「選挙におけるキャッチコピーの役割についての研究」の版間の差分

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==背景==
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==研究の背景==
広告におけるキャッチコピーの役割は大きい。櫻井(2009)によると、例えば企業のキャッチコピー1つで商品の売り上げに影響を与えることがあるという。別の企業の製品を使っていた消費者に同じ類の製品を売り出す場合、他の製品との違いを説明して自社の製品がいかに優れているかを説明しなければならない。しかし優れているところを長々と箇条書きにしても、おそらくスーパーで買い物客はそれを立ち止まってじっくりと読む可能性は低い。そこで企業はパッケージの色や形で消費者の目を引きつけ、誰にでもわかるような、簡潔でわかりやすい言葉を使ってキャッチコピーをつける。それらが消費者の心を刺激した際に、商品は購入される。
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 会社が商品を生活者に届ける際に、「キャッチコピー」が商品特性や利点を効果的に示し、かつ一番生活者の目に触れる情報であるため、精読率が高く売上に影響を与えるという構図がある。商品を変えずにキャッチコピーのみを変えて売り上げを100倍にした冷凍うどんも広告において例があり、広告においてキャッチコピーの役割は大きいと言える。
一方で選挙においても同様に、選挙ポスターや立候補者のホームページにキャッチコピーが使われている。しかし、選挙においてのキャッチコピーの役割や有権者との関係は、上記の広告の場合の様に明らかにされていない。
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 一方で選挙においても同様に、選挙ポスターや立候補者のホームページにキャッチコピーが使われている。しかし、選挙においてのキャッチコピーの役割や有権者との関係は、該当する文献もなく、上記の広告の場合の様には明らかにされていない。
  
==目的==
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==研究の目的==
 
 本研究は、広告キャッチコピーの視点から既存の選挙におけるキャッチコピーの立ち位置や、有権者との関係性を明らかにし、選挙におけるキャッチコピーの役割や可能性について考察することを目的とする。
 
 本研究は、広告キャッチコピーの視点から既存の選挙におけるキャッチコピーの立ち位置や、有権者との関係性を明らかにし、選挙におけるキャッチコピーの役割や可能性について考察することを目的とする。
 
 
==研究の方法==
 
==研究の方法==
 広告と選挙の2つのフィールドを調査対象とし、文献調査とフィールド調査を主軸に研究を行う。既存の広告キャッチコピーの作られ方や要素を把握し、同時に選挙キャッチコピーの現状や使われ方、有権者側の認識について知ることで、選挙キャッチコピーの現状を把握していく。
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 広告と選挙の2つのフィールドを調査対象とし、文献調査とフィールド調査を主軸に研究を行う。
 2つの調査を同時並行的に行い、お互いに気づきや知見を作用させながら選挙キャッチコピーの分類項目を作成し、評価考察を行う。
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==調査==
 
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===キャッチコピーについて===
==1.キャッチコピーについて==
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 キャッチコピーの構成要素として、小霜(2014)は「タグライン」と「キャッチフレーズ」、磯島(2014)は「考えを深める4つの扉」と「言葉に定着させる思考の深め方」の2つであるとした。定義されている言葉は違えど、言うべき内容を決める「何をいうか」と、どう表現するのかを考える「どういうか」の2つの視点を考えるというもので、2冊の言及している内容を比較し、構成要素を考察した。
 広告のキャッチコピーがどういう目的、方法で作られているかを知るためにコピーライター向けに作成方法が書かれた2冊の本を資料として選定した。両方とも著者が、広告代理店での新人研修やコピーライターを養成する講座で講師をしているためキャッチコピーの実態を捉えていると判断した。
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[[ファイル:何をいうか.png|サムネイル]]
 キャッチコピーを構成する2つの要素として、小霜(2014)は「タグライン」と「キャッチフレーズ」、磯島(2014)「考えを深める4つの扉」と「言葉に定着させる思考の深め方」であるとした。定義されている言葉は違えど、広告キャッチコピーで言うべき内容を決める「何をいうか」と、どう表現するのかを考える「どういうか」の2つの視点考えるということだった。本研究では2冊の言及している内容を比較考察し、キャッチコピーについての要素について考察する。
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==== 「何をいうか」について ====
 
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 小霜は、「競合優位性(USP)」と「ターゲット」の2つの要素が必要であると記している。商品の具体的な情報や競合商品との違いを知ること、そして一体誰が買ってくれる可能性があるかの視点から何をいうかを決めるというものである。
1.1「何をいうか」について
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 一方で磯島は「何をいうか」を考える際に、さまざまな角度から商品や企業を考察し、考える切り口を持つために「商品・企業」「ターゲット」「競合」「時代・社会」の4つの視点から何を言うかを考える必要があると述べている。 
 「何をいうか」では、小霜は、「競合優位性(USP)」と「ターゲット」の2つの要素が必要であると記している。商品の具体的な情報や競合商品との違いを知ること、そして一体誰が買ってくれる可能性があるかの2つから何をいうかを決めるというものだ。
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 磯島の「商品・企業」「競合」「時代・社会」の3つの項目は、自社商品を競合製品や今の社会と比較することで表現すべき強みを探っている。ここが小霜の、『「特徴」と「USP」を混同せず、USPはあくまで「競合」に対しての優位性を言い、競合ありきでないと存在しない概念』といっていたことに当てはまる。つまり「何をいうか」とは、両者とも「比較」を用いて「自社商品の持つの性能」を「他社や社会から見た強み」に変換し、そこで出した強みを、ターゲットの気持ちにいかに理解してもらえるかを考えることである。
 一方で磯島は「何をいうか」を考える際に、さまざまな角度から商品や企業を考察し、考える切り口を持つために主に「商品・企業」「ターゲット」「競合」「時代・社会」の4つの視点から「何をいうか」を考えている。
 
「何をいうか」についての考察 
 
 磯島の「ターゲット」以外の「商品・企業」「競合」「時代・社会」の3つの項目は「自社商品を、競合製品や今の社会と比較すること」で、表現すべき強みを探っていると考える。ここが小霜の、『「特徴」と「USP」を混同せず、USPはあくまで「競合」に対しての優位性を言い、競合ありきでないと存在しない概念』といっていたことに当てはまる。つまり「何をいうか」とは、両者とも「比較」を用いて「自社商品の持つの性能」を「他社や社会から見た強み」に変換し、そこで出した強みを、ターゲットの気持ちにいかに理解してもらえるかを考えることである。ターゲットの気持ちとUSPがパズルのように一致するものであると考える。
 
 
 
1.2「どういうか」について
 
 「何をいうか」をいかにターゲットに効果的に届けるかの「どういうか」を考える必要がある。小霜は「どういうか」を考えるための手法は様々あり、本ではその中の2つのやり方を記している。1つはターゲットから「共感」を得る表現である。生活者には抱えている欲求や不満が様々あり、商品に価値があるとは、欲求や不満をその商品が満たしてくれるとターゲットに思わせることである。そこで「その商品があることの喜びのMAX」と「その商品がないことの悲しさのMAX」を考えると良い。またそれらを伝える時に、「ターゲットの目線」から描写するのか「商品目線」から描写するのかという表現方法も紹介していた。
 
 一方で磯島は「何をいうか」を言葉に定着させるときの思考の深め方として2つの方法を挙げている。1つは「エピソードと普遍の往復」である。伝えたいエピソードを思いついたら、その中にある普遍的なものを取り出したり、反対に大きな普遍的な言葉を思いついたら、それを身近なエピソードにしてみるということである。もう1つは「自分がこの言葉を通して何をしたいのかを考える」というものだ。具体的に言えば「宣言」「提案」「描写」「挑発」に分けられていた。
 
 
 
「どういうか」についての考察
 
 両者とも、「どういうか」の表現方法に唯一の正解があるわけではなく、表現方法を広く持って、そのとき扱っているテーマにふさわしい伝え方を検証することを大事にしているように考える。
 
 
 
==2.選挙について==
 
 選挙のキャッチコピーを、立候補者側はどのように扱い、有権者側がどのように認識しているのかを明らかにすることを目的に文献調査を行った。
 
 選挙について解説し、選挙への理解を深めることを目的としたWebサイト「選挙運動を知ろう!知っテル!?選挙」によると、選挙運動とはビラやポスターや看板などの印刷物を使った「文書区画による選挙運動」と、街頭演説や政見放送などの「言論による選挙運動」の2つに分類される。その中でもキャッチコピーは選挙ポスター、ビラ、立札、SNS、ホームページ、たすき、選挙カーに取り付ける看板・旗等に多くつけられていた。
 
 それらの選挙運動についての有権者側の認識について、「第18回 統一地方選挙全国意識調査」によると選挙運動の接触度と有効度について、選挙のポスター(49.4%)、街頭演説(36.5%)、連呼(30.2%)、選挙広報(25.8%)…、の順で有権者が認識していた。有効度が高かった順は選挙広報(17.3%)、街頭演説(11.8%)、選挙のポスター(9.9%)、政見放送(8.8%)の順であった。
 
 
 
選挙運動についての考察
 
選挙運動において、キャッチコピーの出現割合は多く、それらの接触度も高いことがわかった。しかし選挙ポスターとしての有効度などはわかっても、候補者のキャッチコピーに絞った調査は見当たらなかった。
 
  
==考察のまとめと今後の展望==
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[[ファイル:どういうか.png|サムネイル]]
 広告キャッチコピーにおいて、構築する要素の「何をいうか」と「どういうか」を2つの文献からまとめ、図式化することができた。
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====「どういうか」について ====
 選挙運動についての選挙キャッチコピーについての認識は、既存の文献には記載がなかったため、現在選挙コンサル、政治家にインタビュー調査依頼書を送っている。また選挙キャッチコピーの認識について有権者側にアンケート調査も行う予定だ。
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 小霜は共感されることを目的に、「その商品があることの喜びのMAX」と「その商品がないことの悲しさのMAX」を考えるという2つのやり方を記していた。磯島は「エピソードと普遍の往復」と「自分がこの言葉を通して何をしたいのかを考える」という2つの方法をあげていた。具体的に言えば「宣言」「提案」「描写」「挑発」に分けられる。磯島が「宣言するにふさわしいスケールがあるか」「提案するほどの具体性」「描写できるほど入り込めているか」「挑発できるほどの説得力」などの要件を考えて何をいうかを選定していたように、両者とも、「どういうか」の表現方法に唯一の正解があるわけではなく、表現方法を広く持って、そのときのテーマにふさわしい伝え方を検証することを大事にしていると考える。
 広告のキャッチコピーにおいて、自社の商品理解がUSPを出すために必要だということがわかったので、選挙のキャッチコピーだけでなく立候補者の名前や行なっている政策、信念等を網羅した表を作成し、広告キャッチコピーの土台から分類、分析することで既存の選挙キャッチコピーに対する知見を深め、選挙キャッチコピーの役割や有権者との関係性を明らかにしていく。
 
  
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===選挙について===
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 【研究対象選挙の定義】
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本研究では①有権者の投票決定時期が選挙運動期間中である割合が高く、②かつ当選に必要な票数もある程度多い(戸別訪問で必要投票数をまかなえる規模の小さい選挙はポスター等の必要性が薄れるため)「県議会議員選挙」を研究対象の選挙とした。
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 田村(2010)によると、選挙コピーを作るための要素として、①自分らしさを知り他者評価を上げること②実現可能で自分にふさわしい政策公約になっているか、を必要な要素として述べていた。
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 選挙ポスターのデータの取得は困難であったため、同等の内容が掲載されている県議会議員選挙立候補者個人の選挙用HPに書かれているキャッチコピーを50人分集め、「何をいうか」「どういうか」や上記の田村の指標で分類考察を行った。
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====選挙キャッチコピーの分析結果====
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 「どういうか」は「宣言」がほとんどであり、名前を覚えてもらうために自分の名前にかけて政策をいうものも多く見られた。「何をいうか」では「人柄」「政策」をいうものがほとんどであった。また「笑顔」「希望」「創る」等のフレーズが共通しているキャッチコピーが多かった。
  
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==考察のまとめと今後の方針 ==
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 選挙キャッチコピーには共通したフレーズも多く、ほかの立候補者が使っていても違和感のないものが多かったことから、選挙キャッチコピーにはUSPがないものが多いのではないかと考える。これは、すでに市場が成り立っている中でUSPを探る広告コピーは、他との比較がしやすいのに対し、同時に市場に出る選挙においては「他と比べて自分はどうだ」と言いづらいのではないかと仮説を立てた。
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 今後は選挙コンサルと立候補者にインタビューを行い、既存の選挙キャッチコピーができるまでの過程を把握し、選挙キャッチコピーのデザインガイドライン作成の要件とする。また、有権者にアンケートを行い、既存の選挙キャッチコピーの認識について調査し、選挙キャッチコピーのあり方を構築する。
 
==参考文献・参考サイト==
 
==参考文献・参考サイト==
 
櫻井啓一郎(2009)『関係性理論によるキャッチコピーの分析』pp.65-73.
 
櫻井啓一郎(2009)『関係性理論によるキャッチコピーの分析』pp.65-73.

2020年8月5日 (水) 16:35時点における最新版


古川映 / 九州大学大学院芸術工学府
Furukawa Akira / KYUSHU University 
曽我部春香/ 九州大学大学院芸術工学研究院
Sogabe Haruka / KYUSHU University

Keywords: Catchcopy,elections  


Abstract
“Catch copy” plays a big role in advertising. On the other hand, “catch copy” is used in elections, but its purpose and effect have not been clarified yet. The purpose of this study is to understand the role of catchphrases in elections.



研究の背景

 会社が商品を生活者に届ける際に、「キャッチコピー」が商品特性や利点を効果的に示し、かつ一番生活者の目に触れる情報であるため、精読率が高く売上に影響を与えるという構図がある。商品を変えずにキャッチコピーのみを変えて売り上げを100倍にした冷凍うどんも広告において例があり、広告においてキャッチコピーの役割は大きいと言える。  一方で選挙においても同様に、選挙ポスターや立候補者のホームページにキャッチコピーが使われている。しかし、選挙においてのキャッチコピーの役割や有権者との関係は、該当する文献もなく、上記の広告の場合の様には明らかにされていない。

研究の目的

 本研究は、広告キャッチコピーの視点から既存の選挙におけるキャッチコピーの立ち位置や、有権者との関係性を明らかにし、選挙におけるキャッチコピーの役割や可能性について考察することを目的とする。

研究の方法

 広告と選挙の2つのフィールドを調査対象とし、文献調査とフィールド調査を主軸に研究を行う。

調査

キャッチコピーについて

 キャッチコピーの構成要素として、小霜(2014)は「タグライン」と「キャッチフレーズ」、磯島(2014)は「考えを深める4つの扉」と「言葉に定着させる思考の深め方」の2つであるとした。定義されている言葉は違えど、言うべき内容を決める「何をいうか」と、どう表現するのかを考える「どういうか」の2つの視点を考えるというもので、2冊の言及している内容を比較し、構成要素を考察した。

何をいうか.png

「何をいうか」について

 小霜は、「競合優位性(USP)」と「ターゲット」の2つの要素が必要であると記している。商品の具体的な情報や競合商品との違いを知ること、そして一体誰が買ってくれる可能性があるかの視点から何をいうかを決めるというものである。  一方で磯島は「何をいうか」を考える際に、さまざまな角度から商品や企業を考察し、考える切り口を持つために「商品・企業」「ターゲット」「競合」「時代・社会」の4つの視点から何を言うかを考える必要があると述べている。   磯島の「商品・企業」「競合」「時代・社会」の3つの項目は、自社商品を競合製品や今の社会と比較することで表現すべき強みを探っている。ここが小霜の、『「特徴」と「USP」を混同せず、USPはあくまで「競合」に対しての優位性を言い、競合ありきでないと存在しない概念』といっていたことに当てはまる。つまり「何をいうか」とは、両者とも「比較」を用いて「自社商品の持つの性能」を「他社や社会から見た強み」に変換し、そこで出した強みを、ターゲットの気持ちにいかに理解してもらえるかを考えることである。

どういうか.png

「どういうか」について

 小霜は共感されることを目的に、「その商品があることの喜びのMAX」と「その商品がないことの悲しさのMAX」を考えるという2つのやり方を記していた。磯島は「エピソードと普遍の往復」と「自分がこの言葉を通して何をしたいのかを考える」という2つの方法をあげていた。具体的に言えば「宣言」「提案」「描写」「挑発」に分けられる。磯島が「宣言するにふさわしいスケールがあるか」「提案するほどの具体性」「描写できるほど入り込めているか」「挑発できるほどの説得力」などの要件を考えて何をいうかを選定していたように、両者とも、「どういうか」の表現方法に唯一の正解があるわけではなく、表現方法を広く持って、そのときのテーマにふさわしい伝え方を検証することを大事にしていると考える。

選挙について

 【研究対象選挙の定義】 本研究では①有権者の投票決定時期が選挙運動期間中である割合が高く、②かつ当選に必要な票数もある程度多い(戸別訪問で必要投票数をまかなえる規模の小さい選挙はポスター等の必要性が薄れるため)「県議会議員選挙」を研究対象の選挙とした。  田村(2010)によると、選挙コピーを作るための要素として、①自分らしさを知り他者評価を上げること②実現可能で自分にふさわしい政策公約になっているか、を必要な要素として述べていた。  選挙ポスターのデータの取得は困難であったため、同等の内容が掲載されている県議会議員選挙立候補者個人の選挙用HPに書かれているキャッチコピーを50人分集め、「何をいうか」「どういうか」や上記の田村の指標で分類考察を行った。

選挙キャッチコピーの分析結果

 「どういうか」は「宣言」がほとんどであり、名前を覚えてもらうために自分の名前にかけて政策をいうものも多く見られた。「何をいうか」では「人柄」「政策」をいうものがほとんどであった。また「笑顔」「希望」「創る」等のフレーズが共通しているキャッチコピーが多かった。

考察のまとめと今後の方針

 選挙キャッチコピーには共通したフレーズも多く、ほかの立候補者が使っていても違和感のないものが多かったことから、選挙キャッチコピーにはUSPがないものが多いのではないかと考える。これは、すでに市場が成り立っている中でUSPを探る広告コピーは、他との比較がしやすいのに対し、同時に市場に出る選挙においては「他と比べて自分はどうだ」と言いづらいのではないかと仮説を立てた。  今後は選挙コンサルと立候補者にインタビューを行い、既存の選挙キャッチコピーができるまでの過程を把握し、選挙キャッチコピーのデザインガイドライン作成の要件とする。また、有権者にアンケートを行い、既存の選挙キャッチコピーの認識について調査し、選挙キャッチコピーのあり方を構築する。

参考文献・参考サイト

櫻井啓一郎(2009)『関係性理論によるキャッチコピーの分析』pp.65-73. 小霜和也(2014)『ここらで広告コピーの本当の話をします』宣伝会議. 磯島拓也(2014)『言葉の技術』電通. 選挙運動を知ろう!知っテル!?選挙|京都市選挙管理委員会事務局(最終閲覧日:2019年7月11日)http://www2.city.kyoto.lg.jp/senkyo/shitteru_senkyo/undou/ 総務省(2016)『第18回 統一地方選挙全国意識調査』pp39-43. 田村亮(2010)『28歳で政治家になる方法』経済界pp102-118 三浦博史(2012)『あなたも今日から選挙の達人』李白社pp46-62