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情報デザイン演習IIA/2021/0412

第1週|テーマ設定

情報デザイン演習IIA/2021 2021.04.12
受講生2021 一覧

AGENDA

CONTENTS


はじめに

本科目、演習Aは「情報とメディアの歴史、原理、構造、機能についての「理解」を深めるとともに、ソーシャルデザインの観点から新たな情報環境の構築に関するデザイン提案を行う」ことを目的とした科目です。

ソーシャルデザインは「自分ゴト」から・・とよく言われます。1年次の演習では半径3m 〜 10m、2年次の演習では半径100m、3年次の演習では半径10km(すなわち地域社会)へと、徐々に活動の範囲を広げることをイメージしています。

この演習は「大学のキャンパス」を活動の舞台に行う予定でしたが、現在は人との接触を伴う行動の自粛が求められる状況下にあるため、基本的なコンセプトである「半径100m」は変えずに、同様の演習テーマを設定します。




演習の概要

演習テーマ

半径 100m の「 面白い! 」
 

求める成果物|前期全体を通して1つです。

選ぶテーマによって、公開に適した媒体は異なります。紙媒体、映像媒体、Web媒体、あるいはイベントのような時限つき「場」の提案。成果の最終形態(公開情報)は 以下のいずれでも構いません(組み合わせも可)が、成果物に至る過程で必要となるソフトウエア等が利用できるか否か、そのあたりもふまえて、方針を決めるようにして下さい。

参考事例

以下、先輩のプロジェクトの成果です(大学のキャンパスが舞台です)。

演習に必要なツール

各自のテーマに応じて、なるべくシンプルなツール(お金をかけずに準備できるもの)を使って下さい。演習A は「考える」ことに重きを置くので、ツールは何でも構いません)。
 パソコンが無い方は、スマートフォンのアプリ上で制作できるものでも構いません。Adobeのソフトウエアが無い方、オープンソースのフリーソフトウエアにも、十分実用に耐えるものがあります(というか、一般にオープンソースの方がユーザー視点でアップデートされているので、プロプライエタリなものより使いやすく優秀だったりします)。OpenSourceのページをご覧ください。

演習の進め方

デザイン思考(後述)のプロセスに沿って進めます。

「テスト」というのは、プロトタイプを試用する・・という意味で、「中間試験をします」という意味ではありません。




第1週 事前講義|デザイン思考

この演習では前期全体を通して、デザインプロジェクトのプロセスを体験していただきます。そこでこの初回にまず、デザインプロジェクトの進め方 に関わるデザイン思考 というものを(みなさんは2年生なので、すでにどこかで聞いていると思いますが)改めて紹介しますので、以下、ご一読ください。

デザイン思考とは?

デザイン思考|Design Thinking という言葉は1990年代にIDEOのデビッド・M・ケリー、ティム・ブラウンらが提唱したもので、デザイナーの思考のプロセスを体系的に言い表したものです。

DesignThinking.png

何か画期的な思考法かと思われがちですが、同様の思考法は、それ以外の分野、例えばソフトウエア開発、実験研究、野外調査など、あらゆる科学的な思考に見られるもので、特段新しいというわけではなく、またデザインの演習を体験したみなさんにとっては「あたりまえ」の思考方法と言えるでしょう*1
参考:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Design_thinking.png

近年この「デザイン思考」という言葉が話題になったおかげで、デザインというものについての世間一般の見方が変わったことは喜ばしいことです。以後、デザインとは、単に綺麗なカタチをつくればいいというような表面的なものではなく、モノ・コトの問題を正しく捉え、総合的な視点で試行錯誤を繰り返しながらそれを解決していく作業であるということが、多くの人に理解されるようになりました。

デザイン思考のキーワード

デザイン思考を説明する文献やWebサイトは数多く存在します。
まずは、それを図解で確認しましょう。 > GoogleImage:デザイン思考
以下、一般的なプロセスを説明するキーワードです。

以下、個々のプロセスについて概説します。

共感(Empathize)

まず「現場」の調査を行い、ユーザー(現地の方)が何を感じるかについて、知識を深めます。例えば地域デザインでは、現地のさまざまな人たちと会話し、今何が問題なのか、何が求められているのかを体験的に把握します。
 ここで重要なことは、その問題や要望にみんなが「共感」できるかということです。例えば、「観光客を呼び込みたい」という人と「静かに暮らしたい」という人が分裂している状態では、単純に問題が設定できません。多数決によって「観光客を呼ぶために、◯◯を設置しましょう」では、ダメなのです。この課題設定は「静かに暮らしたい」という人にとって共感が得られません。
 実は、今世の中にある「問題」の大半がこのレベルで頓挫しています。多数派(というか、力をもつ側)の要望に沿ってルールをつくって実行する・・というのが議会と行政のやりかたですが、これはみんなの共感が得られないので、結果的に別の問題を生み出すことになります。
 問題そのものに共感が得られない事象については、全体を同じルールでデザインするのではなく「棲み分け」を考える・・という選択が賢明であるように思います。つまり、そうした場合は、余計なものはつくらない・・という結論を下すこともデザイナーの役割であると思います。
 文化は多様で価値観も様々です。人間集団は大きくなると、うまくいきません。基本的に、デザイン行為は問題意識や希望を共有できる小さな規模の集団を対象にするのが賢明です。

問題定義(Define)

共感が得られた問題・要望について、これらを整理し、何が問題なのか、何をすべきなのか、問題と課題を明確にします。

ちなみに、問題(problem)と課題(issue)は違います。問題とは、あるべき姿と現状のギャップで、そのギャップを埋める方法が課題です。例えば
「村が孤立して住民が困っている」というのは「問題」。
「物資を届ける」「住民を移動させる」「橋を架ける」などは「課題」。
一般にひとつの「問題」に対して、いくつもの「課題」が設定できます。

アイデア創出(Ideate)

まずブレインストーミングなどを行って、様々なアイデアを出します。このとき、批判はいけません。どんな荒唐無稽なアイデアでも、そこから突破口が見出せることもあります。自由に発想することが大切です。

プロトタイピング(Prototyping)

いくつかのアイデアを、実際にさわれるカタチ、あるいは運用できる状態にします。プロダクトの場合は模型、実寸模型、Webサイトなどの場合は、内容はダミーで、インターフェイスを中心にサンプルをつくります。

検証(Test)

プロトタイプをユーザー(現地の方)に試してもらいます。プロトタイプは、即OKとなることは稀です。そこで生じる問題を洗い出し、プロトタイプに修正を加える・・この作業をくりかえします。

実装(Implement)

試行錯誤を重ねたプロトタイプを現場に実装します。これで終わりではありません。その後の経緯を追跡し、運用後に新たな問題が生じていないか注意深く見守る必要があります。その結果は次のプロジェクトに応用されることになります。



第1週 演習課題|今週の学習要件

次回までに、以下のことについて 考え、発見し、それを整理して下さい。

1. 半径100m 以内にある「面白い!」テーマを発見する

本演習における、あなたのプロジェクトのテーマとなるネタを探して下さい。以下を参考に、3つ以上の仮テーマを見出してください。次週、その中から一つを選択して、本テーマとして、そのデザインプロジェクトに着手します。

身近にある「生の現実」を、文字や画像でまとめた冊子(PDF)をつくる
身近にある「問題」を解決するアイデアを HowTo動画などにまとめる
人生の楽しみ方、暮らしのアイデアを冊子やWeb上ににまとめる

・・などなど、様々なテーマが想定できます。

2. 参考となる情報を探す

自身のテーマに近いもの、コンセプトの参考となるもの、アイデア創出の参考となるもの、また制作にあたって技術上の参考となるものなど、Web検索で見出すとともに、そのURLと、閲覧中に気づいたことなどをメモして下さい。

3. 学科サイト情報デザイン演習IIA への書き込み

第1週の進捗報告を記載する欄を、学科サイトの個人ページ に、以下の形で用意しています。それぞれ書き込み・更新をお願いします。

**2021.04.12
***プロジェクトのテーマ候補(3件以上)
-◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯
-◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
-◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ 
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***参考リンク
-◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯
-◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
-◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯
-◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯、◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ 
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第1回は、以上をもって終了とします。
時間に余裕があれば、以下に記載の「付記」にも目を通して下さい。



APPENDIX

第2-3週 について

次回も同様に、授業開始前に、ページを更新・アップするので、授業時間を中心に、演習の説明を読んで下さい。

次回は、現状分析・調査についてお話しします。みなさんはそれを受けて、第2-3週の演習に着手して下さい。

K'sLife の負荷軽減のため、連絡通知」は使用しませんので、「授業のページ 」をブックマークして、時間割上の当該時刻になったら、授業のページを訪問して下さい。


付記:デザイン思考とPDCAの違い

デザイン思考の図式とよく似たものに PDCAの図式があります。PDCA は、事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進めるための手法で、いわば工場でモノをつくる場合に適用されるものです。昨今は、これをそのまま人と社会の問題解決や、大学における「教育の管理」にまで持ち込もうとする発想が横行していて、個人的には不快感を感じています。
 人も社会も「製品」ではありません。人や社会に関わるデザインの評価を「工業製品」と同様の方法で行うのは無理がある。私はそう感じています。

以下、検索して、賛否両論をご確認ください。
Google:デザイン思考 PDCA

PDCAの特徴と問題

以上、個人の感想です。






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GUIDE

DATA


*1 さて、この「デザイン思考」、これ、そんなに声高に言わなくても、例えば「みんなで遊ぼう」とか、何か事を起こそうとした場合には、子供でもふつうそんなふうに考えるものだと思うのですが、どうやら最近の人たちは「みんなで遊ぶ」という体験が乏しいのか、あるいは、教育の弊害で、教科書的な説明がないと不安になるのか、「こういう順番で進めましょう」という「箇条書きと図解」がなされたことによって、そのプロセスが改めて「見える化」され、巷で話題になっている状況・・と言えるでしょう。
Last-modified: 2021-04-12 (月) 13:35:34