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講演/20170316

北九州高等学校


 
 

ART & DESIGN for a sustainable future

「面白い!」をデザインする













はじめに

Art & Design

「面白い!」とは、どういうことか

芸術・デザインの取り組みは「面白い!」ことが大前提です。どんなに重要なことでも、それが楽しく面白いものでなければ、人は積極的には動かないし、また継続もできません。
 そこで問題です。人は様々なものごとに対して「面白い」という言葉を発しますが、そもそも「面白い!」とはどういうことなのか。

 あらゆる感情現象にいえることですが、どんなモノ・コトを「面白い!」と感じるかは、人により、また状況により様々です。感情はそれを享受する人の脳内で起こる現象なので、作り手(送り手)の創造力だけでデザインできるものではありません。しかし、作家、お笑いタレント、クリエイターなどと呼ばれる人たちの実践を見れば明らかなように、世の中には高い確率で「面白い!」状況を作り出すコツが存在することも確かです。

 今日はその秘密を解き明かすきっかけとして「面白い!」「楽しい!」「幸せ!」といった感情がどんな場合に生じるのか、つまり「刺激に対して脳がよろこぶ*1のはどんな場合か」ということについて、考えてみたいと思います。
※ 脳内をかけめぐるのは「情報」です。「面白い!」には、資源つまり「お金」は不要です。

「面白い! 」の2大原理

以下、それぞれについて考えてみます。




知の体制化(感動する面白さ)

「知」の獲得とは、生まれたてのぐちゃぐちゃな脳内結線を、つないだり切ったりして秩序立てていくことを意味します。「分かった!」というときに感じる「面白さ」はその典型的なもので、複雑に絡んだ脳内結線が、文字どおりいくつかのグループに「分かれ」て信号の流れがクリアになる状況*2であると説明できます。
 知の体制・脳内回路は組換えが可能です。既存の物事の関係を再「編集」して別の関係に組換えることができれば、「面白い!」は無限に生産可能です。




知の崩壊と再体制化(笑える面白さ)

既成の概念、常識、我々を縛り付ける思考の回路が寸断されると同時に、それまで異質なもの同士が新たな関係を結ぶ瞬間、人は「笑える」面白さを感じます。

編集してみよう

アイデアの大半は、既存の物事の再・編集によって生まれます。
私たちの思考回路には「常識」のバイアスがかかっているので、例えば、
「ひらがな を ◯◯◯ 」という文における ◯◯◯ の部分には、

ひらがな を 書く ひらがな を 覚える ひらがな を 漢字に変換する

のような、ふつうにつながる言葉しか思い浮かばないようになっています。

ということは、意識的にこれを排除して、ありえない言葉を接続すれば、今までにない発想が生まれる・・ということになります。

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単語をつなぐ

2つの単語を非常識な関係で接続してみる。

発想を広げる

2つの単語の関係から思いつく、物語・構造物・商品・イベント・・を発想。

みんなでブラッシュアップする

アイデアはひとりの力だけでは具体化できないのが普通です。また「その権利を個人が独占する」という現代の知的財産の考え方も、良い結果を生みません。

講義の最後に

モノ・コトの価値は所与のものではない

つまりどんなモノ・コトでも、それをとりまく関係を再編集することによって、新たな価値を産みだすことができるのです。

橋をデザインするのではなく、川の渡り方をデザインする

多くの人が、敷かれたレールの上を歩いていています。しかし、
大人が敷いたレールの50年先の鉄橋は腐って崩れかけているかもしれません。
常識を疑う。一歩引いて、全体を見通せる場所に立つ。
人と社会の未来には、様々な可能性があるはずです。
身の回り半径10mのところから、自分自身の手で変えていく。
「面白い!」とはそういうことだと思います。







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GUIDE

DATA


*1 脳がよろこぶ:脳内の神経細胞同士の結合に劇的な組み換えが生じて、脳内に快感物質が走る状況ということができます。
*2 概念の分類は一般に、善と悪、天と地など、2項対立形式をとります。シナプスの結合には興奮と抑制があって、一方の回路が興奮したときは別の回路が抑制される・・まさに2項対立的なふるまいをします。
Last-modified: 2019-07-05 (金) 20:51:29