卒業研究 I , II
情報デザイン専攻| 金曜3・4限 遠隔 + 17603・17801・DL503
研究室の概要
当研究室では、Web・CG・映像などデジタル媒体による情報のデザインを主なテーマとして取り組んでいます。
Webに代表されるデジタル媒体には従来のメディアにはないデザインの可能性があふれています。情報デザインにできることは何か。身近にある「情報」を「編集」あるいは「再編集」することで、世の中をもっと面白くすることはできないか。一緒に考えてくれる学生さんを求めています。
ヒト・モノ・コト。今、私たちをとりまく環境には、問題が山積しています。それらの大半は、エネルギー資源や、生活環境に関わる問題で、情報デザインというよりは、プロダクトデザイン、あるいは空間デザインの問題であると考えられがちですが、例えば、大量のエネルギーを使うモノの移動を、情報の移動に置き換える提案をしたり、様々な生活のアイデアを視覚的な情報として配信したり、これまでハードウエアで解決していた問題を、ソフトウエアのレベルで解決する提案を行うことも可能です。資源・エネルギーを使ってモノを作るのではなく、それを情報デザインの問題として考える。そこには大きな可能性があると考えています。
とりあえず、確実に言うことができるこの仕事のメリット・・・
「電子媒体による情報のデザイン」は、一切ゴミを出しません。
当研究室は今年で18期目。
卒業生は、Web制作、映像制作、ゲーム制作、グラフィックデザインなど、
地元福岡を中心に活躍しています。
企業に就職してデザインに携わる人、フリーで創作活動をする人、
大学のスタッフとして後輩の指導にあたる人、
スタイルは様々ですが、皆、デザインを学んだ人間としての
良い意味でのプライドを持ってがんばっています。
この世の中で「大学でデザインを学んだ」といえる人はごく少数です。
卒業後の進路がどのようなかたちであれ、
デザイナーとしての責任の重さをしっかりと受け止め、
プライドを持って研究に励んでください。
研究室のポリシー
当研究室に集まってくれる学生さんたちは、
デザインに関する以下のポリシーを共有しています。
- サスティナブル
常に将来を見据えた持続可能(サスティナブル)な取り組みをします。 - 編集可能な仕組みの提案
生産完成品ではなく「生産性」のある「仕組み」を提案します。 - オープン
オープンなツールによるオープンな活動を心がけます。 - モノを動かさない・情報を動かす
大量のエネルギーを要する「モノの移動」を「情報の移動」に置き換えます。 - ワンソース・マルチユース
一つの情報資源を複数のチャネルを使って効率よく発信します。
これらはいずれも、資源やエネルギーを浪費しない、持続可能な社会の実現に向けたデザイン提案を行うことを前提としています。ビジュアルデザインにも地球環境への配慮が必要です。資源・エネルギーの無駄使いにつながる企画や、持続可能性のない(サスティナブルではない)提案は応援できません。逆に、既存の事物の編集・転用・変形によって資源を有効活用する提案等は歓迎です。
研究テーマについて
以下のようなものが考えられます。テーマ検討の参考にして下さい。
- 地域を活性化する情報共有システムの構築
- 地域住民全員が編集に参加できるWikiシステムの提案など
- 情報のアーカイブ(Web博物館)
- 移り変わる時代の中で消えゆくモノ・コトを動画や音声で記録
- 失って初めて気づく身近で忘れがちなモノ・コトの重要性を再認識
- デジタルコンテンツの活用基盤の構築
- 暮らしに役立つ様々な情報(DIY、料理)を共有・提供するHowToサイト
- 様々なデータ素材(画像、音声等)を共有・提供するサイト
- デジタルデバイスの「変化球」的な使い方や表現手法の提案
- Webブラウザ上で実現できる実験的な視覚表現の研究
- PCやスマホに付属するWebカメラを活用した実験的なコンテンツの開発
- スマートフォンの位置情報を活用した実験的なコンテンツの開発
- ヒトの行動・発言が発信する情報を活用したサービスの開発
- モノ(センサー)が発する情報を活用したサービスの開発
研究・制作・展示について
何を提案すべきか・・・
デザインの成果は、空間・モノ・情報の「秩序」となって現れます。
秩序をつくるにはふたつ方法がある。 ひとつはエネルギーを使う方法、もうひとつは人を訓練する方法。 養老孟子 | 2008
資源のないこの国で大切にされてきたのは後者、すなわち「人を訓練する」ということです。だから例えば、「・・・の作り方」、「・・・の上手な活用法」などを視覚的に美しく映像化し、それを広く配信する・・といったことは、この国に本来の豊かさ取り戻すための立派な提案になり得ます。
モノを提供するのではなく、作り方や使い方といった情報を提供る・・・
モノを作るのではなく、モノ作りの夢を伝える・・・
それもデザイナーの役割であると考えます。
研究を進めるにあたって
ごく普通に5W2Hで考えて計画してみて下さい。
5W2H | 作品に関して | 制作に関して | |
When | 時間情報 | 作品の時間尺 | 制作スケジュール |
Where | 空間情報 | 作品の空間サイズ | 制作場所・制作環境 |
Who | 主体 | 個人orチーム | 協力者等 |
What | これは何? | 取り組み内容を明確に | |
Why | それはなぜ? | 目的を明確に | |
How | どのように? | 作品のインターフェース | 制作方法 |
How much | いくら? | 必要経費 |
作品展示についての留意事項
Webサイトやゲームその他のインタラクティブな作品の展示では、PC等の機材の確保、ネットワーク環境の構築、また、展示期間中のドラブル対処法を記載した簡易マニュアルなど、それなりの準備が必要です。また、来場者がみなPC等を操作してくれるとは限りません。展示を見ているだけでも、内容が伝わるよう、説明パネルやデモ動画も準備する必要があります。
- 全般的留意事項
- PC等の展示機材の準備(自分で準備するのが原則です)
- PC等の設置台及びマウスパッドなどの準備
- 電源、ネットワーク環境の確認(展示する場所の下見が必要です)
- 展示期間中のPC等の扱いについての準備
展示期間中、会場に常駐するのが理想ですが、現実的には無理なので…
・機材の起動から作品の表示までの手順書を作って
「会場当番の方へ」などとして、事前に伝えておくこと
・PC等のスリープ解除、スクリーンセーバーの解除
- Webサイトを制作する方
- サイトマップ等を明記した展示甩説明パネルの制作が必要です。
- Webサイトの各ページをひと通り巡回する動画が必要です。
(PC等の操作はそのまま動画としてキャプチャできます。)
- ゲーム等のインタラクティブな作品を制作する方
- ゲームの形式、内容、操作方法等を説明したパネルの制作が必要です。
- 作品展示においてデモモードあるいは、デモ動画が必要です。
論文について
「論文」というのは、皆さんが思っているほど難しいものではありません。
また、その量も・・・・たった2ページでも、要件が整っていれば立派な論文になります。
おおよそ、以下のような流れで書きます(太字は特に重要)。
1) 表題(Title)
通常2~30文字で簡潔に記載します。必要に応じて副題(Subtitle)を添えます。
2) 要約(Abstract)
論文の内容全体をまとめたもの(論文の紹介などに利用されます)
3) 序/目的と背景(Introduction)
何を問題にするのか、何を解決したいのか、動機・目的を明確にするとともに、「ああすればこうなる」、「ああであればこうである」といった「仮説」を述べます。また「先行研究(これに関連してすでに知られていること)」についてもふれます。
4) 方法(Materials and Methods)
実験や調査の方法など、第三者が再検証できるように詳細に記述します。
5) 結果(Results)
実験や調査の結果、明らかになった事実を記載します。主観的な感想は含まれてはいけません。
6) 考察(Discussion)
結果をもとに、当初の「仮説」を検証します。ここには主観的な考えが含まれて構いません。
7) まとめ(Conclusion)
考察の結果として結論を書きます。
8) 謝辞(Acknowledgements)
実験に協力してくれた方、アドバイスをくれた方、また研究資金を提供してくれた方などへのお礼を書きます。
9) 引用文献(References)
本文中でふれた文献等について、著者、書名(雑誌名)、発行所、発行年、(記載箇所)を明記します。項目の順番は、学会等のルールに従います。
実際には、投稿する学会等によって、ルールや慣習がありますので、
それに即して整えることになります。
論文は、自分のために書くのではなく、読者のために書くものです。読者がこれを読んで「面白い」と感じることはとても重要で、また、疑問をもった読者が、自身で「検証」することができるよう、どんな方法で実験をしたのかについては、きちんと明記する必要があります。常に第三者の視点で読み返し、「正しく伝わる」文章になるよう心がけて下さい。
論文の書き方の参考に:日本心理学会 執筆投稿の手引き
その他
ポートフォリオについて
- 概要:こちらの記事をご一読下さい
- レイアウト:はじめにグリッドフォーマットを決めます
- Web上の資料:以下のキーワードで多数のサイトがヒットします。
ただ、ユーザー登録してログインしないと中の画像が閲覧できないケースもあるので、はじめから画像検索を行って、画像を見ることができるサイトを見つける・・・という手順の方が能率的かもしれません。