「ARを用いた住所表現の研究」の版間の差分

提供: JSSD5th2023
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''Keywords: Home address'' 
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''Keywords: Home address, Augmented reality'' 
  
  
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 住居表示ではほぼ全ての地域で「街区方式」が採用される。これは、地域を区切り周囲に一定間隔で番号を振り、建物の入り口に近い番号を住所にする方式である。地番と住居表示では、上述の通り番号の振り方の規則が異なるため、実施に伴い地番が住居表示に合わせて変更されることもある。
 
 住居表示ではほぼ全ての地域で「街区方式」が採用される。これは、地域を区切り周囲に一定間隔で番号を振り、建物の入り口に近い番号を住所にする方式である。地番と住居表示では、上述の通り番号の振り方の規則が異なるため、実施に伴い地番が住居表示に合わせて変更されることもある。
  
 ARの表現調査ではコンテンツ内容を情報表示、ナビゲーション、テレビ産業、広告、ゲームに区分した。また、入力情報をGPS、マーカー、画像認識の3つに分類し、ゲームやナビゲーションではGPSが、案内標識にはマーカーが、情報表示には画像認識が活用される傾向があった。
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 ARの表現調査ではコンテンツ内容を情報表示、ナビゲーション(案内標識)、テレビ産業、広告、ゲームに区分した。また、入力情報をGPS、マーカー、画像認識の3つに分類し、ゲームやナビゲーションではGPSが、案内標識にはマーカーが、情報表示には画像認識が活用される傾向があった。
  
 
 ユーザーへのヒアリング・アンケート調査では、配達業などに携わる人からは簡単に位置情報を知る仕組みが欲しいという意見が得られた一方で、一般生活者は現在の住所制度を不便に思う人が少ないという結果が得られた。また、両者共通の意見としてGPSの座標のブレの改善をして欲しいという声が得られた。
 
 ユーザーへのヒアリング・アンケート調査では、配達業などに携わる人からは簡単に位置情報を知る仕組みが欲しいという意見が得られた一方で、一般生活者は現在の住所制度を不便に思う人が少ないという結果が得られた。また、両者共通の意見としてGPSの座標のブレの改善をして欲しいという声が得られた。

2023年10月19日 (木) 16:47時点における最新版

- 糸島市をフィールドとして -


峠谷佳紀 / 九州大学統合新領域学府ユーザー感性学感性価値クリエーションコース
Yoshinori Touya / Kyushu University


Keywords: Home address, Augmented reality 


Abstract
There are two ways of expressing addresses in Japan: land numbering and residential indication, and the combination of both is making it increasingly difficult to locate addresses. In addition, the increase in modern architecture has reduced the number of places where street sign boards can be installed, making it increasingly difficult to understand geographic locations.In this study, we attempt to create an address representation media using augmented reality (AR) in the field of Itoshima City, Fukuoka Prefecture.



背景と目的

 日本の住所表現には地番と住居表示の二種類ある。地番は一部の例外を除き全国に適応されているが、住居表示については適用されていない地域が数多くある。住居表示は地番と比較して規則性があり情報伝達が容易であることから、多くの地域で実施が進められてきた。しかし、地番から住居表示への移行には、ある地区内で住居表示が部分的に実施されることで隣接する未実施の地区との間に住居表記方法が異なってしまうことや、愛着のある地域の名称が変わってしまうなどの問題がある。

 そこで問題解決のために、現実空間に情報が投影されて見える技術である拡張現実(以降ARと表記)に着目した。ARを活用して新旧の住所情報を表現することで現在の住所の仕組みや分布をわかりやすく伝えることができ、住居表示移行の問題を解決できると予想される。

 本研究は糸島市をフィールドとした共同研究の一環として実施する。糸島市は地番表示のわかりづらさや、住居表示のプレートの設置場所が少ないなどの問題を抱えており、それらの問題の解決を目指している。従って本研究では、糸島市の抱える上記の問題を定義しその解決に向けたARの可能性を考察することを目的とする。

研究の方法

 地番と住居表示の特徴や課題を明確化するために文献調査を行った。具体的には、資料や法律・条例を参考にすることで、地番の始まりである壬申戸籍から現代に至るまでの地番の誕生経緯を探った。また、各都道府県ごとの地番制定の指針を記した「府県地租改正紀要」を参考に、全国的の地番の規則性を調査した。住居表示に関しては、「住居表示に関する法律」や、地域ごとのホームページなどを参考に番号の振り方や規則を調査した。さらに、住居表示への移行にかかる課題を把握するために、関連する審議会の議事録や事例などを分析した。

 ARコンテンツについては、関連する表現の実例調査やユーザーへのヒアリング・アンケート調査を行い、ARが住所表現にどのように活用できるかを具体化した。ARの特性やメリットを明確にし、それらをARを用いた住所表現にどのように活用できるかを考察した。また、ステークホルダーに対するヒアリング・アンケート調査を通じて、住所表現を不便に感じる人々の属性や要求を把握し、ARを用いた住所表現コンテンツの方向性を決定した。




結果

図1.一村通し
図2.字限り番
図3.住居表示

 地番は土地の採寸や番号の割り振りを市町村が担った経緯があるため、分布や方針に地域差が見られた。一方で、地番の振り方にはある程度の規則性があり、地図上を蛇行して番号を振る「千鳥式」が主流であった。また、ほとんどの区域では、区域ごとに使用する番号の範囲を1番から100番までのように限定した「一村通し」、または小字と番号を併用する「字限り番」が使われていた。さらに、時代が進むにつれて地域の合併が繰り返されたため、旧町村の名称が統合されて大字や小字として残る地域が見られた。

 住居表示ではほぼ全ての地域で「街区方式」が採用される。これは、地域を区切り周囲に一定間隔で番号を振り、建物の入り口に近い番号を住所にする方式である。地番と住居表示では、上述の通り番号の振り方の規則が異なるため、実施に伴い地番が住居表示に合わせて変更されることもある。

 ARの表現調査ではコンテンツ内容を情報表示、ナビゲーション(案内標識)、テレビ産業、広告、ゲームに区分した。また、入力情報をGPS、マーカー、画像認識の3つに分類し、ゲームやナビゲーションではGPSが、案内標識にはマーカーが、情報表示には画像認識が活用される傾向があった。

 ユーザーへのヒアリング・アンケート調査では、配達業などに携わる人からは簡単に位置情報を知る仕組みが欲しいという意見が得られた一方で、一般生活者は現在の住所制度を不便に思う人が少ないという結果が得られた。また、両者共通の意見としてGPSの座標のブレの改善をして欲しいという声が得られた。

考察と結論

 地番は、大字・小字を用いることで地域の由緒ある名前を保存することができる一方で、千鳥式や番号の錯綜がわかりづらさに繋がる。また、住居表示は規則的であるものの、住居表示の規則に伴い区域が分割されることで従来の自治会などの地域コミュニティが分断される懸念がある。更に、地番整理によって小字や古い地名が消滅する可能性もあり、地域の歴史や成り立ちを示す手がかりが消え、人々が地域に愛着を持つ機会を減らしてしまうかもしれない。住居表示と地番の両方を知ることができる方法があれば有効である。

 ARには、現実世界に情報を付与できる点とその手軽さが特徴であり、今後の普及が期待できる。特に地図の分野ではマーカーと座標データを活用することで、簡単な情報アクセスを実現できる。コードの読み込みで地番の名称と住居表示を共に表示できるような、仕組みを作ることが可能だろう。

今後の展開

 本発表で明らかになった地番と住居表示の問題や、ARの特性などを踏まえて、今後は地番と住居表示双方の住所情報に容易にアクセスできるようなARコンテンツを検討し、プロトタイプを制作し検証する。

脚注


参考文献・参考サイト