「小説の新しい表現「モーションノベル」の提案」の版間の差分

提供: JSSD5th2022
Jump to navigation Jump to search
(データ分析)
(「小説の新しい表現「モーションノベル」の提案」を保護しました ([編集=管理者のみ許可] (無期限) [移動=管理者のみ許可] (無期限)))
 
(2人の利用者による、間の16版が非表示)
1行目: 1行目:
 +
 +
 
; 黒木勇哉 / 大分県立芸術文化短期大学 専攻科 造形専攻
 
; 黒木勇哉 / 大分県立芸術文化短期大学 専攻科 造形専攻
  
32行目: 34行目:
 
電子市場が参入した2014年からは、以前のような出版物全体の大きな売上の減少は収まっているものの、電子書籍が普及しつつある中でも売上自体は減少傾向にある。(出典:出版科学研究所)<br>
 
電子市場が参入した2014年からは、以前のような出版物全体の大きな売上の減少は収まっているものの、電子書籍が普及しつつある中でも売上自体は減少傾向にある。(出典:出版科学研究所)<br>
 
 電子市場での売上を含んだ「電子出版市場推移」から、出版市場全体の売上は減少している一方で、電子出版市場は年々売り上げを伸ばしていることが分かった。<br>
 
 電子市場での売上を含んだ「電子出版市場推移」から、出版市場全体の売上は減少している一方で、電子出版市場は年々売り上げを伸ばしていることが分かった。<br>
ただ電子出版市場の売上推移を分類別に着目すると電子コミックがその大部分を占めており、電子書籍の売上は電子コミックに比べると伸び悩んでいると言える。(出典:出版科学研究所)<br>
+
ただ電子出版市場の売上推移を分類別に着目すると電子コミックがその大部分を占めており、電子書籍の売上は電子コミックに比べ伸び悩んでいると言える。(出典:出版科学研究所)<br>
 
<br>
 
<br>
 
 これらのデータ分析を踏まえて紙の出版市場全体の売上減少が明白になり、その中で小説・書籍に関しては、紙の読者は年々減少傾向にあり、電子の読者は少しずつではあるが増加していることが分かった。
 
 これらのデータ分析を踏まえて紙の出版市場全体の売上減少が明白になり、その中で小説・書籍に関しては、紙の読者は年々減少傾向にあり、電子の読者は少しずつではあるが増加していることが分かった。
  
 
===若者が使用する情報源===
 
===若者が使用する情報源===
[[File:Kurogiyuya 03.png|thumb|right|500px|図4.15歳~25歳の男女が普段使用する情報源をまとめたグラフ]]
+
 「15歳~25歳の男女が普段使用する情報源」をまとめたデータを分析したところ、本研究のターゲットである若者が書籍ではなく、YouTubeやSNSでの動画を中心に興味を示していることが分かった。(出典:@DIME)<br>
 「15歳~25歳の男女が普段使用する情報源」をまとめたデータを分析したところ、本研究のターゲットである若者が書籍ではなく、YouTubeやSNSでの動画を中心に興味を示していることが分かった。(出典:NEOMarketing)<br>
+
 
<br>
+
===アイディア===
 このことからターゲットに最も効果的にアプローチすることのできる「映像」という形態を活かして、小説の新しい表現が展開できないだろうかと考えた。
+
 以上のデータ分析からターゲットに最も効果的にアプローチすることのできる「映像」という形態を活かして、小説の新しい表現が展開できないだろうかと考えた。<br>
 +
そこで歌詞の表示を主体とするミュージックビデオの一種「リリックビデオ」に着目した。 リリックビデオの特徴である「電子故の映像表現」「魅力的な文字の造形」「効果的なテキストアニメーション」これら3点を活かして小説を映像化する。
 +
 
 
{{clear}}
 
{{clear}}
 
<br>
 
<br>
  
 
==制作内容==
 
==制作内容==
[[File:Kurogiyuya 05.png|thumb|right|500px|図5.羅生門の制作物]]
+
[[File:Kurogiyuya 05.png|thumb|right|500px|図2.羅生門の制作物]]
 既存のフォントに加えて各作品の世界観に合わせたオリジナルの文字をデザインすることによって、これまでの小説には無かった表現で、より魅了的な作品にまとめる。
+
 既存のフォントに加えて各作品に合わせたオリジナルの文字をデザインすることによって、これまでの小説には無かった表現で作品の世界観をより魅力的に伝達する。<br>
このようなタイポグラフィにモーションと朗読をつけて3作品のモーションノベルを制作後、それらをアートブックとして展開する事を想定している。
+
図2のようなタイポグラフィに、モーションと朗読をつけて3作品のモーションノベルを制作後、それらをアートブックとして展開する予定。
 
{{clear}}
 
{{clear}}
 
<br>
 
<br>
  
 
==外部リンク==
 
==外部リンク==
・執筆ドットコム(https://booktrip-japan.com/media/publishing-industry/)
+
・鷹野凌_“2019年コミック市場は紙+電子で4980億円、前年比12.8%増と急成長 ~ 出版科学研究所調べ”_「HON.jp News Blog」_2020/02/26(https://hon.jp/news/1.0/0/28155)<br>
・HON.jp News Blog(https://hon.jp/news/1.0/0/32230)
+
・鷹野凌_“2021年紙+電子出版市場は1兆6742億円で3年連続プラス成長 ~ 出版科学研究所調べ”_「HON.jp News Blog」_2022/01/25(https://hon.jp/news/1.0/0/32230)<br>
 +
・“イマドキの高校生が最も信頼している相談相手TOP3”_「@DIME」_2022/01/24(https://dime.jp/genre/1307420/)
 +
 
  
<br>
 
 
<br>
 
<br>
  
 
[[Category:未設定]]
 
[[Category:未設定]]

2022年10月27日 (木) 18:30時点における最新版


黒木勇哉 / 大分県立芸術文化短期大学 専攻科 造形専攻

Keywords: Visual Design, Graphic Design, Typography


研究内容

図1

モーションノベル

 小説を映像化した新しい表現。
教科書の題材としても知名度の高い「羅生門」「人間失格」「注文の多い料理店」の3点を朗読付きで映像化。

テーマ

 小説の新しい表現であり、これまでにない選択肢となる「モーションノベル」を提案する。
動画世代の若者に向けた新しい選択肢であり、かつ他の媒体への入り口となることを狙う。(図1参照)

コンセプト

 タイポグラフィと効果的なテキストアニメーションを用いた「魅入る小説」。
既存の小説のように、明朝体を使用した読みやすさを重視したものではなく、言葉や文字、作品の世界観を映像を用いて魅力的に表現する。



背景

 大学生活の中で文字に関心を持ち、タイポグラフィの分野で現代社会の課題と結びつけて研究テーマを展開できないだろうかと考えた。
研究を進めるにあたって、年々衰退傾向にある出版業界に着目した。その中でも多くの人が一度は触れてきたであろう「小説」に焦点を当て、その世界観や心理描写といった魅力を伝えるビジュアルコンテンツの提案を行なった。



データ分析

出版業界の売上

 電子市場での売上を含んだ「出版市場分類別売上」から、年々出版市場全体の売上が減少していることが分かった。
電子市場が参入した2014年からは、以前のような出版物全体の大きな売上の減少は収まっているものの、電子書籍が普及しつつある中でも売上自体は減少傾向にある。(出典:出版科学研究所)
 電子市場での売上を含んだ「電子出版市場推移」から、出版市場全体の売上は減少している一方で、電子出版市場は年々売り上げを伸ばしていることが分かった。
ただ電子出版市場の売上推移を分類別に着目すると電子コミックがその大部分を占めており、電子書籍の売上は電子コミックに比べ伸び悩んでいると言える。(出典:出版科学研究所)

 これらのデータ分析を踏まえて紙の出版市場全体の売上減少が明白になり、その中で小説・書籍に関しては、紙の読者は年々減少傾向にあり、電子の読者は少しずつではあるが増加していることが分かった。

若者が使用する情報源

 「15歳~25歳の男女が普段使用する情報源」をまとめたデータを分析したところ、本研究のターゲットである若者が書籍ではなく、YouTubeやSNSでの動画を中心に興味を示していることが分かった。(出典:@DIME)

アイディア

 以上のデータ分析からターゲットに最も効果的にアプローチすることのできる「映像」という形態を活かして、小説の新しい表現が展開できないだろうかと考えた。
そこで歌詞の表示を主体とするミュージックビデオの一種「リリックビデオ」に着目した。 リリックビデオの特徴である「電子故の映像表現」「魅力的な文字の造形」「効果的なテキストアニメーション」これら3点を活かして小説を映像化する。




制作内容

図2.羅生門の制作物

 既存のフォントに加えて各作品に合わせたオリジナルの文字をデザインすることによって、これまでの小説には無かった表現で作品の世界観をより魅力的に伝達する。
図2のようなタイポグラフィに、モーションと朗読をつけて3作品のモーションノベルを制作後、それらをアートブックとして展開する予定。



外部リンク

・鷹野凌_“2019年コミック市場は紙+電子で4980億円、前年比12.8%増と急成長 ~ 出版科学研究所調べ”_「HON.jp News Blog」_2020/02/26(https://hon.jp/news/1.0/0/28155)
・鷹野凌_“2021年紙+電子出版市場は1兆6742億円で3年連続プラス成長 ~ 出版科学研究所調べ”_「HON.jp News Blog」_2022/01/25(https://hon.jp/news/1.0/0/32230)
・“イマドキの高校生が最も信頼している相談相手TOP3”_「@DIME」_2022/01/24(https://dime.jp/genre/1307420/)