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情報デザイン論/2022/0629

第11回 写真

情報デザイン論/20222022.06.29

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はじめに




写真略史

カメラの歴史の第1段階は、ギリシャ時代から用いられていたといわれる「針穴をあけた暗い部屋」、いわゆるカメラ・オブスキュラです。
Camera obscura

暗い部屋の一方の壁に小さな穴を開けると、外の風景が穴の反対側の壁にさかさまに写し出される(倒立像ができる)という現象は、おそらくそのずっと以前から偶然的に知られていたと思われます。

中世の画家(例えばダヴィンチ)も風景絵画の補助手段としてその原理を利用しており、17世紀には、イタリアのボルタらが携帯用暗箱を用い、レンズとすりガラスによる暗箱が、18Cから画家の間に普及していたといわれます。

針穴のかわりに凸レンズをつけると集光面積が大きくなり、出来上がる倒立像 も明るくなります。像のできる面をすり硝子にしてトレースすれば風景画ができることから、レンズとすり硝子をもつカメラ・オブスキュラは18世紀ごろから 画家のあいだに普及するようになりました。これがカメラの歴史の第2段階です。

歴史の第3段階は、像を自動的に定着させる写真術の発明で幕をあけます。ニエプスのヘリオグラフィー(1824年)、タルボットのネガポジ法 (1835年)、そしてダゲールによるダゲレオタイプ(1839年)。特にネガからポジが複製できるというタルボットのアイデアは、画像の「複製」・「大量生産」を可能にしました。
タルボットによる世界初の写真集 自然の鉛筆(1844)

これらの発明によって多くの肖像画家や風景画家が転職を余儀なくされるほど、それは画期的な出来事でした。そして、後のイーストマン・コダック社のロールフィルム(1888)によって、35㎜スチールカメラの原型が完成します。

1981年 SONYが、アナログの電磁気的記録を行うの電子スチルビデオカメラ「マビカ」を製品化。

1988年 富士写真フイルムが、画像をデジタル方式で記録する初めての一般向けカメラ「FUJIX DS-1P」を発表(発売はされず)

1995年 カシオ計算機が、デジタルカメラ「QV-10」を発売。当時は 320x240 というサイズでしたが、以後、画素数は段階的に増え続け、デジタルカメラの普及がはじまりました。2002年 にはフィルムカメラとデジタルカメラの出荷台数が逆転し、フィルムらデジタルへと市場が置き換わりました。

2007年 の iPhone 発売以降、高性能カメラを搭載したスマートフォンの普及によって、デジタルカメラ販売台数は 2010年をピークに減少へ転じています。

ちなみに、2021年現在、世界シェアは Canon , SONY, Nikon , Fuji , Panasonic が95%を占めています。

Wikipedia:写真史



写真の技術

カメラの構造は、一般に外界側から順にレンズ・絞り・シャッター・記録面となっており、記録面にはCCD、CMOS、有機薄膜撮像素子 などの撮像素子(イメージセンサー)が置かれます。フィルムカメラの場合の記録面は、35㎜・中判(6×6・6×9㎝)・大判(4×5・8×10インチ)など、様々なサイズがあります。

参考:GoogleImage:カメラ 構造


レンズ

カメラという機械にとって最も重要な光学系を構成するのがレンズです。レンズの材質は光学硝子という良質の硝子ですが、一般的にはクラウンガラス(K)、それに鉛を加えて屈折率を上げたフリントガラス(F)の二つになります。光学硝子は当然無色透明で均質であり、光の透過に関して等方であること、またレンズの設計に必要な光学常数、すなわち精巧な屈折率と分散率をもつことが要求されます。実際には、一枚の凸レンズだけでは光の波長による屈折率の差、いわゆる色収差が避けられないため、複数のレンズを群に構成して単体のレンズに見立てています。

レンズには Fナンバーという数値があり、それらもレンズの性能に関係します。略説すると、Fナンバーは「焦点距離/レンズの有効径」を表わす値(暗さの尺度と言えます)で、レンズの口径が大きくなり Fナンバーが小さくなるほど「明るいレンズ」ということになります。レンズは口径の大きなものほど分散・収差が大きくなりその分良質のレンズの製造が難しいため、Fナンバーが小さいほど、高額なものになります(カメラ本体よりも高くなります)。

視覚にトップダウンが関与する人間の目に対して、機械の目であるカメラの特徴は世界をボトムアップのみでとらえることにあります。世界を細部まであざやかに写取ることのできるレンズはそれだけで価値があります。

記録システム




撮影パラメータ


写真撮影には3つのパラメータがあります。
ー 画角・シャッター速度・絞り ー


焦点距離と画角

焦点距離はレンズの主点(後ろ側主点)から焦点面(記録面)までの距離のことですが、カメラの機能の問題として焦点距離が重要なのは、この値が画角(具体的には主点から画面の対角線の両端とを結ぶ線のなす角)に直接関わるという点です。フィルム撮影を例にとると、例えば 35㎜フィルムの場合は、サイズ 36×24㎜で対角線 43.2㎜ですから、焦点距離 50㎜で画角 46度となります。

焦点距離が短くなれば画角は大きく(ワイドに)なり、長くなれば画角は狭く(望遠に)なります。人間の眼に自然に見える角度がほぼ50度であることから50㎜のレンズは標準レンズ、28㎜ や 35㎜は広角レンズ、じっと見つめる画角にあたる 85㎜ はポートレートレンズ、135㎜や200㎜などは望遠レンズと呼ばれます。この値が固定的なレンズを単焦点レンズ、この値を一定の範囲で変えられるものをズームレンズといいます。

ただし、焦点距離 XX㎜と記載されていても、記録面(CCDやフィルム)のサイズが変われば画角も変わるという点には注意が必要であす。例えば 6×6 ㎝ のフィルムでは焦点距離 80㎜ が標準画角となるし、35㎜よりサイズの小さい CCDを用いるデジタルカメラでは焦点距離が非常に短くても標準画角となる場合があります。様々なサイズの CCDを使用するデジタルカメラのカタログでは、物理的な焦点距離の記載が画角を説明するものとはならないため、従来のカメラの感覚で理解できるよう「35㎜カメラ換算で50㎜」などと記載されています。

シャッタースピード

シャッターは、世界をとらえる「一瞬」というものにどの程度の時間を与えるかを決める機構であり、その選択可能性が大きなものほどカメラとしての機能は優れているといえます。一般的なスチールカメラでは4秒から1/4000秒までの間を1/2倍間隔で選択できるようになっていて、これは絞りの1段に対応してフィルムにあたる光の量を1/2ずつ調整する目的をもちます。「動くものを止めて写すか、動きを軌跡として写すか」といった、人間の目では直接見ることのできない視覚世界の表現に関わるものであり、写真に特有のものです。

絞り

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絞りはレンズの使用面積つまり明るさを調節する単純な機構です。絞り機構はレンズ群の中間にあって、複数枚の金属羽根で構成されています。レンズ鏡胴の絞りリングで開閉を調節しますが、リング上の目盛はレンズの解放F値から順に公比 √2 の等比数列で並んでいます。すなわち目盛を1段増やすごとに有効径が、1 / √2ずつ小さくなる(採光面積が半分になる)ことを意味します。これは主としてフィルムにあたる光の量を適正に調節するためのものですが、これは人間の目の虹彩と同様、絞れば被写界深度が深くなり前後のピントも合いやすくなるという映像表現上の効果の大きな機構です。

照明について

写しているのはモノではなく、光です。
光をいかにコントロールするかによって、写真の質は大きく左右されます。

正面からのストロボ(フラッシュ)は極力避けましょう。 光は大きな面からあてればより自然になります。例えば、ストロボの光は「点」ですが、傘(放物面:パラボラ)の焦点に置いて反射させれば、大きな面積の平行光線になります。スタジオに傘があるのはそのためです。

逆光はダメというのは、逆光補正を知らない素人さんの場合の話です。 逆光を使えば、影が前にできる、モデルの髪が輝く(エッジが浮き立つ)、モデルがまぶしくない、など多くのメリットがあります。順光の場合、モデルがまぶしくて目を細めてしまうことがあります。また瞳孔も小さくなってしまいます。
自分のカメラの露出補正の仕方は是非確認しておいましょう。




写真というメディアについて

人の視覚には、様々なトップダウンが関与していて、見た瞬間に刺激は言語化されて効率的に視覚世界が把握されています。言葉が増えるにつれて(大人になるにつれて)人は、モノをよく見なくなるのです。一方、カメラの視覚は純粋なボトムアップでそこにあるものを正確に記録します。見ることを疎かにしはじめた人間にとって、写真がつきつけてくる「生」の視覚像は、世界が驚きに満ちたモノであることを再認識させてくれる存在と言えるかもしれません。

人はこれまでに、遠くを見る(望遠鏡:1609)・微小なものを見る(顕微鏡)・「一瞬」を凍結する(写真:1839)・「動き」を記録する(映画:1895)・遠くの出来事を実時間で見る(テレビ:1936)・疑似的な空間に介入する(ゲーム・VR・AR)など、視覚とその周辺領域がかかえていた多くの限界を「メディア」によって拡張してきました。その分だけ視覚はセンサとしての負荷を減らし、その機能を組み換え(例えば、活字世代の線的眼球制御から、漫画・テレビ世代の面的眼球制御へ)、部分的にはその能力を退化させた(例えば、視力)のです。そして今、「人」はその得意領域である「知覚・認識」をも「機械」に委ねようとしています。メディア環境が変化する中で、「視る」とはどういうことか・・常に問い続けることが必要です。

いくつかの覚書


書籍紹介







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Last-modified: 2022-06-29 (水) 10:26:56