LogoMark.png

視聴覚情報論/2020/0722

第13回 音楽

視聴覚情報論/2020 2020.07.22

前回の講義:視聴覚情報論/2020/0715

最終回のはじめに

レポート提出をお忘れなく
この授業では、最終レポート課題の提出を求めています。第8回のページに、要領を記載していますので、提出忘れのないよう再度ご確認下さい。

特設サイトの有効期間について
特設サイトは、後期授業の開始前にリセット(閉鎖)します。以後閲覧できなくなりますので、記述内容を保存したい方は、左のメニューから「印刷用バージョン」を選択し、印刷>PDF形式で保存・・などとして下さい。


第13回目の展開と要件



以下、目次を見て本日の講義の全体像を把握してから、順に読み進めて下さい。



本日のメニュー


はじめに

視聴覚情報に関する講義の最終回は「音楽」がテーマです。我々ホモ・サピエンスにとって、最も歴史が古く(文字以前)、最も身近に存在して、人と人をつないでいる情報、それが「音楽」です。

にもかかわらず、この国の音楽教育は、子供たち(特に男子児童)にとって「嫌いな科目」に位置づけられてしまっています。五線譜という汎用性のない記譜法の利用を強制されること、好きでもない歌を強制的に歌わされること、ハーモニカやリコーダーといった「音のしくみ」がわかりにくい楽器を扱っていること(しかもそれは口をつける楽器であるため貸し借りもできません)。これでは「音楽の授業はイヤだ」という印象を与えてしまいます。

私自身の経験から言うと、音楽の英才教育などとはまったくの無縁の生活で、小中学校では「嫌いな科目」でしたが、学生時代に「音楽情報」や「音響工学」に触れたことをきっかけに楽器に触れるようになりました。音に関する物理的理解を前提に音楽全体を俯瞰することで「音楽」に対する認識が大きくかわるとともに、それまで使ってこなかった脳領域が活性化したせいか、物事に対する思考回路も大きく変わった・・という印象を持っています。

これまで楽器に触れる機会がなかった方へ
世の中には「音楽は幼少期に訓練しないとダメだ」的なことを言う人もいますが、そうやって可能性を潰す(視野を閉ざす)のではなく、世界と関わるための新たな手段のひとつとして、音楽との関わりを深めていただければ幸いです。

==情報共有|2020.07.22==
===私の好きな音楽===
* ◯◯◯◯◯◯◯◯◯
** https://www.example.com
* ◯◯◯◯◯◯◯◯◯
** https://www.example.com
<br>
<br>




1. 楽音

1.1. ピッチと周波数

まずは基本の確認ですが、周波数というのは、単位時間(1秒)当たりに繰り返される振動回数のことで、その単位としてはHz(ヘルツ)を用います。
 
音楽における音の高さ(ピッチ)というのは、音の基本周波数のことで、例えば A4(ラ)の音は 440Hz。一秒間に440回 空気を振動(縦波)させています。

1.2. 基音・倍音

楽器の奏でる音の大半は、単一の周波数(基本周波数)だけではなく、その2倍、3倍、4倍・・・様々な「倍音」を含んでいて、その混ざりぐあいで、同じ「ラ(A4)」の音でも、これはバイオリン、これはサックス・・・といった「音色の違い」を生んでいます。ちなみに、基本周波数だけで倍音を含まない音を「純音」といいます。

1.3. 楽音と非楽音

一般に基本周波数とその整数次倍音からなる音は、基本周波数のピッチを感じさせるもので、そうした音は、はっきりとしたメロディーや和声をつくることができます。これを「楽音」といいます。

逆に、整数次の倍音以外の周波数成分を含むと、ピッチを感じづらくなります。振動に一定の規則性がない打撃音や太鼓の膜の振動音などがその典型で、これを「非楽音(噪音)」といって楽音とは区別します。ラップスタイルの歌声は、音高を特定しずらく、楽譜にメロディとして記述するのは難しいという意味では、こちらに属します。



2. 音程と周波数

2.1. 1オクターブとは

基本周波数の比が 1:2 となる音程間隔を1オクターブといいます。 ギターでは、弦長のちょうど半分(中央)の位置に12フレットがあって、そこで開放弦の音程の2倍の周波数の音が出ます。管楽器の場合は気柱管の長さを半分にすると1オクターブ上の音が出ます。
リコーダー(縦笛)などの実際の管楽器では、気柱管の長さというより、音孔(トーンホール)の大きさ、音孔の位置、管の内部の形状(メンズール)の3つが密接に関係するので、押さえ方が複雑になります。

ちなみに、人間の耳に音として聞こえる周波数帯は 約 20Hz - 20,000Hzです。20Hz の1オクターブ上は 40Hz その1オクターブ上は 80Hz その上は160Hzというぐあいに2倍、2倍・・・されていくので、10オクターブ(2の10乗=1024)で約1,000倍の 20,000Hz に達します。これはつまり、人間の耳にはせいぜい10オクターブしか聞こえない とうことを意味しています。

2.2. 音程の基本単位 半音=100セント

我々の身近にある楽器は大半が 12音階、ギターでいうと 12 のフレットで1オクターブを区切る音階の各音が出せるようになっています。

1オクターブすなわち2倍、これを 12 に区切る際には、等差ではなく、等比で(周波数比が一定になるように)区切ります。つまり、各フレット間の(半音の)音程が、どこでも同じ周波数比になるように区切るのです。このように各音を調整した楽器を「平均律楽器」といいます。代表的なものがギターです。

では、半音の周波数比とはいくつになるのでしょうか?
半音の周波数比をPとすると・・12 段上がったところでちょうど 2倍 ですから
p x p x p x p x p x p xp x p x p x p x p x p = 2 となる値、
すなわち 2の12乗根で、 pの値は約 1.059 となります。
つまり半音上げるというのは、周波数で言うと 1.059 倍することを意味します。

半音の音程を100セントといい、1オクターブは1,200セントになります。
セントという単位を使うと、さらに変則的な音程も扱えることになります。

補足:微分音
半音よりさらに細かく分けられた音程として、微分音(びぶんおん)という概念があります。一般的な商業音楽には無理かと・・。Wikipedia:微分音

2.3. 音律

音律(おんりつ)とは、音程の相対的な関係を規定するルールのことです。先に触れたように、私たちの身の回りの大半の音楽は、音程の周波数比について、ギターに代表されるような12階の等比を用いる「平均律」を用いていますが、音程の選び方は、等比ばかりではありません。

代表的なものにピタゴラス音律があります。音楽科学の祖、ピタゴラス Pythagoras(紀元前 582-496年)は、「万物は数である」と考え、心地よく響く和音の音程が、簡単な整数比で表されることを発見しました。現在の「ドレミファソラシド」にあたる音階のはじはりは、このピタゴラス音律(Pythagorean tuning)にあります。大学における自由七科に音楽があるのは、それが数学的存在であり、幾何学と同様の学問の対象であったからです。

3. 音名と階名

3.1. 音名

音名とは、絶対的な音の高さ、つまり物理的周波数が対応するものです。

1オクターブ上のものには、同じ名称が与えられますが、例えば、ピアノの中央ドは C4、その1オクターブ上は C5 などと区別します。ピアノの中央ド(C4)の上のラの音が、A4 = 440Hz で、調律に使う音叉はこの 440Hz が一般的です。

3.2. 階名

主音に対する相対的な高さを意味するもので、日本では、イタリア式音名をそのまま階名として使っています(「移動ド」といいます)。

Do (ド)  Re (レ)  Mi (ミ)  Fa (ファ) Sol (ソ)  La (ラ) Si (シ)

主音がC(音名)ならC-D-Eがド-レ-ミ、主音がG(音名)ならG-A-Bがド-レ-ミということになります。

主音(root音)とは、音階(scale)の最初の基準音で、一般的に楽曲のメロディーは主音で終わることで終止感が得られます。 つまり、ドレミで歌えば、大半の楽曲は「ド」の音で終わります。

3.3. 楽器のキーについて

ピアノの「ド」と、アルトリコーダーの「ド」は違います。ピアノの「ド」は音名では(物理的には)C、アルトリコーダーの「ド」は音名では(物理的には)F です。このような違いを説明するために、一般に「アルトリコーダーのキーは F である」、「アルトリコーダーは F管である」などと言います。

したがって、アルトリコーダーで ド-レ-ミ・・とやるときは、ピアノは ファ-ソ-ラ(音名で F-G-A・・・)と弾かないと合いません。

同様に、アルトサックスのキーは E♭、ソプラノサックスやテナーサックスのキーは B♭ です。同じド-レ-ミ(階名)でも、出ている音名(物理的な周波数)は異なっているのです。



4. 音階(Scale)について

ここからは、別窓で musictheory.net の Pop-up Piano を開いて、実際に音を出して確認すると。理解がスムーズになります。

4.1. メジャーダイアトニックスケール

現在我々の身近にある音楽の大半は、ドレミファソラシ、つまり基音から順に、
全音 - 全音 - 半音 - 全音 - 全音 - 全音 - 半音 という間隔の音階(スケール)を使って作られています。これをメジャーのダイアトニックスケールといいます。ピアノはまさにこのステップを視覚的に表現したもので、以下のように「ミとファの間」と「シとドの間」は半音(黒鍵が無い)になっています。

keyboard.jpg M-Scale.jpg

ギターでは1フレット分が「半音」にあたるので、任意のフレットを基準(ド)として、そこから、 - 2Flet - 2Flet - 1Flet - 2Flet - 2Flet - 2Flet - 1Flet と進めていくと、メジャーダイアトニック、つまりドレミファソラシドと聞こえる音階が得られます。模式図で書くと以下のようになります。

|◯|ー|◯|ー|◯|◯|ー|◯|ー|◯|ー|◯|◯| 

◯が押さえて弾くところ、ーは弾かない。

ダイアトニックスケール上の音は「ハモる」、つまり、「各音の整数次倍音に共通要素が含まれる」という物理的な性質を持っています。だからこそ、それが耳にも気持ちよく、世界中でこれだけ普及しているわけですが、しかし、音楽を楽しむのにそれが大前提・・・というわけではありません。音と音がハモる「和声」を前提としない音楽であれば、どんな音を使っても構いません。幼少期からピアノや5線譜を基準に音楽教育を受けたために、私たちはそれを特別視してしまいがちですが、本来はもっと自由なものである・・と考える方が理解がスムーズになります。

4.2. クロマチックスケール

ギターのような弦楽器には1オクターブ、つまり例えば「ド」から上の「ド」までの間に 12個のフレットがあります。これを全部使う音階、12音階のことをクロマチックスケールといいます。すべての間隔が半音なので、そのステップには「はじまり」や「おわり」がありません。こういうのを「調性が無い(無調)」といいます。

で、ダイアトニックスケールよりは、この12音階の方が、よりプレーンなものと考えることができます。というのは、音楽の大半は、基本この12音の中からいくつかの音をセレクトして作った音階セットを使っているからです。

4.3. 様々なスケール

12の音からどれを選んでどうに並べるかによって様々なスケールが成立します。
以下、そのいくつかの例を示します。

つまり、12種類の音の中から、いくつかを選んで、音のセットをつくると、そのセットごとに、雰囲気(ジャンル)のまったく異なる音楽をつくることができる・・・ということです。

完全にオリジナルな音楽を作りたいときは、まずは、12の中から「これとこれとこれ・・・」と決めて、その音だけを使えば、他には無い新規性の高い曲が作れる・・・ということです。もちろん、それがダイアトニックスケールほど多くの人に受け入れられるかどうかは別ですが・・・

5. コード

コードとは高さが異なる複数の音を重ねた「和音」のことです。ポピュラーミュージックでは、歌詞の上に「C」とか「G」といったコードだけを書き込んだ「コード譜」がよく用いられます。この音楽の教科書では隅の方に追いやられているので馴染みの無い方も多いようですが、音楽を気軽に楽しむには非常に便利なものです。

以下、代表的なパターンを紹介します。

5.1. Major Triad

◯ーーー◯ーー◯

例えば、コード譜で C と書いてあった場合
CーーーEーーG という3つの音を鳴らせばいい・・ということです。
EーーGーーーーC でもいいし、 GーーーーCーーーE でも構いません。
これらは「転回形」といいます。

で、さらに例えば、コード譜で Eb と書いてあった場合は
E♭ーーーGーーB♭ という3つの音を鳴らせばいい・・

要するに、コードネームにある音名を根音として、
同じ音程関係にある3つの音を鳴らせばいい…というわけです。
したがって、C, C#, D, D#, E・・B まで、12種類のMajorTriadコードはすべて
間隔を保ったまま位置をずらすだけ。 本当はとても簡単な話なのです。

ピアノの場合、白鍵と黒鍵という本来物理的に同等のもの*1を不平等に配列しているので、白鍵だけでまとまる C, F, G のような和音と、白鍵と黒鍵が入り交じる C#のような和音とでは、ずいぶん難易度が異なりますが、ギターのような楽器の場合は、弦間の音程関係はどのフレットでも同じなので、開放弦を使わない押さえ方の場合は、例えば、F と F# とは、押さえ方は同じで、1フレットずらすだけです。 どの弦に根音をあてるかによって押さえ方の形は数種類ありますが、要するに覚える必要があるのはその数種類の形だけで、あとは位置をずらすだけです。

5.2. Minor Triad

◯ーー◯ーーー◯

例えば、コード譜で Cm と書いてあった場合
CーーE♭ーーーG という3つの音の構成です。あとは、上記の話と同じです。

5.3. Diminished Triad

◯ーー◯ーー◯


5.4. Augment Triad

◯ーーー◯ーーー◯


5.5. Sevens Chord

◯ーーー◯ーー◯ーー◯ 7
◯ーーー◯ーー◯ーーー◯ M7
◯ーー◯ーーー◯ーー◯ m7
◯ーー◯ーー◯ーーー◯ m7-5


5.6. Nines Chord

◯ーーー◯ーー◯ーー◯ーーー◯ 9


5.7. その他の和音

和音の物理的根拠

音と音が調和する(俗にハモる)とはどういうことか? それは、音と音の周波数比が単純な整数比になる・・つまり、それぞれの倍音に共通成分が存在するという物理的な根拠によるものです。

例えば、完全5度の音程、つまり「ドとソ」や「レとラ」の間には、周波数比で 2:3 というきれいな整数比の関係があって、ドの音の3倍音は、ソの音の2倍音と等しくなります。同様に、ド・ミ・ソ、ファ・ラ・ド、ソ・シ・レといった3和音は、いずれも4:5:6という周波数比になります。これがハモるということの物理的な理由です。

完全5度ドとソ2:3※ドの3倍音とソの2倍音が等しい
完全4度ドとファ3:4※完全5度と裏返しの関係です
長3度ドとミ4:5※ドの4倍音とミの5倍音が等しい
長2度ドとレ8:9
オクターブドと上のド1:2

補足
周波数の比が単純な整数比になる…というルールで規定される音律を純正律(Just Intonation)といって、例えば、Cを基準とした場合、純正完全5度(2:3)と純正長3度(4:5)を用いて、「Cの3度上がE、5度上がG」、「次にGの3度上がB、5度上がD」、さらに「Cの5度下がF、Fの3度上がA」といったぐあいに音を調整して1オクターブを構成します。平均律とは異なり、物理的にきれいな調和した響きが得られます。

一方、12ステップを単純に等比間隔で作っている平均律(ギターはその代表)では、和音を構成する音程間隔がきれいな整数比にならないので、きれいな響きは得られません。特に長3度の周波数比などは、4:5 からかなりズレていているので、響きは汚くなります。これは平均律楽器の宿命です。

参考

コード進行

私たちに馴染み深いポピュラーミュージックでは、旋律を包み込むフレームとしてのコード(和音)が、一小節あるいは半小節を基本的な時間単位として変化していきます。

和音の機能

ダイアトニックスケール上にできる和音は、基本的に以下の7種類。

 I IIm IIIm IV V VIm VIIm-5  

似た構成音を持つものを進行上の役割でグルーピングすると、結果的に以下の3+1種類となります。

コード進行の定番パターン

コード進行には、ある程度音楽的な必然性があって、結果として、いくつかのパターンに集約されます。例えば、1-6-2-5進行(I-VIm7-IIm7-V7)や、カノン進行(I-V-VIm7-IIIm-IV-I-IV-V)など、私たちがよく耳にする音楽には、よく用いられる典型的なパターンがあります。

コード進行パターンそれ自体は著作権の対象となるものではありませんので、はじめて作曲にチャレンジする場合などは、まず典型的なコード進行をまねてみる…というところからスタートするのもひとつの方法です。

参考:12Bar Blues

ジャズやロックでブルースと呼ばれる楽曲は、ブルース進行と呼ばれる一定のコード進行に従っています。曲の流れが決まっているので、例えば、初対面のミュージシャン同時でも「Aのブルースで・・」と決めて、リズムのきっかけをつくれば、あとは適当、いきなりセッションを始めることができます。
YouTube: 12bar Blues
YouTube: johnny be good 12bar blues

参考:コード進行しない?楽曲

Miles Davisの「So What」という曲は、「モード奏法」の代表的なもので、コードとしては Dm7 ひとつ(正確にはEm7→Dm7の繰り返しで、転調もあり)だけで私達が耳慣れている J-Pop のようなコード進行はありません。

したがって、Dのドリアンスケール上の音(レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ)のみを使うという制約にしたがって即興的に演奏することができます。

ふつうのJ-Popでは、適当に音を拾うだけでは即興的に曲に合わせるのは無理ですが、この曲の場合、「Dのドリアンスケール上の音」であれば、どのタイミングでどの音を鳴らしても無理なく聞こえます(もちろんリズムには乗る必要があります)。「Dのドリアンスケール上の音」…というと難しく聞こえますが、要するに、普通のドレミを「レ」を基準にするだけなので、ピアノで言えば、白鍵ならすべてOKという、極めて簡単な話になります。

実際の楽曲は変化をつけるために転調する部分がありますが、ピアノの白鍵に指を置いてお試し下さい。

関連リンク

以上、第13回目の授業、これにて終了とします。


付録|音の波形について
音の物理にさらに興味のある方は、以下もご参考下さい。





振動を数式で理解する

波形.png

A sin( 2πf t + φ)
これは振動を描く基本的な式です。

t すなわち時刻をパラメータとした式で、

ちなみにこの式は「純音」で、音色を特徴づける要素は存在しません。

さて、2πf t という表現ですが、これは例えば f = 1 の場合、
t = 0 〜 1 で 値が 0〜 2π、つまり、1秒間で1回振動することを意味します。
右上のグラフは、1Hzの波形ということになります。

SIN関数は弧度法を使います。半径1の円の弧の長さを角度に見立てたもので、2πでちょうど一周分、つまり360°を意味します。式の括弧内の「2πf t 」は、「一秒間で f 回転」を表現するためのものです。

参考:SINだけでなぜ振動する > 単位円による三角関数の定義
参考:三角関数を使って円を描くプログラム


倍音合成

周波数 f を基準として、その2倍の周波数 2f をもった音を2倍音といいます。また同様に3倍音・4倍音・・も考えられます。

楽器の音(シングルノート)は、基本周波数の f に加えて複数の倍音が同時に鳴ることで、その楽器特有の音色をつくっています。倍音の混ざり方で音色がかわることを波形で見てみましょう。以下、Googleのグラフ機能を使ったものです。表示倍率がそれぞれ異なっていますが、横軸xの値が 0〜1 の間でちょうど1回振動、つまり基本周波数は1であることがわかると思います。

数式からGoogleグラフへもリンクしています。数字を変えて再検索すると、波形が変化する様を直感的に確認できます。

2倍音.png

A sin(2πft) + 0.5A sin(2π2ft)
2倍音を半分の振幅で
重ね合わせたものです。


3倍音.png

A sin(2πft) + 0.5A sin(2π3ft)
3倍音を半分の振幅で
重ね合わせたものです。


整数次倍音.png

A sin(2πft) + 0.6A sin(2π2ft) + 0.3A sin(2π3ft)
2倍音を60%、3倍音を30%の振幅で
重ね合わせたものです。




音のハモり

ハモるとは、物理的には、高さ(基本周波数)の異なる複数の音で、その整数次倍音に共通の周波数が含まれる場合に成立します。別の言い方をすれば、それらの周波数比が簡単な整数比になることを意味します。

例えば、5度の音程「ド」と「ソ」では、「ド」の3倍音と「ソ」の2倍音が同じ周波数の音になります。言い換えれば、ドとソの基本周波数の比は2:3という簡単な整数比になっています。

また例えば、長3度の音程「ド」と「ミ」の周波数比は4:5なので、いわゆるメジャートライアド「ド」「ミ」「ソ」は、4:5:6という比率になり、可聴周波数帯の範囲に複数の共通する倍音を持つことになります。

和音.png

A sin(2π4ft) + A sin(2π5ft) + A sin(2π6ft)
周波数比4:5:6の3音の重ね合わせ。
音に周期性が見られます。


非和音.png

A sin(2π4ft) + A sin(2π5.1ft) + A sin(2π7.7ft)
複雑な比率の音の組み合わせ。
当然ですが、周期性がなくなります。


ちなみに完全8度、すなわち1オクターブの音程は1:2ですから、「ド」の音を3倍して1オクターブ下げれば「ソ」の音が得られ、その「ソ」を3倍して1オクターブ下げれば「レ」が得られます。このようにして得られた音程調律は「純正律」と呼ばれるもので、倍音のうなりを伴わない、きれいな和音が得られます。一方、1オクターブを単純に等比的に分解する調律を「平均律」といいますが、平均律の楽器(ギターが典型、現代のピアノも)は厳密にはきれいにハモりません。




PAGES

GUIDE

DATA


*1 これは、音律が一般的な平均律の場合の話ですが、白鍵と黒鍵の間には、いずれも平等に約1.059倍の周波数比があります。ただし、Cを基準に純正律で調律されたピアノの場合は、音程間隔は均等ではないので、同等とはいえません。
Last-modified: 2020-07-22 (水) 10:39:32