第5回
ソーシャルデザイン概論/2022|2022.05.18
AGENDA
- 以下名簿が表示されます。出欠確認・座席記録をお願いします。
出欠確認・座席記録K'slife 反映済み
- Zoomでの遠隔参加をご希望の方は、以下を利用して視聴して下さい。
Zoomミーティングに参加する
ミーティングID: 994 4170 5163
パスコード: 000436
CONTENTS
はじめに
前回授業に関する質問について
- マイノリティー・「いじめ」・「障がい」について
- 連続的な分布カーブは多様性の証(「障がい」も性差も連続分布)
- 多様性を欠く Domestication(家畜化)は絶滅の危機をもたらす。
- 世界を変革する多くの著名人はマイノリティー
- 障がいとは、個人に帰属するものではなく、個人と社会の間に存在する。
- 「いじめ」はなぜおこるのか
- 思考は「地球規模」で、行動は「自分ゴト」から
Think Globally, Act Locally
- 人は、自分の視界の外(海洋、南半球)に生じている「問題」には気づかないものです。まずは、視点を高くとることが必要です。
- 現代社会の最大の問題は「問題に気づいていない人が多い」ということ。
- その他
- 欠席や遅刻について(問い合わせが多いので・・)
- 欠席や遅刻について(問い合わせが多いので・・)
人類について考える
HomoSapiens について
ヒトという異端のサルは、他の動物とは異なる認知方略と生存戦略、すなわち「幻想の共有」と「予見と計画」をもって、あらゆるモノ・コトをデザインします。ヒトについて知ることは、デザインの原点を知ることにつながります。
HomoSapiens 生物学上の位置
哺乳綱(Mammalia)> 霊長目(Primate)> ヒト科(Hominidae)> ヒト族(Hominini)> ヒト属(Homo)> ヒト( Homo sapiens)
最後の項目が「種」です。私たちが使う「人種」は生物学的な用語ではありません。
- 私たち ホモ・サピエンス は、ホモ属(ヒト属)の最後の生き残りです。
- 類人猿とはヒト上科のサルの総称です。
- ヒト科(大型類人猿) 広義の「人類」はこのヒト科をさします
オランウータン属 / チンパンジー属 / ホモ属(ヒト属) / ゴリラ属 - テナガザル科(小型類人猿)
- ヒト科(大型類人猿) 広義の「人類」はこのヒト科をさします
ヒトはどう生きるべきか。ヒトという生物が採用した戦略の特性を、時間を遡って考えることが重要です。
ホモ属について
- ホモ・サピエンス・サピエンス(現生人類)
- ホモ・サピエンス・イダルトゥ
- ホモ・サピエンス・デニソワ
- ホモ・ネアンデルターレンシス
- ホモ・フローレシエンシス
画像出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Homo_lineage_2017update.svg
図の縦軸の数字の単位は、1.0 = 100万年です。
進化の隣人 チンパンジー
ニホンザルもチンパンジーも含めて「サル」と一括されることがありますが、実はそれは非常に乱暴な区分で、ニホンザルとチンパンジーでは大きな差があります。逆に、人とチンパンジーでは遺伝子レベルで98.4%程度一致していて、わずかな差しかありません。
遺伝子レベルの差異と、表現型の差異とはまったく別です。表現型は人間の視覚がとらえた差異にすぎません。逆に、形はほぼ同じなのに、遺伝的には全く異なる生物もいます。
- 大型動物であり「移動生活」が基本(人類は1万年前ごろから定住)
- 手に何かを持った場合は2足歩行する。
- 凶暴である(ヒトも凶暴だが、何に対して怒りを抱くかは異なる)
- 鏡による自己確認や写真の認知が可能
- 道具を使う(ただし、2次製作はしない)
- 音声コミュニケーションは行うが、ヒトの言語のような2重分節(音素の組み合わせで無限の表現)にはなっていない
- 高度なシンボル操作は行わない
- チンパンジーは、死体を埋葬する(墓づくり)のようなことはしません。
- 指差し、つまり記号が指し示すものを理解するのは難しいようです。
- 目的を達成する方法を直接的に学習する(人は目的達成のための「手続き」や「形式」を学びます)。
付記:チンパンジーは家畜(domestic animals)にはなりませんでした。
進化の友人 イヌ
イヌは 5万年前〜1万5千年前に東南アジアの高原でオオカミと分岐してヒトとの共同生活(自己家畜化 Self Domestication)をはじめたと言われています。
- オオカミは遠吠えしかしないが、犬はワンワン吠えて人と関わる
- 異種間コミュニケーションが人間の言語(犬の吠え)の発達に寄与?
- イヌはオオカミにはないデンプン分解酵素をもつ
- イヌは協力する社会をつくりる。またその協力関係は、種をこえて、ヒトとイヌの間にも成立する
- イヌは指差しや、アイコンタクトを理解する
ヒトとイヌに共通しているのは「白目」があること、すなわち「私が何を見ているか」をオープンにして「協力する」戦略をとっているということで、その協力関係は種を超えて成立しています。 ヒトとイヌは同じ環境に暮らすことによって、双方が「言語」を収斂進化させたのではないか?と勝手に思っています。
他の動物とは異なる生存戦略
人類は個体レベルの恒常性(ホメオスタシス)で環境に適応することから、個体を取り巻く環境を調整することへと生存戦略を逆転させました。服を着る、ストーブを焚いて室温を上げる。特定の場所に定住し、周囲のものを作りかえていく(デザインする)。つまり、内部と外部を隔てる「膜」の位置を「個体表面」から「衣服」>「住居」>「都市」>「社会」へと拡大していったのです。結果として、個体として他の生物のように自然界に適応する能力は退化しています。
この逆ホメオスタシス現象こそ<過剰なる文化>がもつ両刃の剣であった。 外界の対象を迂回させることは、自らが迂回する能力の退化を並行する、 外なる自然の征服は内なる自然の破綻を呼ぶ。 文化は本能が退化したためにこれを補填すべく作り出されたものではなく、 その逆に、人間は文化をもったが故に、本能の歯車を狂わせたのである
丸山圭三郎, 生命と過剰,1987
言語と共同幻想
人間はロゴス(言語)によって世界を認識し、その中に「私(セルフイメージ)」という幻想を持って生きていますが、言語を用いない他の生物はピュシス(そのままの自然)の中に生きています。
人間はロゴスの成果としての科学技術によってピュシスをコントロールしようとしていますが、それは人間の思い上がりではないでしょうか。科学技術もデザインも、ピュシスの豊かさを存続させるために活用されるべきだと思います。
自然から学ぶ
デジタル化された情報(テクスト、画像など)は有限の情報量しか持ち得ませんが、自然界には情報化(言語化)されていない「レアなモノ」があります。例えば、樹木1本をとっても、教科書から得られる以上の無限の情報量があります。
多くのアイデアは、既存のモノ・コトの編集によって生み出されますが、それ以前の「発見」は、未だ言語化されていない自然界から見出されるものです。
書籍紹介
- 篠田謙一, 人類の起源
- 島 泰三, ヒト―異端のサルの1億年
- ジャレド・ダイアモンド, 第3のチンパンジー
- ユヴァル・ノア・ハラリ, サピエンス全史
- 福岡伸一, 生物と無生物のあいだ
- 西田正規, 人類史の中の定住革命
- NHKスペシャル取材班, ヒューマン ー なぜヒトは人間になれたのか
情報について考える
言葉・文字・貨幣・インターネット。人類の生存戦略は、モノを「複製可能な情報」に変換して「遠隔・非同期で共有する」ことにあった・・と私は考えています。ヒト・モノの集中と移動を抑制するとともに、「情報」を「媒体(モノ)」から解放して、遠隔・非同期・オープンな共有を可能にすることが必要です。
情報(information)とは
- information n, inform v
1.教育する、訓練する 2.形づくる、生み出す 3.知識を授ける、教える
4. …の特徴を与える;魂を吹き込む 5. 人に…を知らせる
- 数学者 N.ウイナー(Norbert Wiener)によれば・・
物質・エネルギーが存在する様態、すなわち、 時間的・空間的、定性的・定量的なパターンが「情報」である
情報媒体
情報には、それを運ぶメディア(情報媒体)が必要です。このメディアタイプの違いによって、情報デザインのフィールドは以下のように分類できます。
- 人と人とのコミュニケーションの「場」(日常会話、会議、講義・・・)
- 都市環境(道路標識、屋外サイン・・・)
- 建築空間(フロアマップ、屋内サイン・・・)
- 工業製品のインターフェイス(ボタン、液晶表示・・・)
- 紙媒体(ポスター、広告、雑誌、書籍、地図・・・)
- 電子媒体(Web、映像、ゲーム・・・)
情報の空間性・時間性
- 情報の時間性
我々が「情報」をどのように扱っているか、また遺伝「情報」はどのようにふるまっているかをみれば明らかですが、情報は複製・伝達・蓄積・共有されることで、はじめて意味をもつ存在です。
- 情報の空間性
例えば、「赤」は単体では意味をもちませんが、「青」と組み合わされて「交差点」という文脈に位置付けられると「止まれ」という意味を担う情報になります。他との「関係」が重要なのです。
アナログとデジタル
情報にはデジタル(数値・離散的)とアナログ(類似・連続的)がある
- デジタルは情報と媒体が独立している(USB、ネットワークドライブ・・)
- アナログは情報と媒体が一体となっている(フィルム、アナログレコード)
ハードウエアとソフトウエア
モノ(ハードウエア)のデザイン と 情報(ソフトウエア)のデザイン を比較することで、情報デザインの様々な可能性が見えてきます。
- 情報デザインには、資源(材料)・エネルギーがほとんど必要ない
- 情報はどこへでも自由に、また瞬時に移動できる
- 情報は劣化することなく、いくらでも複製できる
- 情報は時間とともに洗練され、安定する
- 情報デザインの仕事はゴミ(廃棄物)を出さない
- 情報の授受に消毒は必要ない(コンピュータウイルスの「消毒」は必要)
情報は多くの場合「生産完成品」ではなありません。
- 工場で生産される「製品」の大半は「生産完成品」
- 文学・映像・音楽・・いずれも「受け手」の状態(読み方)が関与します
ミニレポート課題
- 学科サイト の IdeaNote のページを利用して下さい。
- 以下のパターン(グレー部分)をコピー、各自の IdeaNote のページにペーストして、あなた自身の考えを語って下さい。
**ソーシャルデザイン概論|2022.05.18 私が考える「ソーシャルデザイン」とは・・ ◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ ◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯ ◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯ ◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ ソーシャルデザインの事例 -◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ -◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯ -◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ ~ ~
注)IdeaNote のページでは最新記事がページの先頭になるようにして下さい。
事務連絡
本科目は6名の教員によるオムニバス授業で、井上貢一担当は今回が最後です。次回からは井上友子教授です。遠隔授業のスタイルは個々の教員ごとに異なりますので、連絡通知の確認を忘れないようお願いします。
尚、井上貢一担当分の評価は、学科サイトへの書き込みをもって行いますので、書き込み忘れがないか再確認して下さい。評価は前期末に行いますので、前期中、随時追記して構いません。