地質時代
Geologic time scale; Geological age
地球が誕生した約46億年前から現在まで、地質学的なスケールの大きな時代区分を地質時代(地質年代)と言います。それは一般に、生物の大量絶滅などによる地表の様相の大きな変化を境に区分されています。
ちなみに、文字による記録のある時代を有史時代(歴史時代)、文字による記録のない時代を先史時代と呼びます。
先カンブリア時代
地球誕生から 5億4100万年前まで
- 冥王代:地球誕生から40億年前(生命の誕生まで)
- 太古代:40億年前〜25億年前(原核生物から真核単細胞生物の出現まで)
- 原生代:25億年前〜5億4千万年前(真核単細胞生物から多細胞生物まで)
注1)冥王代、太古代、原生代、顕生代という4区分もあり、その区分では最後の顕生代は、先カンブリア時代以後の古生代、中生代、新生代 をまとめた時代を意味する。
注2)全球凍結イベント:約22億年前、7億年前、6億年前の少なくとも3回
ゴンドワナ超大陸の分裂に関わるスーパープルームの上昇と大規模火山活動で、
原生代のエディアカラ生物群が大量絶滅
古生代
生物が多様化。魚類、両生類の進化と生物の陸上進出がみられます。
- カンブリア紀:5億4100万年前~4億8500万年前
- オルドビス紀:4億8500万年前~4億4400万年前
- シルル紀:4億4400万年前~4億1900万年前
- デボン紀:4億1900万年前~3億5900万年前
- 石炭紀:3億5900万年前~2億9900万年前
- ペルム紀:2億9900万年前~2億5200万年前
ペルム紀(Permian)と三畳紀(Triassic)の境界。
超大陸パンゲア直下に達したスーパープルームにより、大量のマグマが発生、
爆発的噴火による塵の影響で、地球全域が急激に寒冷化 > 大量絶滅
中生代
爬虫類の時代です。
- 三畳紀:2億5200万年前~2億100万年前
- ジュラ紀:2億100万年前~1億4500万年前
- 白亜紀:1億4500万年前~6500万年前
白亜紀(Cretaceous)と古第三紀(Paleogene)の境界。
現在のメキシコのユカタン半島に、直径10~15キロメートルの小惑星が
衝突して急激な環境変化 > 大量絶滅
以前は、古第三紀ではなく第三紀(Teriary)の頭文字をとって、
K-T境界 (Cretaceous-Tertiary boundary)と呼ばれていました。
新生代
鳥類・哺乳類が台頭する時代です。
- 古第三紀:6500万年前~2300万年前
- 新第三紀:2300万年前~258万年前
- 第四紀:258万年前~現在
人新世について
人新世(じんしんせい、ひとしんせい:Anthropocene)という表現は、、人類の活動が地球の地質・生態系に与えた影響に気づきを与えるべく、2000年にパウル・クルッツェンによって提案された地質時代区分です。農耕革命から、あるいは産業革命以後、いずれにしても、過去の地質時代区分に匹敵する痕跡を地球表面に遺すであろうことから名付けられました。
この言葉は、約1万1700年前に始まった現在の完新世(かんしんせい)に続く年代区分として学術用語としての設置が検討されていましたが、2024年、国際地質科学連合(IUGS)の下部組織「第四紀層序小委員会」においては、この提案は否決されました。人類が地球に大きな影響を与えたことを疑う科学者はほとんどいないが、この変化が「世」のレベルに相当するかは見解が割れ、地質学的にみて宣言が時期尚早・・と判断されたようです。
ボーリングコアについて
地層ボーリングコア
ボーリングコアとは、地質調査などの目的で地層を掘削して採取した円柱状の試料す。ボーリングコアに見られる各層の土を分析することで、過去の地球の大気や生物相がどのように変化してきたかを知ることができます。
氷床コア
南極やグリーンランドなど、様々な氷河や氷床から取り出された氷の試料のことで、古気候や古環境の研究に用いられます。氷床コアは数十万年にさかのぼる地球規模の気候変化の分析において重視されています。
堆積物の年縞(年に一枚ずつ縞状に堆積したもの)は、気温、海水量、蒸発量、化学物質や低層大気の成分、火山活動、太陽活動、海洋の生物生産量等、様々な気候に関する指標が含まれています。
クロフォード湖(カナダ)
“人新世”の基準地(国際地質科学連合作業部会 2023)と言われ、1950年代以降の地層変化を明瞭に見ることができます。
湖というよりは、池のような小さな面積のものですが、小さい割には深く、上部と下部の水がほとんど混ざらず無機物だけが非常にゆっくり落下するという特徴があります。
原住民の農業活動による富栄養化、ヨーロッパからの移民による大規模伐木と製材所の活動、1930年代北米大陸中部で発生した砂嵐(ダストボウル)、そして、1950年代を基点に急上昇したプルトニウム(当時の核実験による)など、人類の活動の痕跡を細かく見ることができます。
バイカル湖(ロシア南東部ブリヤート共和国、イルクーツク州)
バイカル湖は、インドプレートとユーラシアプレートの衝突で生じた亀裂に水が貯まってできた世界最古の地溝湖で、約3,000万年の歴史があります。地質学・生物学的に他に例の無い特徴を有しています。
琵琶湖(滋賀・日本)
琵琶湖の東岸で掘削された烏丸深層ボーリングコアは、約180万年間の琵琶湖の古環境変遷を、また、1986年に琵琶湖の沖島と安曇川デルタの中間付近で掘削された高島沖ボーリングコアは、深度約137m付近まで均質な泥層があり、その中に75の火山灰層が含まれています。
水月湖(福井・日本)
縄文時代の遺跡鳥浜貝塚の発掘調査の一環として、湖底のボーリング調査が行われ、年縞が発見されました。直接流れ込む河川がない、湖底に生物が生息していないなどの理由で、水月湖では湖底がかき乱されることがなく、美しい縞模様が形成されました。年縞は1年に1層形成。7万年分の気候の歴史が正確にわかります。水月湖の年縞は、約5万年前までの年代を特定する「世界標準のものさし」として採用されています。