より良い生活リズムをつくる情報表示の提案

提供: JSSD5th2020
2020年10月6日 (火) 19:11時点における野村竜成 (トーク | 投稿記録)による版 (4つの支援機能による既存の製品の分類)
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- 身体的支援機能・知的支援機能・精神的支援機能・技術的支援機能の観点から -

野村 竜成 / 九州大学 芸術工学部 
墨田 知世 / 九州大学 芸術工学部 
椎葉 直也 / 九州大学 芸術工学部

Keywords: Time Display, Clock, Watch, Daily Rhythm, Product Design, Design 


背景・目的

 サービスは、レシーバー(サービスの需要者)の「状態変化」を引き起こすことであり、コンテンツ(内容)およびチャネル(方法)はその実現手段といえる[1]。また、実現手段の方向性として、身体的支援・知的支援・精神的支援・技術的支援の4つの支援機能に分けて考えることができる[2]

 そこで本研究では、4つの支援機能の観点から既存の製品が提供する機能のありようについて整理することで課題を発見し、「新たな価値を持つ製品やサービス」を提案することを目的とする。



4つの支援機能による既存の製品の分類

図1.身の回りの製品を分類

 身の回りの製品やサービスとして35個のサンプルを収集し、4つの支援機能の観点から分類を行った。  その結果、図1に示すように整理することができた。 サンプルにおける4つの支援機能の分類から身の周りの製品やサービスにおいて、1つの支援機能に限らず、複数の支援機能をもつ製品やサービスが存在する場合がある分かった。サンプルにおいて、時計や車は一般的に3つの支援機能をもつことが見てとれた。



可視化の結果に基づく課題の選定

図2.時間に関するもの分類

 分類の中から、本研究では時計について着目した。時計においては、これまでの歴史においてより正確な時間・時刻を知ることを目的とした技術的支援機能における発展を遂げてきた。しかし、ほかの支援機能としての発展の歴史は浅いため、新しい付加価値をもつものが提案できるのではないかと思い、着目した。

 次に、既存の時計について収集し、4つの支援機能について分類を行った(図2)。 この分類から、既存の時計において現在、ファッションやインテリアとしての時計や精神的に「落ち着き」や「焦り」を提供する時計など精神的機能に着目した時計が広く展開されていた。また、身体的支援機能をもつ時計は眠りから身体を起こす目覚まし時計以外見られなかった。そこで、時間表示における身体的支援機能をもつものが新たな付加価値を与えると考えた。




「解決策」の洗い出しと絞り込み

図3.ペルソナ1
図4.ペルソナ2
図5.最終提案物

 時間表示における身体的支援機能をもつもので夜に睡眠を促すものがあれば良いのではないかというアイデアが出た。 解決策を検討するにあたって、ペルソナを作成した(図3、4)。 ペルソナの作成から、睡眠時間の長さに応じて報酬やペナルティを与えるのがいいのではないかという話になった。そこから、睡眠をした分だけスマホも充電される充電器という方向性に決定した。


 具体的なアイデアとしては、睡眠時にスマホの充電を行うことを想定し、ヒトの睡眠をスマホの充電と見立てた。設定した時間より 睡眠時間が短いと、少ない分完全な充電がされない。また、寝過ぎた・寝る時間がずれた場合は、次の日の充電量が減るペナルティが発生するようにし、自分の睡眠時間が十分足りていたかどうか直感的に理解できる。また、100%充電させるために早く寝ようという気にさせてくれる充電器である(図5)。




外部リンク




脚注

  1. 下村芳樹,原辰徳,渡辺健太郎,坂尾知彦,新井民夫,富山哲男:サービス工学の提案(第 1 報,サービス工学のためのサービスのモデル化技法),日本機械学會論文集C編,Vol.71,No.702,pp.669-676, 2005
  2. 亀岡秋男:サービス・製品・技術イノベーションを融合・創出・俯瞰する統合型戦略ロードマッピング,オペレーション・リサーチ経営の科学,Vol.51,No.9,pp.573-578,2006