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映像断片の継時的群化の要因 の変更点


*映像断片の継時的群化の要因|2004 - 2008

映像情報の大半は、"ショット"といわれる映像断片の継時的な連鎖からなります。ショットというものは本来、空間的にも時間的にも不連続なものなのですが、私たちは通常そのことをあまり意識せずに、映像をひとつながりのものとして見ています。 しかし、ショットとショットの間には、その関係のつくりかたによって、つながりの強さに差が生じることも確かです。 私の研究はその要因を探ること、すなわち、「ショットがつながって見える」ための要因、逆転させて言えば「ショットとショットが分離して見える」ための要因を探るということです。

 例えば、テレビのようなメディアでは、映像断片は次々に(黒コマなしで)送り出されてくるのですが、そこでは本来つながるべき関係ではないもの(例えば番組本編とCM)が、誤って連続的に認知されてしまうことも少なくありません。我々は知らず知らずのうちに映像の関係を誤解している場合もあるのです。 見る人を混乱させないように「映像情報をデザインする」という視点に立った場合、視聴者が映像だけを見て間違った理解をすることがないように、映像断片が「つながる・切れる」ための要因を、認知心理的な観点から実験的に整理・体系化する必要があります。私の研究は、そのような問題意識にもとづいています。

 映画やテレビにおける「物語映像」では、「コンティニュイティー・エディティング」と呼ばれるハリウッドスタイルのテクニックが用いられることで、視聴者がショット間のつなぎ目に気づかないような編集が実現されています。そのような技法に含まれる編集上の「条件」は、映像がつながって見えるための強い要因のひとつといえます。 しかし、映像がつながって見えるための要因は、他にも様々なレベルのものが考えられます。例えば、ミュージックTVなどは、映像の編集という点ではハリウッドスタイルとはまったく異なるものですが、「音がつながっている」ということが、映像断片をひとつながりのものとして認知させる非常に強い要因になっていると考えられます。また、当然のこととしてあまり話題になることがないようですが、「画質が同じである」ということも、映像のつながりにとっては重要です。逆の例えでいえば、ビデオで撮ったドラマの本編映像とフィルム(24P)で撮って変換したCMの映像とではその境界が明瞭で、ほとんどの場合は混同されることはありません。

 映像は非常に多くの素材からなる総合的な情報です。したがって「つながる・切れる」要因も複合的であるため、「複数の素材に対する評価を分析して、そこから数種類の因子を抽出する」といった実験は、ほとんど不可能か、あるいは、それが検出できたとしても、そのような抽象的な因子では、実際に映像断片を「つなぐ・切る」ための編集手法として応用できそうもありません。 そこで、地味ではありますが、これまで一般に現場の経験則として知られていた各種の「つなぐための手法」について、そのパラメータを実験的に操作した映像素材を自作しつつ、その要因の効果を一つずつ検証するというスタイルで実験研究を行いました。


(書きかけです)
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