二宮龍之輔
地域ブランド企画論
月曜日 3時間目
必修科目
Thema
自分を好きになってもらう
「告白」なんです。
14th
立川裕大さん
伝統技術ディレクター&プランナー
長崎出身 経済学部
1988 カッシーナジャパン入社 営業
その後 家具のセレクトショップの店長職に
イタリアに毎年行っていた
イタリアからの二つの授かり物
- 社会や文化を見据えて仕事をすること
美しいものを作るのは前提条件。付加価値としての社会への影響
Achille Castiglioni…安くて良いものをできるだけ美しく
ペンダントライトの事例。
机の上にある穴から人々を解放する
Enzo Mari…石の端材を使ったプロダクト
当時、石切場ではダイナマイトを用いており、常に危険を伴っていた。
そんな危険を許せなかったことから小さなものでも作れるように事業を作った。
消費経済の奴隷になるな - 日本人であることに自覚的になること
イタリアの家具を探究する前に、自分の足元にも素晴らしいものはたくさんある。
日本の素晴らしい伝統技術や文化を、伝統の力と現代の力でシンカさせる。
HUBを作ってそこから情報を体験しに行くように
ブランディングとは
語源は牛の焼印
他と全く区別されている状態
カテゴライズされていない
商品やサービスが過剰になまでに氾濫するマーケットにおいて不可欠
メリット
高付加価値
知名度向上
モチベ向上
就職優位
信用力向上
注目
ビジネスチャンス
目に見えにくい
高価だからブランドではない
ハーゲンダッツとうまい棒
日本流ブランディング
目的 = 持続的成長
急激なものは得意としていない。
100年以上続いている会社は日本がダントツで一番
継続力が一番の強み
長期的にじっくりとやり続けることが大切
持続的成長の概念
学問:bio-mimicry
自然から、自然の生態系から学ぶ
木…
日本語の語源は「生(き)」
芽目
花鼻
茎口
歯葉
実耳
穂頬
土と大気の間に跨る木
土…文化・歴史
変わらない
大気…社会
変わり続ける
目に見えないところに大事なものが埋まっている
アイデンティティ…根
コンセプト…根幹
全体戦略…幹
戦術…枝
成果物…実
諸機能…葉っぱ
美意識…花
コラボレーター…庭師
顧客…鳥などの生き物
不要になれば、落ちて、枯れて、土に還る
そして、また繰り返していく
木
3300年前から甲骨文字⇨金文→天文
昔から、根っこに着目されている
クリスマスツリーは作らない
植林して、生態系を作る
エネルギーの循環を表す四季
春…張る
夏…放つ
秋…空く
冬…増ゆ
つまり、
根っこが大事
アイデンティティや理念
簡単に言えば〇〇らしさ
〇〇の決定的な特徴
持続的な成長を呼び込むための戦略
戦略は【槍】か【網】
アイデンティティが赤でも
けれども市場が青なら青になり、
黄なら黄に、緑なら緑になる。
そうじゃないと売れないから
もう一度自分のアイデンティティを見直してみては?
アイデンティティの領域を広げていく
螺旋状に、自然の形で、閉じることなく、緩やかに広がり続ける
市場を自分の色に染めていく青も緑も黄も、赤にしてしまう
槍 | 網 |
アイデンティティ|外因|内発|
道具 | ないものねだり | あるもの使い |
時代 | アナログ時代 | ネット時代 |
場所 | AWAY | HOME |
コスト | HIGH COST | LOW COST |
利益 | 薄利多売 | 厚利少売 |
売り物 | モノ | モノ+ヒト+コト+場+時 |
立場 | ONE OF THEM | BAND |
事後 | フロー型 | ストック型 |
他者との関係 | 競走 | 共生 |
木の戦略は網の戦略
ありあわせ
もちあわせ × クリエイティブ
とりあわせ
POINT:
網に引き寄せるにも、根本にあるものが大切
「アイデンティティや理念」
「〇〇の決定的な特徴」
「〇〇らしさ」 の自覚こそが
ブランディングのスタート地点
今治のタオル…地域の「会社」のブランドではなく、正真正銘の地域ブランド
バカラのグラス…バカラ村のグラス
BRAND
③表層(花や果実)に実る
【商品・サービス】で世に問う
↑
②中層(幹)で覚悟して
【コンセプト】を決定し
↑
①深層(根っこ)に潜む
【アイデンティティ】を自覚し
作り出すのは花や果実
すなわち商品やサービスだが、
そのためには栄養を作り出す葉(諸機能)や
分岐する前の幹(戦略・コンセプト)
そして、全てを支える根(アイデンティティ)が必要
アイデンティティを知り、理解することが第一歩
それを元に、コンセプトが生まれ、戦略を作り
目的に沿った諸機能や商品・サービスが生まれる
結果、消費者が本当に求めるものが生まれる
Research, Concept, Strategy, Design, Product, Promotion, Market
デザイナーや職人、自然と文明、文化と産業、国内と海外、物語と製品、伝統と核心、産地と消費地
一連の流れの中で、様々なものが関わりあう
デザイナーだけでは何もできない
全ての関係を取りもち、全てを関連させる人間が必要
映画でいえば監督職、演者、音声、カメラマン、プロデューサー、エディター、スポンサーなどなど、数百名を取りまとめ、一つの方針へ向かわせる仕事。
13th
STUDIO K
- 中島秋津子さん
マーケティングを行なっている。
デザイナーと企業を結びつける立場。
山口→広島→岡山→東京。結婚して鹿児島に。
大学では経済学部に所属。
広大の夏季集中講座で青学のマーケティングの先生の授業を受けてマーケティングに興味を持った。
- マーケティングについて
商品・サービスが思うお客様に届き満足し再度ご利用いただくための一連の行動により確率を高め続ける行為。
P&G
明確化されていない問題を抱えた人が相談に来る。
顧客化ピラミッドを早く広く高く作り上げる。
知らない→知っている→分かっている→買う機会と理由がある→買った→もう一度買った
- 食とデザイン
鹿児島にいるデザイナーの数…960/746,760(800人に一人)
鹿児島は0.1%、福岡は1.2%
「鹿児島の食とデザイン」
2013-2019の7年間続いたプロジェクト
「業務用」から「消費者」向けへの市場拡大 ( B to C )
自分の会社のブランドを持ちたい企業が増えてきた
業務用…原料・材料、機能的、業務従事者
消費者…最終形=商品、情緒的、消費者
2007年 秘密のケンミンショー放送開始
2008年 地域資源法
2009年
周りが動いたから自分も動きたい
- 視覚
質の良さ悪さに見合ったパッケージにする。価格の成立。
感覚転移…視覚情報が味覚情報に関与するように、異なる五感が共鳴し合う現象のこと。
見た目だけのものは初速がいいが、継続しない。
見た目が悪く、中身がいいものは初速が悪く、伸びもイマイチだが売れ続ける。
両者が成立しているものは初速も売れ行きも好調。
例:かるかん…県外での販売の機会が増えたため、パッケージに商品の説明を添付する。鹿児島らしさだけでなく、企業らしさを取り入れ、情報を整理する。
パッケージをリブランディングさせるだけで売れ行きが2倍近くに。 - 企画
鹿児島県鹿屋市
新品種のさつまいも「紅はるか」
旨味の濃い「深蒸し茶」を売り出したい!
→鹿児島中央駅で無料配布するつもり。
無料配布したところで。。。
→スイーツコンクールの開催
無料配布で留まらず、確実に食べてもらえる機会を作ることで、確率を高める。
結果、ファミリーマートでの商品化につながり、目的に則した成果が得られた。
市役所の方も、動きが早かった。
人は情報を知って、考えを持って、行動しない。
いかに行動に移せる、移しやすい企画を考えるか。
【人を動かす事業の仕組み】
目的→接点・認知→意欲醸成→動機→行動→実行→実行・支援 or 事例・創造→共有・財産→目的 or 接点・認知にもどる
地域の企画は、地域の地層に。
- まとめ
デザイン・企画の 良い 悪い 好き 嫌い 上手 下手 安心 不安 面白い 面白くない 適 不適
- 誰のための企画
- 作るの半分、売るの半分
- デザインだけでは売れない
デザインなしでも売れない - 動かすから企画
- 地域の企画は地域の地層に
過疎感・距離感が場所によって異なる
11th
&LOCALS
- 代表・プロデューサー:Takakuraさん
- ブランディングマネージャー:Yamamotoさん
- グラフィックデザイナー:Jinnouchiさん
四年前にできたブランド
企業のブランディングをしていた。主に空間・インテリア。
トータルブランディング(空間設計・インテリアデザイン・グラフィックデザイン)
塗り絵のように建築をやっている
地域に入ったお金を地域で消費していたところから、しっかりとデザイナーが関与するようになった。
建築は資格がいるが、内装デザインは資格がいらない
内装デザインはするが他の課題がどんどん出てくる
パッケージデザインによるリブランディング
消費者のニーズを重視したデザインやアイデアで、リブランディング
美味しいのに興味を持ってもらえない商品を買ってもらうためのリブランディング。
年間300個から月間300個の販売に。価格も上げた。
会社との仕事は現場を知らない人とのやりとりが多い
地方の方との仕事は生活がかかっているから皆真剣
道の駅で売るのではなく、「まち」で売ればもっと適正価格で売れるのではないか。
道の駅で売るときは周りからの評価も直接的なため価格の設定を変えられない。
「ローカル」と「まち」双方にメリットのある販売所を
少量生産で良いものを売って地域を知ってもらう
今まで田舎くさい、年寄りくさいと言われてきたものを、若い人たちに買ってもらう、興味を持ってもらうためにはどうしたら良いのか
ターゲット層は40代程度になってくる。
ポップにしすぎると安っぽくなる。そのすり合わせが難しい。
オーナーさん:CREA PLANNING
着物やさん:きものやまと
九州で生産されたものを使って作るグリーンカレー
「グリーンカレー」→「青いカレー」
お菓子の擬人化
最中 →「モナ~mona~」
チョコ →「チヨコ~chiyoko~」
&LOCALSらしいクラフトコーラ
「ざらり」
おこしのりブランディング
「TAWAWA」
- これから
AND LACALS IN LOCALS
「& LOCALS」の名前を使って地域の生産者さんが商品を売れるように
memo
地域ブランドっぽいナショナルブランドが増えてきた。
ナショナルブランドが地域で作ったものを売る時代
地域ブランドが日の目を見て注目されてきたが、同じ土俵に立つ商品も増えてきている。
買う人が正しく地域ブランドを捉えられるようにアピールすることが大切。
9th
ヤマチク
- 専務取締役:山崎彰悟
立命館大学法学部卒
大手IT企業にSEとして就職、銀行のシステム開発に従事(2年間)。
その後家業の(株)ヤマチクに就職(現在8年目)。
昔から家業を継ぐ意思が強く、大学卒業年の就活時には特に興味の持てるものは見つからなかった。
竹の、箸だけ。
コンセプトムービー
日本のお箸の潮流
「もっと安く、大量に。」
・輸入品のお箸
・輸入木材のお箸(最終加工は日本)
・プラスチックのお箸
手間がかかる仕事、労働集約型の作業のため、中国で作業した方が良い。
原料の孟宗竹も中国から伝来してきたもの。
しかし、竹は輸入する間にサンが入って黒ずんでしまう。
それらを白くするために漂白剤などを使っている。
そのため、日本産の日本製のお箸は安心して使うことができる。
ヤマチクさんでは日本で取れた竹を使って日本で製造している。
ヤマチク所有の竹林があるわけではなく、竹林の所有者の方から管理を任されている。
ヤマチクのお箸は、「日本のお箸」の生き残り。
持続可能な資源「竹」
Bamboo is green gold.
ヨーロッパでは竹が自生していない。
寒いところでは育たない。
世界の憧れ、「日本」の事情
竹は成長が早いため、手付かずで荒れた竹林が増加している。
ヤマチクのmission
竹を日本の食卓に
竹と日常の生活の「はしわたし」になる。
ヤマチクはOEM主体に活動している会社。
OEM…下請け事業
4年ほど前、自社ブランドに着手。
OEM依存はリスクがある
やりがい、値段の決定権、価値の直接表現、仕事領域の拡大。
初の自社ブランド「okaeri」
佐藤かつあきさんプロデュース
お箸の原点回帰
人生の節目節目に使われるお箸。
okaeriができて変わったこと
・新規取引先が300件
・国内外のアワードを受賞
・メディア掲載多数
・海外からの問い合わせ多数
・社員と地域の人の自慢になる
マインドフルネス的な日本食文化に憧れる海外の人からの需要。
食に集中する。
8th
うなぎの寝床
- 代表:白水高広さん
地域に足りない事業は自分たちで起こし、地域の人がやれないことを実現する。
仏壇文化の再興のために、仏教や、仏壇に対する垣根を下げるためにトークイベントを開いたり、アーティストさんとコラボしている。
おじいちゃんおばあちゃんの家にある仏壇を引き継ぐことが出来ていない。
その結果、空き家問題などが発生しているケースもある。
地域の人にアイデアを投げかけて、フィードバックをもらって、文化ってこうあるべきを形作っている。
八女にはたくさんの職人さんがいる。
- 自己紹介
佐賀県小城市生。
家の間取りに不満があって建築学科に行くことを決断。
大学3年生の時にタイ・ラオス・カンボジア・ベトナムを一ヶ月間めぐる。
「人は寝ながらものを売っていいんだ。真面目にやらなくても死にはしない。」
大学では建築を学んでいた。
安藤忠雄さんに憧れる・コンクリート打ちっ放しなどの設計を独学で編み出した。現在は東京スカイツリーなどの建築に携わる。
ブランディングは自分たちで情報発信できるし、勝手にデザインしていくこともできるようになった。昔は行政や組合からの以来に応えることが仕事だった。
いわゆる好きなものをSNSで勝手に発信することができる時代。
そこにフォーカスを当てて、SNSで勝手に発信したくなるようなデザインを行っていく。
孤高の建築家は違うのではないか・建築も住宅も飽和しているし、作る必要もないのではないか?
憧れているけど違うのではないかと思い始めた。
リノベーションなどに興味を持ち始める。
→今ある地球と社会の資源を上手く使おう。
自分たちが作りたいものを作るものではなく、必要なものは作り、必要ないものは作らない。
活動開始から10年。自分たちが風習などを作っているため、固定観念ができてきているのではないか。若い差代がどんどんと塗り替えていってほしい。
- 九州ちくご元気計画
筑後に労働環境創出しようという取り組み。
そのためにはまず、現在農業や漁業に従事している方の仕事を元気にしていかなければならない。
労働環境の創出と、現在ある職業の活性化に同時に取り組んでいく活動。
- うきは百姓組
若手果樹農家の集団。一番美味しい時期に果実を届けたい。
もともと組合はあったが、何をどう活動していけばいいのか分からなかったため、依頼が来た。
ベーグル屋さんをやられていた事業者の方が協力し、新事業を開発。
旬は一時期しかない。旬のものをドライフルーツにした。
最初は資金がなかったため、自分たちで生産加工包装し、販売していた。
コミュニケーションのあり方が変わってきた。
以前はJAが情報を管理していたのに対し、農家さんと消費者が直接繋がりを持てるようになった。消費者主体から産物主体に。
- 筒井時正玩具花火製造所
日本で3軒しかない線香花火の製造所。
線香花火の一生…蕾・牡丹・松葉・散り菊。
線香花火の価値を高めていく。
基本の線香花火を450円という効果価格に設定するが、贈答用の線香花火を1万円で設定することによって価格の上下のラインを作ることで、違和感をなくした。玩具花火のリデザインや、花火用の藁を創出するために田植えイベントなどを企画。
2年半しか携わっていないが、上手くいくまで粘り強くやっていった。
- うきは百姓組
- 2012/07 うなぎの寝床オープン
都市部では元気計画の産物を購入できるのに、地域では購入できないのは何故なのか。
議論する・感覚を大事に(話し合いだけでなく行動を)・よりよく生きるための思考・自分がやれることはまず高める・ひたすら行動する
基本的に欲では動かない/意味で動く
- まとめ
もともと都会に憧れを持っていた。
都市部の興味のあるデザイナーさんに直接会ってみたが、あまり面白くなかった。
しかし、地域の職人さんは面白く感じた。
そういうところから、都市部でのデザイナーになるのではなく、地域を盛り上げるデザイナーになることを決断した。
2nd
KYUSYU ADC AWARD
九州ADCアワードのベスト9の作品を見た。
動画内では、ベスト9の方々が自身の作品をそれぞれプレゼンし、最優秀賞を決めていた。
1st
教員自己紹介
- 伊藤 敬生 教授
- 長崎大学 教育学部卒
- 卒業後はサンリオに就職
- 「てつなぎクマ」(1990)の制作
- 令和3年度3月31日までは電通にてアートディレクターとして働いていた。(約25年間)
- 電通での最後の仕事は九産大の新聞広告
- デザイナーとして40年弱働き、TVCM・新聞広告・キャラクター制作・お土産開発・お酒のブランディング 等に携わってきた。
MEMO①残業を無くす方法
- 日本と10~14時間程度時差のある国に事務所を設置して、日本で行うはずだった残業分の仕事を、別の国の事務所に回すことで残業をなくすことができる。
MEMO②アートディレクターとは
- デザインをするかしないか決めるところからデザインする仕事
- デザインの全体を把握する必要がある
- デザインを間違ったものにしないことが重要。
- おしゃれだから・かっこいいから・かわいいから = 「良い」わけではない