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ソーシャルデザイン概論/2020/0427

第1回 ガイダンス

ソーシャルデザイン概論/20202020.04.27

第1回目の展開と要件


では、はじめましょう。まずは以下の「本日の目次」を見て、本日の授業の全体を把握してから、順に読み進めて下さい。



本日の目次


はじめに

この授業は、大学における当学科の入門講義で、受講生の方にとっては、最初の講義として位置づけられます。
 今回は、みなさんが入学した ソーシャルデザイン学科 について概観するとともに、大学における学びとは、また、芸術学部における学びとは、・・など、大学生としてのスタンスを身につけていただくために、全体を俯瞰するかたちでお話しします。

学科紹介

情報デザイン専攻 紹介

地域ブランド企画専攻 紹介

学科の専任教員 紹介

ソーシャルデザイン学科には、6名の専任スタッフが配置されています。
それぞれ、よろしければ・・顔と名前を覚えて下さい。
https://design.kyusan-u.ac.jp/socialdesign/?STAFF

その他

大学での学び

学位「学士」について

学士とは、学校教育法第68条の2第1項及び学位規則第2条により定められた学位のひとつで、大学を卒業した者、あるいは独立行政法人大学評価・学位授与機構に学位授与申請を行い審査に合格した者に授与されるものです(学位には他に大学院修了で与えられる「修士」、「博士」等があります)。
参考:国際標準教育分類

学士には、以下のような知識、技能、態度、創造的思考力が求められます。

この中で特に私が強調したいのは、「自ら学習できる」、「知識、技能、態度を総合的に活用し、問題を解決することができる」という部分です。

大学は、単純に「物事を教わる」ところではありません。「問題には正しい答えが一つだけあるはずだ。その答えを教えて欲しい」と思っている学生さんが多いようですが、いわゆる試験問題のような人が作った問題、模範解答を見れば答えがわかる問題・・・つまり「答えがわかっている問題」というのは大学生が精力を注ぐべき問題ではありません。

この世の中には、未だ「問題」として認識されていない問題も含めて、解決方法がわからない問題が山積してます。自分で問題を発見し、自分なりの方法でそれを解決する。それが大学生に求められる資質です。

大学では「卒業式」とは言わず「学位授与式」と言います。皆さんは芸術学部に所属しますので、卒業時には「学士(芸術)」が与えられます。芸術学部はどこにでもあるものではありません。つまり「学士(芸術)」も貴重な存在となりますので、良い意味でプライドを持ってがんばって下さい。


以下、大学での学びについて、学生の「よくあるカン違い」についてお話します。これらのことを早期に認識するか否かで、今後の大学生活の充実度が変わります。是非、ご一読下さい。

ただし、あくまでも私個人の見解です。教員によって、異なる考え方もありますので、単純に私の話だけを鵜呑みにしないよう注意して下さい。


授業時間内に読むのが難しい場合は、「事後学習」として時間終了後にお読み下さい。
以下を読み飛ばして次の節に進む


はじめに

私の話を信用しないようにして下さい。大人の話には時代錯誤によるズレた話や、大人の都合による「嘘」が混ざります。
 特に「昭和のおっさん(私も)」の思考回路は、日本が高度成長期にあった時代の常識に洗脳されているので、その「教え」を素直に鵜呑みにすると、未来を破綻に導きかねません。「昨日の常識は、明日には非常識になる」と考えて、人間社会の「常識」を疑うとともに、みなさん自身の「地球上の生物の一員としての直感」にも耳を傾けるようにして下さい。

大学ではいろいろ教えてもらえる?

残念ながらその期待は裏切られます。もちろん、講義や演習で基本的な知識・技術の確認はありますが、大学生は「自ら学ぶ」ということが前提です。
 よって、大学の教員がすることは、学生さんの好奇心を刺激すること、学びのきっかけをつくること、学び方(研究の仕方)についてアドバイスすること・・・などが中心になります。
 「授業で習ってからはじめよう」とか「3年の授業で習うから1年のうちはいいか…」などと思っていると、「自ら学ぶ学生」との差が大きく開く結果となります。「習っていないのでわかりません」と言えるのは高校まで…と考えて、早く大学生としての学びの姿勢を身につけて下さい。

大学の先生は学生よりも知識が豊富 ?

これは(少なくとも私に関しては)ちがいます。私の脳から取り出せる情報量と皆さんの脳内の情報量は大差ないと思います。差があるように見えるのは、皆さんがこれから学ぼうとしている分野に関して、多少私の方が知識が整理されていて、経験的にそれをスムーズに取り出して話すことができる・・・というだけのことです。もし皆さんが、皆さん自身の得意分野について話をするとすれば、立場は逆転します。
 私は、いつもゼミの学生さんからいろんなことを教わっています。研究室は、メンバー全員で話し合って新しい何かを生み出す場所です。「教える人」と「習う人」という関係ではなく、「共同研究者」として対話しましょう。

先生によって言うことが違う?

大学では(一般社会でも)これは当然です。大学には「学習指導要領」や「標準(検定)教科書」のようなものはありませんし、授業のシラバスも、最終的には、担当教員がそれぞれの考え方で構築します(もちろん学部、学科の教育ポリシーを共有した上でですが・・)。
 ですから、授業の進め方の違いや、問題への対処の仕方についての見解の相違というものが、当然表面に出てきます。
 どちらが正しいのか? もちろんそれを判断するのは「あなた」自身です。「言う事がそれぞれ違うからわからない…」と言って「思考停止」してしまったらそれで終わりです。双方の話を聞き、また他の人の意見や、他の資料にも目を通し、最終的には、自らの見解を持つことが必要です。
 大学の試験では、教員の見解をそのまま答案に書く必要はありません。異なる見解であっても、それが論理的で説得力のある記述、またユニークな記述であれば、高い評価となります。わたしたしも学生さんの答案の中に、新たな視点を発見することを楽しみにしながら答案を読んでいます。

学費がもったいないから授業はできるだけ多く取った方がいい ?

これは程度の問題です。忙しすぎて「余裕がない」、「考える暇がない」という状況は、大学生にとって望ましいとは言えません。自分の人生について、じっくり考えるだけの時間が必要です。根本的な哲学抜きに数だけこなしてもきりがありません。おそらく充実感も得られないでしょう。
 他の学生よりも単位をたくさん取ろうとか、コストパフォーマンス(費用対効果)を上げようとか、そうした市場原理的な発想は、本来学問・教育の現場には馴染まないものだと思います。
 現に、勉強=競争という受験優先の教育環境の中で、日本の若者の大半が研究心や向学心を失い、疲れきってしまっています。これは私も含めて教育に携わる日本の大人たちの反省すべき点だと感じています。
 すばらしい発見、面白いもの、良いデザイン、それらは競争心というより、純粋な好奇心や、問題意識、あるいは人や社会のために何かしたい・・・といった精神から生まれます。この世の中には金勘定抜きに提供されるモノやコトもたくさんあるのです。市場の競争原理をそのまま自分の人生(学問の世界)にまで持ち込まない方がいい・・・と私は感じています。

勉強は面白くないけど努力して取り組むべきものだ・・

とんでもありません。非常に面白いものですし、苦痛などありません。それに専念できる「大学生」という身分であることをシアワセだと思いましょう。
 勉強は面白くない、苦痛だ・・・というのは、受験勉強の話です。大学での学びは好奇心を契機にはじめるもので、まったく質が異なります。
 おそらく「勉強」という字面がよくないのでしょう。日本語で「強いる」とか「勉める」といった言葉の組あわせになっていることがいけません。英語で Study といえば「研究」という意味が濃厚になります。つまり「自分で発見した問題や関心ごとについて自ら関心をもって取り組む」ということです。
 study も student も元はラテン語の studium に由来します。それは「情熱、熱意」という意味で、I am a student. というのは「私は情熱をもって真理を求めています。」ということ。単に肩書きの問題として「私は生徒です」というのとは意味が違います。日本では、高校までを生徒、大学になると学生。別の肩書きで区別しますが、student の文化圏では、中学生も大学生も同じ I am a student. です。つまり彼らは、ずっと情熱をもって真理を探究しているのです。ということで、日本の「勉強」につきまとっている義務的なイメージは払拭してしまいましょう。
 大学は強制されて「勉強」するところではありませんし、偏差値のような一元的なものさしの上で競争を強いられることもありません。もっと自由に Study ができる場であると考えて下さい。「競争に勝つため」というような動機ではなく、純粋に「面白い」と感じること、純粋に「この問題を解決したい」と思う気持ちを学びのきっかけにして下さい。

大学での学び(まとめ)

大学の歴史は古く、本来は、国家や民族をこえて普遍的な知の成熟に貢献する存在であったはずです。ところが今では「国益」のために「企業」が求める「人材」を養成する場である・・という理解が幅を効かせている状況で、これは本来の大学の主旨からは、ずれるものではないか・・と私は感じています。
 大学本来の意義を、学生さん自身がしっかり把握しておかないと、大切な4年間を政治に翻弄されて終える…という悲しい結果になりかねません。大学とは何か?。学問とは何か?。もちろん「就職のため」という現実的な目的もあるかもしれませんが、あなたの人生を根っこから豊かにするための「知」の発見の場として捉え直すと、日々の講義や演習も、一味違ったものに見えてくるはずです。

21世紀、世界はネットでつながり、すでに地球上のすべての人類が情報を共有できる状況にあります。国家のマネージャーである政治家は「国益」のために争っていますが、私たちは音楽や映像を通して国境を越え、自由につながっています。よくいわれるように「芸術」は国境を越えて、すべての人たちに「知的な豊かさ」をもたらすのです。リベラルアーツの言葉どおり「Arts」は本来「学問」の概念なのです。大学で学ぶことは「Arts」を学ぶこと。

学問の頂点は芸術である

これは、九州産業大学創設者、中村治四郎の言葉です。




芸術学部での学び

芸術は人類の起源とともに

文字、数式、そして科学技術・・そのいずれも、人類史における歴史は浅く、現代社会における「常識」も、その大半は産業革命以後のもの。たかだか200年程度の歴史しかありません。

一方「芸術」は 私たち ホモ・サピエンス の誕生とともにあります。多岐に進化したヒト科・ヒト属の中で、唯一生き残ったのは「芸術」とともに生きたホモ・サピエンスのみです。「芸術」は私たちの生存戦略と密接な関係があると言えるでしょう。

その意味では、学問の究極の目的である「人間とは何か」を考える重要なヒントが「芸術」にあるといっても過言ではありません。「学問の頂点は芸術である( 中村治四郎)」 という言葉にはそんな意味が込められていると思います。

参考:「藝術」は、リベラル・アーツ(人を自由にする学問) の訳語(西周による)


Art & Design

アートとデザインは何が違うのか?
学問的な「問い」の多くに共通することですが、唯一の正解があるわけではありません。よって以下、あくまでも私見です。私がこの問いを受けたときには、以下のように違いを説明することにしています。参考になれば幸いです。

ソーシャルデザイン学科での学び

ソーシャルデザインとは、社会が抱える様々な問題に「気づき」、「伝え」、そしてその解決策を持続可能な方法をもって「提案する」活動です。まずは半径10m。自分が暮らす身近なところから世界を変えていきましょう。

日本で唯一のソーシャルデザイン学科

ご存知ない方もおられるかも・・ソーシャルデザイン学科というのは、日本の大学の中では、ここ九州産業大学 芸術学部にしかありません。最近では類似した名称の学部・学科がいくつかの大学に新設されていますが、ソーシャルデザインを学問の一領域として位置付けたのは、2016年本学が最初で、2020年度入学生のみなさんは、その5期生にあたります。
 開設時の2016年当時、ソーシャルデザインという言葉は(デザインに関わる一部の人を除いて)一般にはまだ馴染みの薄い言葉でしたが、現在では、「ソーシャルICT」「ソーシャルディスタンス」などという言葉もあって、「ソーシャル」の意味も多くの人が知るところとなりました。

SOCIAL:社会の、社会に関する、社会的な・・

社会は、みなさんの将来の活躍に期待を寄せています。がんばって下さい。

芸術学部にソーシャルデザイン学科がある理由

社会のための学術

以下、日本学術会議が発行した「新しい学術の体系」という文章の抜粋です。現代社会が、みなさんのような学生を求めている理由が、ここにあります。是非、ご一読下さい。

引用元:http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-18-t995-60-2.pdf


講義の最後に、ソーシャルデザインの前提を確認しておきましょう

以上、本日のお話はここまでです。


本日の課題

本日の講義では、ソーシャルデザイン学科の紹介のあと、大学での学びとは、芸術学部での学びとは、さらにソーシャルデザイン学科での学びの前提についてお話しました。

講義科目というのは、講義を聞いて終わり・・ではありません。講義は「考えるきっかけ」を与えているにすぎません。
講義科目の目的は「講義で聞いたことを覚える」ことではなく、講義をきっかけにして、みなさん自身に自分の考えを築き上げてもらう・・ということです。

・・ということで、次回までの宿題です。


1. 学科サイト>SESSION>ソーシャルデザイン概論 にアクセス

以下のページにアクセスして下さい。
学科サイト>ソーシャルデザイン概論

2. IdeaNote のページに氏名を記入

3. 以下の事項について、あなたなりの考えを語って下さい。

今回の講義をきっかけに、以下の2点について、あなた自身の考えを語って下さい(正解はひとつではありません、あなた自身が自分の考えを人に語ることが大事なのです)。そして、それぞれの考えを相互に読みましましょう。

以下のパターン(グレー部分)をコピー、各自の IdeaNote のページにペーストして、それぞれ箇条書きで書き込みを行なって下さい。

**ソーシャルデザイン概論|2020.04.27
***大学での学び(高校までとの違い)
-◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
-◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯
-◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
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***アートとデザインの違い
-◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯
-◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
-◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
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学科サイトの編集方法は、ソーシャルデザイン演習/2020/0423で説明済みです。忘れた・・という方は、そのページをもう一度確認して下さい。


以上、第1回目は、これにて終了とします。


APPENDIX

第2回について

次回は、ソーシャルデザインの具体的な事例の紹介と、情報デザインを学ぶ上での基礎となる、人間社会における情報の歴史と様態 についてお話しします。

次回も同様に、授業開始前に、ページを更新・アップするので、授業時間を中心に、講義の文章を読んで下さい。最後に同様の課題を出しますので、学科サイトのIdeaNoteへの書き込みを行なって下さい。

おそらく私が担当する3回は遠隔授業が続くことが予想されます。教員は「授業のページ」に講義概要を記載し、受講生の方は、学科サイト上の各自のIdeaNoteのページで、自身の考え方を語る・・という流れで進めますので、以後、引き続き、よろしくお願いします。




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DATA

Last-modified: 2020-04-29 (水) 19:20:17