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堺由加子/卒業研究I にそのファイルは見つかりません

vessel

コンプレックスを題材にした作品制作



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プロジェクトの概要


研究背景

 様々な事柄に対する価値観が改めて見直され、より深く考えられるようになった現在だが、個人の劣等コンプレックス(※1)に関しては、未だ負の側面、対処し難いものとしての意識が強く感じられる。

 まず原因として考えられるのは、そのコンプレックスに基づく経験である。自分自身の欠点や短所を全く感じない人は極稀な方であるが、そうでない人は、他人から指摘されたり、認められなかったために、元々低かった自己肯定感をさらに失ってしまう。

 そこで、本来は理想の形であるキャラクター、創作上の人物に自身が抱えているコンプレックスの一部を組み合わせることで、今までとは違った角度からの魅力を発見出来るのではないかと考えた。

※1...劣等コンプレックス
 劣等コンプレックスとは、自己肯定感の不足や疑い、確信の持てなさ、そして自分が劣った人間であるという感情を意味します。...劣等コンプレックスを持つ人間は、ライフタスクへの対処を避けることに劣等感を使います。(臨床心理学用語辞典より引用)


ターゲット

・10〜20代の若年層
・コンプレックスを抱えている人達


コンセプト

キャラクターを必要以上に美化することはせず、魅力には ならないと排除されてきた要素をあえて使用する。
ニキビやくせ毛、歯の矯正器具など、コンプレックスの要因となるものをキャラクターの魅力として表現するために、積極的に活用していく。

・プロジェクト名について
『vessel』...英語で主に器や船などを表す言葉だが、その一方で血管も意味する。他人からは見えないが誰の体にも等しく存在する血管と、他人には打ち明けづらく、心の内側に隠しているコンプレックスのイメージを重ねた。


全体の構成

・パネル
 ...20点程制作。
・ポストカード、ステッカー
 ...パネル用のイラストを加筆、調整したもの。
・WEBサイト
 ...メインページのみ。各SNSアカウントへのリンクを記載。
・SNS
 ...ツイッター、インスタグラム、タンブラーの三つを運用中。ツイッターをメインに活用。

制作物

・パネル(イラスト)

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・ステッカー

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ToDo





進捗・記録



2020.07.10

完成品

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ウェブイメージ

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・メインページのみ
・ツイッターとインスタグラムへのリンク

・Tumblrのアカウント取得
Tumblr


2020.07.01

完成品

tsuyu_0701.jpg

・制作期間2~3日
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スケッチ

plan_1.jpg

調査

引用:河合隼雄 (1971). 「コンプレックス」. 岩波新書 より
・たとえば、仲間が集ってソフトボールをしようというとき、「僕は下手だから」というので応援にまわったり、ボールひろいをしたりして楽しく共に時間をすごす人は、ソフトボールについて「劣等」であり、それを認識してはいるが、劣等感コンプレックスをもっていない。この場合、下手なくせに無理にピッチャーになりたがったり、失敗したことで何時までもぶつぶついったりする人の方が、むしろコンプレックスをもっているといえる。つまり、この人達は劣等であることを認めていないのである。(p.58)

・コンプレックスというかぎり、それは感情によって色どられていなければならない。感情のからみつきのない、自分の劣等性の認識は、むしろコンプレックスを克服した姿である。ソフトボールにまつわるコンプレックスは、実際にコンプレックスの練習をして、上手になることによって克服するか、自分がソフトボールを出来ないことを認めることによって克服するかという方法によって、解消することができる。(p.58)

・実際にできることをできないと思いこんだり、思いこんでいるためにのびのびとできずに失敗して、ますます駄目だと思う、このようなのを「劣等感の悪循環」とアドラーは呼んでいる。この悪循環におちいっている人は、どこかで立上がるきっかけをつくってやらねばならない。しかし、この場合は、もともと力のあるときなので、比較的援助がしやすいのである。(p.58)

・ところが、もともと力の無い場合はどうするのか。〜...この問題に対して、先程のソフトボールの例をかりて考えてみる。ところで、ソフトボールができないことに対して、なぜ一方はコンプレックスをもち、一方はコンプレックスをもたなかったのだろう。この場合、平気で自分がソフトボールのできないことを認めた人は、それを認めることによって、その人の人格の尊厳性が失われないと感じているからである。つまり、そのことについての劣等の認識は彼の自我の中に統合されており、何も安定をゆさぶられないからである。(p.59)

・コンプレックスは自我によって経験されていない感情によって成立しているという意味において、それは単純に「劣等感」などと名づけられるものではない。先に示したように、はっきりと劣等であると認識できた場合は、それは問題でもなく、コンプレックスでもない。このような意味で、劣等感コンプレックスは、優越感も必ずその中に混入させているものだといってよい。ソフトボールができないというとき、「いやできる筈だ」、「あんなことで喜んでいるのは馬鹿な人間だ」、「僕もひとつかっとばせたら」などと、言語化し得ない感情を味わう筈である。それが複雑で解らないから、いらいらもするし、しなくてもよいことをしてみたりする。自我にある程度意識されるのは、その劣等感の方ではあるが、そこに優越感が微妙にいりくんでいるところが、コンプレックスのコンプレックスたるゆえんである。(p.60)


2020.06.26

試作(着色)

shisaku_0626.jpg

・制作期間1~2日
・グリザイユ画法のテストも兼ねて制作

完成品

demo_kansei.jpg
demo_zoom.jpg

・制作期間2~3日
・一部分のみ画質を下げてみる
・ノイズをかけたレイヤーを重ねてざらつき感、肌っぽさを出す
・隠したり目立たせたり、どちらの用途でも使われているシールをモチーフとして取り入れてみる

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2020.06.17

試作

shisaku_0618.jpg
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hikaku_noise.jpg

・メインのモチーフを別のモチーフに置き換えてみる(ニキビ、肌荒れ→星など)
・見たくないもの、目をそらしてしまうものとしてのコンプレックスを、ノイズやモザイク、ズレや歪みを加えることで隠しつつ目立たせる
・背景の面積を少なくし、主題に視線を集中させてみる

参考サイト

不必要の再定義 表現となったノイズ (Apple Store Preview)
・「ノイズ」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。それは、オーディオ機器の不完全な接続による耳障りな音や、自分が探している以外の、有益ではない情報かもしれません。ノイズとは、音響、映像、工学、機械学習などにおける、必要ではない情報のことを指し、私たちの周りの様々なものの中に存在します。
・本来、不要なものであるにも関わらず、音楽の分野ではノイズミュージックというジャンルが確立され、映像の歪みはどこか懐かしい雰囲気を想起させ、デジタルイメージの歪みは予期しない美しさを観るものに与えてくれることがあります。
※(上記サイト内より引用)

最終目標について

・最終的な成果物として、作品集、もしくは展示会のどちらかを考えている


2020.06.11

スケッチ

sketch_06.jpg

試作

making.jpg
moji_hikaku.jpg

※(全身を入れた構図、文字を入れた際の確認用に制作)
・人物(主題)の大きさによって文字サイズを変更
・ひとつのプロジェクト、研究成果としての統一感が出る
・見せたい部分の近くに文字を入れ、強調させる(次週までに試作)

・シンボルマーク、もしくはロゴタイプの制作が必要(?)

・作品公開用アカウント...Twitter


2020.06.05

試作

shisaku_0605.jpg

・前回の試作を踏まえ、みせたい部分がより目立つようにした。
・表情をつけ、前回より明るい雰囲気に
・線を太くし、背景と人物のコントラストを強調させ、全体の形をはっきりとさせた。(下図参照)

hikaku.jpg


2020.06.02

調査

河合隼雄著「コンプレックス」読了

引用:河合隼雄 (1971). 「コンプレックス」. 岩波新書 より
・ここで特に強調したいのは、コンプレックスの解消ということは、このように辛く、凄まじい時があるということである。コンプレックスという用語に、ユングがもともと「感情によって色づけられた」という形容詞を冠していたように、コンプレックスの内容は感情によって固められている。それは「解消」というよりは「爆発」に近い現象によってこそ、克服されるものである。(p.112)

・〜...それは孤立であっても自立ではない、自立したものは他人と関係をもつことができる。孤立したものは関係を拒否している。それは自立コンプレックスに自我が乗っとられているのであって、自我が自立を獲得した姿ではない。(p.113)
・コンプレックスの解消に必要なのは、愛情を背景とした対決であり、ごまかしのない対話であるともいうことができる。(p.116)

・〜...これは人間が生きてゆくために、その痛みが余りにも苦痛である場合、必要な生体反応が働いて、われわれはそれを感じなくなるのである。〜...われわれ人間は生きてゆくためには、外的刺戟の全てを"体験"せずに、適切な限定を加えているものだと考えられる。(p.130)

・しかし、無意識の力に押されて、他人迷惑な行動をとりながら、個性的だと思ってる人は案外多い。ユングは、われわれが自己実現の道を歩み、個性的に生きるためには、外界から要請される陳腐な生活をやり抜かねばならないとのべている。陳腐な生活をし遂げることは、「外側からは認めることのできないヒロイズムを、実際に必要とする」(『分析心理学についての二論文』)とさえのべている。(p.206)
※ヒロイズム...英雄を崇拝し、英雄的行為を賛美する考え方。英雄主義。
引用:大辞林 第三版 三省堂より

・〜...、"今日の情報過多の状態は、あらゆる機会にわれわれのコンプレックスがくすぐられる。自分は損をしたのではないか、自分はバスに乗りおくれたのではないか、と疑い始めると足が地につかなくなってくる。「私」というものに対する強い確信がないとき、情報量の多さに比例して、その人は安定をゆすぶられる。はっきりと、自分の事故に根ざした道を歩んでない人は、危険である。"(p.207~208)

・つまり、われわれは自分の自己実現の容器をも、自ら選び、自らつくらねばならない。これも難しいことだ。ともすると、容器を大きくすることに精力を費しすぎて、その器の中にいれる内容が粗末になることが多いのではないだろうか。そして、今の時代精神は、この容器の大きさを重視する傾向があるようだ。(p.208)

・"コンプレックスを拒否したり、回避したりすることなく、それとの対決を通じて、死と再生の体験をし、自我の力をだんだんと強めてゆくことが自己実現の過程なのである。"(p.210)


2020.05.28

スケッチ

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・くせ毛、吹き出物、歯並び、手汗等
・コントラストや色味の違いによるモチーフの差別化の調査を引き続き行う。

調査

河合隼雄著「コンプレックス」p.105まで読了

引用:河合隼雄 (1971). 「コンプレックス」. 岩波新書 より
・-..."このように無意識内に存在して、何らかの感情によって結合されている神的内容の集まりが、通常の意識活動を妨害する現象を観察し、前者のような心的内容の集合を、感情によって色づけられた複合体とユングは名づけた。これを後には略して、コンプレックスと呼ぶようになったのである。"(p.13)

・-..."今日でも、「精神分析好き」な多数の人々が、外傷理論に基く単純なコンプレックス説を信じ、ノイローゼとは「心のしこり」をとってやればなおると思っているのを知り、私はよく残念に思う。この人達はまるで、粘土の中にうめこまれたラムネの玉でも取り出すように、「精神分析」がなされるものだと思っているようだ。ところが、実際はそれ程簡単ではなく、ひとつのコンプレックスの組織は他のコンプレックスのそれとからみ合い、自我組織とも大いにからみ合っているのである。"(p.33)

・"自分の強力なコンプレックスを一種の「アンテナ」として、他人のコンプレックス、従ってそれに基づく失敗や悪事を嗅ぎつけ、それを喰いものにして生きているような人も存在する。
このような人にとって、そのコンプレックスは、大切な「商売道具」になっているのである。"(p.99)


2020.05.22

更新

・目的、主旨の項目を更新


2020.05.14

スケッチ

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試作

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調査

・メインカラーの着想...血管
他人からは見えず自分自身にしか見えないコンプレックスと、個性的でなければ個性ではないというような自らの意識を払拭するため、皮膚の上からでは見えづらいが誰の体にも等しく通っている血管のイメージを重ねた。
・連作のための構図決め
現段階では画面を4:3、もしくは1:1のどちらかの比率での制作を考えている。
・4:3 → 証明写真の比率と同じ。ほとんどの場合は一人でしか撮らない。また、(自販機型の場合)その場ですぐに大幅な加工が出来ないうえ、スクリーンの色がブルーなどの寒色系であることが多く、顔色が暗く写り、自身が気になっている顔の箇所がより目立って見える。こう感じているのは私だけかもしれない、要調査。
・低画質にすることによる差別化
メインの部分の画質をあえて下げることにより、何を見せたいかを明確にする案。(試作4枚目)
全体の画質を下げた場合、こちらの意図とは別に見辛さを感じる可能性があるので、一部分のみ加工するなど、更に試作を進める。

展示について

・知人に展示についての話を持ちかけたところ承諾してくれたので、共同での作品展示になる可能性あり。
 コロナの状況を見極めながらの計画になるので、展示に関しては随時話し合いをする予定。




2020.05.07

調査

・ロゴタイプや作品制作の参考サイト
テキストのデジタルグリッチの作り方(Illstrator)
BHL the Biodiversity Heritage Library(著作権フリーのデジタルアーカイブ)
BHLのinstagram(ダウンロード可)
浮世絵ベクター素材リンク集
ハーフトーンパターン無料素材(商用利用可)
Cursed Cartoons
CORNER PRINTING


・ラフスケッチ

sketch_01.png




2020.04.30

調査:「コンプレックス」という言葉に対する認識

・コンプレックスという言葉自体が複雑な心の動きを総称した言葉。後々コンセプトや制作にズレが生じる可能性がある。
・本来のコンプレックスという言葉の意味...現実の意識のもとで抑えつけられた欲求や記憶、感情などが無意識のうちに複雑に絡み合った心理的要素の複合体。
・現在使われているコンプレックスという言葉の印象...自身が他人より劣っていると感じる特徴、事柄から目を逸らすこと。劣後感。
(※ただし、劣等感もひとつのコンプレックス(inferiority complex)である。)
・劣等感を受ける事柄から何が困るのかを考えれば、根本的な劣等感を知ることが出来る。


参考作品(過去の試作)




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Last-modified: 2020-10-29 (木) 21:26:54