利用者:李彦萱

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李彦萱 / 九州大学 統合新領域学府
Genkan RI / Kyushu University
Keywords: Fan attitudes and behavior , Fan tourism, Experimental value,  


Abstract
Currently, there are more and more cases where people learn about idols not only in Japan but also from a variety of countries and become fans. Every year, many overseas fans come to Japan to enjoy the event of idols, not only to watch concerts, but also to go to restaurants and shooting locations recommended by idols.Based on the above research background, this study sets the following purposes. (1) In China and Taiwan, it is assumed that there is a possibility of fan tourism, and the purpose is to explore the details using overseas fans as an example. (2) Investigate whether or not you are willing to participate in fan tourism for fans.

目的と背景

  現在、日本国内だけではなく、国外からもいろいろなツールでアイドルのことを知りファンになるケースも増えている。毎年、多数の海外ファンがアイドルを見るために来日し、コンサートを見るだけではなく、アイドルから勧めたレストランや撮影地に行くことなどの聖地巡礼も旅行の一部になっている。「訪日外国人増加に向けた共同行動計画」の中には、アニメやマンガの聖地への訪日というコンテンツツーリズムを促すための情報発信が含まれている。コンテンツツーリズムを巡って様々な政策が打たれており、期待が高まっていることが見てとれる。日本だけではなく、中国あるいは台湾においても、ファンツーリズムの可能性があるのではないかと考えられる。上記の研究背景を踏まえ、本研究は以下の目的を設定する。(1)中国あるいは台湾においても、ファンツーリズムの可能性があると仮定し、海外ファンを例としてその詳細を探ることを目的とする。(2)ファンを対象に、ファンツーリズムへの参加意欲の有無を調査する。

研究の方法

本研究では、上記の目的に向けて、文献調査とヒアリング調査の方法を選定する。

(1)文献調査 まず、ファンの行動レベル、ファンツーリズム、体験価値の三つの方向で先行研究の文献を収集する。ファン心理についての資料を収集し、ファンの行動を整理する。また、旅行体験に関する論文を収集し、旅行体験の分類、ファンツーリズムのあり方について考察する。最後、経験価値理論を検討し、経験価値の応用について調査する。 (2)ヒアリング調査 一般的な旅行体験と違い提案するために、日本に在住の外国人ファンにファンツーリズムに関する体験の調査を行い ①調査内容:海外ファンの旅行体験についての実態調査 ②調査対象:海外ファン ③調査項目:具体的旅行体験、プロセス、行きたいところなど

結果

 アイドルコンテンツをきっかけとしたツーリズムに関しては、村木(2012)がアイドルファンの旅行行動を調査しコンテンツツーリズムの枠組みのなかで考察し、アイドルコンテンツの物語性を発見し、アイドルコンテンツのツーリズムを定義した。また、毛利(2018)がファンツーリズムは、追いかける人物によって目的地が変わるので、地域の人々との関係性の構築がほとんど期待出来ない。ファンの成長のみならず、地域の人々にも好影響をもたらし、ひいては地域全体の活性化へとつながっていくと述べた。
 在日外国人の嵐ファン6名を対象に、ファンツーリズムに関する旅行体験のヒアリング調査を行い。その結果、六人はファンツーリズムに参加したことがある。主なファン行動は「ファンクラブにはいる」、「グッズをたくさん買う」、「コンサートにいく(遠い)」、「舞台を見にいく(近い)」と答えられた。それ以外は、3人は「アイドルが勧めたレストランに行く」、二人は「ロケ地巡り」、「アイドルの地元に行く」、一人は「全国ツアーを一緒に回る」と答えられた。

考察

 現在、フィルムツーリズムやアニメツーリズムのように映像コンテンツによるツーリズムが中心であり映像コンテンツ以外のコンテンツを対象とした研究は多くない。村木(2012)は、主にアイドルコンテンツの地域への貢献に着目しており、ファンの視点が欠けていた。ファンツーリズムを把握するには、ファンを中心にして、ファンの行動レベルからファンはどういうことを求めているのかを明らかにする必要がある。また、ほとんどの研究対象者は国内ファンを中心とした。近年では、多くの海外ファンはアイドルのために日本に来る、海外ファンもターゲットになる必要があるのではないか。

 ヒアリング調査では、ファンツーリズムに参加意欲が高いことがわかった。また、「コンサートを見ること」はファンツーリズムの核心部分を占めていることが明らかになった。海外ファン行動の中で

まとめ

 今後の課題としては、「費用」「時間」「家族の理解」という条件によって,ファンツーリズムにおける階層化が発生していると考えられる。「参戦」や「遠征」行動において、ファン個人の婚姻状況,就業状況,家族構成といった基本属性によって、どのような違いが出るのか、

 国内ファンによって、海外ファンはどのような違いが出るのか、ファンツーリズムを参加することはどの程度影響を与えているのか、ファンツーリズムには、どのような項目は満足できるは、どのような項目は価値が得られるか。などについて、量的調査で明らかにすることが今後の課題である。

参考文献・参考サイト

  • 村木伊織(2012)  北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院院生論集, 8: 82-87
  • 毛利康秀 (2018) コンテンツツーリズム学会論文集Vol.5 
  • 幸田麻里子、臺純子、崔錦珍(2018) 立教大学観光学部紀要 第20号 2018年3月