Portable Skills
場所にも時代にも依存しない人類に普遍的な能力
ポータブルスキルとは、一般に特定の業種・職種・時代背景にとらわれない能力のことで、最近では、採用活動や人事考課に関わる言葉としてよく聞かれるようになりました。
CONTENTS
ポータブルスキルの概要
以下、就職情報サイト等にある「ポータブルスキル」一般論です。
一般に スタンス > ポータブルスキル > テクニカルスキル のような区分で説明されるようです。
スタンス
スタンスとは、物事に対峙する際の立場や姿勢のことで、例えば「自身がキャリアを築く際に抱く感覚や意識」という意味合いが含まれています。
類似する言葉
- モチベーション
- ビジネスポテンシャル
ポータブルスキル
ポータブル(=持ち出し可能)スキルとは、特定の業種・職種・時代背景にとらわれない能力のことで、積極性、協調性など、性格や人柄など、明確な基準がないのが特徴です。
- 対課題スキル
情報収集力、課題解決力、発想力、計画性、実行力
- 対自己スキル
自立心、自律心、ストレスマネジメント、意欲創出力
- 対人スキル
コミュニケーション能力、リーダーシップ、協調性、共感力、交渉力
類似する言葉 |社会人基礎力
- Action:前に踏み出す力
- Thinking:考え抜く力
- TeamWork:チームで働く力
テクニカルスキル
テクニカルスキルとは、特定の業界や職種において専門的な業務の遂行に必要となる知識や資格のことです。テクニカルスキルを有することは、就職や転職を有利にします。
参考
- Google:ポータブルスキル
- ポータブルスキル - 厚生労働省
一般社団法人 人材サービス産業協議会. 厚生労働省委託事業
私的ポータブルスキル論
ここでは 個人の感想にもとづく私的分類 を紹介します。以下、当該学科・専攻の方への説明なので、事例は偏った内容になることをご了承ください。
ヒト特有の能力 > ポータブルスキル > グローバルスキル > ローカルスキル
と4段階に分けてみました。
ヒト特有の能力
ホモ・サピエンスという生物種に普遍的な能力。
AI には真似できそうもない汎用能力
- 運動能力(歩く・走る・泳ぐ・・球技・格闘技・・)
- 狩猟・採集 + 調理・保存
- 道具製作・二次的道具(メタ道具)の製作
- 道具によって身体を拡張する能力(衣類・靴・自転車・・投擲・・)
- 異種生物と共生・協働する能力(「犬」は原初のパートナー)*1
- 言語能力(コミュニケーション・思考・メタ思考)*2
- 存在喚起能力(言葉は「存在」を喚起する)
- 不在の現前(目の前にないものの想起する能力)
- 「無(Nothing・0)」、「死」といった概念の登場
- 共同幻想(擬似現実)のはじまり。
- 予見と計画(デザイン)
付記:これらの能力を発揮するのに、現代人が常備すべき必須アイテム
ナイフ、ライター、筆記具(鉛筆)
極限的な状況では、犬を連れていると心強い
ポータブルスキル
社会的な存在としてのヒトにが身につけることを欲する能力で、その習得には一定の「努力」が必要ですが、それは、楽しい・嬉しい・面白い・・といった感情を伴うと同時に、他者をもシアワセにすることができる能力です。世界中どこでも、また人類の過去においても未来においても有効に機能するスキルです。
・アウトドア、災害時の避難所など、電源・ツールの無い非日常的な場面でも有効
・AIによる代替の可能性は低く、むしろ AIとの協働により能力が拡張される可能性が高い
- 絵画・彫刻・建築・音楽・舞踏・文学等(芸術)
- 形式科学(論理学・数学)・経験科学(人文・社会・自然科学)
ポータブルスキルは「社会性」が前提です。極端な例えですが「核戦争で地球上にあなた一人が生き残った」というような絶望的な状況では(思考実験)、その能力に価値を見出すのは難しいでしょう。ただし「どこかに誰かが生きているかもしれない」、「いつか船が来るかもしれない」という希望がある場合、あるいは、パートナー動物(犬など)が存在する場合は、ポータブルスキルはワタシを勇気付けてくれる能力として、価値を発揮するものだと考えられます。
付記:これらの能力を発揮するのに、現代人が常備すべき必須アイテム
哲学、紙とペン
グローバルスキル(テクニカルスキル / セミ・ポータブル)
現代社会(グローバル化する情報社会)において有効な能力で、その習得には「努力」が必要ですが、それに見合う充実感・達成感は得られます。ただし、それが有効となるエリアは限定的で、過去あるいは未来においても有効であるとは言えません。また一歩間違うと自己満足的なものにもなりがちな能力です。
・アウトドア、災害時の避難所など、非日常の場面では「?」となる能力
・徐々に AI・ロボットに代替されることが予想される
- ビジネスに関わる知識・技術・(国際・国家)資格
記憶力、パターン認識能力に関わる部分はやがてAIに代替される
- 外国語の reading, writing, listening, speaking
上記同様。現状例えば TOEIC では AI が 900点以上得点できる
- 応用科学(工学技術、医療技術・・)
- IT・デザイン系で言えば、原理・汎用的な知識・技術
- その他、現代文明社会に特有の「常識」の範疇にあるスキル
付記:これらの能力を発揮するのに、現代人が常備すべき必須アイテム
デジタルデバイス(PC・スマホ)、ソーラー充電器
ローカルスキル(ノン・ポータブル)
短期間(例えば当該バージョンが有効な期間)、限定的な場面(例えば「社内」)においてのみ必要な知識・スキルで、その習得には苦痛・不快感を伴うことが多い。
・可能であれば AI・ロボットに代替させたい。
- 民間資格(適用領域・時代が限られる個別限定的なもの)
ほぼ記憶に頼るもの、AIにも得点できるもの
- 所属組織に特有の業務遂行能力(ガラパゴススキル)
- 社内マニュアルに従うルーチンワーク アルバイトに任せられる仕事
- 社内専用のツールを使いこなすスキル
- 昇進に必要となる「社内資格」
- 社内で部下に命令すを下す能力=「肩書き」
組織の外では無効。ちなみに、現代日本における「クレーマー」の多くが「定年退職後もこれが有効であると勘違いしている高齢者」であると言われます。
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- 商品知識、家電の操作技術
- IT・デザイン系で言えば、特定のツールに関する専門技術
- 特定のソフトウエアの活用技術(頻繁にインターフェイスが変更される)
多くのソフトウエアが開発を停止、その技術は必要とされなくなりました。
Adobeのツール等、デファクト・スタンダードなものは例外的にグローバルと言えます。 - 特定デバイス用のネイティブアプリケーションの開発知識
ガラケー用のアプリの開発技術は、ほぼ需要がなくなりました。 - その他、作業を自動化する拡張機能が登場したら不要になるスキル
- 特定のソフトウエアの活用技術(頻繁にインターフェイスが変更される)
その他「身につけねばならない」と言われる大多数のスキル
ぜひ考えて下さい。
そのスキル、50年先の未来でも必要ですか?
大人に騙されないようにして下さい。