「福祉におけるソーシャルインクルージョンのデザイン」の版間の差分

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(ショートビッグファイブ)
 
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-「個人に着目した包摂型福祉へのアプローチ」  -
 
-「個人に着目した包摂型福祉へのアプローチ」  -
 
  
  
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''Keywords: Social Inclusion , Welfare, Big Five '' 
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''Keywords: Social Inclusion , Welfare , Big Five '' 
  
  
  
 
==はじめに==
 
==はじめに==
 
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[[ファイル:福祉におけるソーシャルインクルージョンのデザイン(4).png|thumb|right|260px|イメージ図]]
 
専門家などによる多様性やソーシャルインクルージョンへの意識が徐々に高まっている。<br>しかし、現在 社会において福祉の対象者とみなされる人への意識や認識には差別化や区別化を図ることが重んじられている傾向があり、考え方や概念の浸透・伝播の面での課題を感じる。<br>
 
専門家などによる多様性やソーシャルインクルージョンへの意識が徐々に高まっている。<br>しかし、現在 社会において福祉の対象者とみなされる人への意識や認識には差別化や区別化を図ることが重んじられている傾向があり、考え方や概念の浸透・伝播の面での課題を感じる。<br>
 
そこで、本研究では社会全体へソーシャルインクルージョンのアプローチをする手段を抽出することを目的とし研究を進めている。<br>
 
そこで、本研究では社会全体へソーシャルインクルージョンのアプローチをする手段を抽出することを目的とし研究を進めている。<br>
個人を通して社会を見つめる事は多様な価値観を見出すことができるのではないかという仮説に基づき、<br>個人をグループ化する事で'''「価値観の結束」'''='''「社会のバイアス」'''を調査できるかと考えた。
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個人を通して社会を見つめる事は多様な価値観を見出すことができるのではないかという仮説に基づき、<br>個人をグループ化する事で'''「価値観の集まり」'''='''「社会のバイアス」'''を調査できるかと考えた。
  
 
==研究方法==
 
==研究方法==
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今回、個人に着目するため、個人の性格特性を分析することでアプローチした。<br>そのため、心理学の分野で利用されているビッグファイブを簡素化した、ショートビッグファイブを用いた。<br>
 
今回、個人に着目するため、個人の性格特性を分析することでアプローチした。<br>そのため、心理学の分野で利用されているビッグファイブを簡素化した、ショートビッグファイブを用いた。<br>
 
アンケート調査は、自身で作成した、福祉に関するアンケート(属性として年齢含む)とショートビッグファイブで計20問の質問を行い、192件の有効回答を得ることができた。<br>
 
アンケート調査は、自身で作成した、福祉に関するアンケート(属性として年齢含む)とショートビッグファイブで計20問の質問を行い、192件の有効回答を得ることができた。<br>
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==アンケートの内容==
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===福祉の意識についてのアンケート===
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{| class="wikitable"
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!番号 !!質問内容 !! 形式 !! (選択肢)!! 参考・趣旨
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|1||この中で福祉の為にスペースを区別化した方が望ましい・使いやすいと思う施設・設備を選択してください。|| 複数選択可
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|| 乗り物(電車・バス)、道路・駐車場、エレベーター、公園、トイレ、学校教育 ||現在、区別化されている施設・設備
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|-
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|2||あなたが感じる苦手・不得意なものに抱くイメージとして、近いものを選択してください。
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||選択式||克服、受容、悲観、同情、個性、逃避||適応機制・認知的不協和
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|3||あなたは自身が困惑している際、どのような比重の解決方法を望みますか。
 +
||選択式||1(一人で解決)~8(仲間と解決)の数字スケール||ピアサポート
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|4||相手の尊厳を守りながらサポートする事は、心理的・物理的 どちらの配慮を重視するべきだと考えますか。
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||選択式||物理的、心理的||サポートにおいてのジレンマ
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|-
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|5||社会生活を行っていく上で、支援される側と支援する側に分けて関わる必要性をどのくらいの割合で感じますか。
 +
||選択式||1(分けるべき)~8(分けるべきでない)の数字スケール ||ソーシャルインクルージョンの考え方
 +
|-
 +
|6||4や5のように答えられた理由は何ですか。
 +
||記述式||自由記述||4と5の趣旨が伝わっているか確認する。
 +
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 +
|7||福祉と聞いて思い浮かぶ言葉で近いものを選んでください。
 +
||複数選択可||収容、便宜、合理的、妥当、加減、理解力、適応、当然||Reasonable accommodation
 +
|-
 +
|8||あなたは合理的配慮をご存知ですか。
 +
||選択式||実践している、名前と内容は知っている、名前のみは知っている、わからない||合理的配慮の認知度
 +
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|9||あなたが思う福祉の課題は何ですか。
 +
||記述式||自由記述||質問と同じ
 +
|- class
 +
|}
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===ショートビッグファイブ===
 
===ショートビッグファイブ===
{| class="sortable wikitable"
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{| class="wikitable"
  ! 要素 !! 質問① !! 質問②
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  ! 要素 !! 項目① !! 項目②
 
  |-
 
  |-
 
  | 外向性|| 活発で、外向的だと思う。 || ひかえめで、おとなしいと思う。
 
  | 外向性|| 活発で、外向的だと思う。 || ひかえめで、おとなしいと思う。
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  | 開放性 || 新しいことが好きで、変わった考えを持つと思う。 || 発想力に欠けた、平凡な人間だと思う。
 
  | 開放性 || 新しいことが好きで、変わった考えを持つと思う。 || 発想力に欠けた、平凡な人間だと思う。
  |- class="sortbottom"
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  |- class
 
  |}
 
  |}
  
各性格特性の要素において
+
ショートビッグファイブでは、計10項目(各性格特性の要素において、2項目ずつの質問)での形式のアンケートを引用した。<br>
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1から7の数字スケールで、当てはまるを“7”、当てはまらないを“1”とした選択式の質問である。
 +
 
 
{| class="wikitable"
 
{| class="wikitable"
 +
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! 項目①+(8-項目②)
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|}の計算式に代入して、量的に集計・分析を行う。
  
! 質問①+(8-質問②)
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==アンケート結果と考察==
|}
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現在、分析できている結果と考察を3つ上げる。
の計算式に代入して、量的に集計・分析を行う。
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[[ファイル:福祉におけるソーシャルインクルージョンのデザイン(1).png|thumb|right|260px|図1]]
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[[ファイル:福祉におけるソーシャルインクルージョンのデザイン(2).png|thumb|right|260px|図2]]
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[[ファイル:福祉におけるソーシャルインクルージョンのデザイン(3).png|thumb|right|260px|図3]]
  
==アンケート結果と考察==
 
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アンケート結果と考察を3つ紹介する。
 
 
 
 
===reasonable accommodation と福祉の既成概念===
 
===reasonable accommodation と福祉の既成概念===
[[ファイル:福祉におけるソーシャルインクルージョンのデザイン(1).png|thumb|right|180px|図1]]
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質問⑦
{| class="wikitable"
 
|-
 
! Q.福祉と聞いて思い浮かぶ言葉で近いものを選んでください。(複数選択可)
 
|}
 
 
では、合理的配慮の語源である “Reasonable accommodation”  
 
では、合理的配慮の語源である “Reasonable accommodation”  
 
の持つ意味に基づき、それぞれの単語の意味から熟語を8つ作成した。<br>
 
の持つ意味に基づき、それぞれの単語の意味から熟語を8つ作成した。<br>
 
図1のように、合理的配慮の趣旨を伝播する言葉として、「理解力」や「適応」及び類義語を
 
図1のように、合理的配慮の趣旨を伝播する言葉として、「理解力」や「適応」及び類義語を
 
用いるとよい事が分かった。<br>このような結果から、下記のような趣旨の説明の方が“Reasonable accommodation”に対して齟齬が無い説明にアプローチできるかと考えている。<br>
 
用いるとよい事が分かった。<br>このような結果から、下記のような趣旨の説明の方が“Reasonable accommodation”に対して齟齬が無い説明にアプローチできるかと考えている。<br>
合理的配慮=障害者福祉において、障がいを持つ人が社会生活に「適応」するために、周囲が「理解力」を持った配慮をすること。<br>
+
(説明)合理的配慮=障害者福祉において、障がいを持つ人が社会生活に「適応」するために、周囲が「理解力」を持った配慮をすること。<br>
 
+
→「理解力」「適応」が多く選択された他の要因として、回答者にとって日常的に使わない選択肢は選択されていないのではないか。<br>
 
+
選択肢の言葉をより日常語として用いるものにして再設計を行う。
 
 
 
 
[[ファイル:福祉におけるソーシャルインクルージョンのデザイン(2).png|thumb|right|180px|図2]]
 
  
 
===認知的不協和・適応機制と性格特性===
 
===認知的不協和・適応機制と性格特性===
{| class="wikitable"
+
性格特性(外向性)× 質問②<br>
! 性格特性(外向性)× Q.あなたが感じる苦手・不得意なものに抱くイメージとして、<br>近いものを選択してください。
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仮説として、外向性が高い人は「克服」を、外向性が低い人は「逃避」を選択しているのではないかと予想を立てた。<br>
|}
+
結果として図2のように、
では、図2のように、
 
 
「克服」を選択する人は、若干だが外向性が低く、
 
「克服」を選択する人は、若干だが外向性が低く、
 
「逃避」を選択する人は、外向性が高い事が分かる。<br>
 
「逃避」を選択する人は、外向性が高い事が分かる。<br>
 
この結果から、障害や障壁に対して「克服」を強要するのではなく、
 
この結果から、障害や障壁に対して「克服」を強要するのではなく、
性格特性に応した支援方法でアプローチをすることでより個人の特性に合わせた支援を実現できるのではないかと感じた。
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性格特性に応じた支援方法でアプローチをすることで、より個人の特性に合わせた支援を実現できるのではないかと推測した。
 
 
 
 
 
 
 
 
[[ファイル:福祉におけるソーシャルインクルージョンのデザイン(3).png|thumb|right|180px|図3]]
 
  
 
===インクルーシブの意識と年齢===
 
===インクルーシブの意識と年齢===
{| class="wikitable"
+
属性(年齢)× 質問③
! 属性(年齢)× Q.社会生活を行っていく上で、支援される側と支援する側に分けて関わる必要性を
+
では、10歳代は、「分けるべきではない」に近い「8」の割合が多かったことから、
どのくらいの割合で感じますか。(数字スケールで8段階の選択形式)
 
|}
 
では、10歳代は、「分けるべきではない」に近い「3」の割合が多かったことから、
 
 
年齢によってインクルーシブ社会への意識が異なる事が分かった。<br>
 
年齢によってインクルーシブ社会への意識が異なる事が分かった。<br>
10歳代から20歳代へのアプローチよりも、30歳代以上へのアプローチを行っていくことで社会全体のソーシャルインクルージョンへの意識が高まると考えた。
+
10歳代から30歳代へのアプローチよりも、40歳代以上へのアプローチを行っていくことで社会全体のソーシャルインクルージョンへの意識が高まると考えた。<br>
 
+
→属性として、社会的成員カテゴリーによって変化があるのではないか。
  
  

2021年10月28日 (木) 18:52時点における最新版

-「個人に着目した包摂型福祉へのアプローチ」 -


久保穂果 / 福岡県立博多青松高等学校 
尾方義人 / 九州大学 芸術工学研究院 


Keywords: Social Inclusion , Welfare , Big Five  


はじめに

イメージ図

専門家などによる多様性やソーシャルインクルージョンへの意識が徐々に高まっている。
しかし、現在 社会において福祉の対象者とみなされる人への意識や認識には差別化や区別化を図ることが重んじられている傾向があり、考え方や概念の浸透・伝播の面での課題を感じる。
そこで、本研究では社会全体へソーシャルインクルージョンのアプローチをする手段を抽出することを目的とし研究を進めている。
個人を通して社会を見つめる事は多様な価値観を見出すことができるのではないかという仮説に基づき、
個人をグループ化する事で「価値観の集まり」「社会のバイアス」を調査できるかと考えた。

研究方法

今回、個人に着目するため、個人の性格特性を分析することでアプローチした。
そのため、心理学の分野で利用されているビッグファイブを簡素化した、ショートビッグファイブを用いた。
アンケート調査は、自身で作成した、福祉に関するアンケート(属性として年齢含む)とショートビッグファイブで計20問の質問を行い、192件の有効回答を得ることができた。

アンケートの内容

福祉の意識についてのアンケート

番号 質問内容 形式 (選択肢)  参考・趣旨
1 この中で福祉の為にスペースを区別化した方が望ましい・使いやすいと思う施設・設備を選択してください。 複数選択可 乗り物(電車・バス)、道路・駐車場、エレベーター、公園、トイレ、学校教育  現在、区別化されている施設・設備
2 あなたが感じる苦手・不得意なものに抱くイメージとして、近いものを選択してください。 選択式 克服、受容、悲観、同情、個性、逃避 適応機制・認知的不協和
3 あなたは自身が困惑している際、どのような比重の解決方法を望みますか。 選択式 1(一人で解決)~8(仲間と解決)の数字スケール ピアサポート
4 相手の尊厳を守りながらサポートする事は、心理的・物理的 どちらの配慮を重視するべきだと考えますか。 選択式 物理的、心理的 サポートにおいてのジレンマ
5 社会生活を行っていく上で、支援される側と支援する側に分けて関わる必要性をどのくらいの割合で感じますか。 選択式 1(分けるべき)~8(分けるべきでない)の数字スケール ソーシャルインクルージョンの考え方
6 4や5のように答えられた理由は何ですか。 記述式 自由記述 4と5の趣旨が伝わっているか確認する。
7 福祉と聞いて思い浮かぶ言葉で近いものを選んでください。 複数選択可 収容、便宜、合理的、妥当、加減、理解力、適応、当然 Reasonable accommodation
8 あなたは合理的配慮をご存知ですか。 選択式 実践している、名前と内容は知っている、名前のみは知っている、わからない 合理的配慮の認知度
9 あなたが思う福祉の課題は何ですか。 記述式 自由記述 質問と同じ

ショートビッグファイブ

要素 項目① 項目②
外向性 活発で、外向的だと思う。 ひかえめで、おとなしいと思う。
協調性 人に気をつかう、やさしい人間だと思う。 他人に不満を持ち、もめごとを起こしやすいと思う。
勤勉性 しっかりしていて、自分に厳しいと思う。 だらしなく、うっかりしていると思う。
神経症的傾向 心配性で、うろたえやすいと思う。 冷静で、気分が安定していると思う。
開放性 新しいことが好きで、変わった考えを持つと思う。 発想力に欠けた、平凡な人間だと思う。

ショートビッグファイブでは、計10項目(各性格特性の要素において、2項目ずつの質問)での形式のアンケートを引用した。
1から7の数字スケールで、当てはまるを“7”、当てはまらないを“1”とした選択式の質問である。

項目①+(8-項目②)

の計算式に代入して、量的に集計・分析を行う。

アンケート結果と考察

現在、分析できている結果と考察を3つ上げる。

図1
図2
図3

reasonable accommodation と福祉の既成概念

質問⑦ では、合理的配慮の語源である “Reasonable accommodation” の持つ意味に基づき、それぞれの単語の意味から熟語を8つ作成した。
図1のように、合理的配慮の趣旨を伝播する言葉として、「理解力」や「適応」及び類義語を 用いるとよい事が分かった。
このような結果から、下記のような趣旨の説明の方が“Reasonable accommodation”に対して齟齬が無い説明にアプローチできるかと考えている。
(説明)合理的配慮=障害者福祉において、障がいを持つ人が社会生活に「適応」するために、周囲が「理解力」を持った配慮をすること。
→「理解力」「適応」が多く選択された他の要因として、回答者にとって日常的に使わない選択肢は選択されていないのではないか。
選択肢の言葉をより日常語として用いるものにして再設計を行う。

認知的不協和・適応機制と性格特性

性格特性(外向性)× 質問②
仮説として、外向性が高い人は「克服」を、外向性が低い人は「逃避」を選択しているのではないかと予想を立てた。
結果として図2のように、 「克服」を選択する人は、若干だが外向性が低く、 「逃避」を選択する人は、外向性が高い事が分かる。
この結果から、障害や障壁に対して「克服」を強要するのではなく、 性格特性に応じた支援方法でアプローチをすることで、より個人の特性に合わせた支援を実現できるのではないかと推測した。

インクルーシブの意識と年齢

属性(年齢)× 質問③ では、10歳代は、「分けるべきではない」に近い「8」の割合が多かったことから、 年齢によってインクルーシブ社会への意識が異なる事が分かった。
10歳代から30歳代へのアプローチよりも、40歳代以上へのアプローチを行っていくことで社会全体のソーシャルインクルージョンへの意識が高まると考えた。
→属性として、社会的成員カテゴリーによって変化があるのではないか。


さらに分析を進める事で、新たな福祉へのアプローチの手段を抽出し伝播への貢献を行いたいと思う。 

引用文献

引用文献:清水裕士 (2016 ). フリーの統計分析ソフトHAD:機能の紹介と統計学習・教育,研究実践における利用方法の提案  メディア・情報・コミュニケーション研究, 1, 59-73.

小塩真司・阿部晋吾・カトローニ ピノ (2012). 日本語版Ten Item Personality Inventory (TIPI-J)作成の試み パーソナリティ研究, 21, 40-52.