「乳幼児のための口腔診療台のデザイン研究」の版間の差分

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''Keywords: Product Design, Medical Design'' 
 
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現在、上記⑴と⑵の課題を解消するような「X字型」の診察台のプロトタイピングを進めている(図6)。
 
現在、上記⑴と⑵の課題を解消するような「X字型」の診察台のプロトタイピングを進めている(図6)。
 
<br>折りたたみ式であるため収納・移動のハードルが低いこと、ハンモックの利点を残しながら布部分のたわみ量を最小限にした設計のため、患児の口内が診察しやすくなったことが期待される。
 
<br>折りたたみ式であるため収納・移動のハードルが低いこと、ハンモックの利点を残しながら布部分のたわみ量を最小限にした設計のため、患児の口内が診察しやすくなったことが期待される。
<br>今後は、医療現場での検証を繰り返しながら、実際の診察場面への実装を目指していく。
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2022年10月27日 (木) 18:35時点における最新版

- 九州大学病院小児口腔外科の現場をケースとして -


ウー・ヤーファン / 九州大学大学院 芸術工学府
原島滉平 / 九州大学大学院 統合新領域学府
戸嶋野乃香 / 九州大学大学院 芸術工学府
平井康之 / 九州大学芸術工学研究院
秋田直繁 / 九州大学芸術工学研究院
松隈浩之 / 九州大学芸術工学研究院
工藤孔梨子 / 九州大学病院 国際医療部
富松俊太 / 九州大学病院 国際医療部
田尻姿穂 / 九州大学病院 国際医療部

Keywords: Product Design, Medical Design 


背景・目的

 本研究は、2021年4月~2022年2月の九州大学病院×デザインプロジェクト(Medical Design Project)から始まった。
本プロジェクトは、九州大学病院での現場観察から発見された医療現場におけるユーザーの課題をデザインによって解決することを目的としている。
口腔外科現場を担当した我々のチームは、同じ医療現場に乳幼児向けの口腔診察台が用意されていない点を課題と捉えた。
本研究の目的は、患児・医師・保護者の三者にとっての課題を取り除き、医療現場で実装できるような乳幼児向けの口腔診察台をデザインすることである。

研究方法

【現場観察とヒアリング(1回目)】2021年4月~2021年9月

図1.三者にとっての課題

プロジェクト序盤の現場観察では、口腔外科現場に乳幼児向けの口腔診察台が存在しない点に着目した。
結果的に、乳幼児の診察の際に、患児のみでなく診察する医師や同伴する保護者にとっても課題を抱えながら診察を行っていると考えた(図1)。




【プロトタイピングとユーザー評価(1回目)】2021年10月

図2.テストの様子

現場観察を経て整理された課題から、ハンモック型の診察台をデザインするというアイデアを採用した。
その検証のために、1回目のプロトタイプを制作し実際に1組の親子にテストを実施した。
具体的には、乳幼児に対するハンモック自体の実効性のほか、保護者の心理的な評価や寸法を検討した(図2)。




【現場観察とヒアリング(2回目)】2021年11月

図3.デザイン要件

寸法や現場での実装を更に検討するために、改めて九州大学病院で現場観察を行った。
同時に、医師へのヒアリングを行うことで図3のようにデザイン要件を定義した。




【プロトタイピングとユーザー評価(2回目)】2021年12月~2022年5月

図4.採用されたプロトタイプ案
図5.制作したプロトタイプ

上記デザイン要件に加え、特に「デザイン性」、「安定性」、「実現性」を評価軸としてプロトタイプ案を採用した(図4)。
布部分の耐重荷テストを重ね、重量10kgまでの安全性が確認できた(図5)。
このプロトタイプをもとに、医師に対して場面想定での評価を依頼した。




結果・展望

図6.X字型プロトタイプ

 制作したプロトタイプをもとに、場面想定によるユーザー評価を医師に依頼した。その結果、今回のプロトタイプの主要な残論点としては⑴寸法、⑵布部分のたわみであった。
⑴について、医療機器が多く設置され、医師や患者が行き交う実際の医療現場においては、彼らの通行を妨げる可能性が指摘された。加えて、使用時以外の収納に関しても、かなりのスペースを必要とするだろうという懸念が残った。
⑵について、我々が想定していた体位での使用では患児が前傾状態となってしまい、口内を診察しにくいことが考えられた。布部分のたわみ量を改めて検討したフレームの設計が求められる。

現在、上記⑴と⑵の課題を解消するような「X字型」の診察台のプロトタイピングを進めている(図6)。
折りたたみ式であるため収納・移動のハードルが低いこと、ハンモックの利点を残しながら布部分のたわみ量を最小限にした設計のため、患児の口内が診察しやすくなったことが期待される。
今後は、医療現場での検証を繰り返しながら、診察場面への実装を目指していく。