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演習/デュシャンのテーブル の変更点


#author("2020-02-02T18:19:51+09:00;2019-08-07T12:54:04+09:00","default:inoue.ko","inoue.ko")
*デュシャンのテーブル
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***はじめに
[[マルセル・デュシャン>GoogleImage:Marcel Duchamp]]( Marcel Duchamp 1887.07.28 - 1968.10.02)はフランス生まれの美術家。ニューヨーク・ダダの中心的人物で、コンセプチュアル・アート、オプ・アートなど、20世紀の美術に最も影響を与えた作家の一人です。
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***Ready Made
既成品という意味。身の回りにある、ごく普通の事物を上下反転したり、組み合わせただけオブジェ作品をいいます。
-「自転車の車輪」(1913)
-「泉」(1917)  &small(作者のリチャード・マット (R. Mutt) とはデュシャンのこと);

-[[GoogleImage: Ready Made Duchamp]]
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***Conceptual Art
日本語では「概念芸術」、「観念芸術」。1960年代から1970年代にかけて世界的に話題となった前衛芸術運動のひとつで、そのルーツがマルセル・デュシャンの Ready Made にあると言われます。

'''コンセプチュアル・アートにおいては、アイデアまたはコンセプトがもっとも重要である。作者がコンセプチュアルな芸術形式を用いたとき、それはプランニングや決定がすべて前もってなされているということであり、制作行為に意味はない。アイデアが芸術の作り手となる。'''
'''In conceptual art the idea or concept is the most important aspect of the work. When an artist uses a conceptual form of art, it means that all of the planning and decisions are made beforehand and the execution is a perfunctory affair. The idea becomes a machine that makes the art.'''
RIGHT:&small(ソル・ルウィット, アート・フォーラム誌,1967);
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***展示演習
-工芸作品展示用の展示台を一人につき一台準備します。
-身近にある事物を、上下を反転する、他の事物と組み合わせるなどして、本来の役割を剥奪し、純粋な造形物に見えるように展示して下さい
-キャプションは、以下を使用して下さい(Illustrator編集機能付き)。
&ref(Caption_duchamp.pdf);
-展示後に記録写真を撮って、各自のページに掲載して下さい。
[[ソーシャルデザイン学科/ソーシャルデザイン演習05>https://design.kyusan-u.ac.jp/socialdesign/index.php?%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E6%BC%94%E7%BF%92]]

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**ごあいさつ

ここに展示された作品は、私たちの身の回りに日常的に存在する事物です。フランス生まれの美術家、マルセル・デュシャン(MarcelDuchamp1887-1968)は、ReadyMade(既製品)という概念を考案し、身の回りにある事物を展示台に置くという行為によって、造形作品としてのモノの存在を喚起しました。

コップはペン立てに、また椅子の背はハンガーにもなります。モノは一義的な存在ではなく、「ペン立て」や「ハンガー」という言葉がそこに付与されたとたん、その価値を更新します。言葉の持つ「存在喚起能力」が新たな価値を生み出すのです。

日本という国では、日常の雑器が「見立て」によって国宝級の茶道具になります(井戸茶碗)。同様に、あらゆるモノはその存在する文脈(コンテクスト)を変更することによって、新たな価値を生み出すことができるのです。

DESIGNという語は一般に「計画・設計」と訳され、その先には「大量生産」というプロセスが存在しているのが普通ですが、資源・エネルギーを消費する「生産行為」だけがデザインの目指すところではありません。

コミュニティデザイン、リノベーション、シェアサイクル・デザインは今、情報ツールの活用を背景として「まちづくり」から「まちづかい」へ、そして「ものづくり」から「ものづかい」へと、大きく発想をシフトさせていると言えるでしょう。

これからのデザインには「計画・設計」に加えて、「発見・活用」という視点が必要です。今回の「つくらない」展示が、デザインの新たな可能性を考える契機となることを願っています。

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