「昆虫食を日常に取り込むデザイン的アプローチ」の版間の差分
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2020年10月13日 (火) 15:25時点における版
- 身体的支援機能・知的支援機能・精神的支援機能・技術的支援機能の観点から -
- 加治 幸樹 / 九州大学 芸術工学部
- 山野 和磨 / 九州大学 芸術工学部
Keywords: Insect Food, Speculative Design
目次
背景と目的
サービスは、レシーバー(サービスの需要者)の「状態変化」を引き起こすことであり、コンテンツ(内容)およびチャネル(方法)はその実現手段といえる[1]。また、実現手段の方向性として、身体的支援・知的支援・精神的支援・技術的支援の4つの支援機能に分けて考えることができる[2]。そこで本研究では、既存のモノが提供する機能のありようについて、4つの支援機能の観点から整理し、「新たな付加価値を持つモノ」を提案することを目的とする。
なお、本発表は、九州大学芸術工学工業設計学科4年前期に開設される「工業設計プロジェクト研究」のプロセスおよび成果の一端を報告するものである。
現状の把握とテーマの選定
現状の把握
身の回りの製品やサービスを4つの支援機能の観点から分類した(図1)。その結果、虫の捕獲器や昆虫食に関する製品には、精神的支援、知的支援がほとんど施されていないのではないかと考えられた。
テーマの選定
そこで、昆虫食に関わる製品やデザインに注目することとし、現存する昆虫食に関わる製品やサービスを調査した。その結果、精神的支援が施された事例が少ないことが分かった。これらの昆虫食に関わる事例に精神的支援を付加することで新たな価値が生まれるのではないかと考えた。
アイデアの検討と提案
昆虫食について
世界で有⽤なバイオマス、タンパク源として昆⾍⾷に関⼼が向いている。しかし戦後、政策によって作り上げられてきた「害⾍観」と、⾷の 多様化によって⾷として昆⾍を捉えることが難しくなっている。
昆虫食について調査[3]した結果、鶏肉と牛肉ではそれぞれタンパク質を100グラム中52%、56%の割合で含むのに対して、コオロギとトノサマバッタではそれぞれタンパク質を100グラム中64%、67%の割合で含むということが分かった。また他の脂質やビタミン量などでも同様に他の肉類と遜色が無く、昆虫が他の肉類などの代替食品となる可能性があると言われていることがわかった。また、飼育に必要となる餌や水分などの持続可能性の観点からみると他の食用動物と比べてはるかに優っている。それにもかかわらず、現在日本の市場に常用食として出回ることは少なく、伝統⾷品、嗜好品、趣味として捉えられており、⽇常の⾷事範囲からは疎外されているといえる。
最終提案
未来における⽇常⾷としての昆⾍のあり⽅を提⽰する。その結果として、社会に昆⾍⾷を⽇常に取り込むアプローチを各々で模索してもらうことで、次のスペキュレーション(説明がいる)が産まれる。この思索プロセスを踏んでもらうことで、⾷として昆⾍を捉えてもらうことを目的とする未来像を以下に示す。
発表スライド
脚注
外部リンク