INFORMATION DESIGN for a sustainable future
人と社会を元気にする「情報デザイン」の力
九州産業大学 芸術学部
ソーシャルデザイン学科 教授
井 上 貢 一
日本デザイン学会 理事 / 芸術工学会 理事
ソーシャルデザイン学科 教授
井 上 貢 一
日本デザイン学会 理事 / 芸術工学会 理事
はじめに
- 求められているのは、IT系のスキル、デザイン思考
- AI+ロボット の現状について IBMワトソン BostonDynamics
- 汎用AIが登場すれば、現在ある仕事の大半は、AI+ロボットが担う
作画、作曲、小説など、「ヒットしそうな作品」の「創造」も可能
ロボットによる「癒し」も可能(AIBOに癒される人は多い)
AIは基本的に「過去」のデータから相関の高いものを見出している
- 人間にしかできないこと・・
体性感覚・感情等の「共感」が必要なこと
自らの「動機」に基づいて考え・行動すること
情報デザインの世界
情報×デザイン
- 情報 information / intelligence
事物・出来事などの内容・様子、知らせ、資料、知識、指令、信号・・・
- デザイン design
設計、計画、立案、企て、予定、図案・・・
- 情報デザイン inforamtion design
情報を正しく、わかりやすく、また美しく伝えるために行う様々な配慮
何かを「情報化する」ということも広義の情報デザインの重要な一面です。
例えば「時計」は、人間の五感が捉えることのできない「時」を「時刻という数的情報」に「情報化」した道具です。
情報デザインとは、ものと人、人と人との新しい関係を作ることだ。 本棚の整理から手帳、地図、時計、そして地域社会の活性化、… あらゆるものが、「情報デザイン」の対象である。
渡辺保史「情報デザイン入門」
情報×デザインのフィールド
- 視覚情報のデザイン
Graphic Design Infographics Movie Web Design Web Application
- 聴覚情報のデザイン
Sound Design InfoSound Alert Wind Bell
- モノにおける情報のデザイン
User Interface Design Device Interface
- 空間に関わる情報のデザイン
Sign Design PublicDesign Map
情報×デザイン系の進路
- デザイン業界(デザイナー、ディレクター、プロデューサー)
広告・グラフィック、出版、CG・映像・・
- インターネット業界・Web業界(コーダー、デザイナー、ディレクター)
Webサイト制作、Webアプリケーション開発、ネットワーク構築、インターネット広告、ポータルサイト、SNS、ショッピングサイト
- 情報処理サービス業界(システムインテグレータ、ITコンサル、サービス)
- ソフトウェア業界(PG、SE、ネットワークエンジニア)
- ハードウェア業界(組み込みシステムエンジニア)
- 一般企業・NPO法人・文化施設・教育機関等における企画・総合職
- + 今はまだ存在していない新しい職業
IT系のデザイナーが考えるべきこと
情報デザインの基本
- 必要な情報を必要な時と場所で提供する(共有する)こと
災害時、危機的な状況において、最も必要とされるのが「情報」です。
どんな形であれ、とにかく必要な情報を出すということが最も重要です。
- それが「わかりやすい」こと
わかりにくい情報は、「混乱」や「混雑」の元凶となります。
情報をわかりやすくデザインすると、それは自然に美しくまとまります。
- それが「面白い」こと・「美しい」こと
それは人と社会を活気づけるとともに、情報環境を快適にします。
モノ(hard)ではなく、情報(soft)で解決する
- モノを動かさない → 情報を動かす 実体渡し → アドレス渡し
- 防波堤はつくらない → 避難マップを作る・津波情報をWebで共有する
- パッケージはつくらない → 風呂敷の使い方を動画で紹介する
- 大きな看板はつくらない → プロジェクタで投影する ...などなど
オープンであること
- 今、インターネットを支えている技術の大半はオープンソースです
LinuxOS / AndroidOS / Apache / MySQL ・・・・GIMP / InkScape / Blender・・
- 人間は内面をオープンにするという戦略によって繁栄した生物です
- すばらしいアイデアはみんなで共有する・・という発想の方が健全です
情報デザインが素敵な理由
- 創造したものが半永久的に再利用できる(プログラムライブラリー)
- 改良を続けることで確実により良いものへと成熟する
- 資源とエネルギーを浪費しない(材料不要、ゴミも出しません)
学問としての芸術 / なぜ大学で学ぶのか
芸術は総合的な学問
- 「芸術」は Liberal Arts の訳。それは自由な学びを意味する言葉です。
- 人に文系も理系もない(理系特化政策は産業革命以後)
- 芸術学部は誰でも受験できる学部です。
- センス、絵の才能、デッサンの経験・・それらは必須ではありません。
大学における学び
- 教科書はない / 見解も様々 / 自ら調べ・考える / 答えはひとつではない
- 学生と教員は「研究室」をもつ共同研究者
- 卒業式ではなく「学位授与式」 学士 / 修士 / 博士
- すべての学問の究極は「人間とは何か、どうあるべきか」を考えること
- 与えられた仕事をこなすだけならAI+ロボットが担います。
自らの思いで、自分の手で、ほしい未来をつくりましょう。
ソーシャルデザイン学科 情報デザイン専攻
芸術的感性と情報技術(IT)で「面白い!」をデザインする。
九州産業大学 芸術学部|Faculty of Art & Design