「中国における実景演出ショーを利用した観光振興に関する研究」の版間の差分
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2019年11月9日 (土) 00:26時点における版
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- 李茹 / 九州大学大学院統合新領域学府
- ◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ / ◯◯◯◯◯◯ University ← 氏名 / 所属 の英語表記
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- Abstract
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目的と背景
地域の文化資源を活用した観光の取り組みが、世界各地で行われている。文化資源は地域で生まれ、育まれ、継承されていくものであり、地域の特性を確立するためには欠かせない要素だと考えられる。しかし、これまで多くの試みが静的な展示であり、観光客との距離感がなかなか縮まらない現状から、地域の観光振興に果たす役割も限られている。
中国では、2004年に、本物の山や川を舞台に、地元文化や民俗文化を主なコンテンツとして、観光地で上演される独特の実景演出ショーが誕生した。 実景演出ショーは観光地の神話伝説、民俗文化、歴史人物など様々なコンテンツを活用し、観光地の自然の風景と巧妙に結びつけることで、観光客に理解しやすい臨場感溢れる地域文化資源の活用方法を提示した。
同時に、地元住民を役者として採用することで、雇用が増加し地域経済が活性化するなどの利点も挙げられる。そのため、実景演出ショーは観光地コンテンツの醸成や、観光客滞在時間の延長、また観光地ブランドの確立などに効果的であると認識され、多くの観光地が実景演出ショープロジェクトを導入し始めた。以後、実景演出ショーは単なる演出だけではなく、地域の魅力を表現することで地域ブランドを確立する機能も担い始め、各地方政府の業績にもつながるようになった。
しかし、実景演出ショーが増え続ける一方で、取り上げられる文化要素が同質化する傾向も見られるなどの批判も出てきた。このような傾向は実景演出ショー産業に悪影響を与え、実景演出ショー産業の持続可能性が失われる危険性も増大していると考えられる。 したがって、本研究は中国における実景演出ショーを活用した観光振興の現状と課題を明らかにし、実景演出ショーを利用した観光振興の可能性を検討することを目的とする。
研究の方法
中国における実景演出ショーの定義と発展経緯を明らかにするため文献調査を行った。主に実景演出ショーに関する先行研究や新聞記事などを分析した。 次に、中国における実景演出ショー展開の実態を明らかにするため、中国で上演されている実景演出ショー作品のデータベースを作成し、計29の実景演出ショー作品のデータを整理した。整理項目は、以下の10項目である:
作品名前/初上演時間/上演地/投資額/制作者/演出内容/役者人数/上演スケジュール/座席数/入場券金額
結果
実景演出ショーは、本物の山や川を舞台に、地元文化や民俗文化を主なコンテンツとして、観光地で上演される独特の演出ショーであると定義した。2004年に、「旅行演芸」のコンセプトのイノベーションとして大きな反響を呼び、2007年から急速に増加している。 データベースに収録した計29の実景演出ショー作品の分布は以下の図の通りである。
分布地域を見ると、主に中国の東南沿海地域、中部及び西南部に集中している。東北部や西北部、北京、上海、広州などの大都市は見られない。 データベースにある計29の実景演出ショー作品のテーマ及び割合は以下の図の通りである。 実景演出ショーのテーマを見ると、各民族文化と地方風俗(34%)が最も多く、古代、歴史人物(30%)、宗教文化(10%)、神話伝説(8%)、革命的な赤色文化(8%)と続く。 また、実景演出ショーの規模などについては。次の6点が特徴としてあげられる。 ・投資金額が大きい。計29作品の中に、投資が一億元を超える作品が90%を占めている。 ・役者の人数は150人~1000人、座席数は平均1300となっており、総じて大規模である。 ・制作団体を見ると、87%以上の作品が張芸謀を代表とする団体と梅帥元を代表とする団体によって制作されている。 ・ほとんどの実景演出ショーが19:00~21:00の時間帯に上演されている。 ・席種によって料金は異なるが、一般席は平均200元、VIP席は平均500元であり、料金が比較的高い。
考察
中国における実景演出ショーの展開の実態を踏まえて、以下4点の考察を導き出した。
1.実景演出ショーの分布は市場の大きさ、文化資源の豊富さ、予算規模、政策推進の有無、気候条件などに大きく関係している。よって実景演出ショーは観光振興の手段としてすべての地域に適用できるとは限らない。 2.実景演出ショーのテーマの選定やその割合は実景演出ショーの特性と観光客の期待に関係していると考えられる。実景演出ショーは自然の風景と文化的要素を結びつけた作品であるが、地方の風景と密接に関係している文化要素は、人々が暮らす自然環境に深くかかわる民俗文化や地方風俗、及び人物の物語である。当時に、観光客のニーズも大きく関係している。 3.実景演出ショーの初期投資は大規模で、観覧料金が比較的高額であることから、実景演出ショーのプロジェクトを導入するリスクと観光客の期待が高いと考えられる。 4.制作団体が集中していて、多様性に乏しい。制作団体の単一化は実景演出ショーの同質化傾向にも影響があると考えられる。
まとめ
実景演出ショーの誕生により地域の文化資源を観光資源としてうまく活用できるようになった。しかし、実景演出ショーの特性によって、すべての地域に適用されるわけではない。様々な条件を総合的に把握した上で活用を考える必要がある。同時に、制作団体の単一化や無批判な導入などの影響を受け、実景演出ショー作品の同質化傾向もますます進んでおり、地域アイデンティティの確立や観光客の期待に応えるためには、制作団体の充実も重要である。実景演出ショーが観光振興の手段として効果を発揮できるようにするため、現状を十分認識した上で、文化資源を深く掘り下げることや、表現手法の刷新なども考慮しなければならない。
脚注
参考文献・参考サイト
- ◯◯◯◯◯(20XX) ◯◯◯◯ ◯◯学会誌 Vol.◯◯
- ◯◯◯◯◯(19xx) ◯◯◯◯ ◯◯図書
- ◯◯◯◯◯(1955) ◯◯◯◯ ◯◯書院
- ◯◯◯◯◯ https://www.example.com (◯年◯月◯日 閲覧)