フィルム写真の特徴を活かしたグラフィック表現の展開
- 村田華子 / 大分県立芸術文化短期大学 専攻科 造形専攻 村田華子
Keywords: Graphic Design, Visual Design Photography
制作に至った経緯
私は2年前からカメラフィルムを用いた写真撮影が趣味だ。フィルム写真は、現像したフィルムをプリントして残すことで完成する。親・祖父母世代の記録媒体であったフィルム写真や機材に触れていくうちに、手動で撮影を進めていく行為に対して面白さと懐かしさを感じるようになった。
1995年から2010年代に誕生した世代は、生まれながらにインターネットやIT機器が使用可能な環境であったことから、Z世代と呼ばれている。私たちは友人と過ごした時間や場所、心動かされた光景をスマートフォンカメラなどのデジタル写真で記録し、すぐに端末やクラウドストレージに保存している。手軽さがある一方、大切な瞬間だったそれらの写真は見返されなくなっている。
このことから現代と親・祖父母世代の記録手段の違いによって、写真に残す行為にも何かしらの違いがあるのではないかと考えた。
そこで、今までの自分の人生をアナログ写真で再記録し、振り返ることで新たな発見や価値の創造があるのかを実験的に取り組む。
市場調査・検証・文献調査
今回の制作にあたって、市場調査と簡易的な検証、文献による調査を行った。
市場調査
フィルム写真を取り巻く環境は年々厳しくなっている。その要因を以下のように考察する。
①デジタル技術の進歩
・誰でも簡単に高画質な写真を撮影できる。
・特殊な知識がなくてもプリントができる。
②フィルム関連機材の縮小
・カメラフィルムの値上げ
・商品の生産終了
検証
フィルム写真には、現像したモノに表現の違いや、撮影する行為に感情や思い入れが現れやすいのではないかと考えた。
そこで、①フィルム写真とデジタル写真の比較、②手動巻取り式フィルムカメラによる簡易的な撮影の検証を行った。
同じ環境下にあるモチーフを自動巻取り式フィルムカメラ(一眼レフタイプ)とデジタルカメラ(一眼レフタイプ)で撮り比べた。このときのカメラの設定(ISO感度、絞り値、シャッタースピード)を同じ値にした。
実際に比較した写真は下記図1から図3の通りである。 図1・2ではスタジオでの人工光で撮影しており、図3では自然光での撮影を行っている。
全体的に、フィルム写真に粒子のざらつきが出ていることがわかる。粒子によってモノとモノの境界(エッジ)が甘くなる現象が生まれている。
下記図4・5では手動巻取り式のコダックフィルムカメラによる撮影を行ったときに意図せず現像されたコマである。図4がカメラフィルム装填時に感光したフィルムの1コマ目、図5が撮影途中で感光したフィルムのコマだ。
以上の結果から、粒子によっておこる境界(エッジ)の甘さや、光の影響による偶然性を楽しめることがフィルム写真の特徴だと考える。
文献による調査
構想
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外部リンク
- プロジェクト紹介サイト https://www.example.com