「一般生活者に向けた配色サービスツールのデザイン研究」の版間の差分

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; 王曦 / 九州大学大学院芸術工学府
 
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: WANG, Xi / Graduate School of Design, Kyushu University
 
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; 池田美奈子 / 九州大学大学院芸術工学研究院
 
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: IKEDA, Minako/ Faculty of Design, Kyushu University 
 
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: ''Keywords: service tool, color scheme
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''Keywords: color scheme, user experience design, service tool  
  
  
 
; Abstract
 
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: Lorem Ipsum is simply dummy text of the printing and typesetting industry. Lorem Ipsum has been the industry's standard dummy text ever since the 1500s, when an unknown printer took a galley of type and scrambled it to make a type specimen book. It has survived not only five centuries, but also the leap into electronic typesetting, remaining essentially unchanged.
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: In recent years, color scheme websites that provide color scheme creation and color scheme proposals such as Adobe color have become popular.However, these color schemes are provided mainly for specialists in art and design.There is a need for color schemes not only for specialists but also for the general public, and I think color scheme service tools are necessary for that purpose.The purpose is to investigate and analyze the contents and functions of existing color scheme service tools, and to clarify the gap between the current color scheme service tools and the color scheme needs of ordinary consumers.
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==背景と目的==
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[[ファイル:図1配色ウェブサイトAdobe Color.png|thumb|right|350px|図1.配色ウェブサイトAdobe Color]]
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 配色構成は、単色にはない多くの効果が期待される<ref>[1]朝倉邦造(1991).『色彩学事典』.朝倉書店,pp. 196</ref>。例えば、色の見やすさについて、大島(1953)は明度差の大きな色の組み合わせは視認性を高めるとしている<ref>[2]大島正光:色彩の生理・心理,色彩調節,pp. 93-97, 技術堂(1953).</ref>。しかし、明度差などの色彩知識を理解するためには一定の知識が前提となる。同時に、配色を判断するには実践経験を積むことも重要である。よって手軽に最適な配色を決めることは難しい。
  
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 近年、Adobe colorのような配色作成、配色提案を提供する配色ウェブサイトが一般化している。これらの配色サービスツールを使うことで、色の組み合わせを考える時間が節約でき、色彩のインスピレーションも得られるメリットはある。しかし、それらの配色ウェブサイトは主に美術やデザインなどの専門家に向けに提供されている。
  
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 一方、一般生活者は暮らしの様々な場面で配色を考えている。例えば、手持ちの服で違った配色を試したり、仕事で配色を考慮してプレゼン資料の内容をより伝わりやすくしたりしている。よって配色に対するニーズは専門家だけでなく、一般生活者にもあり、そのための配色サービスツールも必要ではないだろうか。
  
==はいじめに==
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 したがって、本研究は、以上の背景を踏まえて、既存の配色サービスツールのコンテンツや機能を調査・分析し、現行の配色サービスツールと一般生活者の配色ニーズのギャップを明らかにすることを目的とする。
[[ファイル:図1配色ウェブサイトAdobe Color.png|right|400px|図1.◯◯◯◯]]
 
 配色構成は、人間生活のさまざまな機能、情緒の意味表現において単色で見られない数多くの効果が期待される<ref>[1]</ref>。例えば、多くの人がプレゼンテーションを行う機会があり、発表の内容が聴衆に伝わるため、その内容に加えて文字の大きさや色の見やすさなどの視覚的な要素が大きく影響する。そこで、色の見やすさについて、大島(1953)<ref>[2]</ref>は黄色と紫など明度差の大きな色の組み合わせが視認性が高くなっていると指摘している 。しかし、明度差などの色彩知識を理解するためには一定の学力が前提となる。同時に、配色をするとか配色がよいとか、その原因のひとつに実践経験を積むことが重要である。よって色の基本がわかるが、手軽に最適な配色を決まることは簡単ではないと考える。
 
  
 近年、Adobe colorのような配色作成、配色提案を提供する配色ウェブサイトが一般化している(図1)。これらの配色サービスツールを使うことで、色の組み合わせを考える時間が節約でき、色彩のインスピレーションも得られるメリットがある。しかし、ウェブサイト分析ツール「SimilarWeb」を通して、それらの配色ウェブサイトの利用者は主に美術やデザイン関係者であり、グラフィックデザインやウェブデザインに興味があるからこそ利用する状況が多い。さらに、一定の配色知識を持つといった前提で、配色作成などの機能はインタフェースで操作しやすくになっているが、非専門者にとって数多くの色の中から適切な組み合わせを作ることがかなり困難と考えられる。そのため、配色ウェブサイトのような配色サービスツールは非常に専門性が高いイメージが持たれている。
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==研究方法==
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 まず既存の配色サービスツールの種類及び各コンテンツ・機能を調査し、配色サービスツールの役割を明らかにする。次に、既存の配色サービスの機能、一般生活者のどんなニーズに応えようとしているのかを調査する。次にアンケート調査によって一般生活者の実際の配色のニーズを明らかにする。最後に既存の配色サービスツールの機能とユーザーのニーズを照らし合わせ、両者のギャップを確認する。
  
 一方、一般生活者にとって暮らしの様々な場面で配色を意識しながら生活していると言える。例えば、手持ちの服の違った配色の可能性を見つけることや、仕事で配色を考慮してプレゼン資料の内容をより伝わりやすくすることなど。そのため、配色ニーズは美術やデザインなどの専門者だけのものではなく、配色サービスツールも同様に一般生活者にも必要ではないだろうか。しかし、配色ウェブサイトのような既存の配色サービスツールは主に美術やデザイン関係者が利用している現状である。また、配色ウェブサイトで取集された配色の提案は主にデザイン作品やイラスト作品を中心として、生活情景と離れってしまっていることも、既存の配色サービスツールは一般向けにはうまく機能していないのではないかと考える。
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==先行研究と考察==
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 色彩と消費者の生活との関係に着目する研究では、“Why People Buy: Motivation Research and its Successful Application”(Cheskin,L. 1959)があり、主にマーケティングの視点から色彩の多様性がどのように消費者の生活に影響を与えるかを論じている。
  
 したがって、本研究では一般生活者は配色サービスツールが必要であることを踏まえて、既存の配色サービスツールをひとつのプロセスとしてそれらのコンテンツや機能などの調査・分析を行い、現行の配色サービスツールと一般生活者の配色ニーズにおける問題点を明らかにすると目的とする。
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 消費者の実生活における配色知識や配色能力に着目した先行研究は管見の限り見当たらないが、渋川、高橋(1983)は一般生活者に向けた『配色事典』を出版し、ベストセラーとなった。このことから一般生活者は色彩を用いてコーディネートをしており、色彩の専門知識に対してもニーズがあると考えられる。
  
==研究の方法==
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 配色サービスツールのデザインに関する先行研究では、『イメージ語のクラスタリングを利用した配色支援システム』(小川、萩原,2016)が挙げられる。この研究では専門家を対象に一定の配色技法の経験を持った上で、より勉強しやすく、調和的な配色システムを提案している。しかし、既存の配色サービスツールに関する調査・分析を行った研究は管見の限り見当たらない。
[[File:HanakoKyusanFig01.jpg|thumb|right|200px|図1.◯◯◯◯]]
 
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 これはやっと風車は明るくことましとセロも少しないんたた。「毎日の前のポケットへ。」何はなるべくつめたまし。こんな前のきょろきょろなおるまし医者たた。ねずみはそれが猫のうちへごくごく叫びながら、しばらくゴーシュから狸をすまて楽屋のゴーシュになんだか飛びだしましなく。すると猫がいっしょなおるてかっこうをしてちらちらゴーシュみたいないなかで叩くの巨にやり直しだだ。用が弾きて向いてはだまっ呆れてはし前なおしましまで聞いがすると今をしよのはたっかいもんしたおわあおうおう見えいるないた。
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 よって本研究は、既存の配色サービスツールのコンテンツ、機能を明らかにしながら、専門家に留まらず、一般生活者のニーズも踏まえて、より効果的な配色サービスツールの可能性を検討することに独自性がある。
{{clear}}
 
  
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==配色サービスツールの現状調査と考察==
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[[ファイル:配色サービスツールの現状調査.jpg|thumb|right|300px|表1.配色サービスツールの現状調査]]
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 現行の配色サービスツールが果たしている役割を明確にするため、既存の配色サービスツールとして配色カードや配色の参考書、配色ウェブサイト、配色アプリについて、対象ユーザー、機能、コンテンツなどの調査を行い、その結果を表1にまとめた。
  
==調査結果==
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 既存の配色サービスツールのうち、配色カードの利用者は主に色彩の専門家である。配色カードの役割は「正確な色を伝える」ことと「カラートレニーング」である。配色の参考書は「色彩の知識・情報」と「具体的な配色提案」を多様な切り口で提供する。配色アプリは利便性が高く、手軽に「色彩の検索・記録」ができる。配色ウェブサイトは主にプロのクリエーターを対象としており、簡単に配色を作成できる。PGC(Professional generated content)<ref>[3]PGC(Professional generated content):PGC which is more specialized than UGC(User generated content) is the content created by special groups with professional skills and technique (Ai, 2016)</ref>として配色を提案するコンテンツも注目されている。
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 以上より、既存の配色サービスツールには「正確な色彩情報の伝達」、「配色作成」、「配色提案」の3つ役割があることがわかった。
  
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==配色ウェブサイトの調査・分析==
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 Google検索エンジンを用い、「配色に困る」、「配色サービス」、「配色サービスツール」をキーワードとして検索した34のサイトをリストアップし、調査したところ「配色作成」、「配色提案」、「カラーコードの掲載とコピー」、「配色提案の保存とダンロード」、「キーワードで配色提案が検索できる」、「意見投票(良いね、シェアなど)」の主に6つの機能があることがわかった。またサイトごとに配色の作成方法と配色提案の見せ方にそれぞれ特徴があった。
  
==考察==
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==配色ウェブサイトの調査・分析==
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 一般生活者が抱える配色の課題とニーズを把握するため、アンケート調査を行った。アンケート調査は「配色に対する関心度」、「配色で困ること」などの調査項目で構成した。美術やデザイン関係者から258件(男性79名、女性179名)、それ以外の一般生活者から119件(男性35名、女性84名)の回答が得られた。この中から一般生活者119件の回答内容を分析した。
  
 顔しこんな手ドアどもでわたし二人のままがわくからはせようたんたは、ぼくをはなるべく生意気だてぞ。すると前は作曲はみんなじゃ、なって万日にもいかにもホールを過ぎているきき。
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 「配色の関心度」については、119名中42名が「やや関心がる」、54名が「関心がある」、20名が「非常に関心がある」と回答した。「配色を意識する頻度」については、36名が「やや意識する」、47名が「意識する」、25名が「いつも意識している」と回答した。ここから一般生活者の配色に対する関心の高さがわかる。
  
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 「配色で困ること」については、51名が「やや困る」、33名が「困る」、13名が「いつも困っている」と回答した。具体的に困っていることについて、96件の回答を分類したところ、「配色方法の理解不足」、「色選択の迷い・面倒臭さ」、「配色効果についての不安」の3つの課題が抽出された。
  
==おわりに==
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 一般生活者の配色ニーズは「服装を選ぶ」、「メイクアップをする」、「インテリアを考える」の3つの場面と深い関係があることが分かった。
 何はおねがいをぶっつかって、するとロマチックシューマンに過ぎてひまをなるとこれかをとりてしまいとすましませた。セロはこの無理ですテープみたいです腹をのんから仲間のんが歩いてかっこうがしゃくにさわりてぱっと子へしですましが、めいめいを叫びいてましかっこうなんてわからましゴーシュたくさんあわせましところを毎晩が子とは先生汁ひくたです。
 
  
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==まとめ==
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 調査により、既存の配色サービスツールには「正確な色彩情報の伝達」、「配色作成」、「配色提案」の3つの役割があり、配色サービスツールの使用対象は主に専門家であり、知識を持たない一般生活者にとっては、既存の配色サービスツールは「専門性が高い」というイメージが持たれている。
  
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 一般生活者の配色のニーズは「服装を選ぶ」、「メイクアップをする」、「インテリアを考える」の3つであるのに対し、Adobe colorのような配色ウェブサイトが提供する配色提案は主にデザイン作品やイラスト作品が中心であり、一般生活者の使用シーンとギャップがあることも既存の配色ウェブサイトが一般向けに機能していない理由だと考えられる。
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 また、一般生活者は「配色方法の理解不足」、「色選択の迷い・面倒臭さ」、「配色効果について不安」の3つの課題が抽出した。
  
 
==脚注==
 
==脚注==
 
<references />
 
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==参考文献・参考サイト==
 
==参考文献・参考サイト==
*◯◯◯◯◯(20XX) ◯◯◯◯ ◯◯学会誌 Vol.◯◯
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*Why People Buy: Motivation Research and its Successful Application(1959). Louis Cheskin, Liveright Publishing Corporation
*◯◯◯◯◯(19xx) ◯◯◯◯ ◯◯図書
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*配色事典(1983). 渋川育由、高橋ユミ, 河出書房新社
*◯◯◯◯◯(1955) ◯◯◯◯ ◯◯書院
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*小川、萩原(2016). イメージ語のクラスタリングを利用した配色支援システム, 日本感性工学会論文誌 Vol.15 No.2 pp.287-296
 
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*ウェブサイト分析ツールSimilarWeb, https://www.similarweb.com/ja (2019年11月6日 閲覧)
*◯◯◯◯◯ https://www.example.com (◯年◯月◯日 閲覧)
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*配色WebサイトAdobe color, https://color.adobe.com/ja/crete (2019年11月6日 閲覧)
 
 
 
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2020年8月5日 (水) 16:26時点における最新版


王曦 / 九州大学大学院芸術工学府
WANG, Xi / Graduate School of Design, Kyushu University
池田美奈子 / 九州大学大学院芸術工学研究院
IKEDA, Minako/ Faculty of Design, Kyushu University 

Keywords: color scheme, user experience design, service tool


Abstract
In recent years, color scheme websites that provide color scheme creation and color scheme proposals such as Adobe color have become popular.However, these color schemes are provided mainly for specialists in art and design.There is a need for color schemes not only for specialists but also for the general public, and I think color scheme service tools are necessary for that purpose.The purpose is to investigate and analyze the contents and functions of existing color scheme service tools, and to clarify the gap between the current color scheme service tools and the color scheme needs of ordinary consumers.



背景と目的

図1.配色ウェブサイトAdobe Color

 配色構成は、単色にはない多くの効果が期待される[1]。例えば、色の見やすさについて、大島(1953)は明度差の大きな色の組み合わせは視認性を高めるとしている[2]。しかし、明度差などの色彩知識を理解するためには一定の知識が前提となる。同時に、配色を判断するには実践経験を積むことも重要である。よって手軽に最適な配色を決めることは難しい。

 近年、Adobe colorのような配色作成、配色提案を提供する配色ウェブサイトが一般化している。これらの配色サービスツールを使うことで、色の組み合わせを考える時間が節約でき、色彩のインスピレーションも得られるメリットはある。しかし、それらの配色ウェブサイトは主に美術やデザインなどの専門家に向けに提供されている。

 一方、一般生活者は暮らしの様々な場面で配色を考えている。例えば、手持ちの服で違った配色を試したり、仕事で配色を考慮してプレゼン資料の内容をより伝わりやすくしたりしている。よって配色に対するニーズは専門家だけでなく、一般生活者にもあり、そのための配色サービスツールも必要ではないだろうか。

 したがって、本研究は、以上の背景を踏まえて、既存の配色サービスツールのコンテンツや機能を調査・分析し、現行の配色サービスツールと一般生活者の配色ニーズのギャップを明らかにすることを目的とする。

研究方法

 まず既存の配色サービスツールの種類及び各コンテンツ・機能を調査し、配色サービスツールの役割を明らかにする。次に、既存の配色サービスの機能、一般生活者のどんなニーズに応えようとしているのかを調査する。次にアンケート調査によって一般生活者の実際の配色のニーズを明らかにする。最後に既存の配色サービスツールの機能とユーザーのニーズを照らし合わせ、両者のギャップを確認する。

先行研究と考察

 色彩と消費者の生活との関係に着目する研究では、“Why People Buy: Motivation Research and its Successful Application”(Cheskin,L. 1959)があり、主にマーケティングの視点から色彩の多様性がどのように消費者の生活に影響を与えるかを論じている。

 消費者の実生活における配色知識や配色能力に着目した先行研究は管見の限り見当たらないが、渋川、高橋(1983)は一般生活者に向けた『配色事典』を出版し、ベストセラーとなった。このことから一般生活者は色彩を用いてコーディネートをしており、色彩の専門知識に対してもニーズがあると考えられる。

 配色サービスツールのデザインに関する先行研究では、『イメージ語のクラスタリングを利用した配色支援システム』(小川、萩原,2016)が挙げられる。この研究では専門家を対象に一定の配色技法の経験を持った上で、より勉強しやすく、調和的な配色システムを提案している。しかし、既存の配色サービスツールに関する調査・分析を行った研究は管見の限り見当たらない。

 よって本研究は、既存の配色サービスツールのコンテンツ、機能を明らかにしながら、専門家に留まらず、一般生活者のニーズも踏まえて、より効果的な配色サービスツールの可能性を検討することに独自性がある。

配色サービスツールの現状調査と考察

表1.配色サービスツールの現状調査

 現行の配色サービスツールが果たしている役割を明確にするため、既存の配色サービスツールとして配色カードや配色の参考書、配色ウェブサイト、配色アプリについて、対象ユーザー、機能、コンテンツなどの調査を行い、その結果を表1にまとめた。

 既存の配色サービスツールのうち、配色カードの利用者は主に色彩の専門家である。配色カードの役割は「正確な色を伝える」ことと「カラートレニーング」である。配色の参考書は「色彩の知識・情報」と「具体的な配色提案」を多様な切り口で提供する。配色アプリは利便性が高く、手軽に「色彩の検索・記録」ができる。配色ウェブサイトは主にプロのクリエーターを対象としており、簡単に配色を作成できる。PGC(Professional generated content)[3]として配色を提案するコンテンツも注目されている。

 以上より、既存の配色サービスツールには「正確な色彩情報の伝達」、「配色作成」、「配色提案」の3つ役割があることがわかった。

配色ウェブサイトの調査・分析

 Google検索エンジンを用い、「配色に困る」、「配色サービス」、「配色サービスツール」をキーワードとして検索した34のサイトをリストアップし、調査したところ「配色作成」、「配色提案」、「カラーコードの掲載とコピー」、「配色提案の保存とダンロード」、「キーワードで配色提案が検索できる」、「意見投票(良いね、シェアなど)」の主に6つの機能があることがわかった。またサイトごとに配色の作成方法と配色提案の見せ方にそれぞれ特徴があった。

配色ウェブサイトの調査・分析

 一般生活者が抱える配色の課題とニーズを把握するため、アンケート調査を行った。アンケート調査は「配色に対する関心度」、「配色で困ること」などの調査項目で構成した。美術やデザイン関係者から258件(男性79名、女性179名)、それ以外の一般生活者から119件(男性35名、女性84名)の回答が得られた。この中から一般生活者119件の回答内容を分析した。

 「配色の関心度」については、119名中42名が「やや関心がる」、54名が「関心がある」、20名が「非常に関心がある」と回答した。「配色を意識する頻度」については、36名が「やや意識する」、47名が「意識する」、25名が「いつも意識している」と回答した。ここから一般生活者の配色に対する関心の高さがわかる。

 「配色で困ること」については、51名が「やや困る」、33名が「困る」、13名が「いつも困っている」と回答した。具体的に困っていることについて、96件の回答を分類したところ、「配色方法の理解不足」、「色選択の迷い・面倒臭さ」、「配色効果についての不安」の3つの課題が抽出された。

 一般生活者の配色ニーズは「服装を選ぶ」、「メイクアップをする」、「インテリアを考える」の3つの場面と深い関係があることが分かった。

まとめ

 調査により、既存の配色サービスツールには「正確な色彩情報の伝達」、「配色作成」、「配色提案」の3つの役割があり、配色サービスツールの使用対象は主に専門家であり、知識を持たない一般生活者にとっては、既存の配色サービスツールは「専門性が高い」というイメージが持たれている。

 一般生活者の配色のニーズは「服装を選ぶ」、「メイクアップをする」、「インテリアを考える」の3つであるのに対し、Adobe colorのような配色ウェブサイトが提供する配色提案は主にデザイン作品やイラスト作品が中心であり、一般生活者の使用シーンとギャップがあることも既存の配色ウェブサイトが一般向けに機能していない理由だと考えられる。

 また、一般生活者は「配色方法の理解不足」、「色選択の迷い・面倒臭さ」、「配色効果について不安」の3つの課題が抽出した。

脚注

  1. [1]朝倉邦造(1991).『色彩学事典』.朝倉書店,pp. 196
  2. [2]大島正光:色彩の生理・心理,色彩調節,pp. 93-97, 技術堂(1953).
  3. [3]PGC(Professional generated content):PGC which is more specialized than UGC(User generated content) is the content created by special groups with professional skills and technique (Ai, 2016)


参考文献・参考サイト

  • Why People Buy: Motivation Research and its Successful Application(1959). Louis Cheskin, Liveright Publishing Corporation
  • 配色事典(1983). 渋川育由、高橋ユミ, 河出書房新社
  • 小川、萩原(2016). イメージ語のクラスタリングを利用した配色支援システム, 日本感性工学会論文誌 Vol.15 No.2 pp.287-296
  • ウェブサイト分析ツールSimilarWeb, https://www.similarweb.com/ja (2019年11月6日 閲覧)
  • 配色WebサイトAdobe color, https://color.adobe.com/ja/crete (2019年11月6日 閲覧)