「人とモノのミスコミュニケーションの研究」の版間の差分

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; 永嶋拓仁 / 九州大学 大学院 芸術工学府
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: NAGASHIMA Hiroto/ Graduate School of Design, Kyushu University
 
: NAGASHIMA Hiroto/ Graduate School of Design, Kyushu University
: ''Keywords: Product Design, Interface Design, UX''
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; 平井康之 / 九州大学芸術工学研究院
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''Keywords: Product Design, Interface Design, UX''
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; Abstract
 
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: Miss-Communication between Human and Product ~Selection Process from Two Alternatives~
 
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==目的と背景==
 
==目的と背景==
 身の回りのプロダクトの中には、ユーザーである人を正しい行為へ導けていないプロダクトが沢山ある。「ドアを開けようと押したが開かず、実は引き戸だった」「ブラインドを開けようと紐を引っ張ると逆に閉まってしまった」このような経験は一部のユーザーに限らず、多くの人が経験している。ドナルド・ノーマンは、「誰のためのデザイン?」(2015)で今日の機器の複雑さについて、良いデザインには発見可能性と理解という重要な特性があるとしているが、理解を受け付けない製品が多いと述べている。⑴マンマシンインターフェースの課題は今に始まったことではないが、誰もが間違えるという仮定のもとにデザインしているデザイナーが少ないのではなかろうか。
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[[File:hirotonagashima001.jpg|thumb|right|450px|図1:二者択一を有するプロダクトの事例「ブラインド」 ]]
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 「ドアを開けようと押したが開かず、実は引き戸だった。」「ブラインドを開けようと紐を引っ張ると逆に閉まってしまった。」のように身の回りのプロダクトの中には、ユーザーを正しい行為へ導けていないプロダクトが多く存在する。ドナルド・ノーマンは、「誰のためのデザイン?」(2015)で今日の機器の複雑さについて、良いデザインには発見可能性と理解という重要な特性があるとしているが、理解を受け付けない製品が多いと述べている。<ref>ドナルド・ノーマン, 2015, 誰のためのデザイン?, p.4, 新曜社</ref>マンマシンインターフェースの課題は今に始まったことではないが、デザインプロセスの中でこのような課題を引き起こす「穴」が存在するのではないだろうか。
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 そこで本研究では、プロダクトの操作性について、二者択一(以下二択)の選択を有するプロダクトを対象に、インクルーシブデザインの視点から現状の課題を調査・抽出する。抽出された課題について、これまでのアプローチで解決されていない課題に着目し、今後のプロダクトデザインに応用できるデザイン要件を導き出すことを目的とする。
  
 プロダクトの操作性について、二者択一の選択を有するプロダクトを対象に、インクルーシブデザインの視点から現状の課題を調査・抽出する。抽出された課題について、これまでのアプローチで解決されていない課題に着目し、今後のプロダクトデザインに応用できるデザイン要件を導き出すことを目的とする。
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==研究の方法==
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==研究の手法==
 
 まず、文献調査として、マンマシンインターフェースやユーザーエキスペリエンスデザインなどの既往研究調査を調べ、調査の対象と調査項目を規定した。その後、対象となる事例を収集し、文献調査から得た項目で分類した。分類した個々のケースそれぞれを分析・考察し、ユーザーの視点から操作性の課題を抽出した。それら課題等をまとめたものからデザイン要件を抽出した。
 
 まず、文献調査として、マンマシンインターフェースやユーザーエキスペリエンスデザインなどの既往研究調査を調べ、調査の対象と調査項目を規定した。その後、対象となる事例を収集し、文献調査から得た項目で分類した。分類した個々のケースそれぞれを分析・考察し、ユーザーの視点から操作性の課題を抽出した。それら課題等をまとめたものからデザイン要件を抽出した。
  
 
==結果==
 
==結果==
 収集した事例をドナルド・ノーマンの行為の7段階理論のサイクルに当てはめた。特に研究の対象はユーザーが意図したように機能しなかった場合であるため、7段階のうち「行為の実行」に注目し、収集した事例それぞれを以下の4段階で分析した。
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 収集した事例をドナルド・ノーマンの行為の7段階理論のサイクルを用いて比較検証を行った。特に研究はユーザーが意図したように機能しないプロダクトを対象としたため、7段階のうち「行為の実行」に注目し、収集した事例それぞれを以下の4段階で分析した。<br> 
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1. ゴール 2. プラン 3. 詳細化 4. 実行 <br>
1. ゴール
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その後、二択の種類を認知の二者の違いで分類した。 大きく以下の3つに分けられた。 <br>
2. プラン
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・対象の二択 ・向きの二択 ・行為の二択 <br>
3. 詳細化
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さらにそれらの二択を細分化すると、以下の6つに分類できた。 <br>
4. 実行
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・二つのモノの二択 ・二つの部位の二択 ・行為の向きの二択 ・対象の向きの二択 ・異なる行為の二択 ・行為の有無に二択 <br>
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それらの分類からさらにユーザーが期待した結果と実際に起きた結果の差異で分類するとそれぞれ2通りに分類でき、計12項目の分類ができた。
その後、二者択一の種類を認知の二者の違いで分類した。
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[[File:hirotonagashima002.jpg|thumb|right|450px|図2:分類した12項目 ]]<br>
大きく以下の3つに分けられた。
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1.二つのモノの二択で不適切な選択をした際に何も作用しない場合<br>
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2.二つのモノの二択で不適切な選択をした際に期待と異なる作用が生じる場合<br>
・対象の二択
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3.二つの部位の二択で不適切な選択をした際に何も作用しない場合<br>
・向きの二択
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4.二つの部位の二択で不適切な選択をした際に期待と異なる作用が生じる場合<br>
・行為の二択
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5.行為の向きの二択で不適切な選択をした際に何も作用しない場合<br>
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6.行為の向きの二択で不適切な選択をした際に期待と異なる作用が生じる場合<br>
さらにそれらの二択を細分化すると、以下の6つに分類できた。
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7.対象の向きの二択で不適切な選択をした際に何も作用しない場合<br>
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8.対象の向きの二択で不適切な選択をした際に期待と異なる作用が生じる場合<br>
・二つのモノの二択
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9.異なる行為の二択で不適切な選択をした際に何も作用しない場合<br>
・二つの部位の二択
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10.異なる行為の二択で不適切な選択をした際に期待と異なる作用が生じる場合<br>
・行為の向きの二択
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11.行為の有無の二択で不適切な選択をした際に期待した結果が起きない場合<br>
・対象の向きの二択
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12.行為の有無の二択で不適切な選択をした際に期待していない結果が起きる場合<br>
・異なる行為の二択
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・行為の有無に二択
 
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それらの分類からさらにユーザーが期待した結果と実際に起きた結果の差異で分類するとそれぞれ2通りに分類でき、計12通りの分類ができた。
 
  
 
==考察==
 
==考察==
 分類した12のケースそれぞれ考察し、それらを比較した上でデザイン要件を抽出した。
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 分類した12項目それぞれにおいてユーザーが認知した二択とプロダクトが有する行為の選択肢を比較し、文献調査で調べたマンマシンインターフェースやユーザーエキスペリエンスデザインなどの既往研究で得た視点より問題点を抽出した。各項目における各問題と文献調査で調べた先行事例等で得た知見から、項目毎にプロダクトのデザインの評価におけるプロダクトを改善する点や避けるべき点を得ることができた。
  
==まとめ==
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==結論・今後の展望==
 あああ
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 プロダクトの操作性について、二者択一の選択を有するプロダクトを対象に、現状の課題を調査し、今後のプロダクトデザインに応用できるデザイン要件を導き出すことを目的とし研究を行った。調査により二者択一の選択を有するプロダクトにおける場合を12項目で分類することができた。各項目での問題点とそれを改善する点や避けるべき点を導き出し、プロダクトデザインに応用できるデザイン要件を示唆することができた。<br>
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 今後の展望として、プロのデザイナーにインタビューするなどして、調査より導いた12項目の分類とデザイン要件の検証を行うとともに、デザイン要件を応用した使用例を作成する。
  
 
==脚注==
 
==脚注==
 
<references />
 
<references />
  
 
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==参考文献==
==参考文献・参考サイト==
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*誰のためのデザイン?(2015) ドナルド・ノーマン 新曜社
*◯◯◯◯◯(20XX) ◯◯◯◯ ◯◯学会誌 Vol.◯◯
 
*◯◯◯◯◯(19xx) ◯◯◯◯ ◯◯図書
 
*◯◯◯◯◯(1955) ◯◯◯◯ ◯◯書院
 
 
 
*◯◯◯◯◯ https://www.example.com (◯年◯月◯日 閲覧)
 
  
 
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2020年8月5日 (水) 16:34時点における最新版

- 二者択一をケーススタディとして -


永嶋拓仁 / 九州大学大学院芸術工学府
NAGASHIMA Hiroto/ Graduate School of Design, Kyushu University
平井康之 / 九州大学芸術工学研究院
HIRAI Yasuyuki/ Faculty of Design, Kyushu University

Keywords: Product Design, Interface Design, UX


Abstract
Miss-Communication between Human and Product ~Selection Process from Two Alternatives~


目的と背景

図1:二者択一を有するプロダクトの事例「ブラインド」

 「ドアを開けようと押したが開かず、実は引き戸だった。」「ブラインドを開けようと紐を引っ張ると逆に閉まってしまった。」のように身の回りのプロダクトの中には、ユーザーを正しい行為へ導けていないプロダクトが多く存在する。ドナルド・ノーマンは、「誰のためのデザイン?」(2015)で今日の機器の複雑さについて、良いデザインには発見可能性と理解という重要な特性があるとしているが、理解を受け付けない製品が多いと述べている。[1]マンマシンインターフェースの課題は今に始まったことではないが、デザインプロセスの中でこのような課題を引き起こす「穴」が存在するのではないだろうか。
 そこで本研究では、プロダクトの操作性について、二者択一(以下二択)の選択を有するプロダクトを対象に、インクルーシブデザインの視点から現状の課題を調査・抽出する。抽出された課題について、これまでのアプローチで解決されていない課題に着目し、今後のプロダクトデザインに応用できるデザイン要件を導き出すことを目的とする。




研究の手法

 まず、文献調査として、マンマシンインターフェースやユーザーエキスペリエンスデザインなどの既往研究調査を調べ、調査の対象と調査項目を規定した。その後、対象となる事例を収集し、文献調査から得た項目で分類した。分類した個々のケースそれぞれを分析・考察し、ユーザーの視点から操作性の課題を抽出した。それら課題等をまとめたものからデザイン要件を抽出した。

結果

 収集した事例をドナルド・ノーマンの行為の7段階理論のサイクルを用いて比較検証を行った。特に研究はユーザーが意図したように機能しないプロダクトを対象としたため、7段階のうち「行為の実行」に注目し、収集した事例それぞれを以下の4段階で分析した。
  1. ゴール 2. プラン 3. 詳細化 4. 実行 
その後、二択の種類を認知の二者の違いで分類した。 大きく以下の3つに分けられた。 
・対象の二択 ・向きの二択 ・行為の二択 
さらにそれらの二択を細分化すると、以下の6つに分類できた。 
・二つのモノの二択 ・二つの部位の二択 ・行為の向きの二択 ・対象の向きの二択 ・異なる行為の二択 ・行為の有無に二択 
それらの分類からさらにユーザーが期待した結果と実際に起きた結果の差異で分類するとそれぞれ2通りに分類でき、計12項目の分類ができた。

図2:分類した12項目


1.二つのモノの二択で不適切な選択をした際に何も作用しない場合
2.二つのモノの二択で不適切な選択をした際に期待と異なる作用が生じる場合
3.二つの部位の二択で不適切な選択をした際に何も作用しない場合
4.二つの部位の二択で不適切な選択をした際に期待と異なる作用が生じる場合
5.行為の向きの二択で不適切な選択をした際に何も作用しない場合
6.行為の向きの二択で不適切な選択をした際に期待と異なる作用が生じる場合
7.対象の向きの二択で不適切な選択をした際に何も作用しない場合
8.対象の向きの二択で不適切な選択をした際に期待と異なる作用が生じる場合
9.異なる行為の二択で不適切な選択をした際に何も作用しない場合
10.異なる行為の二択で不適切な選択をした際に期待と異なる作用が生じる場合
11.行為の有無の二択で不適切な選択をした際に期待した結果が起きない場合
12.行為の有無の二択で不適切な選択をした際に期待していない結果が起きる場合



考察

 分類した12項目それぞれにおいてユーザーが認知した二択とプロダクトが有する行為の選択肢を比較し、文献調査で調べたマンマシンインターフェースやユーザーエキスペリエンスデザインなどの既往研究で得た視点より問題点を抽出した。各項目における各問題と文献調査で調べた先行事例等で得た知見から、項目毎にプロダクトのデザインの評価におけるプロダクトを改善する点や避けるべき点を得ることができた。

結論・今後の展望

 プロダクトの操作性について、二者択一の選択を有するプロダクトを対象に、現状の課題を調査し、今後のプロダクトデザインに応用できるデザイン要件を導き出すことを目的とし研究を行った。調査により二者択一の選択を有するプロダクトにおける場合を12項目で分類することができた。各項目での問題点とそれを改善する点や避けるべき点を導き出し、プロダクトデザインに応用できるデザイン要件を示唆することができた。
 今後の展望として、プロのデザイナーにインタビューするなどして、調査より導いた12項目の分類とデザイン要件の検証を行うとともに、デザイン要件を応用した使用例を作成する。

脚注

  1. ドナルド・ノーマン, 2015, 誰のためのデザイン?, p.4, 新曜社

参考文献

  • 誰のためのデザイン?(2015) ドナルド・ノーマン 新曜社