人の分類法の分類

提供: JSSD5th2023
2023年10月12日 (木) 13:40時点における川口俊興 (トーク | 投稿記録)による版
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川口俊興/ 九州大学 大学院芸術工学府 
Toshiki Kawaguchi / Graduate School of Design, Kyushu University 


Keywords: Citizen-centered Design, Social Inclusion, Media, Deliberation

Abstract
This study examined what conditions the interaction among media can activate citizens' deliberation through the workshop. In this workshop, while the facilitator spoke to participants as an authentic self to help their subjectification, the participants anonymously shared their feelings, opinions and experiences and dialogized in writing online. As a result, many participants felt comfortable speaking about their affairs because they were anonymous and facilitators called. But in addition, as a task, we need to examine what attributes and relationships affect this dialogue by altering conditions.


背景と目的

 世の中には多くの「分ける」があり、それらは漠然としている事柄を分かろうとするための細分化である。つまり、「分かる」ために「分ける」を行うということだ。また、「分ける」という事は、同時にラベル付けをすることであり、ラベル次第では簡単に世界に分断が起きる。「分ける」の中でも、「人の分類」は、身近なところで日常的に行われている行為であり、一個人としても、社会システムとしても円滑に生存するのに必要不可欠である。同時に「人の分類」には大きな危険性が内在している。人の分類は、しばしば偏見や差別につながることがあるが、その分類法がどのように形成され、社会にどのような影響を及ぼすのかを研究することで、それらの問題に対する理解が深まる。また、異なる文化、背景、社会的条件によって、分類の仕方やカテゴリーが異なることがあり、これにより、人々が世界を理解し、他者との関係を築く方法にも多様性があることを知ることができる。以上を踏まえ、「分かる」ために「分ける」という行動を可視化することで、「分ける」と現代社会の曖昧な関係性を明らかにすることを目的とする。

研究の方法

  1.「分ける」について 「分ける」や境界線についての知見を広げるために文献調査を行う。「分ける」についての多様な考え方に触れることで、「分ける」の概念を捉え直し、研究の方向性を定めていく。 2-1. 一般的な感覚の調査   人の分類についての一般的な感覚を知るために、Chat GPTへの調査とアンケート調査を行う。 2-2. 行政の調査   各行政機関が、どのように人を分類しているかを知るために、行政機関が公表している白書の文献調査を行う。 2-3 学問の調査   各学問がどのように人を分類しているかを調査するため、文部科学省が科学研究費助成金に指定してる57分科の論文の文献調査を行う 3 分析  調査結果から分かった人の分類の要素を分類していく。各要素を分類しながら、レベル付けし、階級ごとに分けていく。それぞれのグループの関係性や各要素のレベルからマッピングを行い、人の分類法を明白な状態にする。 4 考察 どのような「分ける」が存在し、今の社会を形成しているのか。また、「分ける」ことで何が分かり、分けないと、どのようなことが起きうるのかを、分析によって整理されたデータから「分ける」に対する見解を導き出す。作品制作の方向性を定める。 5 作品制作、発表、フィードバック 考察から定めた方向性に沿って作品を制作し、「分ける」と現代社会の曖昧な関係性を明らかにする。

考察・結論

 

脚注

  • 本研究の理論的考察については,科研費研究活動スタート支援「真正性の共創実践としてのジャーナリズムの考察」(課題番号:22K20184,研究代表者:田中瑛)の支援を受けた。

参考文献・参考サイト

  • Fraser, Nancy (1997), Justice Interruptus, Routledge.(=2003『中断された正義―「ポスト社会主義的」条件をめぐる批判的省察』 仲正昌樹訳、御茶の水書房)
  • Young, Iris Marion (2000), Inclusion and Democracy, Oxford University Press.
  • 田村哲樹(2017)『熟議民主主義の困難』ナカニシヤ出版
  • Butler, Judith (1997), The Psychic Life of Power: Theories in Subjection, Stanford University Press.(=2012『権力の心的な生――主体化=服従化に関する諸理論』佐藤嘉幸・清水知子訳、月曜社)