インクルーシブデザインにおける理解のデザインの研究
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- 鮫島麻里伽 / 九州大学 芸術工学府
- SAMESHIMA Marika / Kyushu University
- 平井康之 / 九州大学 芸術工学府
- HIRAI Yasuyuki / kyushu University
Keywords: Product Design, Visual Design ← キーワード(斜体)
- Abstract
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目次
背景
平成28年に、対話による合理的配慮の実現を目的とする「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行された。しかし、相互理解が必要なそのような施策の元となる障がい者理解の教育は、組織や教育機関によってばらつきがあり、一般に浸透しているとは言いがたい現状がある。
目的
本研究は、障がいのある人が参加する教育プログラムについて、障がい者と健常者の初期段階の相互理解に注目し、インクルーシブデザインの視点から現状の課題を抽出する。障がい者と健常者の両者の視点から検証を行い、今後の教育プログラムに必要な要件を導き出すことを目的とする。具体的には、大学での障がい者理解を含む教育プログラムを調査対象とする。
研究の方法
本研究では文献調査とフィールド調査を行う。 文献調査では、障がいの定義と実際に行われている障がい者理解の取り組みについて調査する。 フィールド調査では、アンケート調査とヒアリング調査を行う。アンケート調査では、対象としてインクルーシブデザインの授業に参加したことのある学生と障がい者の方に、実際に授業内でグループワークを行った際の課題について調査する。 ヒアリング調査では、障がい者の方に実際に授業内でグループワークを行った際の課題について調査する。
文献調査
障がい者と健常者の相互理解を促す取り組みや事例について調査を行った。
障がいの定義
障がいの医学モデル
障がいを個人の心身機能によるものとし、個人的な問題として捉える考え方。
障がいの社会モデル
障がいは社会(モノ、環境、人間関係等)とその人の心身機能の障害が相まって作り出されるものであり、その障壁を取り除くのは社会の責務であるとし、社会全体の問題として捉える考え方。
障がい者に関するイメージ
健常者の障がいに関するイメージ
内閣府が2017年8月に行った「障害者に関する世論調査」によると、世の中には障がいのある人に対して障がいを理由とする差別や偏見があると感じている人が83.9%を占めている。また、槙尾(2017)が大学生に対して行った障がい者のイメージに関するアンケートでは「身体が不自由で一人で生活できない」という回答が多く、「自分たちと違う」「怖い」という意見も見られた。
障害者の感じている障がいに関するイメージ
障がい者総合研究所が2017年に障がい者総合研究所アンケートモニターに行ったアンケートでは日常生活において「差別や偏見を受けた」と感じていると回答した人は59%おり、障害者差別解消法の施行以降も、差別・偏見が「改善していない」という回答が89%であった。
これらのアンケート結果より、障がい者健常者共に不安があることや、健常者から障がい者への先入観が課題としてあることが分かった。
公共団体の取り組み
中央行政での取り組みの例:障がいを理由とする差別の解消の推進に関する法律
平成28年に施行され、障がいのある人もない人もともに暮らせる社会を目指しており、役所や事業者に対して、不当な差別的取扱いを禁止し、合理的配慮の提供を求めている。その実現のために、不当な差別的取扱いや合理的配慮の具体例を盛り込んだ「対応要領」や「対応指針」の作成に努めている。
ユニバーサルデザイン2020での心のバリアフリー
平成29年に開始され、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて公共施設・交通インフラのユニバーサルデザイン化、心のバリアフリーを推進した。心のバリアフリー化とは人々の生活や心において「障がい者」という区切りがなくなることを意味し、障がいのある人に対する差別を行わないように徹底していくことや、障がいの社会モデルの考え方を反映させていくことである。
地方行政での取り組みの例:ガイドブックの作成
ガイドブックは、障がい当事者の声を取り入れながら多くの市町村で作成され、障がい及び障がい者に対する理解と必要とされる支援についての記載や、障がいの種類、場面別の配慮等の記載がある。
教育での取り組み:「学校における交流及び共同学習を通じた障害者理解(心のバリアフリー)の推進」
文部科学省の継続的な取り組みとして都道府県・市町村教育委員会・国立大学法人等に委託して行われている取り組みである。障がいのある子供と障がいのない子供がスポーツ、文化・芸術活動を一緒に行うことで、障がい者理解の推進や交流及び共同学習のより一層の充実を図っている。
これらの取り組みによって示されている共に生活するための関係性が課題としてあることが分かった。
一般団体の取り組み
バリアフルレストラン
公益財団法人日本ケアフィット共育機構が東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センターと共同開発で行っている活動で、車椅子ユーザーが多数派になった逆転した仮想世界を体験することで社会がつくり出す障がいや“当たり前”について問いかけるプログラムである。レストラン内では車椅子ユーザーに最適化された低い天井やテーブルなどが用意してあり、参加者は「二足歩行者」という障がい者としての待遇を受けることで障がいについて考える。
幻聴妄想かるた
精神障害者共同作業所ハーモニーが自分たちの幻聴妄想の実態をかるたにしたものである。同じ病気の人や、病気に縁のない生活をしている人にも幻聴妄想を楽しく伝えることを目的に制作されている。
障害福祉・ボランティア学習教材「いっしょに歩こう!!」
(株)北九州市障害福祉ボランティア協会福祉教育教材開発プロジェクトチームによって企画・制作された福祉・ボランティア学習における「障害理解」のための小学生向けの教材である。子供の学びの機会のために情報量を少なく設定してあり、意欲的な調べ学習につながるように工夫されている。また、モデルプランとして協会から講師やアドバイザーの出前授業と合わせた授業づくりを行っている。
ダイアログ・イン・ザ・ダーク
1988年にドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案で始まった。 視覚障がい者の案内により、照度0の空間で視覚以外の様々な感覚やコミュニケーションを楽しむソーシャル・エンターテインメントであり、聴覚障がい者の案内で音のない世界を体験するダイアログ・イン・サイレンスもある。
これらの取り組みより、プログラムを実施する時間や空間への考慮、伝えたい情報の伝達方法の工夫が必要であることが分かった。
大学での取り組み
障害者と健常者がともに参加できるアイスブレイクプログラムの開発(2015/井口 亜希子,相羽 大輔,奈良 里紗,高濱 明日香,石阪 茉未)
障害者と健常者が共に参加できるアイスブレイクプログラムの試作を目指して、時間と課題数に配慮するという工夫が、アイスブレイクの評価にどのような効果を及ぼすのかについて、NPOの交流イベントに参加した障害者と健常者の立場から検討することを目的としている。 設定された自己紹介トピックについて、各人がウソを含む3つの事柄をワークシートに記入する。グループ内の1名がエピソードを発表し、残りのメンバーはどの項目がウソかを話し合いながらウソの項目を当てるというアイスブレイクプログラムの検証を行っている。 障がい者健常者共に、課題数はちょうどよく、楽しさも高い評価が得られていた。
インクルーシブデザインワークショップにおける共感的理解を促すアイスブレイク手法の提案(2013/安斎 勇樹,塩瀬 隆之,山田 小百合,水町 衣里)
安斎(2013)らは、視覚障害者をリードユーザーとしたインクルーシブデザインワークショップにおいて、障害者に対する晴眼者の先入観を取り除き、共感的理解を持ちながらコミュニケーションを取ることができるようなアイスブレイク手法を提案した。「視覚が奪われた状態で、リードユーザーが日常経験するような生活作業に取り組み、リードユーザーから支援を受ける」というアイスブレイク手法を考案し、この手法に基づく場合とそうでない場合の参加者の発話を比較したところ、考案した手法に一定の効果があることが示された。
これらの事例より、プログラムの時間に対する課題数、障がいの伝え方が課題として考えられる。
文献調査 考察
文献調査から、4.2.より「双方の不安」、「先入観」、4.3.より「共に生活するための関係性」、4.4.、4.5.より「プログラムを実施する時間や空間」、「伝えたい情報の伝達方法の工夫」、などの課題があることがわかった。
結果
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まとめ
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脚注
参考文献・参考サイト
- ◯◯◯◯◯(20XX) ◯◯◯◯ ◯◯学会誌 Vol.◯◯
- ◯◯◯◯◯(19xx) ◯◯◯◯ ◯◯図書
- ◯◯◯◯◯(1955) ◯◯◯◯ ◯◯書院
- ◯◯◯◯◯ https://www.example.com (◯年◯月◯日 閲覧)