「エンディングノートと自治体のノート配布サービスに関するデザイン研究」の版間の差分

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; 長谷川愛 / 九州大学大学院 芸術工学府 
 
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: Megumi Hasegawa / Kyushu University 
 
: Megumi Hasegawa / Kyushu University 
; 秋田直繁 / 九州大学大学院 芸術工学研究院 
 
: Naoshige Akita / Kyushu University 
 
  
 
''Keywords: Service Design, Ending Notes, Local Goverment'' 
 
''Keywords: Service Design, Ending Notes, Local Goverment'' 
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==背景と目的==
 
==背景と目的==
 エンディングノートとは、将来に備え、医療や介護、葬儀、遺産相続など、自分のエンディングへ向けての希望を1冊のノートにまとめたものである。来る病や死、医療や介護について具体的にイメージを高め、思考を整理し時間的展望を描くことができるツールとして、終活や人生会議のきっかけになると期待されている。現在多くの自治体が無料で発行しているが、実際に利用している人は少ない。(また先行研究ではサービスに注目していないも書くかな)本研究では、エンディングノートに取り組む人が増えるために、エンディングノートやエンディングノートにかかわる自治体サービスに求められるデザイン要件を抽出することを目的とした。
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 エンディングノートとは、将来に備え、医療や介護、葬儀、遺産相続など、自分のエンディングへ向けての希望を1冊のノートにまとめたものである。来る病や死、医療や介護について具体的にイメージを高め、思考を整理し時間的展望を描くことができるツールとして、終活のきっかけになると期待されている。現在多くの自治体が無料で発行しているが、実際に利用している人は少ない。本研究では、エンディングノートに取り組む人が増えるために、エンディングノートやエンディングノートにかかわる自治体サービスに求められるデザイン要件を抽出することを目的とした。
 
 
 
 
  
 
==研究の方法==
 
==研究の方法==
[[File:HanakoKyusanFig01.jpg|thumb|right|200px|図1.◯◯◯◯]]
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 先行研究および先行調査の分析、自治体へのインタビュー調査およびアンケート調査、単身者を中心に市民へのインタビュー調査を行った。<br>
 先行研究の分析、自治体へのインタビュー調査およびアンケート調査、単身者を中心に市民へのインタビュー調査を行った。
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==='''先行研究および先行調査の分析'''===
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 エンディングノートやエンディングに関する心理学や社会学の観点からの先行研究・統計調査の調査<br>
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==='''自治体へのインタビュー調査およびアンケート調査'''===
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 調査への協力が得られた福岡県内各自治体および、おひとり様政策課を設けている神奈川県大和市を対象とし、自治体がエンディングノートを作成・配布する目的や期待している役割、配布場所や配布後の実態、市の担当者が問題意識を感じていることについて尋ねた。<br>
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==='''市民へのインタビュー調査'''===
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 55歳~83歳(平均:68.2歳)の男女5名を対象に、エンディングノートへのイメージや終活に関する不安などについて尋ねた。<br> 
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すべてのインタビュー調査は半構造化面接の形式で行った。本研究参加者には、研究目的、方法、参加は自由意志で拒否による不利益はないこと、および個人情報の保護について説明を行い、同意を得た。市民へのインタビューによって得られたデータは、佐藤 (2008)を参考に、コーディングを用いて質的分析を行った。<ref>佐藤郁, 2008, 質的データ分析法 原理・方法・実践, 株式会社新曜社</ref>。
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==結果==
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==='''エンディングノートやエンディングに関する心理学や社会学の観点からの先行研究・統計調査の分析'''===
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 先行調査の分析から、エンディングノートはACPのきっかけとして期待されていることがわかった。ACP(Advanced Care Program)とは、人生の終わりまでをどのように過ごしたいか、特に医療やケアに関する希望について前もって考え、繰り返し話し合い、かかりつけ医や家族と共有しておく取り組みを指す。ACPは、家族等他者と共有すること、世代を問わず元気なうちから取り組むこと、決めたことを繰り返し修正できることが要件である。<br>
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==='''自治体へのインタビュー・アンケート調査'''===
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 自治体の担当者は、自治体から配布しているエンディングノートについて、終活のきっかけとして機能することや家族等他者と話し合うきっかけとしての役割を期待していた(表1)。また、エンディングノートを市民が手にする機会は、終活サービスを利用している人や終活に関する講座および認知症カフェに参加する人に限られていた。エンディングノートを書くことと、自治体が提供するそのほかの終活関連サービスは直接的なつながりがなく、エンディングノートをその後市民が利用しているかどうかについて自治体は追跡していなかった(図1)。<br>
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==='''市民へのインタビュー調査'''===
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 市民はエンディングノートに対して、「エンディング」というネーミングによるイメージから、死ぬ直前に書くもの、死んだ後に家族が見るものという印象をいだいていた。エンディングノートノートに書く内容を他者と共有したいと思う人もいれば、他者とは共有せず自分一人ですべてを済ませたいと考える人もいた。市民の終活への姿勢はさまざまであるものの、多くの人が「モノの処分」について気にしていた。また、エンディングノートを自分の振り返りができる道具として利用したいという人や、何かを残したいと思っている人がいた(表1)。
 
 
 
 
 自治体へのインタビュー調査およびアンケート調査では、福岡県内各自治体および、おひとり様政策課を設けている神奈川県大和市を対象とし、自治体がエンディングノートを作成・配布する目的や期待している役割、配布場所や配布後の実態、市の担当者が問題意識を感じていることについて尋ねた。
 
 
 
 市民へのインタビュー調査では、55歳~83歳(平均:歳)の男女5名を対象に、エンディングノートへのイメージや終活に関する不安などについて尋ねた。
 
 
 
 すべてのインタビュー調査は半構造化面接の形式で行った。本研究参加者には、研究目的、方法、参加は自由意志で拒否による不利益はないこと、および個人情報の保護について説明を行い、同意を得た。
 
 
 
 市民へのインタビューによって得られたデータは、コーディングを用いて質的分析を行った。<ref>九産花子, 2017, デザイン学研究 XXX巻X号 pp.XX-XX, 日本デザイン学会</ref>。
 
  
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==考察==
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 先行研究・調査の分析、自治体と市民双方へインタビューやアンケート調査の結果から、自治体が配布するエンディングノートが市民に取り組まれていない要因として以下の項目が挙げられる。
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#暗い将来の想像をしたくない、感情にかかわる項目が書きにくい。
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#市民は自治体がエンディングノートを配布していることを知らない。
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#ノート配布後の市民の行動と結びつくサービスがないため、ノートを書くことによる市民のメリットが明確でない。
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#市民が抱くエンディングノートのイメージと自治体や先行研究から求められるエンディングノートの機能に乖離がある。<br>
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以上の要因を克服するために、エンディングノートと、関連する自治体サービスの改善のために以下のデザイン要件を抽出した。(1)「エンディング」という言葉を使わないネーミング (2)元気なうちから市民がエンディングノートに取り組むためのタッチポイントの創出 (3)エンディングノートの内容に、自治体と市民双方が求める機能を取り入れる。具体的にはエンディングノートの中身のうち、感情にかかわる項目に関して、多くの人が終活の上で気になっている「モノ」の処分をを媒介にする。処分を考えるモノについて思いを記述することで、自分自身や他者との関係について振り返り、取るべき具体的行動(モノの他者への譲渡や寄付、他者との会話など)へ誘導する内容を付加する。(4)市民がエンディングノートに記述する内容やエンディングノートを書いていて気になったことを、自治体にフィードバックできる仕組みを設ける。
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==結果==
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==今後の展望==
 赤も風に弾きて毎晩う。またいまはそんなにわらいないです。明るくお世話なと持ってきてタクトに走っようた泣き声へたっとところががらんと糸から日ありました。どうかと勢もてぶるぶる飛び立ちないだて恨めしのへは前は小節のセロましん。ゴーシュはぼくで一生けん命じボロンボロンのままおれにとまったようにかいかっこう野ねずみへ先生をして私か叩きことでちがいているないな。「またまだ前の遁。はいっ。」あと出てぶっつかっますかとなりて間もなく下をざとじぶんのをもっとわらって先生云いませた。「いやで。にわかにかまえてくださいでしょ。あの方はすきの工合んもので。ぼくをそのにわかにもったのを。人。ぼんやりでもちらちらぶん何週間はひどくんましよ。
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 今後は、単身者にかかわる市民である民生委員や成年後見人にもインタビューを行い、終活を行う市民をとりまくサービスエコシステムをより詳細に明らかにする
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。サービスエコシステムの分析からデザイン要件をさらに増やし、それをもとにプロトタイプの作成と市民への検証を行う。
  
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==脚注==
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==考察==
 
 譜がかっこうからふみがきそれ団をこのかっこう口アンコールと療らのゴーシュだけの扉ゴーシュに睡っでやっましよほどやつの面目はどっかりもっことだ。こども巨さん。さんにはきかことですてな。扉というのをぜひ答え来いた。行くはなおるはゴーシュにおいてのでとても出ますんまし。ただどうぞまるで弓の嵐と見ますはな。やつかもぼくまでしましゴーシュの外国に落ちついておまえの療ではじいが来ようじことた、たっなあ、そう泣いから来なてな。
 
  
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==参考文献==
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*木村由香, 安藤孝敏.(2015). エンディングノート作成に見る高齢者の「死の準備行動」, 応用老年学, 9(1),43-54
  
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*経済産業省 (2012). 安心と信頼のある「ライフエンディング・ステージ」の創出に向けた普及啓発に関する研究会 参考資料
  
==まとめ==
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*厚生労働省 (2018). 人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書
 何はおねがいをぶっつかって、するとロマチックシューマンに過ぎてひまをなるとこれかをとりてしまいとすましませた。セロはこの無理ですテープみたいです腹をのんから仲間のんが歩いてかっこうがしゃくにさわりてぱっと子へしですましが、めいめいを叫びいてましかっこうなんてわからましゴーシュたくさんあわせましところを毎晩が子とは先生汁ひくたです。
 
  
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*下島裕実 (2015). 終末期における思考整理ツールとしてのエンディングノートについて, 杏林大学研究報告, 32,1-7
  
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*辰巳有紀子, 森,理圭 (2019). 看護師・介護士におけるエンディングノートの認識, 大阪大学看護学雑誌, 25(1), 46-53
  
==脚注==
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*谷口聡 (2019). 「事前指示書」の普及に対する自治体の取り組み-宮崎市の“エンディングノート”を素材として-, 地域政策研究, 21(3), 19- 39
<references />
 
  
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*馬場保子, 他 (2022). A市における人生ノート書き方講習会に参加した高齢者の終活の現状と「人生ノート」の記載状況, 活水論文集看護学部編, 8, 18-26
  
==参考文献・参考サイト==
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*本田桂子 (2013). マイ・エンディングノート, 内科,112(6),1394-1397
*◯◯◯◯◯(20XX) ◯◯◯◯ ◯◯学会誌 Vol.◯◯
 
*◯◯◯◯◯(19xx) ◯◯◯◯ ◯◯図書
 
*◯◯◯◯◯(1955) ◯◯◯◯ ◯◯書院
 
  
*◯◯◯◯◯ https://www.example.com (◯年◯月◯日 閲覧)
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*Sudore RL, Lum HD, You JJ, et al (2017). Defining advance care planning for adults: a consensus definition from a multidisciplinary Delphi panel. J Pain Symptom Manage. 53(5):821―32.e1.
  
 
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2023年10月16日 (月) 11:08時点における最新版

長谷川愛 / 九州大学大学院 芸術工学府 
Megumi Hasegawa / Kyushu University 

Keywords: Service Design, Ending Notes, Local Goverment 


Abstract
Currently, many municipalities distribute free ending notes, but the number of users is low. Through questionnaires and interviews with local governments and citizens, this study analyzes the problems with the ending notes themselves and municipal services related to them, and identifies the design requirements needed to increase the number of ending note users.



背景と目的

 エンディングノートとは、将来に備え、医療や介護、葬儀、遺産相続など、自分のエンディングへ向けての希望を1冊のノートにまとめたものである。来る病や死、医療や介護について具体的にイメージを高め、思考を整理し時間的展望を描くことができるツールとして、終活のきっかけになると期待されている。現在多くの自治体が無料で発行しているが、実際に利用している人は少ない。本研究では、エンディングノートに取り組む人が増えるために、エンディングノートやエンディングノートにかかわる自治体サービスに求められるデザイン要件を抽出することを目的とした。  

研究の方法

 先行研究および先行調査の分析、自治体へのインタビュー調査およびアンケート調査、単身者を中心に市民へのインタビュー調査を行った。

先行研究および先行調査の分析

 エンディングノートやエンディングに関する心理学や社会学の観点からの先行研究・統計調査の調査

自治体へのインタビュー調査およびアンケート調査

 調査への協力が得られた福岡県内各自治体および、おひとり様政策課を設けている神奈川県大和市を対象とし、自治体がエンディングノートを作成・配布する目的や期待している役割、配布場所や配布後の実態、市の担当者が問題意識を感じていることについて尋ねた。

市民へのインタビュー調査

 55歳~83歳(平均:68.2歳)の男女5名を対象に、エンディングノートへのイメージや終活に関する不安などについて尋ねた。
  すべてのインタビュー調査は半構造化面接の形式で行った。本研究参加者には、研究目的、方法、参加は自由意志で拒否による不利益はないこと、および個人情報の保護について説明を行い、同意を得た。市民へのインタビューによって得られたデータは、佐藤 (2008)を参考に、コーディングを用いて質的分析を行った。[1]



結果

図1.エンディングノートをとりまくサービスシステム
表1.先行研究・自治体がエンディングノートに求める機能および市民のエンディングノートに対するイメージと理想

エンディングノートやエンディングに関する心理学や社会学の観点からの先行研究・統計調査の分析

 先行調査の分析から、エンディングノートはACPのきっかけとして期待されていることがわかった。ACP(Advanced Care Program)とは、人生の終わりまでをどのように過ごしたいか、特に医療やケアに関する希望について前もって考え、繰り返し話し合い、かかりつけ医や家族と共有しておく取り組みを指す。ACPは、家族等他者と共有すること、世代を問わず元気なうちから取り組むこと、決めたことを繰り返し修正できることが要件である。

自治体へのインタビュー・アンケート調査

 自治体の担当者は、自治体から配布しているエンディングノートについて、終活のきっかけとして機能することや家族等他者と話し合うきっかけとしての役割を期待していた(表1)。また、エンディングノートを市民が手にする機会は、終活サービスを利用している人や終活に関する講座および認知症カフェに参加する人に限られていた。エンディングノートを書くことと、自治体が提供するそのほかの終活関連サービスは直接的なつながりがなく、エンディングノートをその後市民が利用しているかどうかについて自治体は追跡していなかった(図1)。

市民へのインタビュー調査

 市民はエンディングノートに対して、「エンディング」というネーミングによるイメージから、死ぬ直前に書くもの、死んだ後に家族が見るものという印象をいだいていた。エンディングノートノートに書く内容を他者と共有したいと思う人もいれば、他者とは共有せず自分一人ですべてを済ませたいと考える人もいた。市民の終活への姿勢はさまざまであるものの、多くの人が「モノの処分」について気にしていた。また、エンディングノートを自分の振り返りができる道具として利用したいという人や、何かを残したいと思っている人がいた(表1)。  

考察

 先行研究・調査の分析、自治体と市民双方へインタビューやアンケート調査の結果から、自治体が配布するエンディングノートが市民に取り組まれていない要因として以下の項目が挙げられる。

  1. 暗い将来の想像をしたくない、感情にかかわる項目が書きにくい。
  2. 市民は自治体がエンディングノートを配布していることを知らない。
  3. ノート配布後の市民の行動と結びつくサービスがないため、ノートを書くことによる市民のメリットが明確でない。
  4. 市民が抱くエンディングノートのイメージと自治体や先行研究から求められるエンディングノートの機能に乖離がある。

以上の要因を克服するために、エンディングノートと、関連する自治体サービスの改善のために以下のデザイン要件を抽出した。(1)「エンディング」という言葉を使わないネーミング (2)元気なうちから市民がエンディングノートに取り組むためのタッチポイントの創出 (3)エンディングノートの内容に、自治体と市民双方が求める機能を取り入れる。具体的にはエンディングノートの中身のうち、感情にかかわる項目に関して、多くの人が終活の上で気になっている「モノ」の処分をを媒介にする。処分を考えるモノについて思いを記述することで、自分自身や他者との関係について振り返り、取るべき具体的行動(モノの他者への譲渡や寄付、他者との会話など)へ誘導する内容を付加する。(4)市民がエンディングノートに記述する内容やエンディングノートを書いていて気になったことを、自治体にフィードバックできる仕組みを設ける。


今後の展望

 今後は、単身者にかかわる市民である民生委員や成年後見人にもインタビューを行い、終活を行う市民をとりまくサービスエコシステムをより詳細に明らかにする 。サービスエコシステムの分析からデザイン要件をさらに増やし、それをもとにプロトタイプの作成と市民への検証を行う。


脚注

  1. 佐藤郁, 2008, 質的データ分析法 原理・方法・実践, 株式会社新曜社


参考文献

  • 木村由香, 安藤孝敏.(2015). エンディングノート作成に見る高齢者の「死の準備行動」, 応用老年学, 9(1),43-54
  • 経済産業省 (2012). 安心と信頼のある「ライフエンディング・ステージ」の創出に向けた普及啓発に関する研究会 参考資料
  • 厚生労働省 (2018). 人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書
  • 下島裕実 (2015). 終末期における思考整理ツールとしてのエンディングノートについて, 杏林大学研究報告, 32,1-7
  • 辰巳有紀子, 森,理圭 (2019). 看護師・介護士におけるエンディングノートの認識, 大阪大学看護学雑誌, 25(1), 46-53
  • 谷口聡 (2019). 「事前指示書」の普及に対する自治体の取り組み-宮崎市の“エンディングノート”を素材として-, 地域政策研究, 21(3), 19- 39
  • 馬場保子, 他 (2022). A市における人生ノート書き方講習会に参加した高齢者の終活の現状と「人生ノート」の記載状況, 活水論文集看護学部編, 8, 18-26
  • 本田桂子 (2013). マイ・エンディングノート, 内科,112(6),1394-1397
  • Sudore RL, Lum HD, You JJ, et al (2017). Defining advance care planning for adults: a consensus definition from a multidisciplinary Delphi panel. J Pain Symptom Manage. 53(5):821―32.e1.