「親子の豊かな待ち時間を提供するプロダクトの提案」の版間の差分

提供: JSSD5th2023
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(背景と目的)
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 ICTの普及により、幼児がスマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスで遊ぶ機会は増加傾向にある。令和元年度の内閣府の調査では、1〜6歳の幼児のインターネット利用率は57.2%と過半数を超えており、主な利用内容として、動画視聴やゲームなどが挙げられる。また保護者の意識調査にて、デジタルデバイスを活用することで子供の機嫌を取ることができ、子供の暇つぶしに役立つという点が評価されており、待ち時間にデジタルデバイスを子供に与える保護者が多いということが明らかになっている<ref> 大宮 明子、石田 有理.十文字学園女子大学人間生活学部紀要第12巻.2014年幼児のデジタル機器 利用実態と保護者の意識,p.17-18 </ref>。一方で、半数以上の保護者が、デジタルデバイスが幼児に与える影響について不安や懸念を示している<ref> </ref>。
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 ICTの普及により、幼児がスマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスで遊ぶ機会は増加傾向にある。令和元年度の内閣府の調査では、1〜6歳の幼児のインターネット利用率は57.2%と過半数を超えており、主な利用内容として、動画視聴やゲームなどが挙げられる。また保護者の意識調査にて、デジタルデバイスを活用することで子供の機嫌を取ることができ、子供の暇つぶしに役立つという点が評価されており、待ち時間にデジタルデバイスを子供に与える保護者が多いということが明らかになっている<ref> 大宮 明子、石田 有理.十文字学園女子大学人間生活学部紀要第12巻.2014年幼児のデジタル機器 利用実態と保護者の意識,p.17-18 </ref>。一方で、半数以上の保護者が、デジタルデバイスが幼児に与える影響について不安や懸念を示している<ref> 総務省情報通信政策研究所.未就学児等のICT利活用に係る 保護者の意識に関する調査報告書 2017 </ref>。
 
 本研究では、幼児期からの電子端末利用に対する保護者の不安を緩和し、外出時に生じる親子の待ち時間を支援するプロダクトの提案を行うことを目的とする。
 
 本研究では、幼児期からの電子端末利用に対する保護者の不安を緩和し、外出時に生じる親子の待ち時間を支援するプロダクトの提案を行うことを目的とする。
  

2023年10月19日 (木) 15:00時点における版

清水尭介 / 九州大学 統合新領域学府 ユーザー感性学専攻 感性価値クリエーションコース 
Kyosuke SHIMIZU / Kyushu University 

Keywords: Product Design,Digital Device 


Abstract
Opportunities for young children to play with digital devices are increasing. A survey of parents revealed that many parents give digital devices to their children while they are waiting, as they rate it as a useful way for children to kill time. On the other hand, more than half of parents expressed anxiety and concern about the impact of digital devices on young children. The purpose of this research is to propose a product that relieves parents' concerns and provides a rich waiting time for parents and children.


背景と目的

 ICTの普及により、幼児がスマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスで遊ぶ機会は増加傾向にある。令和元年度の内閣府の調査では、1〜6歳の幼児のインターネット利用率は57.2%と過半数を超えており、主な利用内容として、動画視聴やゲームなどが挙げられる。また保護者の意識調査にて、デジタルデバイスを活用することで子供の機嫌を取ることができ、子供の暇つぶしに役立つという点が評価されており、待ち時間にデジタルデバイスを子供に与える保護者が多いということが明らかになっている[1]。一方で、半数以上の保護者が、デジタルデバイスが幼児に与える影響について不安や懸念を示している[2]。  本研究では、幼児期からの電子端末利用に対する保護者の不安を緩和し、外出時に生じる親子の待ち時間を支援するプロダクトの提案を行うことを目的とする。

研究の方法

公共交通機関や自家用車での移動中の親子の過ごし方の概要を掴むためにYouTubeを用いて事前調査を行う。事前調査から詳しい過ごし方、保護者の意識、意見を調査するためにアンケート調査、ヒアリング調査を行う。アンケート、結果をもとに分析を行い、要件を整理する

待ち時間の定義

 辞書によると、待ち時間とは物事が始まったり実現するまでの時間と定義されている4)。 本研究で取り扱う待ち時間は、親子の長距離移動を伴う外出の際に生じる、公共交通機関や自家用車内での1時間以上の移動時間を対象とする。

研究対象

 1、2歳の幼児とその保護者を対象とする。なお、1、2歳にかけては、探索活動が活発になったり、 一般にイヤイヤ期と呼ばれる自我が強くなる時期であり、保護者が子の待ち時間に対し、様々な対策を講じることから、研究対象とすることにした。

事前調査

 公共交通機関や自家用車での移動時の親子の過ごし方の概観を掴むために事前調査を行った。 YouTubeに投稿されている、1、2歳児を連れた外出の様子が記録された動画から、自家用車、電車・新幹線、飛行機での移動中の主な過ごし方を各10件ずつピックアップし、整理した。移動時の家族構成と動画内で見られた過ごし方について表にまとめた。 電車・新幹線内では様々な過ごし方が見られ、玩具を用いて遊ぶ子供が多かった。これは子供が座席に固定されないため、座席空間の範囲内で自由に動くことができるためであると考えられる。飛行機内では、タブレットでの動画視聴が好まれる傾向にあった。これはシートベルトによって動きの制限が加わるが、その制限の範囲内でも集中して遊ぶことができるためであると考えられる。車移動ではタブレットを利用する家族は少なく、家族での会話のやりとりが多くみられた。プライベートの空間で他者への配慮が必要なく、より円滑なコミュニケーションをすることができるためであると考えられる。

アンケート調査

 1、2歳の幼児の保護者を対象に、飛行機や新幹線内の親子の過ごし方に関するアンケート調査を行う。アンケートはWEBアンケートを用い、質問項目は移動時の家族構成、移動中の1、2歳の幼児の過ごし方、遊び道具、保護者が遊び道具を選択する基準について、それぞれ選択肢を用意し尋ねるものとした。

脚注

  1. 大宮 明子、石田 有理.十文字学園女子大学人間生活学部紀要第12巻.2014年幼児のデジタル機器 利用実態と保護者の意識,p.17-18
  2. 総務省情報通信政策研究所.未就学児等のICT利活用に係る 保護者の意識に関する調査報告書 2017

参考文献・参考サイト

1)内閣府.令和元年度 低年齢層のインターネット利用環境実態調査.2020 2)大宮 明子、石田 有理.十文字学園女子大学人間生活学部紀要第12巻.2014年幼児のデジタル機器 利用実態と保護者の意識,p.17-18 3)総務省情報通信政策研究所.未就学児等のICT利活用に係る 保護者の意識に関する調査報告書 2017 4)辞典オンライン.「待ち時間・待時間」(まちじかん)の意味.2023 https://kokugo.jitenon.jp/word/p48099, (2023-06-30)