「白黒写真カラー化を通した明治期から昭和期に至る福岡市および周辺地域に関する研究」の版間の差分

提供: JSSD5th2021
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【第1会場】
 
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会場:はかた伝統工芸館  
 
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日程:2020 年11 月5 日(木)~6 日(金) 2日間  
 
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2021年10月7日 (木) 18:47時点における版

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注)

  • この雛形は、研究発表(口頭・ポスター)に適用されます。
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伊藤晃生 / 九州産業大学大学院 芸術研究科 造形表現専攻 デザイン領域
Ito Kosei / Kyushu Sangyo University Graduate School of Arts
井上友子 / 九州産業大学 芸術学部 ソーシャルデザイン学科
Inoue Tomoko / Kyushu Sangyo University Faculty of Art and Design Social Design

Keywords: Social Design , AI, Graphic, Photo, Exhibition , Back in time


Abstract
In this study, we report on our efforts to restore and colorize old black-and-white photographs of individuals taken mainly in Fukuoka City during the Meiji and Showa periods (1900s), and to preserve ethnographic records for future generations.



1.背景

 近年、AIのディープラーニングを活用した自動着彩技術が話題に上がっている。白黒写真に色が着くことで立体感を表現でき、非現実的な印象だった白黒の世界から現実味が増す多彩な世界に生まれ変わるからだ。今日に至るまで、AIによってカラー化された白黒古写真の大半は、戦争に関する日常生活には無縁な非日常的な瞬間を写した写真が多い傾向にある。

 これまで、地域文化を中心とした古写真のカラー化の事例は、あまり行われていないことが現状だ。個人が所有している古写真こそが、地域の文化や歴史を物語る記録であり、カラー化し、後世へ語り継がなければならないと感じた。古写真の管理者は、高齢者がほとんどであり、後継人がいないと存在自体を気付かず、その写された場所、人物、出来事まであたかも無かったことになってしまう恐れがある。


2.目的

図1.◯◯◯◯

 本研究では、こうしたことから地域の貴重な資料である、個人の白黒古写真をデジタル上で修復、カラー化を行い、デジタルデータとして保全する取り組みを行う。これと共に歴史ある当時の生活や祭りなどの日常生活に身近な地域に興味を持つきっかけ作りになるように環境づくりをめざす。まずは、筆者の出身地である福岡市を中心に活動することにした。



3.研究方法

 タブレット端末が普及している昨今では、写真に触れ合う機会が極めて少なく。できる限り広くこの活動を周知していくためには、ソーシャルメディアを使った情報発信が最善の方法ではあるがネット社会に馴染みがない者もいる。こうしたことからイベント形式で開催することにした。


4.実験

図1.AIとデジタル手彩色との違い  白黒写真のカラー化には、大きく分けて2つの方法がある。1つが先述したAI技術を使った自動着彩システムを使用する方法。もう1つは、ペイントソフトを使い、手作業で着彩する方法がある。この2つの結果の違いについて比較する。使用する写真は、日本軍の戦艦で撮影されたとされる私の曽祖父の写真だ。

 まずは、オンライン上で公開されている自動着彩システムに写真を投入し、カラー化を行なった。今回使用したシステムは、①早稲田大学、②筑波大学、③Algorithmia、④colouriseSGの無料で公開されている4つだ(図1)。結果は、全体的に肌の着彩は上手くいっているがその他の出来は違和感が残った。着色したというよりセピア調に変換された印象を感じた。これとは対照的に手作業による着彩では、当時の曽祖父を知る祖父に当時の服の色や素材などを聞き取りするなどの時代考証を得て着彩を行なった。AIと私が着彩した結果を比べるとその差は歴然。曽祖父の後ろにある円形のものは日本国旗であり、軍服も薄い茶色ではなく黄緑色だということが判明した。

 このように、AIのカラー化では、瞬時に着彩してくれるメリットはあるが不確かな色を選ぶ傾向にある。対して手作業では、人間や資料による証言や資料を基に着彩を行うため、精度がAIと比べて増すだろう。このほかに、現在の公開されているAIでは、白黒写真の着彩はできても破損した箇所の修復は、出来ない状態にある。以上のことから本研究では、デジタルソフトを使った手作業での着彩を行うことに決めた。


5.着彩過程

 白黒写真に色を着けるまで、パソコンとペイントソフト(adobe photoshop)を使用し、以下の手順に沿って行なった。

①「スキャン」 まず、写真を画像としてデータに変える必要がある。劣化が激しい写真は、タブレット端末で撮影。劣化が少ない写真は、高性能スキャナー(EPSON ES-G11000)を使用して読み込む。

②「白黒化」 読み込んだ画像をペイントソフトへ取り込み、完全な白黒に変換。白黒写真は、セピア調や青く燻んだ色など複雑な色が隠れている。そのため、修復や着彩をしやすいよう単純な色、白と黒に置き換える必要がある。

③「修復」 破損した箇所の修復を行う。傷や汚れの小さい部分は、修正ブラシを使って修復。大きく破損している場合は、周囲の情報を手掛かりにし、違和感がないよう自ら作り出して修復する。

④「着彩」 写真が写された当時の時代、天気、季節、位置(場所)など可能な限り把握し、その場にあった色を着彩する。不明な色は、当事者や関係者に聞いたり、当時の事柄が書かれてある書物やインターネットをヒントにその時代に近い色を再現する。

⑤「色調整」 着彩が完了した写真は、彩度が高い場合が多い。そのため、人間の目に違和感がないよう彩度の他に明度、色度も含め色合いを調整する。また、多くの写真は、長期の保存により、写真紙の薬品が劣化し、赤身がかったような変色をしている。


6.イベント内容

6-1,コンセプト  幅広くこの取り組みを知って貰いたいという思いを込め、老若男女が親しみ覚えやすい言葉「monokara.(モノカラ)」と称することにした。これには、白黒写真に含まれている白黒の要素「monochrome」と「color」を掛け合わした言葉だ。モノクロからカラーに色が表現されいていくように

6-2,実施場所、日時  福岡市の文化発祥の地、博多区で2会場お借りし、2期間に分けてイベントを開催した。地域住人が気軽に足を運べる場所として立地の良い場所を重視して選定。このことから、以下の通りにイベントを実施した。

【第1会場】

会場:はかた伝統工芸館 日程:2020 年11 月5 日(木)~6 日(金) 2日間 時間:10:00~18:00

【第2 会場】 会場:博多おりおり堂 日程:2020 年11 月21 日(土)~23 日(月) 3 日間 時間:10:00~16:00


7.結果

8.考察

謝辞

脚注


参考文献・参考サイト

  • 渡辺英徳, 庭田杏珠,「記憶の解凍」:カラー化写真をもとにした”フロー”の生成と記憶の継承 デジタルアーカイブ学会誌 3 巻 3 号 p. 317-323, 2019