に変わり果てているのです。
 さて、ここで補足的に確認しておきたいことがあります。それは、音楽にせよ音響にせよ、この音というものが「流れる存在」であって、「時間」の概念を抜きにしては捉えようがないということです。絵を描くのに時間制限はありませんが、音楽の演奏はリアルタイムでなければなりません。絵は見えるモノとして持ち歩くことができますが、音楽は聴こえるモノとしては持ち歩けません。それを聴くにはプレーヤーが必要なのです。音は常に時間とともにあります。これが音に関わるすべてのものに共通の宿命です。

今日私たちは、映像や音楽をデジタルデータとして簡単に扱うことができますが、そのデータ量と処理スピードは直感的な理解の域を越えています。デジタルカメラで撮った写真は、たった1枚ですら、(圧縮しなければ)文字データ換算で、小説数冊分に匹敵します。

膨大な量のデータの生成・処理・記録が簡単にできる・・それが高度に発達した今日のメディアに支えられているという事実。我々はこのことを日頃から強く意識すべきでしょう。電力の供給が途絶えた途端に「ただの箱」になってしまうコンピュータ、手作業では再現のしようがないデジタルデータ、それが今日の音楽と映像を支える基盤となっています。



3. 光と音

次に、視覚情報と聴覚情報の担い手である「光」と「音」について。

3.1. 光

視覚情報の担い手である「光」の波長は 380nm から760nm と非常に短いものです。我々の視覚にはこの波長の差が色相の差として知覚されていますが、その色相や輝度の時間的変化で「音」の場合のような時間情報を生成(例えば、光通信)しても、人の能力でそれを直接処理することはできません。すなわち、我々「人」にとっては、多くの色点の空間的な分布形状が情報の担い手となるわけで、当然、我々の視覚の受容器はそのために2次元的な配列をなしているのです(その配列を捉えるすなわち結像するためのピンホールまたはレンズが必要です)。空間的な配列が情報であり、その処理形態は一括処理的になります。

3.2. 音

つぎに、聴覚情報の担い手である音について。我々の可聴範囲の音の波長は約17mm から17m と、ほぼ我々を囲む物の寸法と同じです。このことは視覚情報と同様な、空間的な「聴覚像」の生成が根本的に不可能であるということを意味しています。したがって音は、音源から発せられる刺激の「時間変化」として表現される他はありません。
 音は時間とともに消えてしまうため、次々にやってくる音情報というものは、その都度記憶しながら処理されねばなりません。言葉・音楽・物音、聴覚情報はいずれも時間軸を基軸とした音の配列であり、時系列の情報となります。



4. 空間と時間

空間と時間の概念については、哲学領域に限らず、自然科学・社会科学の領域でも様々な議論がありますが、一つ簡潔に言えることは、それが人間の視覚と聴覚に関わる概念だということです。人の脳の情報処理系ではこの2大派閥が大きくその思考に関与しており、いわゆる水平思考・共時的思考・構造主義など、物事を空間的に捉える思考は「視覚主義」的であり、垂直思考・通時的思考・機能主義などの時間を基軸とした思考は「聴覚主義」的であると言えます。

4.1. 場所と日時

例えば、みなさんが展覧会のポスターをつくるとき、「場所と日時」を必ず書くと思います。これは、空間情報(視覚的なもの)と時間情報(聴覚的なもの)の組み合わせです。

私たちは、この空間と時間、あわせて4つのパラメータで、対象を特定する・・ということを日常的に行なっています。

4.2. 文字(言葉)

文字というのは、実は非常に不思議なメディア(情報媒体)です。それは、視覚的な形という側面と、聴覚的な音という側面の両者をあわせ持っています。

視覚も聴覚も、その刺激センサーである目や耳は、発生学的には「脳」の出先機関です。視覚情報(光)や聴覚情報(音)が先にあって、私たちの「脳」がそれに反応するセンサーを進化させたのか、それとも、視覚センサーや聴覚センサーの脳内統合が、私たちの世界を作り出したのか。いずれにしても「文字(言葉)」という存在は、芸術家にとっても、デザイナーにとっても、避けて通ることのできない、考える対象であると言えると思います。私たちが使う、言語というものについて、この機会に是非関心を持って下さい。

以下、時間があれば、お読み下さい。
言語|コトバは存在を喚起する
個人的なメモ書きなので、ところどころ説明不足があること、ご了承ください。

4.3. 補講:時間は悔恨に発し、空間は屈辱に発する。

本題とは視点が異なりますが、この「空間と時間」という概念は、人間の世界認識のあり方を理解する上で学問上の重要なテーマです。ご参考までに、以下、岸田秀の言葉を引用・紹介します。

時間と空間の起源|「ものぐさ精神分析」岸田秀|1977

すべての欲望が満たされ続ける(いくらでもやり直しができる)のであれば「時間」の概念は必要ない。われわれは、満たされなかった欲望を「過去」として引き離すために、欲望を満たすチャンスを失った時点としての現在との間に「時間」を構成したのである。一方、空間についてはどうか。全能の存在として自己=全宇宙を感じている幼児にとって、自他の区分すなわち「空間」の概念は必要ない。しかし、やがて思うようにならない自己ならざるものの存在に気付く。自己の領域を徐々に狭めていく過程(つまり大人になる過程)における屈辱が、自己ならざる「空間」の起源である。

以下、さらに時間があれば、お読み下さい。
唯幻論|ものぐさ精神分析 / 続・ものぐさ精神分析
個人的な覚え書きです。



5. 特設サイトにコメント

ここからは、皆さん自身が考える時間です。

本日の最初に、書き込み用の雛形をつくっていただきましたが、以下の3つの観点から、視覚情報と聴覚情報を比較し、その違いについて、あなたなりのコメントをお願いします。

様々な視点から「比較する・分ける」ということが、対象を理解する(わかる)ことにつながります。
 デザイナー・クリエイターとしてあなたの思考・発想をより深いものにするために、聴覚と視覚の違いについて、深く考えてみて下さい。

例えば

以下のように、思いついたことを自由にメモするかたちで構いません。

留意事項

6. 書籍紹介

視覚と聴覚に関する書籍を紹介します。STAY at HOME のGW、この機会に是非、読書をする習慣を身につけて下さい。書店に行くのも自粛・・というご時勢なので・・本は1冊、そしてWebで読める貴重な評論をご紹介します。




以上、第2回目の授業、これにて終了とします。GWが間に挟まりますので、コメントについては、じっくり時間をかけて考えて下さい。




APPENDIX

第3回について

次回も同様に、授業開始前に、ページを更新・アップするので、授業時間を中心に、同様に演習を行なって下さい。

遠隔授業が 5月20日までに延長されましたが、その先の状況も不透明です。教員は「授業のページ」に講義概要を記載し、受講生の方は、特設サイトの、自身のページで、自身の考え方を語る・・という流れで進めますので、以後、引き続き、よろしくお願いします。




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DATA

Last-modified: 2020-04-29 (水) 17:27:06