芸術学部 教育ガイダンス 2025
はじめに
芸術学部新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。
芸術学部の5学科
Artist の感性によって問題を見出し、Designer の提案力で未来を創造する。
芸術学部の英語名は、Faculty of Art & Design です。
- 芸術表現学科 AA Fine Arts and Media Sciences
- 美術専攻 Painting and Sculpture Cource
- メディア芸術専攻 Media Arts and Sciences Cource
- 写真・映像メディア学科 AP Photography and Imaging Arts-
- 写真専攻 Photography Cource
- 映像メディア専攻 Imaging Arts Cource
- ビジュアルデザイン学科 AD Visual Design
- グラフィックデザイン専攻] Graphic Design Cource
- イラストレーションデザイン専攻 Illustration and Design Cource
- 生活環境デザイン学科 AE Living Environment Design
- 生産造形専攻 Product and Craft Design Course
- 空間演出デザイン専攻 Display,Interior and Fashion Design Cource
- ソーシャルデザイン学科 AS Social Design 40名
- 情報デザイン専攻 Information Design Cource
- 企画デザイン専攻 Project Design Course
大学での学び
学問の場
大学とは学問の場であり、その究極の関心ごとは「人間とは何か」を問うことです。あらゆる分野の学問がその研究対象を通して迫ろうとしているのは、人間( Homo Sapiens)であると言っても過言ではありません。
研究の場
大学は教育機関であると同時に研究機関です。学生と教員との関係は「教える人・教わる人」ではなく「共同研究者」であるという認識の方が健全です。「勉める・強いられる」ではなく、Study をする場であると考えて下さい。
Question & Answer から Problem & Solution へ
Question と Problem。ともに日本語では「問題」です。問題を解くことに専念してきた多くの日本人は「問題は与えられるものである」という感覚に慣れてしまって「問題」そのものを疑うことをしないようですが、大学生が精力を注ぐべきは、検索で答えが出るような Question ではありません。人と社会が抱える Problem を見出し、これに対する Solution を提案することです。
社会の常識(大人の話)を疑ってください
20世紀は工業の時代でした。現代社会はその時代に適応した人間たちがマジョリティ(多数派)を形成しているといっても過言ではありません。大人たちの大半は、産業革命以後の社会の原理に洗脳されています。現代社会の「常識」は彼らの思考の産物と言えますが、それは現在の状況をふまえると、大きくズレていると言わざるを得ません。
人材 成長 目標 評価 消費者 ・・・
これらは一見すると何の問題もない言葉のように見えます。しかし、人間は社会のための「材料」でしょうか。「成長」はどこに向かっているのでしょうか。「評価」はすべての人を幸せにしますか・・。
また、私たちは「消費者」ですか。人を生産者と消費者に分断して、日常生活を消費者として過ごす・・。この言葉の存在は、人間から「自分で作る楽しみ」を奪っています。現代人は何かを消費するために駆り立てられている・・そのことに気づいている人は少数です。
言葉というものは「存在を喚起する」と同時に我々を洗脳します*1。大人の話を鵜呑みにすることなく、普段何気なく使っている言葉を疑うことからはじめてみてください。
自分の視点を1段階上に引き上げて、自分が置かれた場所を俯瞰で見る(相対化する)。このとき人は1段階「成熟」します。成長は量的な変化でいつか衰える運命にありますが、成熟は質的な変化で、それは生涯有効なものとなります。
付記
明治以降の学校教科書で「油断大敵」「勤勉」を教える教材として使われてきたイソップ童話の「ウサギとカメ」の話に疑問を呈します。
ある日ウサギとカメが山の麓までかけっこの勝負をすることになった。 予想通りウサギはどんどん先へ行き、とうとうカメが見えなくなった。 ウサギは少しカメを待とうと余裕綽々で居眠りを始めた。 その間にカメは着実に進み、ウサギが目を覚ましたとき見たものは、 山の麓のゴールで大喜びをするカメの姿であった。
- なぜ、かけっこ(競争)をする必要があるのか。
- なぜ、ゴールが山の麓(陸上)なのか。
-
ウサギは山の幸を、カメは海の幸を、ともにそれぞれの特性を活かして助け合いましょう。多様性を前提としたバンド(絆社会)とはそういうものです。
芸術学部の学び
芸術は人類の起源とともに
文字、数式、そして科学技術・・そのいずれも、芸術に比べるとその歴史は浅く、現代社会の常識も大半は産業革命以後のもの。たかだか250年の歴史です。
一方、芸術は Homo Sapiens の誕生とともにあります。言葉、音楽、絵画、建築・・。芸術は、人類が文明に手を染める以前から我々と共にあって、社会の成熟に寄与してきました。その意味では「人間とは何か」を考える重要なヒントが「芸術」にあるといっても過言ではありません。
AI+ロボットの時代だからこそ・・
自動運転、翻訳、医療診断、記事の執筆、作曲、作画・・。知識や技術を学んで対応するだけであれば、人間よりもAI・ロボットの方が優秀・・というのが現在の状況です。人間とAIの違いはどこにあるのか、それを見極めて「棲み分ける」という発想が必要です。
学士(芸術)
大学では「卒業式」とは言わず「学位授与式」と言います。皆さんは芸術学部に所属しますので、卒業時には「学士(芸術)」が与えられます。全国に 800校近くある大学の中で、芸術学部は希少な存在です。つまり「学士(芸術)」も貴重な存在となります。良い意味でのプライドを持ってがんばって下さい。
