「看護師のアントレプレナーシップ教育プログラム開発」の版間の差分
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*1)伊藤千晴, 篠崎恵美子(2022):看護師が救急医療現場で遭遇する認知症高齢患者の倫理的問題の特徴と課題, 臨床倫理, 10:36ー44 | *1)伊藤千晴, 篠崎恵美子(2022):看護師が救急医療現場で遭遇する認知症高齢患者の倫理的問題の特徴と課題, 臨床倫理, 10:36ー44 | ||
*2)内閣府(2022) 令和4年度版高齢社会白書 | *2)内閣府(2022) 令和4年度版高齢社会白書 | ||
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2022年10月27日 (木) 17:51時点における版
- 岩井和也 / 九州大学 大学院統合新領域学府
- KAZUYA Iwai / Kyushu University Graduate School of Integrated Frontier Sciences
Keywords: Nurse, Entrepreneurship, Entrepreneurship Education, Readership, Collective Genius, Innovation
- Abstract
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背景と目的
日本における超高齢社会と少子化は、看護師や医師、その他の医療従事者、将来医療従事者を目指す者にとって大きな問題である。令和4年版高齢社会白書によると我が国の総人口は、長期の人口減少過程に入っており、令和47年には8,808万人となり、高齢化率は38.4%まで達し、国民の2.6人に1人が65歳以上の者となる社会が到来するとしている1)。高齢化が進むことにより、認知症となる人も増えるため医療や介護の需要は更に高まることが容易に予測できる。それに加えて、伊藤ら(2022)2)は、救急医療の90%以上の病院で認知症高齢者を受け入れているが、研究の対象となった約96%の看護師が認知症高齢患者の対応に困難を感じながら看護ケアを行なっていると述べている。このような状態が続くことは、看護師ら医療従事者にとって大きな負担となる。そのためより良い医療・看護を提供することが困難になることはもちろんのこと、医療従事者自身が1人の人間としてのWell-beingを満たすことも困難となる。
筆者は、このような問題を解決するため、アントレプレナーシップ(起業家精神)の考え方に着目した。本研究では、看護師へのアントレプレナーシップ教育プログラムを開発するため、看護の現場における問題点を抽出をし、その関係性を明らかにすることを目的とする。
研究の方法
1. 研究デザイン
質的記述的研究デザイン
2. 研究対象者
現在も看護師として、その役割をに担っている看護師6名を対象とした。研究協力の得られた看護師には、研究の概要、インタビューの内容、倫理的配慮(自由意志による参加不参加の決定、匿名性の保持、データの厳重な管理)について口頭で説明を行った。事前に研究への協力を依頼し、同意を得た看護師へZOOMのURLを案内し、インタビューへ参加していただいた。
3. データ収集期間
令和4年10月17日〜21日の5日間
4. データ収集方法
インタビューガイドを用いて、半構造化インタビューによりデータを収集した。インタビューは1回約40分を目安として、研究協力者への許可を得てZOOMによる録画、録音をし、逐語録を作成した。
5. 分析方法
分析には、グラウンデッド・セオリーを用いて分析し、ラベル化を行った。それをもとにデータを抽象化しカテゴリー名をつけた。
6. 倫理的配慮
本研究への参加は自由意志によるものであり、研究への参加不参加により不利益は受けないこと、データは匿名化し厳重に管理することを口頭にて説明を行った。またインタビュー終了後の研究への不参加についても可能であることを説明した。
結果
半構造化インタビューによるデータの収集により、看護師が抱える看護の問題点として、「病院文化」、「キャパシティ」、「マインド」の3つ抽出された。
考察
半構造化インタビューより、「病院文化」、「キャパシティ」、「マインド」の3つが抽出された。看護師たちは、医療従事者や患者、家族との間で問題を認識しているものの、各々の持つ「病院文化」に従わざるをおえない状況であることが明らかになった。
結論
看護師を取り巻く問題を解決するための教育は行われているものの、形式的・形骸的なものであり、その効果を実感することはできていない。そのため従来行われてきた看護師への教育を見直し、新たな視点を取り入れた看護師アントレプレナーシップ教育プログラムの開発をすることは、日本が抱える医療現場の問題を解決するための一助となる可能性がある。
脚注
参考文献・参考サイト
- 1)伊藤千晴, 篠崎恵美子(2022):看護師が救急医療現場で遭遇する認知症高齢患者の倫理的問題の特徴と課題, 臨床倫理, 10:36ー44
- 2)内閣府(2022) 令和4年度版高齢社会白書