Characters
文字は、人類最古の「遠隔・非同期」コミュニケーションツールです。
数万年前 | 言葉の発生 | 情報の交換・リアルタイムコミュニケーション |
BC4千年紀 | 文字の発明 | 情報の蓄積・非同期コミュニケーション |
105年 | 紙の発明 | 情報のモバイル化 |
1440年頃 | 活版印刷 | 情報の拡散 |
1945年 | コンピュータ | 情報処理の自動化 |
1989年 | WWW | 情報共有のグローバル化 |
そもそも「文字の誕生」を境に「先史時代」と「歴史時代」が分かれるので、歴史は文字とともにある・・ということになります。
文字は農耕革命と同時期に誕生しています。世界の4大文明で言えば、メソポタミア文明は楔形文字、エジプト文明はヒエログリフ、インダス文明はインダス文字、黄河文明は漢字。広大な土地・蓄積された富の記録や分配に記号が必要になったこと、また、肥大化した人間集団の支配・統制のためにルールの明文化が必要になったことなどが文字成立の要因と考えられます。くさび形文字の原型は、シュメール人の日用品や農産物の数を表すトークン(粘土玉)を粘土板に押し付けて記録したことにはじまると考えられています。
対面コミュニケーションによる意思疎通が可能な小さな集団であるとともに、食料をその場でシェアする狩猟採集社会では文字は不要。その証拠にアボリジニは文字は持ちません。
文字には音が連動するものと、そうでないものがあります。
対面コミュニケーション(音声言語とミラーニューロン)を代替する「文字」による情報の蓄積(外部記憶化)と共有には、光と闇がある。
文字は「農耕」によるキャリング・キャパシティーの突破、言い換えれば「人類の野生動物から離陸」とともにある。文字は「知の共有」と「多様な文化の成熟」に寄与する「希望」の道具であると同時に「一元的な文明の成長」に加担し人類を「破滅」へと導く刃でもある。
農耕革命によって人間の集団サイズはダンパー数*2をはるかに超えて拡大した。人間の感覚・記憶能力を超える広大な土地を支配するには、外部記憶とその共有システムが必要であり、また集団を統制するためには、ルールとそれを維持する組織が必要である。文字はそれらを「明文化」するために必須のものとなったのだと考えられる。
古代社会では一部の人間が文字を独占することで、支配者となった。一般の民は文字の効用を知らなかった(気づいていなかった)。
小集団で動く狩猟採集民は、文明社会にあるような戦争*3をしない。サン、ハッザ、アボリジニ、ヤノマミ(みな現在も狩猟採集生活を続ける)・・いずれも「文字」をもたない。
言語文法は自然発生的であるが、文字は多くの場合、恣意的・政治的に発生している。個人が文字の読み書きを身につけるには「教育システム」が必要である。
その意味では、成立がはっきりしない「かな」は特殊な存在である。