水辺のレジャーを活性化するミニボートの設計研究

提供: JSSD5th2019
2019年11月1日 (金) 23:00時点における金子壮太 (トーク | 投稿記録)による版
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金子壮太 / 九州大学芸術工学府芸術工学専攻 コンテンツクリエーティブデザイン講座
Sota KANEKO / Graduate School of Design, Kyushu University
Keywords: Product Design, Visual Design 


Abstract
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目的と背景

 海洋基本計画が平成19年に制定された。「四方を海に囲まれ、その面積が国土面積の約12倍に相当する世界有数の広大な管轄海域を有する我が国には、国土の保全と国民の安全を確保すべく海を守っていくこと、経済社会の存立・成長の基盤として海を活かしていくこと、貴重な人類の存続基盤として海を子孫に継承していくこと等が強く求められている。」 しかし、近年、年々減少する新規船舶免許取得者、免許保有者の半数以上が免許を失効してしまう制度、高齢化するボートオーナー、全国確認艇17.8万艇のうち港に廃棄や沈艇となった放置艇が8.8万艇である現状など、日本のマリンレジャー業界は衰退の一途を辿っている。日本マリン事業協会の「新10年ビジョン」では新規免許取得者数を現在の5万人から10万人に倍増、ボートヨット参加人数を年間50万人から100万人に倍増する計画を立案しているが、ボートやマリンレジャーに関心を有していない一般層や潜在的関心層の拡大強化を図る具体策に乏しいのが現状である。 そこで本研究では日本のマリンレジャーの中でも特に岸に近い場所でのマリンレジャーの方法について研究する。ボートやマリンレジャーに関心を有していない一般層や潜在的関心層の拡大強化を図るためにマリンレジャーのみではなく消費や観光、その他のレジャーとのコラボレーションをきっかけに多くの人とマリンレジャーの接点を作ることを目的とする。

研究の方法

 本研究では、 日本の水辺(海、湖、池、ダムなど)で楽しむことができるマリンボートの設計、製作を行い、試作機による走行体験をもとに評価を行う。

現場調査

 具体的な例として福岡市の大濠公園の大堀池での使用を想定する。 現在大濠公園の大濠池ではスワンボート、自転車型ボート、手漕ぎボートの三種類があり、現地調査を行った6/2日曜日にはファミリー層や若い男女の利用が主要で、6/3月曜日には外国人観光客の利用が見られた。 今回、設計するボートは初心者でも操縦しやすく、安定の良いボートである必要があり、限られた広さの水域でも楽しめるような設計が求められる。また周囲に福岡市美術館、スターバックス、公園遊具、オフィス街がある為、静粛性に優れた手動、または電動の原動機を用いる必要がある。大濠池の水深は岸に近づくとかなり浅く(30cm前後)、ボートハウスとは反対側でボートの立ち入りが禁止されている南側の生物多様性ゾーンでの水深も浅かった。南側の立ち入り禁止は目の届かない場所で、利用時間内に帰ってこれなくなる可能性があるため、柵を用いて池を仕切っているとのこと。

文献調査

 今回は初心者を対象とした為、船舶免許の有無に関わらず操縦できるミニボートの設計を行う。ミニボートとは船の全長3.3m未満 推進機関の出力が1.5kW未満(約2馬力) 直ちにプロペラの回転を停止することができる機構を有する船舶 の条件を満たす船舶のことである。 また、船型として一艘型(モノハル)、二艘型(カタマラン)、三艘型(トリマラン)が代表的で、今回は安定性の良さと、居住性の良さを考慮しトリマランの船型を選択した。 船底の形状にも複数種類があり、今回は大濠池の波が少なく水深が浅い特徴に適し、制作の難度の易化を可能にするフラットボトムを選択した。 船外機はガソリン空冷式、ガソリン水冷式、電動モーター式があるが周囲の環境を考慮した結果電動モーター式の船外機を選択した。

設計・制作方法

 大濠公園の現地調査と文献調査をもとに設計の要件抽出を行った。 初心者が安心して操縦できるようにするために、今回は安定性に優れた三艘式のトリマラン型ボートを選定した。 二馬力船外機は騒音やその他の装置の取り付けなどを考慮すると電動のものが好ましいが、計画予算の都合上、今回はガソリン駆動式の船外機を代用品として用いた。 船体の制作については、研究者自身の学士研究のヨット制作の際に使用したステッチアンドグルー工法での製作を行う。 ステッチアンドグルー工法は合板にドリルで穴を開け、銅線で縫い合わせ仮留めし、ペンチで銅線を捻り締めることで合板を曲げて成形する。その後にエポキシ樹脂等で接着を行う。強度が必要な床材や外側部にはガラス繊維を編み込んだクロスをエポキシ樹脂に浸して強度を確保する。 今回、設計は大きなサイドパネル、ボトムパネルのみ行い、試作模型を複数製作し、船艇形状、乗員位置、バランスを考慮した。 また、内装等の細かな部品に関しては設計の段階で位置を決めておき、制作の現場で現物と合わせながら設計、製作を行った。 ボートの塗装はメインハル(本船)とサイドフロート(横船)の組み合わせとスピード感を強調するシンプルなデザインをテーマにして行なった。

制作

図1.◯◯◯◯

 制作は大学の制作工房を利用して行った。8/20-11/1(11/1現在進行中)の期間で行った。 制作手順は合板に罫書き、カッティング、板継、ステッチング、接着、ガラス繊維コーティング、内装設計、取り付け、表面仕上げ、塗装、金具取り付けである。

考察

 11月中旬に進水を予定しており、複数の対象者に試走してもらい、評価を行う。また大濠公園の大濠池だけではなく、五箇山ダムのキャンプ場や、マリノアシティ福岡のマリーナ等でも進水実験を行い、操縦感やレジャーとしての評価だけでなく、気温、波、風等の気候や環境の影響についても調査を行う予定である。それらの評価を設計要件にマリンレジャー初心者のきっかけとなるボートの再設計を行う予定である。

脚注


参考文献・参考サイト

  • ◯◯◯◯◯(20XX) ◯◯◯◯ ◯◯学会誌 Vol.◯◯
  • ◯◯◯◯◯(19xx) ◯◯◯◯ ◯◯図書
  • ◯◯◯◯◯(1955) ◯◯◯◯ ◯◯書院