MovieEditing
AdobePremiereによる映像編集概説
はじめに
映像編集ソフトについて
従来のフィルムやテープをベースとした時系列逐次的な編集(リニア編集)に対し、ハードディスクのようなダイレクトアクセスが可能な記録媒体を使った編集のことをノン・リニア編集といいますが、現在は、デジタル環境で行うこのノン・リニア編集が主流です。
ソフトウエアには様々なものがありますが、一般によく利用されるのは、以下のようなものがあります。
- Adobe Premiere AdobeCCに同梱|ここではこれを使用します
- Avid Media Composer
- Corel VideoStudio
- CyberLink PowerDirector
- DaVinci Resolve
- Lightworks Freeware
- YouTube STUDIO クラウドツール
- iPhone iMovie スマートフォン用
- Adobe Premiere Clip スマートフォン用
- YouTube Capture スマートフォン用
本学実習室での準備
- UserField(PCローカル)を使います(座席は固定になります)。
- ホームディレクトリ(デスクトップを含む)では作業はできません。
- まずは以下の手順で環境を準備
- 1) UserField内に自分の学籍番号のフォルダをつくる
- 2) その中に今回の課題プロジェクト用のフォルダをつくる
- 3) 素材となる動画は、すべてその中に投入
参考:https://www.nhk.or.jp/archives/creative/material/
- 素材の規格、サイズ等の情報を知るには
素材をQuickTimePlayerで開いて ウインドウ>ムービーインスペクタ
撮影前の注意点
- iPhone による撮影では、設定>カメラ>フォーマットで「互換性優先」を選択するようにして下さい。「高効率」の動画データは、PCの編集ソフトが未対応で正しく処理できない場合があります(将来的には解消されます)。
- iPhone で真上や真下に向けて撮影する場合、重力センサーが縦構図か横構図かを正しく判定できないことがあります。横構図の場合は「一旦カメラを横構図で構えてから下を向ける」など、撮影時に工夫が必要です。
- 自動露出の場合、カメラの前の被写体が動くと、全体の明暗が大きく変化することがあります。明るさ一定にするには、自動露出をOFFにして下さい。
- オートフォーカスも同様、予期せぬピント移動が生じることがあるので、注意が必要です。本格的な撮影ではピントはマニュアルで操作します。
「撮影」という行為に関する留意点
- 以下のような撮影行為は絶対にしないよう、十分注意して下さい。
- 盗撮を疑われるような行動
- 列車の運行・車の通行の妨げとなるような行為
- カメラを向けられた人が不快感を感じるような行為
- 人物、住所、ナンバープレート等が写り込んだ動画のアップは、肖像権の侵害や個人情報の暴露といった問題を孕みます。十分注意して下さい。
- 被写体に気を取られて転落・転倒といった事故の可能性もあります。屋外での撮影の際には誰かにサポートしてもらうことをおすすめします。
作業の流れ(基本編)
Adobe Premiere CC を起動
- 新規プロジェクト を選択
- 作業フォルダ(プロジェクトの場所) > 上で準備したフォルダに指定
ワークスペース各ウインドウの役割
- 左上:クリップの再生
- 右上:シーケンスの再生(完成動画のプレビュー)
- 左下:プロジェクトウインドウ(素材をここに読み込み)
- 右下:シーケンスウインドウ(ここに素材を並べて編集)
素材(クリップ)の読み込み
- プロジェクトウインドウに素材となる動画ファイルを読み込みます。
以下のように3通りの方法があります。- メニュー>ファイル>読み込み
- プロジェクトウインドウ内で右クリック>読み込み
- あるいは素材フォルダからプロジェクトウインドウへ Drag&Drop
素材(クリップ)をシーケンスに配置
- プロジェクトウインドウにある素材を、シーケンスウインドウにDrag&Drop。
- 各クリップを調整しつつ、シーケンスに配列していきます(詳細後述)。
- Video と Audio はセットになっていますが、「クリップのリンクを解除」でバラバラにすることができます。
素材(クリップ)を最初にシーケンスに配置するときの注意
新規プロジェクトでは、シーケンスの設定(サイズ・フレームレート)があなたの素材とは合っていないことがあります。あなたの素材を最初にシーケンスに置く際に「設定が違います」との警告が出た場合は、「シーケンスの設定を、素材に合わせて変更する」として下さい。
タイトル・テロップの作成(必要に応じて)
- ファイル>新規作成>(レガシー)タイトル
- テキストツールで文字をタイプして、サイズ・色等を調整
- シーケンスウインドウでカーソルを動かすとタイトルの背景に動画を表示した状態で位置等をチェックすることができます。
- タイトルは作成中にプロジェクトウインドウに自動保存されます。
- 素材クリップと同様にプロジェクトウインドウからシーケンスにドラッグ
- タイトルクリップはデフォルトで5秒です(もちろん調整自由)。
- 背景は透明になので、上層のトラックに配置すれば映像に重なります。
シーケンスのプレビュー
- シーケンス上でタイムインジケータをスクラブ(こする)すると、全体の流れを動かしながら確認することができます。
- 再生ボタン又はスペースキーで連続再生・停止しますが、トランジションやフィルタのかかった部分はリアルタイムでは処理されないことがあります。
- 完成イメージを確認したい場合は、メニュー>シーケンス>レンダリング を行って下さい。スムーズに再生されるようになります。
処理されたファイルがプレビューフォルダーに書き出されますが、このファイルは最終的には不要になります。
ムービーの書き出し
- シーケンスウインドウ上部のワークエリアバーの部分が作品になります。
- シーケンスウインドウがアクティブな状態で、
- ファイル > 書き出し > メディア
- 形式:H.264 を選んで下さい(ファイルサイズを軽くすることが前提)。
- 「出力名」をクリックすると、保存先・保存名の変更ができます。
- 「書き出し」すると、********.mp4 という形式のファイルが、あなたのフォルダに書き出されます。これが完成映像です。
留意事項
最終的に完成する映像の規格(サイズ・フレームレート)は、あなたのカメラで撮影した素材と一致している・・というのが基本です。自分が使っているカメラの「撮影モード:サイズ、フレームレート」を確認し、すべての素材を同じモードで撮影するようにして下さい。
※高価なカメラを使えば画質がいい・・というのは当然です。大事なことは、自分のカメラの性能を最大限引き出す工夫をすること。スマートフォンでも正しく使えば、非常にきれいな動画が撮影できます。
動画編集の実際
用語の確認
- クリップ clip
動画素材のことです。様々な形式のデータが利用できますが、作品制作においては、少なくとも画面のサイズが揃っていることが必要です。 - シーケンス sequence
一般には「連続」「順序」という意味を持つ語で、映像編集では、時系列に並べられた動画の流れ全体を意味します。ひとつのプロジェクト内に複数のシーケンスを作ることができます。 - イン点 / アウト点 InPoint / OutPoint
クリップの中で使用する範囲を決めるもの。in点は開始点、out点:終了点
基本操作
- シーケンスの移動、時間拡大・縮小
- シーケンスウインドウの下にあるバーの中央をつかんで動かすと、全体シーケンス全体が移動します。
- バーの端を動かすと時間的な拡大・縮小になります。
- クリップのin点、out点の移動
シーケンス上で、クリップの左端・右端をマウスで移動させるだけです。
- シーケンスと素材のサイズをあわせる
シーケンスが扱っている画面のサイズと素材のサイズは一致していることが前提ですが、Photoshopで作成した静止画を挟む場合など、大きさが一致しない場合があります。その場合は、クリップを右クリック>フレームサイズに合わせる、またはフレームサイズに合わせてスケールを試して下さい。
- 再生速度・デュレーションを変える
スロー / 早回し / 逆転再生 などは、クリップを右クリック>速度・ディレーション で変更できます。逆転再生するには「逆再生」にチェッックするか、あるいは速度の値に -100% のような負の値を与えます。
- 映像と音声のリンク解除
クリップには映像と音声がセットになっています。これをバラバラにして一方を削除、あるいはズラす・・といったことをしたい場合は「リンクを解除」します。方法は、シーケンスに置かれたクリップを 右クリック>リンクを解除です。
基本エフェクト
クリップに対して、以下の操作が可能です。いずれも当該クリップを選択した状態で、クリップの再生ウインドウ(左上)にあるエフェクトコントロールタブを選択して作業します。
- モーション:位置(上下左右)、スケール(拡大・縮小)、回転
- 不透明度:100%が通常表示。0%で透明です。
- タイムリマップ:再生速度の変更
- ボリューム:音量の変更
これらについては、アニメーション、つまり位置が左から右へ、透明から不透明へといった時間軸上の変化を与えることができます。
- エフェクトコントロールタブで以下の操作
- タイマーアイコンをクリックしてアニメーションのON/OFF
- タイムカーソルを目的の位置に合わせて値を変化 > キーフレームが生成
- いくつかのキーフレームを設定
- キーフレームごとに値を設定
- プレビューウインドウで結果を確認 > 調整
ビデオエフェクト
- イメージコントロール・カラー補正:モノクロ、カラーバランス他
- クロップ:画面を空間的に切り抜きします。
注) 映像の世界では「トリミング」は時間軸上の切り抜きを意味します。
- スタビライザー:ブレた動画を滑らかに「安定化」させます。
ビデオエフェクト > ディストーション > ワープスタビライザー
- クロマキー合成:青や緑の背景を透明にして合成します。
ビデオエフェクト>キーイング>カラーキー
- トラックマットキー:白黒2値のパターンを特定のトラックに置いて、それに基づいて動画を組み合わせ合成させることができます。
ビデオエフェクト>キーイング>トラックマットキー
ビデオトランジション
- ディゾルブ
- ワイプ