#author("2019-04-06T08:49:11+00:00","default:inoue.ko","inoue.ko") *複雑系 Complex System ~ **はじめに おそらく皆さんが、これまで数学や物理で学んだ「予測」の手法は、 以下の2つのタイプに分類されると思います。 ~ ***決定論的なもの 状況の変化が、数式によって決定的に定まるもので、誤差がほとんどない決定的な「予測」が可能です。 例:等加速度運動をする物体のt秒後の位置の予測 ~ ***確率論的なもの 数式モデルで記述するには問題が複雑なため、例えば100回のうち10回は、事象Aが起こる・・・といった確率の問題として「予測」がなされます。 例:サイコロの出る目の予測 ~ で、複雑系とは、その中間にある現象と位置づけることができます。 ~ ***複雑系(Complex System) つまり、数式(漸化式:recurrence formula )による決定的な記述ができるにも関わらず、そのふるまいが複雑で、予測がつけにくい(決定論的な系におけるカオス現象)。また、わずかな初期値の変動が結果に大きく影響するような現象・・ということができます。私たちの身の回りにある多くの現象に、複雑系の性質が見られます。 -気象現象 -生態系、生物圏 -脳、神経系、免疫系 -経済現象、社会システム などなど ~ ~ **複雑系の特徴 -開いた系であること -非線型性(小さな初期値の違いが大きな違いを生む) -フィードバックループの存在 -自律分散協調性 -創発性 -入れ子にできる (複雑系の要素はそれ自身複雑系) -動的ネットワークの多様性 -境界の決定が困難であること [[MandelbrotSet>https://koichi-inoue.github.io/MandelbrotSet/]] -系の変化の履歴(記憶)をもつ ~ **参考 ***関連ページ -GenerativeArt -Scale-freeNetwork -Distribution -再帰図形 --https://github.com/koichi-inoue/RecursiveTree --https://koichi-inoue.github.io/RecursiveTree/ -マンデルブロ集合 --https://github.com/koichi-inoue/MandelbrotSet --https://koichi-inoue.github.io/MandelbrotSet/ ~ ***Web -[[Wikipedia:複雑系]] -[[Wikipedia:複雑系科学]] -[[Wikipedia:非線形科学]] -[[Wikipedia:カオス理論]] ~ ***文献 -酒井 敏, 京大的アホがなぜ必要か &small(- カオスな世界の生存戦略 -);, 集英社新書, 2019 -蔵本由紀, 非線形科学, 集英社新書, 2007 -金子邦彦, カオスの紡ぐ夢の中で, 小学館文庫, 1998 -吉永良正, 「複雑系」とは何か, 講談社現代新書, 1996 -吉成真由美, サイエンスとアートの間に &small(- フラクタル美学の誕生 -);, 新書館, 1986 -山口昌哉, カオスとフラクタル - 非線形の不思議 -, Blue Backs, 1986 ~ ~