「デジタル技術を用いた地下空間サインシステムに関する研究」の版間の差分
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− | + | 本研究は福岡市の天神地下街エリアを研究フィールドにする。 | |
− | + | 天神地下街エリアのサインシステムを把握するため、天神地下街エリアに設置された全てのサインの記録と整理を行った。具体的な方法は、写真でサインの画像を取り、番号を付け、地図上にサインを位置と方向を表示する(図2.1-1)。 フォーマットを作り、各サインを種類と機能によって命名した。(図2.1-2) | |
− | + | 各地図の情報内容と表現方法はサインアプリを開発するための参考になった。 | |
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+ | サインアプリを作るのには一枚の対応性の高いメイン地図を主役にする必要がある。今回は天神地下街の通路案内地図をもとに、他の乗り換え地図や地下鉄駅地図を通路案内地図に追加する形でメイン地図を作った。さらに、サインアプリは、地下街施設の位置情報をアイコンの形で表示する「天神地下街ご案内」を参考に、施設の位置情報を提供できるようにした。アプリ内の地上建物に関しては、天神現地とGoogleマップを参照し、地面の建物位置と外観を記録した。(図2.1-3) | ||
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===製品調査=== | ===製品調査=== | ||
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[[File:QianZhaoyu_signservice.jpg|thumb|right|200px|図2.2-1.既存の案内サービス]] | [[File:QianZhaoyu_signservice.jpg|thumb|right|200px|図2.2-1.既存の案内サービス]] | ||
− | + | 案内に関するデジタル製品の現状を把握するため、既存の案内に関するアプリとウェブサイトを調査した(図2.2-1)。今回調査した製品は全部五点となり、整理したデータはアプリの制作において重要な参考になった。 | |
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+ | アプリの視点コントロール方法はGoogleマップのコントロール方法とゲームの視点コントロール方法の利点を融合した方法である。また、「てんちかマップ」と「てんちかマップ移動ガイド」により、サインアプリの地下部分の情報提供範囲は天神地下街通路全体に決めた。「Mappedin」の実例の中の3D表現を参考にし、本研究のサインアプリの地図表現も同じく平面地図を立体化の形で表現すると決めた。 | ||
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[[File:QianZhaoyu_SignApp.jpg|thumb|right|200px|図2.3-1.サインアプリ]] | [[File:QianZhaoyu_SignApp.jpg|thumb|right|200px|図2.3-1.サインアプリ]] | ||
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===アプリの制作=== | ===アプリの制作=== | ||
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− | + | サインアプリはUnityというゲームエンジンで開発を行った。 | |
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+ | 今回のサインアプリは地下空間のサインシステム利用者を支援することを目的とする。利用者はサインの内容を理解できない場合、または、周りにサインがない場合、本アプリを利用することで、道に迷わず、目的地に着けることを期待する。また、地下空間で歩きながらスマートフォンを見るのは危険なため、本アプリのすべての機能は人が止まる状態で利用することを前提として設置されたものである。アプリのメイン画面は天神地下街の地図であり、地下街の各出口の位置は黄色アイコンで表示される。地図中の文字は視点をを変えても常に正しい位置に表示される。 | ||
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+ | サインアプリの機能は主に四部分に構成される。(図2.3-1) | ||
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+ | ①:「建物の表示」:利用者が自由に地上と地下の建物を表示するかどうかを選択できる。地下にいる場合、よくある疑問は「上は何の建物なのか?」である。今回はこの機能により、利用者は簡単に地下と地面の建物の位置関係を確認できる。(図2.3-2) | ||
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+ | ➁:「地下施設」:ボタンを押すことでサブメニューが表示され、利用者が欲しい情報の表示をコントロールできる。例えば、利用者がサインの周りにいなくても、地下鉄やトイレなどの位置を確認できる。(図2.3-3) | ||
− | + | ③:「立体図」と「平面図」:利用者が二種類の地図を見る方法を選択できる。「平面図」は見やすいが、地下空間の構造に対する表示が足りない。「立体図」は地下空間と地上空間の構造の詳細を表現できるが、一部の利用者に対して見にくい問題がある。今回は両方を制作したことにより、利用者には選択権がある。(図2.3-4) | |
− | + | ④:「RESET」:画面をリセットすることができる。 | |
− | + | 「GYROSCOPE」ボタンを押すことで、スマートフォンのジャイロ機能によって地図の方向は現実世界の方向と一致する。利用者はアプリ画面と現実世界を簡単に対応付けられる。「GYROSCOPE」の機能はGoogleマップと違い、サテライトとの通信がないため、より早い反応速度を実現できる。 | |
− | + | 「SCAN」を押すことでスキャン画面になり、利用者は特定のサインの地図をスキャンすることができる。スキャンした後、地図に対応した内容がアプリ内で表示され、利用者はアプリ内でより自由に観察できる。「SCAN」の機能は今回最も新規性のある機能であり、それを設置する目的は案内地図を利用者が使い慣れたスマートフォン内で確認できるのを実現することである。(図2.3-5) | |
− | + | ===検証=== | |
+ | [[File:QianZhaoyu_appcomment.jpg|thumb|200px|図2.4-1.被験者の感想]] | ||
− | + | サインアプリの実用性を検証するために、被験者を募集し、天神地下街にアプリの実験を行った。 | |
− | + | 実験する前に被験者の基本情報、「天神地下街を利用する頻度」、「普段の道を探す方法」、「自分の方向感に対する評価」などの内容を調査し、記録した。 | |
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+ | 実験中、「アプリを使ってトイレの位置を確認しよう」などの行動目標を与え、被験者が目標を達成するまでの行動を観察し、気になるところを記録した。(図2.4-1) | ||
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==結果== | ==結果== | ||
− | + | 今回の被験者主にGoogleマップの利用者で、スマートフォンの案内機能に対する依頼性は彼らの共通点である。 | |
全体から見ると、正面的な評価をもらったが、一部の機能の問題点も指摘された。 | 全体から見ると、正面的な評価をもらったが、一部の機能の問題点も指摘された。 | ||
− | + | (1)皆さんに建物の表示機能を紹介したが、結局地面の建物を真面目に確認した被験者はほぼいなかった。地下にいるの時、被験者が見たのは地下の地図だけであった。 | |
− | + | (2)平面図モードのジャイロ機能は皆から好評をもらった。張さんは「アプリを開けた時点で自動的にジャイロモードになったの方がいい」と提案した。平面図モードと違って、立体図モードのジャイロ機能では「見にくい」「視点の位置がわからない」と言われた。 | |
(3)施設情報のメニューに対する評価の多数は「使える」が、「アイコンは小さい」と言う不満もあった。劉さんは「アイコンは最初に大きいサイズで出で、利用者に見られ、そして、どんどん小さくになり、地図と似合うサイズになる」と提案した。 | (3)施設情報のメニューに対する評価の多数は「使える」が、「アイコンは小さい」と言う不満もあった。劉さんは「アイコンは最初に大きいサイズで出で、利用者に見られ、そして、どんどん小さくになり、地図と似合うサイズになる」と提案した。 | ||
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2021年11月10日 (水) 12:02時点における最新版
- 福岡市天神地下街に対するサインアプリの開発 -
- 銭 兆与 / 九州大学 芸術工学府 デザインストラテジー
Keywords: Sign System, Product Design, Visual Design
- Abstract
- This research has developed a smart phone sign application to enhance the experience of using the underground space sign system. Through the 3D map, users can view the structure of the underground area and obtain the information they want. The gyroscope allows the user to know the direction of the map without GPS. The user can scan the signs in the underground space, and the relevant information will be displayed on the screen. Some tests were performed to check the benefits of the application.
背景と目的
都市空間を効率的に利用するのため、地下空間施設の建設は急速に広がっている。地上空間と比べ、地下空間はよく複雑な構造を持っている。利用者は感覚や方向感を失い、道に迷う状態になる可能性がある。地下空間の利用者を正しく案内するため、サインシステムが設置され、利用者に情報を提供するの役になった。また、近年ではスマートフォンの普及と共に、スマートフォンGPSの利用率が高いレベルになった。調査によると、日本の1000人の中、スマートフォンでGoogleマップを利用する人は68.2%である[1] 。しかし、地下ではGPSの性能が不安定になり、GPSの利用者が一番慣れたアプリを失い、迷う状態になることは予想できる。これによって、サインシステムの情報提供を支援し、地下空間でも利用できるの「サインアプリ」の開発は価値がある課題と思った。
本研究では、地下空間のサインシステムのデータを取り、GPSと他の案内サービスを参考し、新たなサインアプリを制作した。その後、アプリの有益性を検証するため地下空間で試用活動を展開した。最終的には地下空間の利便性を改善することを目的とする。
研究の方法
現地調査
本研究は福岡市の天神地下街エリアを研究フィールドにする。
天神地下街エリアのサインシステムを把握するため、天神地下街エリアに設置された全てのサインの記録と整理を行った。具体的な方法は、写真でサインの画像を取り、番号を付け、地図上にサインを位置と方向を表示する(図2.1-1)。 フォーマットを作り、各サインを種類と機能によって命名した。(図2.1-2)
各地図の情報内容と表現方法はサインアプリを開発するための参考になった。
サインアプリを作るのには一枚の対応性の高いメイン地図を主役にする必要がある。今回は天神地下街の通路案内地図をもとに、他の乗り換え地図や地下鉄駅地図を通路案内地図に追加する形でメイン地図を作った。さらに、サインアプリは、地下街施設の位置情報をアイコンの形で表示する「天神地下街ご案内」を参考に、施設の位置情報を提供できるようにした。アプリ内の地上建物に関しては、天神現地とGoogleマップを参照し、地面の建物位置と外観を記録した。(図2.1-3)
製品調査
案内に関するデジタル製品の現状を把握するため、既存の案内に関するアプリとウェブサイトを調査した(図2.2-1)。今回調査した製品は全部五点となり、整理したデータはアプリの制作において重要な参考になった。
アプリの視点コントロール方法はGoogleマップのコントロール方法とゲームの視点コントロール方法の利点を融合した方法である。また、「てんちかマップ」と「てんちかマップ移動ガイド」により、サインアプリの地下部分の情報提供範囲は天神地下街通路全体に決めた。「Mappedin」の実例の中の3D表現を参考にし、本研究のサインアプリの地図表現も同じく平面地図を立体化の形で表現すると決めた。
アプリの制作
サインアプリはUnityというゲームエンジンで開発を行った。
今回のサインアプリは地下空間のサインシステム利用者を支援することを目的とする。利用者はサインの内容を理解できない場合、または、周りにサインがない場合、本アプリを利用することで、道に迷わず、目的地に着けることを期待する。また、地下空間で歩きながらスマートフォンを見るのは危険なため、本アプリのすべての機能は人が止まる状態で利用することを前提として設置されたものである。アプリのメイン画面は天神地下街の地図であり、地下街の各出口の位置は黄色アイコンで表示される。地図中の文字は視点をを変えても常に正しい位置に表示される。
サインアプリの機能は主に四部分に構成される。(図2.3-1)
①:「建物の表示」:利用者が自由に地上と地下の建物を表示するかどうかを選択できる。地下にいる場合、よくある疑問は「上は何の建物なのか?」である。今回はこの機能により、利用者は簡単に地下と地面の建物の位置関係を確認できる。(図2.3-2)
➁:「地下施設」:ボタンを押すことでサブメニューが表示され、利用者が欲しい情報の表示をコントロールできる。例えば、利用者がサインの周りにいなくても、地下鉄やトイレなどの位置を確認できる。(図2.3-3)
③:「立体図」と「平面図」:利用者が二種類の地図を見る方法を選択できる。「平面図」は見やすいが、地下空間の構造に対する表示が足りない。「立体図」は地下空間と地上空間の構造の詳細を表現できるが、一部の利用者に対して見にくい問題がある。今回は両方を制作したことにより、利用者には選択権がある。(図2.3-4)
④:「RESET」:画面をリセットすることができる。
「GYROSCOPE」ボタンを押すことで、スマートフォンのジャイロ機能によって地図の方向は現実世界の方向と一致する。利用者はアプリ画面と現実世界を簡単に対応付けられる。「GYROSCOPE」の機能はGoogleマップと違い、サテライトとの通信がないため、より早い反応速度を実現できる。
「SCAN」を押すことでスキャン画面になり、利用者は特定のサインの地図をスキャンすることができる。スキャンした後、地図に対応した内容がアプリ内で表示され、利用者はアプリ内でより自由に観察できる。「SCAN」の機能は今回最も新規性のある機能であり、それを設置する目的は案内地図を利用者が使い慣れたスマートフォン内で確認できるのを実現することである。(図2.3-5)
検証
サインアプリの実用性を検証するために、被験者を募集し、天神地下街にアプリの実験を行った。
実験する前に被験者の基本情報、「天神地下街を利用する頻度」、「普段の道を探す方法」、「自分の方向感に対する評価」などの内容を調査し、記録した。
実験中、「アプリを使ってトイレの位置を確認しよう」などの行動目標を与え、被験者が目標を達成するまでの行動を観察し、気になるところを記録した。(図2.4-1)
結果
今回の被験者主にGoogleマップの利用者で、スマートフォンの案内機能に対する依頼性は彼らの共通点である。
全体から見ると、正面的な評価をもらったが、一部の機能の問題点も指摘された。
(1)皆さんに建物の表示機能を紹介したが、結局地面の建物を真面目に確認した被験者はほぼいなかった。地下にいるの時、被験者が見たのは地下の地図だけであった。
(2)平面図モードのジャイロ機能は皆から好評をもらった。張さんは「アプリを開けた時点で自動的にジャイロモードになったの方がいい」と提案した。平面図モードと違って、立体図モードのジャイロ機能では「見にくい」「視点の位置がわからない」と言われた。
(3)施設情報のメニューに対する評価の多数は「使える」が、「アイコンは小さい」と言う不満もあった。劉さんは「アイコンは最初に大きいサイズで出で、利用者に見られ、そして、どんどん小さくになり、地図と似合うサイズになる」と提案した。
また、スキャン機能は本研究の一番新規性を持つの機能として、「面白い」「スキャンしたらサインよりスマートフォン内に見る」の評価をもらった。山本さんは「スキャン機能で地図を撮ったなら、移動したでも地図が見えるのはいいところ」と言った。
考察
各問題点を分析し、その裏の本質を考え、修正案を検討した。
(1)と(2)の問題は最終的には同じ問題と思った。建物の表示、ジャイロの立体視点と言うものは、特定な時点で現れないと価値がない。利用者が必要の時にまたその機能を提供するのはより正しい機能と考えた。 これからの修正案は、普段状態の立体図のジャイロ機能を削除し、スキャン機能を利用した時に利用者にジャイロ視点のボタンを与える。スキャン機能を利用した時、利用者の現在地が表示され、その時、ジャイロ視点は利用者に現在地点と周りの景色を展示できる。そして、現在地がわかった時点で、地面の建物の情報は利用者の欲しい情報になり、建物の表示機能は役に立てると思う。
(3)の問題は「表現」の問題で、これからはもっと事例を参考し、皆さんの意見と合わせてアプリの表現内容を修正する。
まとめ
今回では一部のデジタルの新技術と既存のサインシステム活用し、新たな案内方法を試した。試用活動の結果から見る、アプリの有益性は証明されたが、まだ色んな問題点を修正する必要がある。そして、アプリの普及も重要な課題であり、人々にダウンロードされるためのアプリの魅力性も考える必要がある。今後はもっと皆さんの意見を聞き、アプリの修正と制作を続行していく予定である。
脚注
- ↑ Googleマップ及びGoogleマイビジネス利用状況の実態調査を実施, https://semlabo.com/meo/market-research/googlemap_marketing_research/, 2021年10月18日閲覧
参考文献・参考サイト
- 地下空間のデザイン(1995) レイモンド・L・スターリング/ジョン・C・カーモディ 山海堂
- 岡市天神地区地下街におけるサイン類の分布特性(2002) 崔祉淑,森田 昌嗣 デザイン学研究,vol.49,No.1,pp.19-28
- サインの分類と評価に関する基礎的研究(1989) 佐藤 優,山崎 陽一 デザイン学研究,vol.1989,No.75,pp.87
- Wikipedia:天神地下街,https://ja.wikipedia.org/wiki/天神地下街 (2021年07月08日 閲覧)
- Google Map:天神地下街, https://www.google.com/maps/place/天神地下街 (2021年07月08日 閲覧)