「幸福な老いと高年齢者の地域への関わり方に関する研究」の版間の差分
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2021年10月19日 (火) 17:08時点における版
- サブタイトルがある場合はここに記載 -
- 本文部分は、2,000文字程度を目安にご執筆下さい。
- 山本悠加 / 九州大学大学院 芸術工学府 デザインストラテジー専攻
- Yuka YAMAMOTO / Graduate School of Design, Kyushu University
Keywords: Product Design, Visual Design ← キーワード(斜体)
- Abstract
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目次
背景と目的
内閣府の調査[1]によると、日本の高齢化率は2020年において28.8%と世界で最も高く,今後も高水準を維持していくことが見込まれている.また,2019年には65歳以上のいる世帯において独居及びその予備軍とされる世帯は約6割を占めている.今後ますます高齢化,単身化が進むなか,幸福度の高い生活を送るためには,暮らしを営む地域で生活の質を維持しながら健康な生活を送ることが重要である。[2].さらに,原田の著書(2020)では高齢者と地域社会のかかわりが,退職前あるいはそれ以前から何らかの形で準備される意義は大きく,職場生活から地域生活への緩やかな移行は重要な論点であるとされている.
中高年者の社会参加を促進する施策は各地で展開されているが,中高年者のうち社会活動への参加意向者が約5割であるのに対し,実際の参加者は2割にとどまっている[3].つまり,参加意向があっても行動につながっていないのが現状である.
本研究では,高年齢者の地域への関わり方が,どのように幸福の実感に影響するのか,地域特性や個人の経歴に着目して分析する.地域活動の運営者と,地域活動とは距離を置く高年齢者,双方が現在の行動や考え方に至るまでの過程及び将来への展望を整理・分析する. 「自己の尊重」と「社会とのつながり」の両立を求める高年齢者にとって,生活に身近な地域における活動への参加や人間関係構築を促進し得る要件を示す. その結果をもとに,今後の高齢社会におけるコミュニティ,サービスデザイン等へのアプローチ方法を提案することを目的とする.
研究の方法
研究の概要
本研究では,既往研究調査,事例調査,フィールド調査を行った.
既往研究調査では,老年学,医学,社会心理学,経済学など分野は限定せず,幸福な老いや地域高齢者の生活に関する書籍および論文を調査する.幸福な老いの定義やそれらを構成する要素を整理するとともに,高年齢者の社会活動参加に関する既往研究で残された課題をもとに本研究の立ち位置を明確にする.
事例調査では,高齢社会やまちづくり,地域コミュニティに関連する事例を書籍,論文,インターネット検索により調査する.高年齢者や地域をテーマとした施策の調査を通して,既存事例の現状や特徴,その課題を明らかにする.
フィールド調査では,地域の高年齢者や高年齢者に関わる活動を行う運営者の実態を明らかにする.既にある地域コミュニティの運営スタッフとして実際の活動に参加し,ヒアリングや現場観察を行う.また,高年齢者を対象としたヒアリング調査により高年齢者の地域活動や理想の老いに関する意識や実際の行動を明らかにする.
研究対象
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律で定められている55歳以上の高年齢者を主な対象とする.また,身体機能や認知機能の変化には個人差があることから,45~54歳の中高年者も必要に応じて対象とする.
また,「地域」の認識には市町村,校区,隣近所など個人差がある.そこで,本研究においては一般的な定義を用いるために,広辞苑[4]に記載されている「住民が共同して生活を送る地理的範囲」を採用する.
既往研究調査
サクセスフル・エイジング
サクセスフル・エイジングは老年学の中で主要な研究テーマの一つである.生活満足度,モラール,健康,長命,well-beingなど多様な意味が含まれるため的確な訳が定義されることなく片仮名で表記されることも多い.しかしサクセスフル・エイジング研究の変遷を整理し,職場や地域での年齢に基づく差別・偏見について探求された原田の著書(2020)では「幸福な老い」と訳されている.
幸福の追求において重要なこと
老年学において幸福の追求のために重要とされている要素を以下に示す.
- 自分自身の人生を振り返り,今後の人生を再設計すること
- 世代間関係でのサポートの提供
- どこで働くのか,どこに住むのかといった文脈
また,小田の著書(2004)[5]では良好な生活を構成する要素を以下の4つに分類している.
- 行動能力:健康,知覚,運動,認識
- 心理学的幸福:幸福,楽観主義,目標と達成の一致・知覚された生活の質
- 知覚された生活の質:家族や友人・活動・仕事・収入・住居に関する主観的評価
- 環境:住居・近隣・収入・仕事・活動などの現実
幸福度に関する統計調査
幸福学の分野では精神的な満足や心の豊かさを定量化する研究が進められている.幸福学には客観的幸福研究と主観的幸福研究がある.前者は経済的諸指標などの社会調査結果や生理指標などの身体・精神的調査結果を用いる.後者はアンケート調査により人々の主観的な幸福度を計測するものである.
また,主観的な幸福と地域の関係を対象とした研究に,日本人15000名に対するアンケート調査の実施によって,都道府県別の幸福度を明らかにした栗原ら(2015)の研究がある.幸せの4因子(「自己実現と成長」「つながりと感謝」「まえむきと楽観」「独立とマイペース」)に加え,地域の特徴を評価する指標(「安心・安全」),及び幸福心理学の学術研究においてスタンダードのひとつとなっているDeinerらによる人生満足尺度を用いて分析を行っている.その結果,人生満足尺度と友人の数には相関関係がみられ,地域の幸福度向上のためには人々のつながりを醸成することが重要であると述べられている.
本研究の位置づけ
中高年者の社会活動参加の要因に関する文献を整理した既往研究では,レビュー文献の多くが高齢者を対象としており,中年者の社会活動に関連する要因についてはさらなる研究の蓄積が必要であると示唆されている.また,どのような情報源が活用されているのか,情報取得の実態を把握することも求められていた[6].さらに,幸福な老いに繋がる地域的な文脈を検討する必要性も今後の課題とされている.
実際に,良好な生活を構成する要素を定量的に測定し評価する研究は多くみられた.一方,住民や関連組織の関係性や,関係性構築に至る経緯やその後の生活といった定性的な情報については文章による表現が多く,一般的に人が認識しやすいとされる図などを用いて可視化する方法を探求する文献は確認できなかった.
以上より,地域に関わるステークホルダーの関係性や各々の歴史,想いを紐解き,可視化する意義があると考えられる.また,これまで高齢者の生活の質や幸福度に関して定量的な評価が蓄積されてきたことから,それらと本研究における定性的評価を比較し,両者がステークホルダーに与える印象の違いを調査する必要性も示唆された.
事例調査
既存事例の特徴
高年齢者のいきがいや地域コミュニティ創出に関する事例において.成功とされる事例の特徴を以下に示す。
- 「老い」をポジティブに捉えるための工夫がなされている
- 高齢者と管理者どちらのニーズも満たす
- フィードバックの流れがある
- 地域資源を活用している
- 多世代,異分野の交流を生んでいる
- 多種多様なニーズに細かくアプローチしている
- 低コストで実現可能である
考察
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まとめ
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脚注
参考文献・参考サイト
- 『「幸福な老い」と世代間関係 職場と地域におけるエイジズム調査分析』(2020) 原田謙 勁草書房
- 『超高齢社会の「困った」を減らす課題解決型ビジネスの作り方』(2019) 斎藤徹 株式会社翔泳社
◯◯◯◯◯(20XX) ◯◯◯◯ ◯◯学会誌 Vol.◯◯
- ◯◯◯◯◯(19xx) ◯◯◯◯ ◯◯図書
- ◯◯◯◯◯(1955) ◯◯◯◯ ◯◯書院
- 人生100年時代のサクセスフル・エイジングとは?,ジェントロジーレポート,ニッセイ基礎研究所 https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=66177?site=nli (2021年7月9日 閲覧)