シェア社会における愛着に関する研究
- モビリティ開発への応用 -
- 菅﨑拓真 / 九州大学大学院
- Kanzaki Takuma/ Kyushu University ← 氏名 / 所属 の英語表記
- Keywords: Product Design, Visual Design ← キーワード(斜体)
- Abstract
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目次
研究背景
古来より、人々はモノに対して愛着を持って接し、大切に扱ってきた。家や自動車などの生活に根付いたモノは強い愛着を持たれるケースがあり、人々の豊かな生活の一部となっている。一方、現在シェアリングエコノミーの考え方が世に浸透しつつある。シェアされる製品は多様な人々に使われることが想定されているため、画一化されたデザインがなされているものが多く存在する。今後シェア製品が普及するにあたり、あらゆる製品を個々が所有しないケースの増加が見込まれる。豊かな生活のために、シェア社会における愛着のあり方を問い、適切な形で製品開発に導入する必要があると考えられる。
研究目的
本研究の目的は、シェア社会における愛着の存在意義を考察し、新たなシェア製品のあり方を示すことである。最終的には、シェアリングモビリティの開発に応用し、サービスモデルとして対象や要件を提言することを目的とする。
研究方法
本研究は、まずはじめに、製品に対する愛着とシェア社会の現状についての事例調査と文献調査を行う。必要に応じてアンケート等による追加調査を行い、シェア社会における愛着のあり方をサービスモデルに整理する。
愛着に関する基礎研究
愛着の分類
愛着に関する先行研究・実例等を調査し、愛着の発現に関する知見を深めた。 先行研究中に示されている愛着の発生因子の言い換えを行うことで、以下の4パターンに再分類できた。
(a)自己の拡張:アイデンティティ形成の要素となる (b)他人や思い出と自分をつなぐもの:人からもらった物や特別な思い入れのある製品など (c)独立した人格を持つもの:比較的普遍性を持つ愛着 (d)物欲を満たす・便利なもの:流行を追う人、機能を求める人が持つ愛着
モノへの愛着を創生することで健康支援を行うことを目指した試み[1]において、愛着の対象となりにくい製品に擬似的な人格を付与ことにより、愛着を持たれやすくなったという考察が得られている。愛着を意図的に発生させるには、(c)のパターンを利用することが有効である可能性があることが示唆されたが、特に有効な状況や対象を明らかにする追加調査が必要であると考えられる。
モノが持つ人格と愛着創生
モノが持つ人格と愛着創生の関係を検証するため、アンケート調査を行なった。日本における刺繍針やロボットの葬式を行なっている独特な事例があるため、日本固有の愛着感を探るための第一段階として、外国人を調査対象に選定した。調査概要を以下に示す。
調査方法:海外ホステルでの聞き取り
対象:18〜63歳の外国人34人
調査期間:2019年5月〜6月
調査項目:右図(図1)
調査結果:回答結果により、顔面の有無と人格があるように感じるかどうかは関係がない可能性が示唆された。 自由記述で得られた回答のうち、50%が車を「道具」と表現しており、車に人格があると感じているのは全体の20%であった。 一方、オークネットによる調査[2]によると、90%が車に対して愛着が「ある」「少しある」と回答しており、そのうち48%の人が車を「家族」と表現している。日本人を対象に同様のアンケート調査を行い差異が見られた場合、シェア製品開発の要件を整理する一助となる可能性がある。
シェア社会における愛着
先行研究[3]において、愛着を最も持たれる製品であるという研究結果が得られている携帯電話について追加調査した。携帯電話は中身のデータの引き継ぎを行う電子機器であり、1つのハードを手元に置く時間が短い製品の今後のあり方の考察の一助とした。携帯電話の特性を参考に、愛着因子(機能性愛着)、データの引きつぎ(コンテンツ愛着)、および前項で考察した人格と愛着の関係から、以下の3点をシェア製品開発の要件として整理した。
・機能性愛着:シェアリングにより、ハード・ソフト共に最新のサービスを利用できる。 ・コンテンツ愛着:思い出、操作性、ソフトウエア等をハードと分離し、使用者個人に常に寄り添わせる。 ・擬似パートナーシップ的愛着:擬人化を導くデザインを採用する。
シェアリングモビリティのサービスモデル
整理した要件を基に、コネクテッド化・電動化が進んだモビリティと愛着のサービスモデルを作成した。愛着の対象(使用者に寄り添う人格部)とハード部(シェアする駆動部)に分け、人格部が擬似的にハード部に乗り込み操舵を行う。一方、ハード部は機能性に特化したデザインがなされ、愛着を持たせないことが求められる。以上のサービスモデルにより、シェアリングモビリティに円滑な愛着の創生プロセスを組み込むことができると考えた。(図2)
今後の展望
海外と日本の製品に対する愛着感の差異、および愛着とユーザータイプやシェアできると思う程度に関する追加調査を行い、随時サービスモデルに反映させる。
脚注
参考文献・参考サイト
- ◯◯◯◯◯(20XX) ◯◯◯◯ ◯◯学会誌 Vol.◯◯
- ◯◯◯◯◯(19xx) ◯◯◯◯ ◯◯図書
- ◯◯◯◯◯(1955) ◯◯◯◯ ◯◯書院
- ◯◯◯◯◯ https://www.example.com (◯年◯月◯日 閲覧)