「若者の焼酎認知を向上させるデザイン研究」の版間の差分
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==背景== | ==背景== | ||
− | + | 2007年を機に焼酎消費量は下降に転じ、2017年までの10年間で焼酎販売数量はピーク時(2007年)の約8割まで減少した <ref>国税庁酒のしおり(平成31年3月) 酒類販売(消費)数量の推移</ref>。一方で、焼酎は500年以上の歴史を持つ國酒であり、クールジャパンの一品目として文化的な側面においても評価されており、安定した業界の成長が求められている。しかしながら、多数の中小酒蔵によって発展し、今もなお地域に根ざした地域性の高い酒である性質上、日本全国における焼酎への理解は清酒と比べ大きな差がある。これらの現状を踏まえ、次代の焼酎消費と正しい認知を担う若者間で、焼酎消費を増加させる第4次焼酎ブームの火付けが求められていると考える。 | |
==目的== | ==目的== | ||
− | + | 本論では、焼酎業界における若者への広報活動の実態を明らかにする。また、若者の飲酒習慣の実態と焼酎への関心、若者が焼酎を飲むようになるまでの経緯を明らかにする。以上により、若者に効果的な焼酎広報の要件を明らかにする。 | |
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==研究の方法== | ==研究の方法== | ||
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本研究では、既往研究や関連書籍での基礎調査後、若者を対象にしたユーザ調査と、広報活動を行う酒造組合を対象にした業界調査を行う。 | 本研究では、既往研究や関連書籍での基礎調査後、若者を対象にしたユーザ調査と、広報活動を行う酒造組合を対象にした業界調査を行う。 | ||
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==調査== | ==調査== | ||
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既往研究及び文献調査より、焼酎の魅力である訴求ポイントを整理した。 | 既往研究及び文献調査より、焼酎の魅力である訴求ポイントを整理した。 | ||
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===ユーザ調査=== | ===ユーザ調査=== | ||
飲酒習慣のある20代の男女66名にWEBアンケートを実施した。また、焼酎の広報活動の認知を追加調査を実施した。 | 飲酒習慣のある20代の男女66名にWEBアンケートを実施した。また、焼酎の広報活動の認知を追加調査を実施した。 | ||
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66名のWEBアンケートのうち飲酒実態における質問内容に完全回答であった46名の回答を、焼酎を飲む若者と飲まない若者の回答で分け、飲酒実態の比較分析した。 | 66名のWEBアンケートのうち飲酒実態における質問内容に完全回答であった46名の回答を、焼酎を飲む若者と飲まない若者の回答で分け、飲酒実態の比較分析した。 | ||
====イメージ調査==== | ====イメージ調査==== | ||
− | + | 既往研究を参考に<ref>多変量解析による酒類の消費者ニーズ分析-若年層消費者へのアンケートに基づく考察-(2008年10月)富川 泰敬</ref>、焼酎のイメージを31項目のキーワードに対し5段階評価で回答してもらった。焼酎を飲む若者と飲まない若者の回答で分け、項目毎のイメージ平均値を出し、両者のイメージに差があるかをt検定を用いて算出した。両者のイメージに優位な差がない18項目、優位傾向のある4項目、優位な差がある9項目を算出した。 | |
====関心調査==== | ====関心調査==== | ||
ユーザと焼酎に関する経緯や、焼酎のどのような情報に興味があるのかを収集した。 | ユーザと焼酎に関する経緯や、焼酎のどのような情報に興味があるのかを収集した。 | ||
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====アンケート調査==== | ====アンケート調査==== | ||
酒造組合の組織体制、組合間の関係性・広報活動等について日本酒造組合中央会にアンケート調査を依頼している。 | 酒造組合の組織体制、組合間の関係性・広報活動等について日本酒造組合中央会にアンケート調査を依頼している。 | ||
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+ | 焼酎を飲む若者と飲まない若者間で変わることのない18項目のイメージをコアなイメージとして抽出できると考える。また、イメージに差のある9項目と差の傾向のある4項目のイメージを活用することで、焼酎を飲まない若者に焼酎を訴求する糸口になると考える。 | ||
+ | 日本酒造組合中央会には47都道府県単位の酒造組合及び酒造連合会が加入しており、清酒と焼酎の組合員がどちらも所属している。その為、清酒の多い県組合や焼酎の多い県組合もあり、広報活動の仕組みや自治体との協力体制・連携に差があると考える。また、それぞれ必要なPRの方法は変わると考えられる。 | ||
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==参考文献・参考サイト== | ==参考文献・参考サイト== | ||
− | * | + | *国税庁酒のしおり(平成31年3月) 酒類販売(消費)数量の推移 |
− | * | + | *多変量解析による酒類の消費者ニーズ分析-若年層消費者へのアンケートに基づく考察-(2008年10月)富川 泰敬 |
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2020年8月5日 (水) 16:31時点における最新版
- 冨森崇文 / 九州大学大学院芸術工学府
- TOMIMORI Takafumi / Graduate School of Design, Kyushu University
Keywords: Promotion, publicity
- Abstract
- This is the study to clarify the actual situation of PR activities for young people in the shochu industry. In addition, I will clarify the actual situation of young people's drinking habits, their interest in shochu and how young people began to drink shochu. Through the above, I will clarify the requirements for effective shochu promotion for young people.
目次
背景
2007年を機に焼酎消費量は下降に転じ、2017年までの10年間で焼酎販売数量はピーク時(2007年)の約8割まで減少した [1]。一方で、焼酎は500年以上の歴史を持つ國酒であり、クールジャパンの一品目として文化的な側面においても評価されており、安定した業界の成長が求められている。しかしながら、多数の中小酒蔵によって発展し、今もなお地域に根ざした地域性の高い酒である性質上、日本全国における焼酎への理解は清酒と比べ大きな差がある。これらの現状を踏まえ、次代の焼酎消費と正しい認知を担う若者間で、焼酎消費を増加させる第4次焼酎ブームの火付けが求められていると考える。
目的
本論では、焼酎業界における若者への広報活動の実態を明らかにする。また、若者の飲酒習慣の実態と焼酎への関心、若者が焼酎を飲むようになるまでの経緯を明らかにする。以上により、若者に効果的な焼酎広報の要件を明らかにする。
研究の対象
本論における「焼酎」と「若者」の定義を明確にする。
本論における「焼酎」
焼酎は単式蒸留焼酎・連続式蒸留焼酎・混和焼酎の3つに区分される。本研究対象は九州を中心に昔ながらの蒸留法で製造されている単式蒸留焼酎(以下焼酎と称する。)を研究対象とする。その理由は以下の2つである。単式蒸留焼酎は500年以上の歴史を持ち、日本酒と同様に國酒として、日本古来の酒として高く評価されていること、次にこれらの製造を行う酒蔵は、多数の中小規模の酒蔵で構成されており、業界全体として慢性的な人員不足、広告力不足に陥っているということ、以上である。
本論における「若者」
若者における焼酎消費量の増加、次代の焼酎愛飲者に育つことを目指し、飲酒歴の浅い「20代」を対象とする。また、アルコール摂取が可能かどうかは飲酒者の体質や健康に大きく左右される為、全く飲酒をしない若者を対象から除く。このことから、調査対象者を「飲酒の習慣がある20代」と設定する。
研究の方法
本研究では、既往研究や関連書籍での基礎調査後、若者を対象にしたユーザ調査と、広報活動を行う酒造組合を対象にした業界調査を行う。
基礎調査
焼酎の日本伝来及び日本での成熟の経緯、焼酎の製造や健康リスクについて等、焼酎における基礎研究を文献や既往研究より調査する。また、1970年以降の3度にわたる焼酎ブームについても同様に行う。
ユーザ調査
飲酒習慣のある20代男女へのユーザ調査を行う。焼酎のイメージや焼酎への関心、酒類業界における焼酎の広報活動に関する定量調査を行い、後に1対1のデプスインタビューにより定性調査を行うことで、若者の焼酎に対する深層心理に迫る。
業界調査
酒造組合をはじめとした焼酎の広報を担う団体を対象にアンケート調査を行う。組織の実態や広報活動における実態や課題を明らかにする。
調査
基礎調査
既往研究及び文献調査より、焼酎の魅力である訴求ポイントを整理した。
ユーザ調査
飲酒習慣のある20代の男女66名にWEBアンケートを実施した。また、焼酎の広報活動の認知を追加調査を実施した。
飲酒実態調査
66名のWEBアンケートのうち飲酒実態における質問内容に完全回答であった46名の回答を、焼酎を飲む若者と飲まない若者の回答で分け、飲酒実態の比較分析した。
イメージ調査
既往研究を参考に[2]、焼酎のイメージを31項目のキーワードに対し5段階評価で回答してもらった。焼酎を飲む若者と飲まない若者の回答で分け、項目毎のイメージ平均値を出し、両者のイメージに差があるかをt検定を用いて算出した。両者のイメージに優位な差がない18項目、優位傾向のある4項目、優位な差がある9項目を算出した。
関心調査
ユーザと焼酎に関する経緯や、焼酎のどのような情報に興味があるのかを収集した。
業界調査
プレヒアリング調査
日本酒造組合中央会・福岡県酒造組合に行き、業界の仕組みや課題を調査していく為のプレヒアリング調査を行なった。
アンケート調査
酒造組合の組織体制、組合間の関係性・広報活動等について日本酒造組合中央会にアンケート調査を依頼している。
考察とまとめ
焼酎を飲む若者と飲まない若者間で変わることのない18項目のイメージをコアなイメージとして抽出できると考える。また、イメージに差のある9項目と差の傾向のある4項目のイメージを活用することで、焼酎を飲まない若者に焼酎を訴求する糸口になると考える。 日本酒造組合中央会には47都道府県単位の酒造組合及び酒造連合会が加入しており、清酒と焼酎の組合員がどちらも所属している。その為、清酒の多い県組合や焼酎の多い県組合もあり、広報活動の仕組みや自治体との協力体制・連携に差があると考える。また、それぞれ必要なPRの方法は変わると考えられる。
脚注
参考文献・参考サイト
- 国税庁酒のしおり(平成31年3月) 酒類販売(消費)数量の推移
- 多変量解析による酒類の消費者ニーズ分析-若年層消費者へのアンケートに基づく考察-(2008年10月)富川 泰敬