Digital Audio Workstation
デジタル・オーディオ・ワークステーション(略称DAW)とは、音声の録音、編集、ミキシングなどの一連の作業を担うソフトウエアのことです。音声情報(Wave)と演奏情報(MIDI)の両方を同時に制御できるものが一般的です。
はじめに
DTM(DeskTopMusic)に必要なもの
現在では、PCやタブレット上にソフトウエアキーボードが表示されるので、PC,タブレット,スマホなどの本体とDAW(ソフトウエア)があれば作曲が可能ですが、外付けのハードウエアがあることで、より本格的に環境が整います。
- 音声情報の入力機器 → PCの音声入力端子 / USB端子 / Bluetooth
- マイクロフォン
- マイクロフォンミキサー、LINEミキサー
- 演奏情報の入力機器 → (MIDIアダプター) → USB端子
- MIDIキーボード
- MIDI信号を出力できるウインドシンセ、ギター、ドラム
- 音楽の編集
- PC / タブレット 等の本体
- DAW (基幹ソフト)
- 音源
- ソフトウエア音源(一般にDAWに同梱 ・ プログラム的に波形を生成)
- 音源ユニット(MIDI信号を受けて音を出すハードウエア音源)
- 音源ボード(PCにオンボードされたハードウエア音源)
- 音の出力 ← PCの音声出力端子 / USB端子 / Bluetooth
- スピーカ
- ヘッドフォン
- 接続ケーブル
DAWの例
- Ardour オープンソース Win Mac Linux
- Cakewalk by BandLab Free Win
- GarageBand Mac標準
- CUBASE 商用 Win Mac
- SONAR 商用 Win
音声情報と演奏情報
DAWでは、大きく2種類のデータを扱います。
音声情報
音声データ(PCM)とは音のアナログ波形を時間経過と電気信号レベルでデジタル化して記録したものです。
例えば、サンプリング周波数44.1KHz、量子化16ビットであれば、音声波形の一秒間を44,100箇所、各箇所を0〜65535段階のレンジで数値化した情報を記録します。
16bit = 2byte ですから、1秒分の情報量は 44100 x 2 = 88.2KB / 秒
例えば、ステレオ(左右2チャンネル)で1分間録音すると、単純計算で、
88.2KB x 60秒 x 2チャンネル = 10.584MB / 分
音楽CD(RedBook 640MB)を例にとると、
640MB ÷ 10.584MB = 60分 記録できる・・という話になります。
GarageBandでは、リアル音源(Vocal)とギタートラックが扱うデータがこれにあたります。
演奏情報
演奏情報(MIDIデータ)とは、どんな楽器を使って、いつ、どの高さの音を、どれぐらいの音量で鳴らすか・・・つまり譜面上のひとつひとつの音情報をデジタル化したものです。具体的な波形データを持つわけではないので、同じ1小節分でも、記録に必要な情報量は非常に小さくなります。
GarageBandでは、ソフトウエア音源(piano、base、brassなど)のトラックに記録されるのが、この演奏情報です。
補足
- 音声情報は、時間サイズに比例してファイルサイズが大きくなりますが、演奏情報は要素が少なければファイルサイズは大きくはなりません。
- 視覚情報に例えると、音声情報は画像(ラスターデータ)、演奏情報は図形(ベクターデータ)に相当します。
- 音声情報は、異なるハードウエアで再生しても基本的に同じ音になりますが、演奏情報は、PCが持つ音源(ソフトウエア音源)あるいは接続された音源を使って音を出力するため、その音源が異なれば、ちがった音になります。
楽曲の制作
楽曲制作には、1) ループ音源を並べる、2) ステップレコーディング、3) リアルタイムレコーディング の3つの方法があります。
ループ音源を並べる
ループ音源とは、数小節単位のプリセットフレーズで、今日のDAWには、楽器ごとに、様々なジャンルの素材が、多数登録されています。
基本的にはこれを並べるだけ・・という発想なので、音楽の知識や演奏スキルなしに、誰にでも簡単に音楽制作が楽しめます。
ただし、ループ音源は特定のキーで作られているので、単純に並べるだけだと、コードの変化が生まれません。コード進行させるには、ループを配置したあとでそれぞれのピッチを変更( 単純な C → D など)、あるいは、手動で個々の音を移動( C → Dm7 など )する必要があります。
- 音声情報のループ
- 数小節単位に記録された音声情報
- GarageBandの場合、ループのアイコンが「波形」になっています。
- ピッチの変更で、キーの変化( 単純な C → D など)に対応させることができますが、コードの種類の変更( C → Dm7 など )はできません。
- 演奏情報のループ
- 数小節単位に記録された演奏情報
- GarageBandの場合、ループのアイコンが「音符」になっています。
- ピッチの変更で、キーやコードの変化に対応させることができます。ただしコードの種類の変更( C → Dm7 など )では、構成音の関係を手動で移動する必要があります。
ステップレコーディング
いわゆる「打ち込み」のことで、ピアノロールあるいは5線譜を表示して、音符をひとつづつ書きこんでいくのがステップレコーディングです。
- 音声情報のステップレコーディング
- 「音声」はリアルタイムの波なので、原理的にこれは存在しません。
- 演奏情報のステップレコーディング
- リアルタイムレコーディング同様に、MIDI機器を接続あるいは、ソフトウエアキーボードやパッド(画面に表示されるもの)を使って入力する方法もありますが、マウス等のポインティングデバイスで一つづつ画面に書きこんでいくこともできます。
- ボーカロイド用に歌詞(言葉)を綴っていくのも、これと同じ扱いです。
- GarageBand+マウスの場合
[Command] + [クリック]で、ピアノロール上にポイント入力できます。 - GarageBand+MIDIキーボードの場合
MIDIキーボードの鍵盤入力でカーソルの位置にポイント入力できます。 - GarageBand+ソフトキーボードの場合
[Command] + [K]でソフトキーボードが出現。その後、ソフトキーボード上[A]のアイコンで、PCのキーボード上のASD・・でカーソルの位置にポイント入力できます。
リアルタイムレコーディング
メトロノームに合わせて一発録り・・・というのがリアルタイムレコーディングです。 一般的には、ドラムスやベースなどのリズムセクションを先に打ち込んで、それを聞きながら演奏します。
- 音声情報のリアルタイムレコーディング
- マイク入力:ボーカル、ドラムス、アンプのスピーカからでる音など
- ライン入力:ギター、ベース、電子ドラム等、直接接続可能なもの
- 演奏情報のリアルタイムレコーディング
- ピアノ、ベース、ブラス、ドラムスなど、いずれもMIDIキーボード、MIDIコントローラを接続して演奏、あるいはタブレット等では直接画面をタップするかたちで演奏入力します。
- GarageBand+MIDIキーボードの場合
MIDIキーボードの鍵盤でリアルタイムレコーディングができます。 - GarageBand+ソフトキーボードの場合
[Command] + [K]でソフトキーボードが出現。その後、ソフトキーボード上[A]のアイコンで、PCのキーボード上のASD・・で音はリアルタイムに出ますが、反応が鈍いので実用的ではありません。
MIDI
MIDI(Musical Instruments Digital Interface)は、シンセサイザーやPCなどのデジタル機器において音楽情報を交換するための規格(1983制定)で、これを用いると、タッチの強弱を含む発音のON/OFF、ベンド、音色切り替えなど、リアルタイムでの演奏制御が可能になります。
MIDIのデータは、ステータスバイト(情報の種類)とデータバイト(内容)の二つをセットにした計2バイトが一単位で、通信速度 31250bps で送受信されます。これによって、様々な電子楽器間での演奏情報のリアルタイム交換や、楽曲のデジタルファイル化などが可能になっています。
- Melodic sounds
GM(General MIDI)規格で128種類の音色が定義されています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/General_MIDI
- Percussion notes
GM規格で、10チャンネルがパーカッションのために予約されていて、
各ノートナンバー(ドレミ・・)に異なる楽器が割り当てられています。