福祉におけるソーシャルインクルージョンのデザイン
-「個人に着目した包摂型福祉へのアプローチ」 -
- 久保穂果 / 福岡県立博多青松高等学校
- 尾方義人 / 九州大学 芸術工学研究院
Keywords: Social Inclusion , Welfare, Big Five
目次
はじめに
専門家などによる多様性やソーシャルインクルージョンへの意識が徐々に高まっている。
しかし、現在 社会において福祉の対象者とみなされる人への意識や認識には差別化や区別化を図ることが重んじられている傾向があり、考え方や概念の浸透・伝播の面での課題を感じる。
そこで、本研究では社会全体へソーシャルインクルージョンのアプローチをする手段を抽出することを目的とし研究を進めている。
個人を通して社会を見つめる事は多様な価値観を見出すことができるのではないかという仮説に基づき、
個人をグループ化する事で「価値観の結束」=「社会のバイアス」を調査できるかと考えた。
研究方法
今回、個人に着目するため、個人の性格特性を分析することでアプローチした。
そのため、心理学の分野で利用されているビッグファイブを簡素化した、ショートビッグファイブを用いた。
アンケート調査は、自身で作成した、福祉に関するアンケート(属性として年齢含む)とショートビッグファイブで計20問の質問を行い、192件の有効回答を得ることができた。
ショートビッグファイブ
要素 | 質問① | 質問② |
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外向性 | 活発で、外向的だと思う。 | ひかえめで、おとなしいと思う。 |
協調性 | 人に気をつかう、やさしい人間だと思う。 | 他人に不満を持ち、もめごとを起こしやすいと思う。 |
勤勉性 | しっかりしていて、自分に厳しいと思う。 | だらしなく、うっかりしていると思う。 |
神経症的傾向 | 心配性で、うろたえやすいと思う。 | 冷静で、気分が安定していると思う。 |
開放性 | 新しいことが好きで、変わった考えを持つと思う。 | 発想力に欠けた、平凡な人間だと思う。 |
各性格特性の要素において
質問①+(8-質問②)|} の計算式に代入して、量的に集計・分析を行う。 アンケート結果と考察
reasonable accommodation と福祉の既成概念
では、合理的配慮の語源である “Reasonable accommodation”
の持つ意味に基づき、それぞれの単語の意味から熟語を8つ作成した。
認知的不協和・適応機制と性格特性
では、図2のように、
「克服」を選択する人は、若干だが外向性が低く、
「逃避」を選択する人は、外向性が高い事が分かる。
インクルーシブの意識と年齢
では、10歳代は、「分けるべきではない」に近い「3」の割合が多かったことから、
年齢によってインクルーシブ社会への意識が異なる事が分かった。
引用文献引用文献:清水裕士 (2016 ). フリーの統計分析ソフトHAD:機能の紹介と統計学習・教育,研究実践における利用方法の提案 メディア・情報・コミュニケーション研究, 1, 59-73. 小塩真司・阿部晋吾・カトローニ ピノ (2012). 日本語版Ten Item Personality Inventory (TIPI-J)作成の試み パーソナリティ研究, 21, 40-52.
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