『お休みする本』
“やらなかった” 自分を責めないポジティブブック
- 熊谷 涼花
- Keywords: Positive, book, design
- お休みする本
概要
これは何?
このノートは、「できなかったこと」「やらなかったこと」を肯定的に記録することを目的とした、“生きてるだけで偉い”“自分を責めない”ための自己受容ツール。
背景と目的
現代社会では、SNS などを通してできたことや成果が強調 されやすく、人々は何もできなかった自分に罪悪感を抱きや すい傾向にある。特に10~30代の若者は、完璧主義や比較 意識から自己否定を抱きやすく、心の疲労や停滞感に悩む人が増えている。 こうした背景を踏まえ、本研究では何をしたかではなくどう在れたか、“がんばれなかった日” を悪い日ではなく生きた証として記録するそっと手に取り開くことを想定した体験型ノート『お休みする本』を提案する。
本研究の目的は、開くだけの記録方法によって自己肯定感を回復させるツールの可能性を探ることである。ただ開く・触れる・眺めるという行為だけで自分をやさしく受け止め肯定できる “非言語的な記録 体験” に注目した。
コンセプト
- がんばれなかった日を肯定するという新しい視点からアプローチするノート
- 何もできなかった自分を責めない
- 行動を記録しなくても存在が認められる
- 問わないで受け取ってもらうという極めて負荷の少ないインタラクションをデザインの中心に据える
成果物の仕様
(1)表紙
やわらかな色合いと、静かな時間を感じさせる装丁。
「今日もここにいた」と、手に取るたびに思えるデザインを目指しています。
(2)巻頭ガイド
メッセージページ
このノートが生まれた背景や、使う人へのやさしいまなざしを込めた言葉を添えている。
(3)おやすみしたことページ
できなかった日
お守りメッセージ
- 「今日は書けなくてもいい、めくるだけでじゅうぶん」
- 「『何もしなかった』は、あなたがそこに“いた”という証」
- 「ページが進む。それはあなたが今日も生きたということ」
できた日
過去の自分からちょっとしたご褒美メッセージ
- 今日はアイス2本食べていい
7ページ
(5)巻末 or 表紙裏:見返すためのガイド&お守りメッセージ
ふと落ち込んだ日、振り返りたくなった日に読み返せる「使い方ガイド」やあたたかい言葉のページを収録。ノート全体のコンセプトをやさしく支える。
(6)デザイン
制作ツール
- illustrator
- InDesign
- Procreate
まとめ
本研究で制作した「お休みする本」は、従来の“成果を記録するノート”とは異なり、「できなかった日」を前提に体験を設計した点に特徴がある。このアプローチにより、休むことや動けなかった時間を肯定する仕組みが、心理的な安定に寄与することが分かった。
試作版の体験者からは、書くことよりも“受け取る言葉”が心の整理につながるという声が多く、行動できなかった自分を責めがちな人にとって、過去の自分から認められる構造が自己肯定感を静かに支えることが示され、デザインを“使い手の状態や心理を理解した設計”へ転換する必要性を強く実感した。使用者の声を反映して改善を行うことで、作品がより「人に寄り添うもの」へと近づく感覚を得ることができ、本研究の大きな成果となった。
調査
現状調査
若者が「できなかった日」や「立ち止まった時間」をどのように受け止めているのかを把握するため、10〜20代の若者28名を対象にアンケート調査を実施した。調査の目的は、SNSにおける他者との比較が自己肯定感に与える影響、“できなかった日”に生じる感情、求められている自己回復の方法、「立ち止まった日を受け止めるノート」への需要の有無を明らかにすることである。
調査の結果、SNSで友人の成功や楽しそうな投稿を見ると、「自分と比べて落ち込む」「置いていかれる気がする」といった回答が多く、日常的に比較意識によって自己肯定感が揺らぎやすいことが分かった。また、「今日は何もできなかった」と感じた日に最も多かった感情は「焦り・罪悪感」であり、続いて「落ち込む」が多く、できなかった日を肯定的に捉えることが難しい傾向が明確に示された。さらに、完璧にできなかったときに不安を感じる人は全体の7割を超え、多くの若者が日常の中で自己否定やプレッシャーを抱えていることが確認できた。一方、疲れたときの自己回復方法として多く選ばれたのは、「家でひたすら休む」「楽しいものを食べる」「誰かと話す」など、負荷の少ない“静かな回復”であった。また、「立ち止まった日を受け止めるノート」があればどう感じるかという問いに対しては、「気持ちが楽になりそう」「安心できる」といった肯定的な回答が約8割を占め、新しい自己肯定感支援ツールへの明確な需要が示された。
これらの調査から、若者は“がんばること”よりも、“がんばれなかった自分を責めずに受け止めてくれる存在”を求めていることが明らかになった。この結果は、負荷なく触れられる「お休みする本」というコンセプトの必要性を強く裏付けるものとなった。
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デザインの整理
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- 全体のデザインとしてそれはここだけが別世界であると感じられる一時的な安心の空間に近いものにする
- 淡い光や 広い余白を中心に構成
- 文章を読む余裕がない日で も、眺める行為そのものが心を落ち着かせさらにこうした不思議でやさしい世界観は多くの人が共感しやすい感情を含むデザイン
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メインターゲット候補
- 20〜30代の女性(特に働く人、学生)
- 頑張らなきゃが癖になってる世代
- 日常の中で「疲れてるのに自分に厳しい人」
- SNSをよく見るけど、“誰かの成果”に少し疲れている人
- “安心できる空間”を、心の奥で求めてる人たち
SNSでは「頑張った報告」「できた自慢」があふれ、「行動できないこと」に対して罪悪感を抱きやすい社会になっている。また、“自己肯定感の低さ”や“完璧主義による疲労感”は、特に10代〜30代の若者を中心に顕著になってきている。そうした中で、「できなかった日も意味がある」と記録できるツールは、心の健康を保つための新しい選択肢として必要とされている。
2025.09.19
新作デザインの特徴
- ティアテープ方式
各日付の欄を「めくる / 剥がす」ことで体験できる仕組み。
→剥がすというアクションだけで完結できる。 - 優しい言葉のサプライズ
テープを剥がすと「何もできなかった日も大丈夫」「ここで休んで良かったね」など、優しいメッセージが現れる。
→書くことへの負担を減らしながら、受け取る喜びを加えれる。
政策方針
- 卒業制作ではデモ版を自作
→実際の販売や反核的製本は造形作家さんや製本会社に依頼する。
→今回は"体験プロトタイプ"として、自分でできる範囲で仕上げ、無料配布することでフィードバックを得る。
2025.07.18
印刷サイズの感覚
A6変形(ポケットに入る)か、B6(手帳と一緒に持ちやすい)。
厚さは60~80ページ程度で、「毎日は書かなくてもいい」余白感を意識。
1ページの記録欄はぎっしり詰めず、最低限の項目で気軽な感じ。
2025.07.11
最終審査
- 表紙、裏表紙のビジュアルを先に考える
- タイトルで一つのフレーズを強くいかす
- 印刷した時にどれくらいのサイズ感であるかを確認
- 段階を踏んでそれらを工夫する(どうやって届けるか、知ってもらった後に書こうと思わせなや行けない、描き始めた後に継続してもらわないといけない)
2025.07.04
今日の心に合う種を選ぶ
その日を「評価」するのではなく、「柔らかく分類する」ページ構成
- まだ芽が出ないけど
- 今日はちょっと休みたかった
- 思いがけずしんどい日だった
- 何もしてないけど、ちゃんといた
- 風まかせで動けなかった、でもそれも自然
2025.06.27
発表後の構成案
今日の自分にひとこと
「できた/できなかった」ではなく、"ただの状態"として今日を記録する
天気や感情から入ることで、書くハードルがグッと下がる
- 今日の気分「ぼーっとしてた」
- 今日の空「曇り空だった」
- 今日の一言「今日は体力温存デー」
今日の"しなかった"をラベリング
"できなかった"をネガティブに書かせない、選択式orポジティブ表現で包む
- 無理をしなかった
- 休む時間を選んだ
- ダラダラしてた(でも自分は生きてた)
- 何もしなかった(空を見てた)
2025.06.20
アンケート結果
1.「できなかった日」に対する受け止め方はさまざま
「まあそんな日もある」派(39.3%)が最多だけど、
「焦る/罪悪感がある」(32.1%)や「自分を責める」(14.3%)もいて、
肯定と否定が半々くらいで揺れてる印象。
ノート活用:
→「今日はこれができなかったけど、○○はできた!」みたいに“できなかったこと”の隣に“やれた小さなこと”を書く欄をつける。
→「できなくていい理由メモ欄(今日の言い訳、書いとこ)」みたいなユーモアあるスペースを用意して、“許す”文化を作る。
2. SNSでの“できた報告”を見て落ち込む人が多い
「自分と比べて落ち込む」(35.7%)が最多。
「焦るけど励みにもなる」も17.9%。
他人の成功と自分を比較しがち。でも前向きに変換する人もいる。
ノート活用:
→「今週の“自分だけのえらいこと”」を書く欄。人と比べず、自分基準での“できたこと”を見つける習慣をつくる。
→「SNSで見たことで、ちょっと心がざわついたことと、その気持ちの整理欄」など、自分の感情の棚おろしができる場に。
3. 完璧じゃないと不安になる人は多い
「時々ある」(71.4%)が圧倒的。
ノート活用:
→1日の終わりに「今日は○○しなかった。でも、それでいい理由」など、“しなかったこと”を肯定する問いかけをセット。
→「しなかったことで守れたもの/気づいたこと」などの反転の視点を加える欄も◎
4. 回復のしかた:寝る&美味しいもの強し!
「寝る/休む」(71.4%)、「美味しいもの食べる」(57.1%)が圧倒的。
心も体もほっとできることがキーっぽい。
ノート活用:
→毎週、「今週の回復アイテム」欄(食べたアイス、美味しかったごはん、爆睡した朝など)
→ページの端にほっとする言葉やイラストをちょこっと散りばめておく
2025.06.13
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テーマ案
- やらなかったこと できなかったことノート
- 自分を責めずに、ちょっと褒めるノート
- 自分を責めずに、ちょっと褒めるノート
ページ
- やらなかったことを記入するページ
- 巻頭ページに入れたい言葉(仮)
「このノートは、あなたが今日、 無理に頑張らなかったことを祝福するためにあります。」
















