「エンディングノートと自治体のノート配布サービスに関するデザイン研究」の版間の差分
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*辰巳有紀子, 森,理圭 : 看護師・介護士におけるエンディングノートの認識, 大阪大学看護学雑誌, 25(1), 46-53, 2019 | *辰巳有紀子, 森,理圭 : 看護師・介護士におけるエンディングノートの認識, 大阪大学看護学雑誌, 25(1), 46-53, 2019 |
2023年10月9日 (月) 21:45時点における版
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- 長谷川愛 / 九州大学大学院 芸術工学府
- Megumi Hasegawa / Kyushu University
Keywords: Service Design, Ending Notes, Local Goverment
- Abstract
- Currently, many municipalities distribute free ending notes, but the number of users is low. Through questionnaires and interviews with local governments and citizens, this study analyzes the problems with the ending notes themselves and municipal services related to them, and identifies the design requirements needed to increase the number of ending note users.
背景と目的
エンディングノートとは、将来に備え、医療や介護、葬儀、遺産相続など、自分のエンディングへ向けての希望を1冊のノートにまとめたものである。来る病や死、医療や介護について具体的にイメージを高め、思考を整理し時間的展望を描くことができるツールとして、終活のきっかけになると期待されている。現在多くの自治体が無料で発行しているが、実際に利用している人は少ない。(また先行研究ではサービスに注目していないも書くかな)本研究では、エンディングノートに取り組む人が増えるために、エンディングノートやエンディングノートにかかわる自治体サービスに求められるデザイン要件を抽出することを目的とした。
研究の方法
先行研究の分析、自治体へのインタビュー調査およびアンケート調査、単身者を中心に市民へのインタビュー調査を行った。
自治体へのインタビュー調査およびアンケート調査では、福岡県内各自治体および、おひとり様政策課を設けている神奈川県大和市を対象とし、自治体がエンディングノートを作成・配布する目的や期待している役割、配布場所や配布後の実態、市の担当者が問題意識を感じていることについて尋ねた。
市民へのインタビュー調査では、55歳~83歳(平均:歳)の男女5名を対象に、エンディングノートへのイメージや終活に関する不安などについて尋ねた。
すべてのインタビュー調査は半構造化面接の形式で行った。本研究参加者には、研究目的、方法、参加は自由意志で拒否による不利益はないこと、および個人情報の保護について説明を行い、同意を得た。市民へのインタビューによって得られたデータは、コーディングを用いて質的分析を行った。[1]。
結果
先行研究・調査では、エンディングノートはACPのきっかけとして期待されている。ACP(Advanced Care Program)とは、 人生の終わりまでをどのように過ごしたいか、特に医療やケアに関する希望について前もって考え、繰り返し話し合い、かかりつけ医や家族と共有しておく取り組みを指す。そのために世代を問わず元気なうちから取り組むこと、繰り返し修正、家族等他者と共有することが要件となる。また、感情にかかわる項目が書きにくい(木村)、馬場その後書いている人少ない。(A市における~) 自治体へのインタビュー・アンケート調査の結果、自治体は、発行しているエンディングノートについて、終活のきっかけ、家族等他者と話し合うきっかけとして期待していた。また、エンディングノートを発行した後に、その後市民が書いているか確かめている自治体がないことが分かった。 一方で、市民はエンディングノートに対して、死ぬ直前に書くもの、死んだ後に家族が見るものという印象をいだいており、ノートに書く内容を他者と共有したいと思う人もいれば、家族が見たければ見ればいいもしくは、他者とは共有したくないと考える人もいることが分かった。 市民の終活への姿勢はさまざまであるものの、すべての人が共通している項目として、「他の人に迷惑をかけたくない」という思いから「モノの処分」について気にしていることがわかった。また、単身者のなかには、自分の何かをどこか誰かに残したいと思っている人がいることがわかった。
考察
ここまでの調査から エンディングノートがなかなか取り組まれない要因
①先行研究で言われていること 感情項目が書きにくいなど
②そもそも自治体が発行していることを知らない、 自治体サービスの問題(タッチポイント)
③ノート配布後のサービスがないため、市民の行動に結びつかない、市民のメリットが明確でない
⑤市民が抱くノートに対し抱くイメージ、自治体が求めることや先行研究から求められることの乖離 自治体は~市民は自分の振り返りとか。 以上を果たすためにはどのような改善要件が求められるか タッチポイント、サービスの改善、ネーミング、そのたの要件 以上を踏まえて途中として抽出された要件 以上を踏まえてエンディングノートの改善のためのデザイン要件として以下を抽出した。①ネーミング①モノの処分を媒介に、②自分を振り返り、③他者との関係を振り返って、③自分が取るべき具体的行動(モノの他者への譲渡や寄付、他者との会話など)へつなげる。自治体側に求められる フィードバック機構。これにより、書くことで自分の将来について考える・ほかの人に意識を向ける、取り組むきっかけ、意識の変革につなげるを作り出す。 さらに「繰り返し」を付加。めざす。
まとめ
本研究の結果、自治体等が発行するエンディングノートとそれにかかわる自治体サービスの問題点として、①先行研究で言われていること 感情項目が書きにくいなど②そもそも自治体が発行していることを知らない、自治体サービスの問題(タッチポイント)③ノート配布後のサービスがないため、市民の行動に結びつかない、市民のメリットが明確でない⑤市民が抱くノートに対し抱くイメージ、自治体が求めることや先行研究から求められることの乖離~が分かった。これを踏まえ改善のためのデザイン要件として、~~~~を抽出した。
今後は、終活において特に不安を抱えると考えられる単身者に焦点を当て、単身者にかかわる市民である民生委員や成年後見人にもインタビューを行い、エンディングノートや終活に関するサービスについてさらに分析。要件をもとに、プロトタイプの作成と検証。
脚注
- ↑ 佐藤郁, 2008, 質的データ分析法 原理・方法・実践, 株式会社新曜社
参考文献・参考サイト
- 木村由香, 安藤孝敏.(2015). エンディングノート作成に見る高齢者の「死の準備行動」, 応用老年学, 9(1),
43-54
- 下島裕実. (2015). 終末期における思考整理ツールとしてのエンディングノートについて, 杏林大学研究報告, 32,1-7,
- 辰巳有紀子, 森,理圭 : 看護師・介護士におけるエンディングノートの認識, 大阪大学看護学雑誌, 25(1), 46-53, 2019
- 谷口聡 : 「事前指示書」の普及に対する自治体の取り組み-宮崎市の“エンディングノート”を素材として-, 地域政策研究, 21(3), 19- 39, 2019
- 馬場保子, 他 : A市における人生ノート書き方講習会に参加した高齢者の終活の現状と「人生ノート」の記載状況, 活水論文集看護学部編, 8, 18-26, 2022
- 本田桂子 : マイ・エンディングノート, 内科,112(6),1394-1397, 2013
- Sudore RL, Lum HD, You JJ, et al. Defining advance care planning for adults: a consensus definition from a multidisciplinary Delphi panel. J Pain Symptom Manage. 2017;53(5):821―32.e1.
- ◯◯◯◯◯ https://www.example.com (◯年◯月◯日 閲覧)