「高校生のためのメイク授業「自分らしさを知ろう」」の版間の差分

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; 兒島英里/ 大分県立芸術文化短期大学 専攻科 造形専攻 ビジュアルデザインコース
 
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==背景と目的==
 
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日本の現代社会には、「メイクは女性のマナー」という社会通念が根付いている。女性が社会人になるとメイクが当然のマナーとされるこの風潮について、このような問題提起を行う。
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日本の現代社会には、「メイクは女性のマナー」という社会通念が根付いている。女性が社会人になるとメイクが当然のマナーとされるこの風潮について、以下のような問題提起を行う。
 
* 最低限の身だしなみは必要であるものの、女性だけがメイクをしないでありのままの顔でいることは失礼なのか。
 
* 最低限の身だしなみは必要であるものの、女性だけがメイクをしないでありのままの顔でいることは失礼なのか。
 
* 「マナーとしてのメイク」を社会全体で強いることは、「こんなメイクがしたい」といった個人の自由への抑圧ではないか。
 
* 「マナーとしてのメイク」を社会全体で強いることは、「こんなメイクがしたい」といった個人の自由への抑圧ではないか。
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多様性が重視される今、メイクとは「自分らしさ」を表現する手段の一つであり、「マナーとしてのメイク」のように一定の姿を社会から強制されるべきではない筈である。<br>
 
多様性が重視される今、メイクとは「自分らしさ」を表現する手段の一つであり、「マナーとしてのメイク」のように一定の姿を社会から強制されるべきではない筈である。<br>
 
そうした固定観念を男女ともになくし、メイクすることもしないこともそれぞれ自由であり、 '''あらゆる個性が生きやすい将来'''を作っていく必要があると考えた。これが今回の目的である。
 
そうした固定観念を男女ともになくし、メイクすることもしないこともそれぞれ自由であり、 '''あらゆる個性が生きやすい将来'''を作っていく必要があると考えた。これが今回の目的である。
 
  
 
==概要 - 高校生のためのメイク授業「自分らしさ」を知ろう==
 
==概要 - 高校生のためのメイク授業「自分らしさ」を知ろう==
  
[[File:KojimaErilogo.jpg|thumb|right|ロゴ:現代で男/女と認識されやすいブルー/ピンクの間にグラデーションを用いることで、ジェンダーの境界をなくす意図がある。]]
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[[File:KojimaErilogo.jpg|thumb|right|ロゴ:現代で男/女と認識されやすいブルー/ピンクの間にグラデーションを用いることで、ジェンダーレスを表現した。]]
 
社会への変化を促す目的に対して、私は高校生というターゲットに着目した。<br>高校生はメイクに対し興味を持ち始める最多層であり、また将来の社会の担い手となっていく年齢層でもある。<br>
 
社会への変化を促す目的に対して、私は高校生というターゲットに着目した。<br>高校生はメイクに対し興味を持ち始める最多層であり、また将来の社会の担い手となっていく年齢層でもある。<br>
彼らにアプローチをはかるため「教育」の観点から検討した結果、'''高校生のためのメイク授業'''の提案に至った。<br>
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彼らにアプローチをはかるため「教育」の観点から検討した結果、教育現場における'''高校生のためのメイク授業'''の提案に至った。<br>
 
また、個性に重きを置くことに準じ「#'''自分らしさ'''を知ろう」という授業タイトルを設定した。<br>
 
また、個性に重きを置くことに準じ「#'''自分らしさ'''を知ろう」という授業タイトルを設定した。<br>
 
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メイクの工程・効果を補助シートや講義で理解しながら、実際にメイクを一通り体験する。<br>
 
メイクの工程・効果を補助シートや講義で理解しながら、実際にメイクを一通り体験する。<br>
体験を通して、男女間の'''知識へのギャップ'''を埋めるとともに、ジェンダー間の'''相互理解'''へと繋げることが目的である。<br>
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体験を通して、男女間の'''認識へのギャップ'''を埋めるとともに、ジェンダー間の'''相互理解'''へと繋げることが目的である。<br>
 
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なお、教育の場となる学校では校則でメイクが禁止されているケースが多々ある。そして社会に出た途端、メイクを教えられる場もなくマナーだと強いられる現状のねじれが存在する。<br>
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なお、教育現場となる学校では校則でメイクが禁止されているケースが多々ある。そして社会に出た途端、メイクを教えられる場もなくマナーだと強いられる現状の矛盾が存在する。<br>
 
そこで敢えて学校という場でメイクを体験することで、その問題について教育者・生徒の双方が考えるきっかけとする役割も担う。<br>
 
そこで敢えて学校という場でメイクを体験することで、その問題について教育者・生徒の双方が考えるきっかけとする役割も担う。<br>
 
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メイクの体験を通じ、「こんなメイクがしてみたい」または反対に「メイクはしなくてもいい」というような自分自身の感想を補助シートに書き起こし、グループ内で共有する。<br>
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メイクの体験を通じ、「こんなメイクがしてみたい」または反対に「メイクはしなくてもいい」というような様々な自分自身の感想を補助シートに書き起こし、グループ内で共有する。<br>
 
それぞれが抱いている「自分らしさ」を共有することで、'''自分とは異なる個性を認知する実体験'''を作ることが目的である。
 
それぞれが抱いている「自分らしさ」を共有することで、'''自分とは異なる個性を認知する実体験'''を作ることが目的である。
 
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補助シートや講義を通じて、メイクに関する多種多様な話題をいくつか提示する。<br>
 
補助シートや講義を通じて、メイクに関する多種多様な話題をいくつか提示する。<br>
 
メイクを体験し、互いの感想を共有した上で、社会におけるメイクの立ち位置や課題について考察・調査を促し、同様にグループ内で共有する。<br>
 
メイクを体験し、互いの感想を共有した上で、社会におけるメイクの立ち位置や課題について考察・調査を促し、同様にグループ内で共有する。<br>
今後社会に出る若い世代が現段階でこのような問題意識を持つことで、'''あらゆる個性が生きやすい将来'''を形成していくための'''地盤作り'''に繋げることが目的である。<br>
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今後社会に出る若い世代が現段階でこのような問題意識を持つことで、'''あらゆる個性が生きやすい将来'''を形成していくための'''地盤作り'''に繋げることが目的である。
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メイクに関する固定観念を取り払うことをはじめ、「あらゆる個性が生きやすい社会」という社会変容を成し遂げる為には、大きな力と時間が必要である。その地盤を確実なものとする為、このように教育現場からの構想をはかることにした。<br>
ここでは若い世代へのアプローチを主としているが、もう一つ触れておきたいのは、学校という場には教育者も含め様々な層が存在しているという点である。そしてそれは、この発表の場においても同様である。<br>この提案の実現性には前述の校則など様々な制約がある他、改善の余地は十分にあるものの、多種多様な人々が「あらゆる個性が生きやすい社会」について検討する機会となることを願っている。
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ここでは若い世代へのアプローチを主としているが、もう一つ触れておきたいのは、学校という場には教育者も含めたあらゆる層が存在しているという点である。そしてそれは、この発表の場においても同様である。<br>この提案の実現性には前述の校則など様々な制約がある他、改善の余地は十分にあるものの、多種多様な人々が「あらゆる個性が生きやすい社会」について検討する機会となることを願っている。
  
 
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2022年10月27日 (木) 18:29時点における最新版


兒島英里/ 大分県立芸術文化短期大学 専攻科 造形専攻 ビジュアルデザインコース
コンセプトボード

Keywords: Visual Design, Social Design, Education, SDGs


背景と目的

日本の現代社会には、「メイクは女性のマナー」という社会通念が根付いている。女性が社会人になるとメイクが当然のマナーとされるこの風潮について、以下のような問題提起を行う。

  • 最低限の身だしなみは必要であるものの、女性だけがメイクをしないでありのままの顔でいることは失礼なのか。
  • 「マナーとしてのメイク」を社会全体で強いることは、「こんなメイクがしたい」といった個人の自由への抑圧ではないか。


多様性が重視される今、メイクとは「自分らしさ」を表現する手段の一つであり、「マナーとしてのメイク」のように一定の姿を社会から強制されるべきではない筈である。
そうした固定観念を男女ともになくし、メイクすることもしないこともそれぞれ自由であり、 あらゆる個性が生きやすい将来を作っていく必要があると考えた。これが今回の目的である。

概要 - 高校生のためのメイク授業「自分らしさ」を知ろう

ロゴ:現代で男/女と認識されやすいブルー/ピンクの間にグラデーションを用いることで、ジェンダーレスを表現した。

社会への変化を促す目的に対して、私は高校生というターゲットに着目した。
高校生はメイクに対し興味を持ち始める最多層であり、また将来の社会の担い手となっていく年齢層でもある。
彼らにアプローチをはかるため「教育」の観点から検討した結果、教育現場における高校生のためのメイク授業の提案に至った。
また、個性に重きを置くことに準じ「#自分らしさを知ろう」という授業タイトルを設定した。

この授業の提案については、各教育の場で導入されているアクティブラーニングを基とし、授業形式を座学型ではなく体験型とした他、
グループワークを設けることで学生の能動的な参加を促すことに留意した。


授業詳細

授業は大きく分けて①体験→②グループワークというプロセスで行われる。
また、授業の補助として複数枚のシートを生徒に配布する。

1.体験

1:ビジュアル及び授業補助シート一例

メイクの工程・効果を補助シートや講義で理解しながら、実際にメイクを一通り体験する。
体験を通して、男女間の認識へのギャップを埋めるとともに、ジェンダー間の相互理解へと繋げることが目的である。

なお、教育現場となる学校では校則でメイクが禁止されているケースが多々ある。そして社会に出た途端、メイクを教えられる場もなくマナーだと強いられる現状の矛盾が存在する。
そこで敢えて学校という場でメイクを体験することで、その問題について教育者・生徒の双方が考えるきっかけとする役割も担う。

2.グループワーク

2:ビジュアル及び授業補助シート一例①
2:ビジュアル及び授業補助シート一例②

共有

メイクの体験を通じ、「こんなメイクがしてみたい」または反対に「メイクはしなくてもいい」というような様々な自分自身の感想を補助シートに書き起こし、グループ内で共有する。
それぞれが抱いている「自分らしさ」を共有することで、自分とは異なる個性を認知する実体験を作ることが目的である。

検討

補助シートや講義を通じて、メイクに関する多種多様な話題をいくつか提示する。
メイクを体験し、互いの感想を共有した上で、社会におけるメイクの立ち位置や課題について考察・調査を促し、同様にグループ内で共有する。
今後社会に出る若い世代が現段階でこのような問題意識を持つことで、あらゆる個性が生きやすい将来を形成していくための地盤作りに繋げることが目的である。





総括

メイクに関する固定観念を取り払うことをはじめ、「あらゆる個性が生きやすい社会」という社会変容を成し遂げる為には、大きな力と時間が必要である。その地盤を確実なものとする為、このように教育現場からの構想をはかることにした。
ここでは若い世代へのアプローチを主としているが、もう一つ触れておきたいのは、学校という場には教育者も含めたあらゆる層が存在しているという点である。そしてそれは、この発表の場においても同様である。
この提案の実現性には前述の校則など様々な制約がある他、改善の余地は十分にあるものの、多種多様な人々が「あらゆる個性が生きやすい社会」について検討する機会となることを願っている。




参考リンク

・ Q by LIVESENSE/『すっぴんは失礼?どうして化粧は女性のマナーなのか』https://q.livesense.co.jp/2021/06/24/806.html
・ PR TIMES/LINE株式会社/『女子高生のメイク事情に関する調査』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002243.000001594.html
・ PR TIMES/トレンダーズ株式会社/『第1回 メンズ美容定点調査』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000091.000056551.html