「感情のコントロールと「逃げ場」の研究」の版間の差分
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===当事者の「感情のコントロール」への困り感=== | ===当事者の「感情のコントロール」への困り感=== | ||
− | + | 当事者は定型発達の人に比べ、生得的な障がい特性や後天的な心理特性により、感情のコントロールにおいて様々な困難さを感じることがある(図4)。以下で詳しく述べる。 | |
図4.感情のコントロールにまつわる当事者の困難 | 図4.感情のコントロールにまつわる当事者の困難 | ||
====ネガティブな感情に傾く心理特性==== | ====ネガティブな感情に傾く心理特性==== | ||
− | + | 幼少期から周囲の無理解や、否定された経験を積み重ねている場合が多いためか、当事者はそもそもネガティブな気持ちになりやすい傾向にあるという。また、高機能自閉症者の心理特性を分析した池田ら(2017)によれば、彼らは定型発達者と比較して、ストレスを抱えた際に問題の積極的な解決や肯定的な解釈を行いにくく、問題解決の放棄や回避を行いやすい傾向にある。 | |
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+ | ====不調・ストレスの原因の多さ==== | ||
定型発達者を前提に作られた環境が当事者にとっては快適でなく、普段からストレスがたまりやすい。また、周囲からは些細に見えるようなきっかけ(予定の変更、大きな音など)で、ストレスが限界を超えてしまうことがある。 | 定型発達者を前提に作られた環境が当事者にとっては快適でなく、普段からストレスがたまりやすい。また、周囲からは些細に見えるようなきっかけ(予定の変更、大きな音など)で、ストレスが限界を超えてしまうことがある。 | ||
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+ | ====感情に気づくことへの困難==== | ||
発達障がいの特性として、他人や自分自身の感情の細かいニュアンスに気づくことが苦手な傾向があるという指摘がある。つまり、怒りや悲しみ、緊張感などのストレスを気づかないうちにため込んでしまう可能性がある。 | 発達障がいの特性として、他人や自分自身の感情の細かいニュアンスに気づくことが苦手な傾向があるという指摘がある。つまり、怒りや悲しみ、緊張感などのストレスを気づかないうちにため込んでしまう可能性がある。 | ||
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− | + | ====感情の表出の困難==== | |
− | + | 表情に表しにくかったり、言葉でうまく感情を伝えられない場合がある。また、これまで否定されたり注意されたりした経験から、表出を抑制してしまうことがある。 | |
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− | + | ====感情への対処の困難==== | |
− | + | コミュニケーションの苦手さから周囲へ相談しにくいと感じていたり、気分転換などの対処法が分からなかったり始められなかったりする。 | |
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+ | ===感情のコントロールに関わる支援ツール=== | ||
+ | 前節で述べたような困難に対応して、様々な支援がある。感情を視覚化して理解できるようなキットや、気分転換リストの作成などがあげられる。 | ||
==フィールド調査2 当事者ヒアリング== | ==フィールド調査2 当事者ヒアリング== |
2020年10月4日 (日) 23:12時点における版
- 発達障がい当事者の場所利用に着目して -
注)
- この雛形は、研究発表(口頭・ポスター)に適用されます。
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- ◯◯◯◯ / ◯◯大学 ◯◯学部 ← 氏名 / 所属(筆頭者)
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- ◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ / ◯◯◯◯◯◯ University ← 氏名 / 所属 の英語表記(共同研究者)
Keywords: Product Design, Visual Design ← キーワード(斜体)
- Abstract
- Lorem Ipsum is simply dummy text of the printing and typesetting industry. Lorem Ipsum has been the industry's standard dummy text ever since the 1500s, when an unknown printer took a galley of type and scrambled it to make a type specimen book. It has survived not only five centuries, but also the leap into electronic typesetting, remaining essentially unchanged.
目次
研究背景と目的
社会生活を営む上では、感情を適切にコントロールすることが必要である。だが、特に発達障がいがある人々は、特定の状況において感情のコントロールが難しくなることがある。さらに、そうした状況に陥った時に「周囲に理解されない」、「『逃げ場』がない」という困り感を持っていることがある。
TEACCHプログラム1)などの自閉症・発達障がい者支援では、「逃げ場」となる物理的な空間の必要性が指摘・実践されてきた。「逃げ場」は自分の意思で使える解決策になるだけではなく、「逃げ場」があるという認識をもつことが感情の安定化につながるという点でも重要である。
本研究では、発達障がい当事者(以下、当事者)をエクストリームユーザーととらえ、特に「逃げ場」となる物理的な場所に注目する。そして、当事者が感情をコントロールすることが難しくなったときに回復する過程と、そのために利用される「逃げ場」の関係に注目する。「逃げ場」となる場所とその利用過程を収集し、当事者が「逃げ場」となる場所に求めている質(物理的な環境、心理的な機能)及び、利用時の課題点を抽出することで、「逃げ場」となる場所の利用過程のデザイン要件を示すことを目的とする。
研究の方法
調査の概要
本研究では、文献調査、支援者ヒアリング、当事者ヒアリングの大きく3つの調査を行う。
文献調査では、用語の定義を行ったうえで、発達障がいにおける感情のコントロールの困難さ、そして、それに対する対処についての知見をまとめた。
支援者ヒアリングでは、臨床心理士の方にヒアリングを行い、当事者の感情のコントロールに対する困り感にいくつかの段階があることを示した。また、「逃げ場」となる場所を設置・確保している事例を持つ施設の方にヒアリングを行い、それらの利用事例から、当事者が気持ちを落ち着かせる状況についての仮説を立てた。
当事者ヒアリングでは6名の当事者にデプスインタビューを行い、感情のコントロールが難しくなった際に気持ちを落ち着かせた経験について、場所の利用を軸にお話を伺った。これらの分析から支援者ヒアリングまでで立てた仮説を検証・修正した。
調査の対象
本研究では、職場や学校を調査対象とする。これらの場所は「セカンド・プレイス」(レイ・オルデンバーグ, 1989)とも呼ばれ、1日の中で長い時間を過ごす集団生活の場である。「セカンド・プレイス」は、「ファースト・プレイス」と呼ばれる自宅や「サード・プレイス」と呼ばれる公共の場所と比べ、そこで過ごすことが強制され人との関わりも求められがちだと考えられる。そのため、感情を安定させて過ごせる環境を整えていくことが特に重要だと考え、研究対象とした。
文献調査
用語の定義を行ったのち、既往研究の整理によって本研究の位置づけを示す。
用語の定義
・発達障がい: 脳の一部機能障がいのために、成長とともに発達するはずの知能・精神活動・運動機能などが妨げられ、認知・行動に特有の状態像が現れる障がい(図1)。
・逃げ場: 感情のコントロールの目的で利用されるもの・こと・場所など。
・パニック:辞書によると、強い恐怖・不安・驚きなどにより陥る混乱状態。また、当事者が、自身の感情の混乱状態を表す言葉として使うことがある。
本研究では、
・カームダウン:パニック前に、落ち着くこと。
・クールダウン:パニックを起こした後に、落ち着きを取り戻すこと、と定義する。
事前準備の重要性
人間は、「いつでも逃げられる」という安心感があるだけでストレスが減ることが実証されている(Abelson, 2008)。つまり平常時から、何かあった時に備えて対策を立てておくことで、より落ち着いて過ごせると考えられる。
ソフト面の事前準備
事例として「自分の取扱説明書」などの作成がある。他者に見せて障がいへの理解を求めることを目的に作成される場合もあるが、当事者が作成の過程で自己理解を深め、感情のコントロールについて困ったときの対処法を事前に考える機会になるという側面がある。
ハード面の事前準備
当事者が利用する「逃げ場」については、TEACCHプログラムの提唱する空間の構造化支援の一部として設けられる「カームダウンエリア」がある。小・中学校の設備整備指針2)では「落ち着きを取り戻すための空間」の必要性について言及しているが、親川ら(2015)は中学特別支援学校におけるクールダウン環境の調査から、それが必ずしも四方を囲われたパーソナルスペースである必要はなく、空間に可変性を持たせることが重要であることを示した。一方、苅田(2009)は、小屋状のカームダウン空間を開発し、その利用による障がい児のストレス減少を定量的に示した。リラクゼーションを目的としたものでは「スヌーズレン」がある。また、当事者がバリアと感じる建築環境について、主に感覚過敏という障害特性に注目して明らかにした研究もある(金波、2012)。
定型発達の人についても、心理学や建築計画などの分野で居場所の研究が多くなされている。また、泊、吉田ら(2000)は、様々なネガティブな感情状態に応じてどのような場所が利用されやすく、その場所にどのような心理的機能を求めているかを明らかにした。他にも、ストレスからの回復環境を評価する指標の開発や、人々が気分転換に利用する空間の物理的特徴についての調査がなされている。
「逃げ場」となる場所の設置事例
近年、パニック時やパニックの起こりそうな時に少人数で入って過ごせるような「カームダウン空間」の整備が、公共の場所や学校で行われる事例がある(図2)。
フィールド調査1 支援者ヒアリング
臨床心理士および、当事者が過ごす職場や学校などの支援者へのヒアリングを行った。これにより、①当事者が感情のコントロールに対して感じている困り感を整理した。②当事者がパニックになりそうな時どのように気持ちを落ち着かせているかを聞き取り、仮説を生成した。
感情のコントロールのフェーズ
支援者へのヒアリングと文献調査を合わせて、当事者の感情のコントロールの主観的フェーズを示す図式を仮説的に作成した(図3)。 図3.感情コントロールの主観的フェーズ図式
当事者の「感情のコントロール」への困り感
当事者は定型発達の人に比べ、生得的な障がい特性や後天的な心理特性により、感情のコントロールにおいて様々な困難さを感じることがある(図4)。以下で詳しく述べる。 図4.感情のコントロールにまつわる当事者の困難
ネガティブな感情に傾く心理特性
幼少期から周囲の無理解や、否定された経験を積み重ねている場合が多いためか、当事者はそもそもネガティブな気持ちになりやすい傾向にあるという。また、高機能自閉症者の心理特性を分析した池田ら(2017)によれば、彼らは定型発達者と比較して、ストレスを抱えた際に問題の積極的な解決や肯定的な解釈を行いにくく、問題解決の放棄や回避を行いやすい傾向にある。
不調・ストレスの原因の多さ
定型発達者を前提に作られた環境が当事者にとっては快適でなく、普段からストレスがたまりやすい。また、周囲からは些細に見えるようなきっかけ(予定の変更、大きな音など)で、ストレスが限界を超えてしまうことがある。
感情に気づくことへの困難
発達障がいの特性として、他人や自分自身の感情の細かいニュアンスに気づくことが苦手な傾向があるという指摘がある。つまり、怒りや悲しみ、緊張感などのストレスを気づかないうちにため込んでしまう可能性がある。
感情の表出の困難
表情に表しにくかったり、言葉でうまく感情を伝えられない場合がある。また、これまで否定されたり注意されたりした経験から、表出を抑制してしまうことがある。
感情への対処の困難
コミュニケーションの苦手さから周囲へ相談しにくいと感じていたり、気分転換などの対処法が分からなかったり始められなかったりする。
感情のコントロールに関わる支援ツール
前節で述べたような困難に対応して、様々な支援がある。感情を視覚化して理解できるようなキットや、気分転換リストの作成などがあげられる。
フィールド調査2 当事者ヒアリング
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まとめ
考察
今後の展望
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脚注
参考文献・参考サイト
- ◯◯◯◯◯(20XX) ◯◯◯◯ ◯◯学会誌 Vol.◯◯
- ◯◯◯◯◯(19xx) ◯◯◯◯ ◯◯図書
- ◯◯◯◯◯(1955) ◯◯◯◯ ◯◯書院
- ◯◯◯◯◯ https://www.example.com (◯年◯月◯日 閲覧)